それぞれの立場から語るUインター

私が豪ちゃん本(参照:豪ちゃん本届いた)を読みたかった最大の理由は、

元Uインターの取締役トリオであった、

宮戸優光安生洋二鈴木健が、

“今の立場で語るUWFインター”というものに興味があったからです。
恒例の取締役トリオによる会見

他にもUインターでナンバー2という立場ながら、

苦汁をなめ続けた山崎一夫の、

Uインター回顧談もありました。
完全に破壊された山崎の肩

さらに本の中にはU系とも呼ばれる船木誠勝が、

外の立場から見たUインターを、

短い新弟子時代を経験した菊田早苗が、

一瞬だけ中に入ったUインターを、

それぞれ語っています。

久し振りにUインターという団体を検証する(参照:宮戸語録 vol.24~Uインター史の答え合せ~ 、 大きな意味を持つ『ワーク』~前編~~後編~)上でも、

抜粋してみましょう。

吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集
 吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集 より
山ちゃん@豪ちゃん本

豪「Uインターの頃、居心地の悪さは見えたんですよ。分裂時に仲裁しようとしたせいで、団体内で微妙な位置になったというか」

山崎「まあね…」

豪「Uインターと新日本がガチで揉めてた時期に、長州さんが『宮戸の墓にクソぶっかけてやる』ってキレながらも、『でも、山崎はいいヤツだから山崎にはかけない』って言ってたのは無茶苦茶ツボに入りましたけどね」

山崎「だから、たぶん外から見てたほうがいろんなことがわかったりするんでしょうね。そういうことを誰かが請け負わないと、団体自体がうまくいかない場合もあるじゃないですか。みんながみんな俺が俺がじゃなくて」


本人曰く、一歩退く事で団体を円滑に回していた、と。

しかしUインター設立時から、

既に山ちゃんの孤立は始まっていました。

むしろ一歩退かされていた、と言えるでしょう。

新日若手時代、ユニバーサル時代、新生UWF、新日出戻り…と、

いつの時代もいい思い出だけを振り返っていますが、

Uインター時代だけはリング上における悪い思い出が先行している様です。

しかし外部から見ると、

Uインターという団体は勢いに乗っていました。

船木「だから何よりも一番嫌だったのが、UWFインターナショナルにUWFのファンがほとんど行っちゃったじゃないですか。すごい悔しかったんですよ。何回か実際に足を運んで試合観たことあるんです。両国と横浜アリーナと武道館と。トレバー・バービック戦と北尾光司戦、横浜は山崎一夫×高田戦ですかね、その3試合を観たんですけど、客の熱気がまったく違うんですよね」

豪「北尾戦とか異常でしたもんね」

船木「ええ、すごかったんでホントにヤキモチ焼いてました。なんなんだろう、このやるせなさはって(以下略)


この藤原組時代の船木のやるせなさが、

パンクラスという団体を生み出した訳です。

とにかく仕掛けも試合も面白かった。

その仕掛けを創造していた側の宮戸は、

面白さの原動力をこう定義しています。
宮戸@豪ちゃん本

豪「それにしても、あの頃のUインターの異常なおもしろさってなんなんですかね?」

宮戸「やっぱり団体としての攻撃性でしょうかね? いま振り返っても、僕なんか対ファンというか、対他団体はもう悪役ですよ」

豪「当時のプロレス業界でもそうですよね」

宮戸「ただ、そうなることが嫌じゃなかったんです。そうすることによってUインターが前に出る。要するに、あの頃は全団体でトップになりたいって夢があって、その団体のトップはどこかっていうと新日本だったんです。だから新日本をすべての意味で超えたかった。強さとしても動員でも、あらゆる意味でね。それには常に新日本がやってないことをやっていく。まずはみんなで強さを身につけていく。それから常に他団体に対しても、誰か文句のあるヤツはいないか、みたいなアピール」


敵は新日本プロレスのみ!!

当時の宮戸にとっては、

他の団体など眼中にありませんでした。

仕掛ける立場の人間も団体の為に敢えて大悪党を買って出、

フロント全員プロレスリングというものをシュートとして後押ししていました(参照:伝説の営業マン)。
鈴危険@豪ちゃん本

豪「当時、仕事でUインターと仕事してたんですけど、下のほうのスタッフとかもみんな真剣勝負だと思ってる気がして。団体内のケーフェイの守り方もすごいなと思ってたんですよ」

鈴木健「そうだよ。中で知ってるの俺だけじゃない? 当然、誰も知らないし。和田さんまで知らないんだから。和田さんはルールどおりの捌けばちゃんとそうなる。だから選手が全員すごかったの。過去のプロレス界のあり方とは全然違うよね」

豪「いろんな意味でシステムも違うし、プロレスの常識も知らないし、だからこそおもしろかったし、トラブルもいっぱい起きたし」

鈴木健「そう。だからホントにガチンコで生きてきたって感じだよね。他の団体との関わり方もガチンコでやるのが絶対正しいじゃん」


一億円トーナメントなんかはその最たる例でしょう。

あれは若手社員のアイデアから始まった企画ですから。

他団体…特に新日本にとっては、

多大な迷惑を被った団体だった訳ですが、

そこが我々ファンにとって最大の魅力でした。

そして試合の方の面白さといえば、

いわゆる“入ったらごめんルール”による緊張感でしょう。
安生@豪ちゃん本

豪「UWFとUインターの違いというと?」

安生「なんもないんじゃないですか?」

豪「あ、なんにもないんですか(笑)。Uインターの試合スタイルは、関節でもキックでも、入っちゃったらそれはそれでよしという、かなり自由度の高いものでしたよね」

安生「まあ自由ですね。入れるのは全部、打撃に関してはみんなガチだから(笑)」

豪「それが許容できるプロレスって、そりゃあ面白くもなるだろうなと思いますけど」

安生「おもしろいですかね? まあ、いまのプロレスは自由がなさすぎるんですけど」


「打撃に関してはみんなガチ」。

これが高田vs北尾の真実です(参照:10月最後の夜に…カタルシスを神様が降りてきた夜)。
高田vs北尾調印式

もう一丁、Uインター内からの真相としては、

日本のMMA史に大きく名を残す菊田の、

2度に亘るUインター新弟子時代の挫折話がありました。

菊田「(Uインター入門の)初日にちょっと怖いなと思ったのは、日曜日で休みだったんですけど、みんなリビングに体育座りで外に出られないんですよね。で、金原(弘光)さんが『ちょっとコンビニに行ってくるから、田村(潔司)さんが来たらこう言っといてくれ』とか言って出て行ったんですよ。もうデビューしてる人が日曜日にちょっとそのへん出るのも理由つけて行かなきゃいけないんだと思ったら、ビビッてきちゃって(笑)。1年経ってもこんなんじゃ耐えられないなと思って、自由がないことに。大学も厳しかったんですけど、休みはあったんでリフレッシュできたんですよ。僕はかなり自由な人間だったので、練習も厳しかったけどこれは厳しいなーと考え過ぎちゃって。気付いたら寮を飛び出してましたね」


この合宿所における田村潔司政権は、

本当に地獄の苦しみだった様子です。

一時期、桜庭和志と田村の確執は、

この時代に起因しているという噂もあった程です。
Uインター道場3

菊田はこの後、再入門を果たしますが、

スパーリングでの骨折により再びケツを割ります。

しかし一昨年の秋、実に17年越しの清算(参照:Uインターの2011年秋…サプライズ!!)。
17年越しのノーサイド

それぞれの立場から語られる、

それぞれのUインター。

そこにはそれぞれのドラマが存在する訳ですね。



最後に豪ちゃんの真骨頂とも言える質問、

「『泣き虫』は読みました?」に対する、

いくつかの返答をまとめておきましょう。

山崎
「読んでないです。プロレスってそんなに日頃から興味あるわけではなく(笑)。
(以下略)

鈴木健
「ホントなのか八百長なのかわからないところにプロレスの魅力っていうのもあるわけだし、そこを正々堂々と本人が言っちゃったらやっぱりダメだよ。高田さんも『泣き虫』で書いちゃったけど、あれはプロレス界を少し壊しちゃったよね。レフェリーとか周りが言うんだったらずいぶんズレてるからいいけど、本人が言っちゃ良くない。俺はいまでも高田さんは大好きだけど、あれはミスッたなって思う」

宮戸
「全部は読んではいないけど、パラパラッと目は通しました。でもそれも同じで、あれは高田さん側から書かれたもので、同じUインターでも、他の人に全てあてはまるかといえばそうではないでしょう。でもそこを全員が丸飲みしちゃうじゃないですか。そこがこういう本の怖さであり、マスコミの怖さでありますよね」


まさに三者三様、

それぞれのUインターの形があるのでしょうね。

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tag : 山崎一夫 船木誠勝 宮戸優光 安生洋二 鈴木健 菊田早苗 吉田豪

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マジな打撃

こんばんは。

最近、高田が引退発言をした垣原戦を見直したのですが、バチバチと音が聞こえてきそうなローと掌低を入れていて、これが決まっちゃたら、ごめんなさいルールかと痛感しました。
引退発言の前に『ベイダーやオブライトよりも怖かった。』と語っていたのですが、これリップサービスではなく本音なんでしょうね。

おそらく、こうした事は何度もあったはずで相手が何時ダブルクロス気味に入れてくるのか解らないから選手のプレッシャーたるや想像もつきません。Uインターに関してはワークなんて言語は、当てはまらないですよね。

>aliveさん

こんばんわ。

高田が引退発言をした垣原戦…バチバチと音が聞こえてきそうなローと掌低を入れていて、これが決まっちゃたら、ごめんなさいルールかと痛感<あの試合の高田、妙にテンション高いと思いません? 半ばヤケクソ気味に。
偶発ですが金的蹴ったり、カッキーの掌底が高田の目に入ったり、案外物騒ですよね。

『ベイダーやオブライトよりも怖かった。』…リップサービスではなく本音なんでしょうね<特にあの日の流れが下克上的なものでしたからね。
言い換えれば、それこそUなんでしょうけど。

相手が何時ダブルクロス気味に入れてくるのか解らないから選手のプレッシャーたるや想像もつきません<決まっちゃったら決まっちゃったでペナルティとかじゃなくて、宮戸らも「しゃあないな」となるのがUインターだった様です。

Uインターに関してはワークなんて言語は、当てはまらない<ワークの練習は一切なし。全てシュートだったらしいですからね。
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