“殺しに行く気迫”と“殺される覚悟”(2011)

スカパーで『テレ朝ch1』しか契約していない私にとって、

本当にありがたい、10日間ノースクランブル放送が始まりました。

この機会に観られるプログラムの中で最も楽しみなのが、

言わずもがな、3ヶ月前に行われた『U-SPIRITS again』(参照:UWF、一つ終わり再び始まる)です。

まぁとっくに過ぎ去った大会の中継にワクワクするのも、

今の時代、珍しい野郎かも知れませんが、

前回の雰囲気をもう一度感じられるならば、

こんなに心躍る事はありません。



前回、最も驚いたカードは40代の“団体対抗戦”とも言える(参照:幻の対抗戦よ、時空を超えろ!!)、

2011年11.16 後楽園ホール

高山善廣vs高橋義生
でした。
高橋義生vs高山善廣

“プロレス界の帝王”高山善廣と、
トップロープを一跨ぎの高山

高橋“人喰い”義生
組長の匂いがする義生

GA9さんにやんわり否定されましたが(参照:5ヶ月遅れの同窓会)、

やっぱりこの画像なんかを観ると、

若き日の藤原組長を思い出します。

…にしても、睨み合いだけでゾクゾクしますね。
この睨み合い

これぞU!! という攻防、

もう一度振り返りましょう。

ゴングと同時にアップライトスタイルで、

リング中央を取った高山。

この辺はプロレス流主導権の奪い方です。
ロングレンジから、

高橋はロープのリバウンドを利して、

まさに矢の様なタックル。
高橋、矢の様なタックル

日本プロレス界一と言っても良いこだわりのタックルで、

テイクダウンを奪うと矢継ぎ早にマウント掌底。
上になっての掌底パウンド

これは和田レフェリーに制止され、

スタンドに戻るとフルスイングのフック。

これは身長差もあって空を斬ります。
大きな左フックは身長差から届かない

高橋のもう一つの魅力が、

この捨て身で放つボクシング技術ですね。

さらに片足タックルで2度目のテイクダウンから、
2発目のタックルも成功

クロックヘッドシザース、
クロックヘッドシザースから、

続けて腕十字、
流れる様に腕十字、

高山が上になるとすぐに三角締めに移行。
下になるとすぐに三角

この流れる様な連続技で、

高山たまらずエスケープです。
高山エスケープ

この展開、まさしくプロレス団体を渡り歩いて来た高山と、

藤原組~MMAと技術一本で来た高橋の差でしょうか。

高山はここを打開せんと、

大きくバックスイングしてのパンチを放ちますが、

当然の如く高橋はダッキング。
弓を引くストレートはダッキングされ、

ならば下から、と高山は得意の膝蹴りを連打。
ならば膝蹴り

ここも高橋は巧くいなしてテイクダウン。
高橋3つ目のタックル

しかし高山がいい位置を取って、

腕十字を仕掛けます。
今度は高山が腕十字

しかし極めきれず立ち技に戻ると、

胴タックルに来た高橋を差し合いから、
胴タックルに来た高橋に、

右下手投げで逆にテイクダウン。
下手投げでテイクダウン

タックル技術とは異なるUインター流のテイクダウンですね。

さんざん道場で和田さんと相撲をとった賜物…?。

しかし寝かせたからといって有利になる訳でもなく、

高橋はガッチリとガードを固めます。
下からクロスガードの高橋

ならば高山はそのまま起き上がって、

ボストンクラブ狙い。

しかしこれを待っていたのか?
高山が逆エビ狙いに行くと、

高橋は頭を軸にボディシザースホイップで脱出。
組長仕込みの切り返し

これぞ組長イズム!! まさに一子相伝!!

そのまま休まずに掌底ラッシュ。
掌打の連射から、

一気に腕十字に行きますが、
腕十字狙いは、

高山が上体を起したところでニアロープ。

ブレイクがかかります。
高山が上になったところでニアロープ

ここらで高橋のスタミナが怪しくなってきました。

戦前のGA9さんの予想通り、

この試合の“勝負のポイント”は、

スタミナだったのか知れません。
一旦間を置く高橋に野次が飛ぶと、

観客の野次に一喝。
一喝…これもU

これもまたUらしい光景です。

高橋は気力を振り絞り、

低空タックルから、
高橋低いタックルから、

高山の巨体を持ち上げます。
高山の巨体を持ち上げて落とす

そのまま前に落として、

ダブルリストロックでエスケープ奪取。
ダブルリストロックで高山2度目のエスケープ

しかしここまで防御中心で来た高山が、

遂に勝負に出ます。
もう一度組み合うと、

明らかに上半身が浮いてきた高橋のボディに、

膝蹴りをぶち込むと、
高山膝蹴りから、

一旦ロープに押し込んでから、
ロープに押し込んで、

カンヌキ気味のスープレックス。
そのままスープレックス、

これは高橋、脳天からキャンバスに!!
受け身を取れず頭から落ちる高橋

さらに角度を変えてもう一発!!
さらにもう一発、今度は大きく投げる

立て続けに頭を打った高橋のダメージは大きい。
したたかに頭を打った高橋

それでも前に出るのが高橋なんですよね。

ラリアート気味の右フックは高山しっかりガードして、
捨て身の右フックをディフェンスして、

鳩尾に強烈な膝!!

高橋の体が浮き上がります。
強烈な膝蹴りから、

バックに回ってエベレストジャーマン!!
エベレストジャーマン!!

また脳天からマットに突き刺さった高橋は、
また脳天から!!

そのまま起き上がれずKO。
高山KO勝ち

それどころかしばらく動けません。
ダメージの大きい高橋に声をかける高山

これ!!…この展開がUなんだよなぁ。

技術だけじゃない、気迫だけでもない。

でも両方高いレベルが必要とされる。

そんなリング。

“殺しに行く気迫”で攻撃し、

“殺される覚悟”で受ける。

それがプロレスリング。

高山
「高橋義生に無くて俺に有るものは、“ゲーリーの勝ちパターン”だと。
(略)まぁ、こういうUWFを懐かしく思うお客さんの前で、ね。ゲーリーの技で勝ったというのが俺は嬉しい」
満足感ありありの高山の表情

フィニッシュシーン…この会場にいるはずのない赤鬼が、

高山に檄を飛ばした瞬間だったのでしょうね。
カメラ目線で雄叫びを上げるゲーリー

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tag : 高山善廣 高橋義生

comment

Secret

No title

この試合は面白そうですね。

もし、この試合はMMAとして行われていれば高橋が速攻をしかけて終わっていたかも知れません。

でも、この試合はUWFルール。
エスケープもあれば、ダウンカウントもあります。
高橋がいくら速攻をしかけても、エスケープやブレイクが繰り返せば高橋はスタミナをロスして高山に捕まって負けると思います。
高山は、“ゲーリーの勝ちパターン”と言ってましたが・・・

実はこの記事を見ながら思ったことは、ジャパンvs全日本、新日本vsWARの時に見られたような新日系選手の激しい攻撃を受けて堪えて、後半逆転して結果
「全日系の選手って強いな」
と感じさせる感情に近いものでした。
試合開始と同時にリング中央を取ったところからも、頭は「U」ながらもリングに上がれば”全日”になっちゃってるのかなぁ・・・と感じました。

>ナリさん

MMAとして行われていれば高橋が速攻をしかけて終わっていたかも知れません<それに近い意味の事も試合後に高山は言っていましたね。

高橋がいくら速攻をしかけても、エスケープやブレイクが繰り返せば高橋はスタミナをロスして高山に捕まって負けると思います<これもプロレス的な視点になっちゃうのかも知れませんが、試合の中に“体格差”というものも感じました。

新日系選手の激しい攻撃を受けて堪えて、後半逆転して結果「全日系の選手って強いな」と感じさせる感情<これ、いわゆる馬場さん流の考え方というか、「蹴る方が格下に見える」でしたっけ?
チョップの応酬でも全日系は胸を張って耐えますけど、新日系はポイントをずらしますよね。ZERO-ONE旗揚げ時に秋山がよく言ってました。

試合開始と同時にリング中央を取ったところからも、頭は「U」ながらもリングに上がれば”全日”になっちゃってるのかなぁ・・・と<ほとんどフットワークを使いませんからね。まぁもともとUインター時代からなんですけど。
でも今の体型からいうと、それが自然な戦法かも知れないですね。
そういやヒクソンも中央を取るんですよね。案外、馬場さんの流れを汲んでいるのか…。

No title

馬場さんがいう「格上に見える闘い方」で覚えているのは
「ストンピングはしない」「(相手を起こす時など)髪を掴まない」・・・ヒールが行う行為で下品。
「リングの中央を取る」「やたら動き回らない」・・・対戦相手が自分を中心に回る姿に自分が強そうに見える。
以上で、理由はこんな感じでした。

我々世代では『世界チャンピオン』といえば姑息な戦法の防衛術のイメージですが、馬場さんの頃はいわゆるレトロプロレスで海外修行時代はテーズなどの正統派王者を見てきた馬場としては自分が日本に帰った時を考えて
「これが王者、エースのスタイル」
というものを汲み取ってきたのかも知れません。
映像は見たことはありませんが、ヒールだったという馬場の武者修行時代の映像を見たりすると我々がイメージする”馬場の戦い”とは違う試合をやっていたかもですね。
鶴田、三沢、秋山にこれを教えているはずです。

ヒクソンに馬場の流れ・・・ 刃牙の板垣先生ならそういうストーリーは作れそうですね(笑)

>ナリさん

馬場さんがいう「格上に見える闘い方」<理にかなっている…というか、あくまでイメージ戦略としての闘い方ですよね。

テーズなどの正統派王者を見てきた馬場としては自分が日本に帰った時を考えて「これが王者、エースのスタイル」というものを汲み取ってきたのかも知れません<馬場さんに大きな影響を与えたのはバディ・ロジャースだった説が有名ですが、まさしくイメージの上での“格上に見える闘い方”ですね。

ヒールだったという馬場の武者修行時代の映像を見たりすると我々がイメージする”馬場の戦い”とは違う試合をやっていたかも<特に戦後間もない対日感情が今の中国韓国以上の時代ですからね。生きるか死ぬかの世界を渡り歩きながら大量のドル紙幣を手にしたと思います。

鶴田、三沢、秋山にこれを教えているはず<そういや三沢も相手の髪の毛を鷲掴みにしない持論がありましたね。
小橋はどうなんでしょう? 最も馬場さんのレスリングを継いだ様な気がしますが。
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