殺人風車進化論

幾多のU系ガイジンたちの中で、

最強をひとりだけ挙げなさいと聞かれたなら、

私は迷わずこの名前を叫びます。

その名は…、

“殺人風車”ゲーリー・オブライト!!
カメラ目線で雄叫びを上げるゲーリー

しがらみ多き世の中、ムシャクシャする夜は、

スパさんから頂いた、この“お宝DVD”(参照:サンタクロースがやって来た)を再生します。
ゲーリーだ!!

ゲーリーといえば言わずもがな、

一にスープレックス、二にスープレックス、三四がなくて、

五にスープレックス…という位の使い手でした。
ゲーリーの雄叫び

スパさんがプレゼントしてくれたDVDは、

そのゲーリーがUWFインター時代に放った、

ほぼ“全スープレックス”を集めたスペシャル盤!!
ドドドドド…!!

これを見るとゲーリーがUインターマットにおいて、

どの様に殺人技であるスープレックスを進化させ、

また対戦相手に研究され尽くした晩年に至っては、

どの様に“退化”してしまったか…が、わかります。

ただ“退化”といっても、

他のスープレックスの使い手と比較したならば、

充分すぎる破壊力ではあるのですが。

とにかく振り返りましょう。



まず初参戦の安生洋二戦(参照:Yoji Anjo Is Alive vol.6~ポリスマン最大の功績~)。

ここで見せたスープレックスは3発。

そのいずれもが、

ゲーリーのバックボーンでもあるレスリングの基本、

体重移動を一切無視した力任せの荒技でした。
殺人風車進化論1

そのフォームはまさしく、
殺人風車進化論2

当時流行していたぶっこ抜きジャーマン。
殺人風車進化論3

力任せに安生を肩口から落として行きます。
殺人風車進化論4

フィニッシュ直前には頭部から叩きつけていますが、

荒削りという形容がピッタリ来る一発です。

その後、軽量の宮戸優光中野龍雄を相手に、
殺人風車進化論5

ブリッジを効かせた投げ方に変化させますが、
殺人風車進化論6

年末の田村潔司戦において、
殺人風車進化論7

必殺技としてのジャーマンは完成された感があります。
殺人風車進化論8

その特徴は体格差を利した“遠心力”。
殺人風車進化論9

これ何度か流星仮面二世さんらの解説で検証してきましたが、

もう一つ破壊力の要因を探してみると、

スタンス(足幅)の狭さに気がつきました。

ほぼ肩幅に開いたスタンスで、

より遠くへ投げるという…桁外れの背筋力を持つゲーリーならではです。

ここでジャーマンをほぼ完成させたゲーリーは、

まさに無敗の快進撃。

貴重なヘビー級である山崎一夫クラスの体重でも、

ご覧の通りマットに叩きつけられ、
殺人風車進化論10

さらに頭部がバウンドして浮き上がっています。
殺人風車進化論11

軽量の垣原賢人に至っては、

全身がくの字に折れ曲がり、

足の間から顔が見える程の衝撃です。
殺人風車進化論12

そして迎えた初のビッグマッチ、高田延彦戦(参照:オーバー・ザ・シュート【7発の殺人橋】~前編~~後編~)。

次々と仲間が敗れていくのを見届けた高田は、

ゲーリーのジャーマンに決死のディフェンスを試みますが、
殺人風車進化論13

むしろ踏ん張った事で、

命に関わる程の負傷を余儀なくされました。
殺人風車進化論14

止まらないゲーリーは新日から引き抜かれた、

“黒い猛牛”バッドニュース・アレン戦でもジャーマンを使用しますが、
殺人風車進化論15

小型のUインター勢に対する投げとは打って変わり、
殺人風車進化論16

ブリッジによる遠心力ではなく、

途中でクラッチを外して後方に大きく投げるフォームに。
殺人風車進化論17

逆に力を必要とする様にも見えますが、

ブリッジする事でアレンの巨体を、

自らの顔面に受ける事を避けた頭脳プレーです。

後にも先にもこのフォームはアレンとの2連戦のみですね。

ただこの後、プロレスリング世界ヘビー級王座決定戦における、

高田との再戦でジャーマンは初めて攻略されてしまいます(参照:スーパースター誕生)。
殺人風車進化論18

ガッチリと左右の足をフックされた為、

ブリッジを効かせられず潰れてしまいます。
殺人風車進化論19

この試合でゲーリーはUインターにおける初黒星。

それでもジャーマンを捨てなかったゲーリーは、

グリップの位置と落とす角度を変える事で、

山崎を負傷に追い込みます(参照:ゲーリー幻のゴッチ式ジャーマン)。
殺人風車進化論20

しかしこの危険な角度のジャーマンを境に、

ゲーリーのスープレックスはさらなる変化を遂げます。

それはフルネルソン・スープレックスへの“進化”でした。
殺人風車進化論21

これまでのジャーマンにおける、

遠心力を効かせる為の“膀胱の位置のグリップ”を、

それまでは痛め技として使っていたフルネルソンで、

相手の後頭部まで引き上げて、
殺人風車進化論22

さらにジャーマンと同じ狭いスタンスで投げ切り、

マットに叩きつける瞬間までクラッチを切らないという、

文字通りの殺人技。
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垣原の首がありえない角度まで折れ曲がっています。
殺人風車進化論24

Uインター2戦目の佐野直喜にも。
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アマレスの実績では敵わないデニス・カズラスキーにも、
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厳し過ぎるプロの洗礼。
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受け身の巧い安生でもヒヤリとする角度です。
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スーパー・ベイダーには意地で持っていった、
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ハイブリッジのジャーマンです。
殺人風車進化論30

しかもベイダーの巨体までも、

叩きつけるまでクラッチを切りません。
殺人風車進化論31

東京ドームでのシックスメン・バウトにおいては、

珍しくエクスプロイダー(?)も披露しました。
殺人風車進化論32

…というかこれ『夢の懸け橋』!!

超貴重映像ですよ!! スパさんすっごい!!(キムケン風)

しかしここからゲーリーのスープレックスが、

急激に破壊力を低下させてしまいます。

ビリー・スコットに放ったジャーマンは、

グリップの位置も高く、
殺人風車進化論33

投げる角度も乱雑で初参戦の安生戦同様、

肩口から落としていっています。
殺人風車進化論34

思わぬ金星を許した垣原戦では、

久々のぶっこ抜きを出しますが、
殺人風車進化論35

これまでの持ち味が全く消えています。

グリップの位置はほぼ胸、
殺人風車進化論36

スタンスは広がってしまい、

ブリッジの高さもありません。
殺人風車進化論37

この試合、逆転の膝十字で敗れる訳ですが、

垣原に研究されていたというよりも、

グリップの位置からして大きく変わってしまった事が、

その要因かと思います。

そもそもゲーリー自身がスープレックスについては、

技術的な事よりもメンタル面を強く意識(参照:赤鬼の殺人風車)していた為、

気には留めていなかったと思いますが、

ここから全日本へ移籍していったのも、

自然な流れだったのかも知れないですね。



ゲーリーが他界してから早くも6年以上経過しましたが、

皆さんもこの“殺人風車”を忘れないでいて欲しいです。
文句なしのKO劇

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tag : ゲーリー・オブライト UWFインターナショナル スープレックス

comment

Secret

No title

取り上げていただき誠にありがとうございます。

ゲーリーのジャーマンはグラウンドレスリングの基本ポイントゲット技術であるガッツレンチ(ローリング、横崩しともいう)の応用だという自論を書かせてもらったことがありましたが、初戦の安生戦の肩から落とすフォームはまさしくガッツレンチのスープレックス版ですね。

グリップの位置は四つんばいの人間をぶっこぬく場合はどうしても上側になってしまいますよね。ガッツレンチのグリップの位置は上下両方あるので、よくも悪くもその影響が出ているような気がします。

しかし、山ちゃんの頭がバウンドしている画像は、昭和だったらベストショットゴングに載りそうな衝撃ショットですね。

>スパさん

こちらこそ、その節はありがとうございました。
スパさんからこういったお宝を頂かなければ、この様な記事を書く事は出来ない訳ですから。

ゲーリーのジャーマンはグラウンドレスリングの基本ポイントゲット技術であるガッツレンチ(ローリング、横崩しともいう)の応用<アレン戦以外は最後までクラッチ切ってませんからね。
さらにいえば、ベリー・トゥ・ベリーの連発式なんかはまさしくそれでしょうね。

グリップの位置は四つんばいの人間をぶっこぬく場合はどうしても上側になってしまいます<なる程…固定するにはそうでしょうね。
R・ボック同様、相手に「さあ投げますよ」というタイミングで投げないゲーリー式は最初に組んだクラッチの位置でスープレックスの威力が大きく変わって来るのかも知れないですね。

山ちゃんの頭がバウンドしている画像は、昭和だったらベストショットゴングに載りそうな衝撃ショット<今回の技トーークは連続写真的な感じにはしなかったのですが、映像をコマ送りで見ると改めて衝撃度に驚きます。

本当にありがとうございます。

No title

いきなり本題から外れますがベイダーも踏ん張ろうと思えば踏ん張れるのでしょうが、この巨体なのにちゃんと投げに対する受けをするところが凄いなと思います。
新日時代も馳のノーザンライトや、武藤のドラゴンを受けていたはず。
自分もしっかり受けるから、相手への攻撃にも容赦はしない・・・
それが多くのファンから支持を受けた理由でしょうが。
猪木に放ったジャーマンも持ち上げて後ろに叩きつける投げ方で全日移籍後もそれをやってましたが、おそらく、全日マットのようにキャンバスが柔らかいところなら低くて早いスープレックスよりは、高く上げて落とす投げの方が効果的なのかも知れません。
三沢はしばらくするとそれを嫌って回転式受身に変えました。
頭から落ちる危険の高い受身ですが、身体に受けるダメージは全然こちらのほうが楽です。


で、オブライトですね(笑)
後半の投げはそれまでが嘘のように「これじゃ効かないだろ」という投げになってますね。
全日移籍の意思を固めた頃なのか、団体内におけるポジションにあきらめが来たのか。
理由はわかりませんが、例の田村戦やそれまで負けることが考えられなかった相手に負けたりとか、彼自身に大きな変化があったようですね。

正直、全日移籍の頃は「前ほど商品価値ってないよなぁ」という感じで見てました。
試合における荒々しさも消えて、「プロレスをしよう」という感じにも見えましたし。
ハンセンがあれだけ好きに暴れるんだからオブライトもそれをやってもいいと思うんですけどね。

>ナリさん

踏ん張ろうと思えば踏ん張れるのでしょうが、この巨体なのにちゃんと投げに対する受けをするところが凄い<ただ全日やノアの時代みたいな「どっこいしょ」的な受けじゃないんですよね。ゲーリーの投げ方も投げられる側のベイダーのタイミング一切無視ですし。
ただ当時の状況を良く知る流智美氏の話によると、ベイダーはかなりゲーリーには警戒心持ってたみたいです。

自分もしっかり受けるから、相手への攻撃にも容赦はしない<何度か書いていますが、特に新日での橋本、Uインターでの高田、全日での小橋…この三人に対する攻撃は凄かったです。
受けも確かにハードでしたね。

猪木に放ったジャーマン<さらに猪木もセミリタイア状態の身でしたしね。死んじゃったかと思いましたよ

三沢はしばらくするとそれを嫌って回転式受身に変えました<さすが三沢…というか、あれから四天王プロレスはさらに上のステージに行ってしまいました。結果的に自ら命を縮めてしまったのでしょうか。

後半の投げはそれまでが嘘のように「これじゃ効かないだろ」という投げになってますね<どういう事があったのかは想像する事しか出来ませんが、腐っていたのは確かですよね。

試合における荒々しさも消えて、「プロレスをしよう」という感じにも見えました<馬場さんに全て委ねたんでしょうね。
よく言えば安住の地を見つけたのかも知れませんが、通常のリングシューズを履いた時点で、もう数居る全日ガイジンの一人になってしまっていたのかも知れません。

No title

グリップの高いジャーマンを見ると、ノアの杉浦選手の「ハイクラッチジャーマン」を思い出します。相手の胸や鳩尾をクラッチしてのジャーマンですが、
オブライトと杉浦選手とでは違うのでしょうけど。

ようつべで観た、全日本でのタッグ選手権で川田選手に決めたジャーマンはスピード感が有りましたなあ。結果、パートナーのハンセンのウェスタンラリアットがフィニッシュだったけど、あのジャーマンが決定的でしたな。

フルネルソンはまだオブライトがフルネルソンを出してなかった頃、流さんが安生さんに「もしオブライトがフルネルソン・スープレックスを使ったら」と聞いたら、安生さんが「下手したら死人が出る。絶対考えたくない」と言ってたそうです。

オブライトも末期の頃、高山選手に「片羽絞め」(柔道で使う技とは違う)で負けたのをテレビで見たのはショックでしたが、糖尿病で練習もロクに出来ない状況と知り納得したけど。

>通り菅井さん

ノアの杉浦選手の「ハイクラッチジャーマン」<クラッチを高い位置にする事によって急角度にする…全盛期のゲーリーとは対極のノアならではの技という事でしょうか。

全日本でのタッグ選手権で川田選手に決めたジャーマンはスピード感が有りました<全日のマット構造に合わせた技になっていたのでしょう。
いずれにせよ全日でのジャーマンは一撃必殺の魅力を失っていました。

安生さんが「下手したら死人が出る。絶対考えたくない」と言ってたそう<今映像で見てもゾッとする角度です。
投げられた方は直角以上に首が曲がっていながら、膝がキャンバスに付いているのですから…まさに殺人技です。

糖尿病で練習もロクに出来ない状況<ある意味巨漢レスラーの宿命というか…ゲーリー自身憧れていたブロディの様に節制を覚えていたら、どの様な晩年だったでしょうね。

低い体勢もそうですが、
本当だー足幅が狭い!(◎_◎;)
何度かレガさんのブログで取り上げている選手ですが、改めてスゴイです。

>みーさん

改めてスゴイ<この衝撃はね、本当に凄かったですよ。
私にとってはウェスタンラリアートと同ランクです。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


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