認めるがゆえにサディスティック(1981)

80年代前半の新日本プロレスで、

我々を熱くした闘いの一つが、

“燃える闘魂”アントニオ猪木と、

ラッシャー木村率いるはぐれ国際軍団の抗争(参照:男の道は、はぐれ道。)でした。
顔面蹴り!!…は空振り

田コロでのピストル(参照:Trigger ~昭和編~)を合図に、
苛立つ猪木の右手は…

帰る家を失った木村らの、

覚悟を決めた暴れっぷりは、

当時の新日ファンの憎悪を一手に引き受けていましたが、

今になって見返すと痛快だったりもします。

プロレスというのは対戦を重ねるに付け、

相手の力量を知り、

持ち味を引き出す方にシフトチェンジしがちですが、

初戦は文字通りの“対抗戦”。

猪木と木村も例に漏れません。
浜口の先導で木村が入場

あの緊張感溢れる試合。
猪木の入場、付人は高田

1981年10.8 蔵前国技館
浜口と寺西のアピール

アントニオ猪木vsラッシャー木村
を、
立ち上がり中央を取ったのは木村

ご一緒に振り返りましょう。

ゴングと同時に静かな立ち上がりから、

いきなり猪木の延髄斬り!!
いきなり延髄斬り!!

面食らった木村に、

猪木は張り手、ローキックと続けて、

首投げからスリーパーホールド。
太い首にスリーパーが食い込む

これをロープエスケープした木村は、

離れ際に頭突きの返礼。
木村は頭突き

木村はヘッドシザースで締め上げてから、

上からの張り手連打。
上からの強烈な張り手に、

猪木は蹴り上げて空間を取ると、
蹴り上げから、

アリキックから巧みにカニバサミで、
神業的な、

テイクダウンを奪います。
カニバサミでテイクダウン

これウィリー戦(参照:物騒さ世界一決定戦~後編~)でも見られましたが、

猪木特有の強靭で非常識な位に柔軟な足首がなせる“神業”ですね。

左右の足のフックした位置をよく確認して下さい。

ちなみにこの直後に見せるスライディング・レッグシザースも、

猪木がよく見せるテクニックなのですが、
猪木のスライディングレッグシザース=シングルレッグダイブ説

私が思うに猪木の場合この技は、

カニバサミというよりも、

片足タックル…いわゆるローシングルなんですよ。

これいつか技トーークでやりたいなぁ。

そこからバックを奪うと、

お得意のフェイスロックから、
フェイスロックから、

肘での拷問テクニック。
裏技的な…

寝技になると木村、成す術がありません。

さらに腕十字でエスケープを奪います。
そして腕十字に木村エスケープ

それでも吉原道場の意地でしょうね、

木村は低い体勢から、
ラッシャーの、

このタックル見て下さいよ。
ローシングル!!

古いファンが「今のプロレスは…」という部分がこれなんですよ。

どんなパワーファイターでも、どんなラフファイターでも、どんなショーマンでも、

昭和のレスラーには“レスリング”があったのです。

木村も体重を利して、

拷問的な足首固めに行きますが、
猪木の足首は極まらない、

猪木の足首は極まりません。

逆に裏十字で木村がロープへ。
腕十字で切り返す猪木

試合の主導権は完全に猪木。

強烈な張り手2発から、
2発張って、

側頭部へエルボー。
エルボー、

木村の返しはあくまでもヘッドバットです。
木村は頭突き、

強烈な連打に、

猪木も一発返しますが、
猪木も頭突きで返すが、

さすがに木村の硬さには敵わず、

片足タックルでテイクダウンを奪いに行きます。
木村が打ち勝つ

ロープ際でブレイクがかかると、

猪木はダブルアーム狙い。

木村は後退して回避します。
ダブルアーム狙いは木村が後退して回避

すると離れ際に猪木が「来いコノヤロウ!!」と挑発。
「来いコノヤロウ!!」

これに触発されたか木村は、

猪木をコーナーに詰めて強烈な張り手とチョップで、
コーナーに詰めて強烈な逆水平

ダウンを奪います。
追い込む木村

しかし猪木は起き上がるとインローから、
猪木のインロー

ミドルキック、ローキックとつないで、

場外へ木村を放り投げます。

木村も猪木を引きずり込んで場外戦へ。
場外戦から、

すぐにリングに戻りますが、

もう一度、場外転落。
もう一度場外へ

木村は力任せに猪木の額を鉄柱へ叩きつけます。
木村の鉄柱攻撃

さらにリングに戻るとヘッドバット。
リングに戻っての頭突きから、

さらに場外でダメ押しの鉄柱攻撃。
ダメ押しの鉄柱

猪木が額から流血しながらリングへ戻ると、

木村は頭突き、張り手から、

強烈な逆水平チョップ。
これこそ逆水平チョップ

現在の某連射式とは比較にならない破壊力です。

カバーに行った木村を、

猪木はカウント2でキックアウトすると、

この試合2発目の延髄斬り!!
2発目の延髄斬り!!

真っ赤な鬼神の表情から、
鬼神の表情から、

ショルダー・アームブリーカー…腕折り!!
腕折り!!

そして腕ひしぎ逆十字!!
腕ひしぎ逆十字!!

Googleで“腕ひしぎ逆十字”と画像検索すると、

一番上に出てくる有名な画像です(笑)(参照:腕ひしぎ逆…十字)。

木村の足がサードロープに掛かると、

猪木はさらに締め上げていきます。
さらに締め込む

そのままレフェリーの再三のブレイク要請を無視して、

猪木が反則負け。

それでも離さない猪木に、

たまらずセコンドのアニマル浜口寺西勇が救出に入ります。
たまらず浜口、寺西リングイン、

これに黙っていないのが昭和新日本。

星野勘太郎が先頭切って乱闘に持ち込みます。
星勘らも加わって乱闘、

そして猪木自ら2人を蹴散らして、
猪木自ら蹴散らして、

勝利宣言する木村に対して、

もう一本も折ってやる、とアピール。
もう一本折るぞ、とアピール

ボディスラムから再び逆十字へ。
さらに腕十字

仲裁に入ったストロング小林に対しては、

「おめえはどっち(の立場)なんだ!?」と。
「おめえはどっちなんだ!?」

最後はもう一度、

木村に向かって再戦のアピール。
「木村、もう一回だ」

締めは「ダーー!!」
「ダーー!!」

言うだけ言って、

会場を沸かすだけ沸かせた猪木は、

木村がマイクを持った途端に、

さっさと控室へ帰ります。
木村がマイクを持つとさっさと引き上げる

この自分勝手さが猪木の魅力でもあったのですが、

決して不器用な木村をレスラーとして見下して、

馬鹿にしていた訳ではありません。

 プロレスラー・アントニオ猪木 闘魂伝説の完全記録 VOL.5 より

猪木
「うん、試合はどれも結構スイングしていたかもしれない。(略)昔、猪木のプロレスは五の力を六、七に引き上げた上で十の力で倒すといわれたことがあったけど、まさに受けて耐えまくるラッシャー木村というのは、それがはまった典型だったような気がする。不器用さをかえって俺が意識的に利用したのはたしかだったよ」


受けて耐える木村の魅力を計算の上で、

敢えてサディスティックに闘っていたのです。

相手を認めた上で馬鹿にしていったり、

相手を信頼するが故に腕を折りにいったり、

この猪木の世界観…誰も真似出来るはずがないのです。

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tag : アントニオ猪木 ラッシャー木村

comment

Secret

No title

コマ送りの写真だけなのに何故か興奮しながら見てました。
youtube探してもなかったのが残念です。
”ルーズジョイント”と呼ばれる関節の柔らかさの証明や、隠れた得意技でもある猪木の頭突きが木村には効かなかったところや、両者のレスリング。
見所の多い試合ですね。
新日本プロレスのDVDを買ってこようと思います(第33号『涙は似合わねぇ!哀愁のアンチヒーロー!!』に収録されてるみたいですね)


あと、ラッシャー木村の逆水平が、私の大好きな写真なんですが「キング・ハク」で検索すると出てくる天龍さんに思い切りチョップを喰らってる写真にそっくり。
やっぱり逆水平の真髄はパチン!と音をさせるものではなく、ぶっ倒そうとするその延長での大きな音だと再確認しました。

おおう!!

これはすばらしい!!

何を隠そう、この試合でプロレスの深みにハマりました!!

それまでも、大袈裟ではなくタイガーマスクで体に電流が走る衝撃を受けてましたが、第二波のこの衝撃たるや凄まじかった!!

文字通り鬼神のような強さの猪木と、子供心にも感じたラッシャー木村と国際軍団の哀愁のコントラストに痺れまくりでした。

あの日、太陽にほえろを見ていた家族のリビングから離れて、おじいちゃんの部屋の小さいブラウン管からこの試合を見て、大人の世界ってスゴイ!!って感じたのが自分のプロレスの原風景です。

>ジョーカー ナリさん

コマ送りの写真だけなのに何故か興奮しながら見てました<うわぁ…そう言って頂けると、時間かけて記事を書いたのも報われます。

”ルーズジョイント”と呼ばれる関節の柔らかさの証明や、隠れた得意技でもある猪木の頭突きが木村には効かなかったところや、両者のレスリング<一つの試合に色んな見所と意味合いが含まれているのが名勝負の条件でしょうね。

ラッシャー木村の逆水平<天龍もハクもそうですが、大相撲出身者の放つ逆水平は説得力あります。一発で倒しに行くという気迫でしょう。

逆水平の真髄はパチン!と音をさせるものではなく、ぶっ倒そうとするその延長での大きな音<そうですね。
プロレスとしては音というのも重要ですが、そこに威力がなければまやかしに過ぎないですもんね。

>スパさん

これはすばらしい!!<ありがとうございます。

タイガーマスクで体に電流が走る衝撃を受けてましたが、第二波のこの衝撃たるや凄まじかった<このブログで何度か引用していますが、まさしくハイロウズの十四歳…♪一発目の弾丸は眼球を命中、頭蓋骨を飛び越えて僕の胸に、二発目は鼓膜を突き破りやはり僕の胸に…ですね。

文字通り鬼神のような強さの猪木と、子供心にも感じたラッシャー木村と国際軍団の哀愁のコントラスト<既に全盛期は過ぎつつ会った猪木ですが、インタビューを読むとこの頃がコンディション的には申し分なかったようですしね。
国際軍団は肉体面…特に上半身が凄い!!

太陽にほえろを見ていた家族のリビングから離れて、おじいちゃんの部屋の小さいブラウン管からこの試合を見て、大人の世界ってスゴイ!!って感じたのが自分のプロレスの原風景<似てますね。私もじいちゃんの部屋で膝の上に座ってモノクロのテレビで見た猪木vsシン、上田が原風景。
今考えると、石原軍団や坂本金八を向こうに回しての20パーセント越え…本当にプロレスが文化だった時代ですね。

よくぞ記事にしてくれましたって感じです!

私も先日、この試合を見て凄いと思っていたところでした。

見所はやはり、プロレスリングの技術ですよね。
それが随所で見れたのが当時のプロレスかと。
多分、試合で出すような、そういったものなんて練習の何分の一とかだと思うんですが。

ワークとフェイクは違いますよね。
試合はワークでもプロレスリングとしてフェイクではないです。
今のプロレスラーの大多数はフェイクですが。

こんばんは。

この抗争から『新日本は最高、他はカス』みたいな概念を刷り込まれたような気がします。後のUインターのように。

後年、PRIDEを見なが、自分にとっては桜庭はタイガーで高田は猪木なんだよなぁと、ずっと思っていました。思春期にこんなもの見ていたらねぇ~

猪木の身勝手といえば、タイガー離脱後の試合で5分くらいでKOしてそれまでの2年間の抗争を強引に終結させたのが筆頭じゃないでしょうか。

>宮戸ゲノムさん

よくぞ記事にしてくれました<ありがとうございます。嬉しいです。

見所はやはり、プロレスリングの技術<思えばラッシャーもロビンソン教室を受けていたり、吉原教室の卒業生だったりしますから、レスリングの基礎は身についているのでしょうね。
そして猪木ですが、1976本ではタックル技術の無さを指摘されていましたけど、アマレス的なタックルが無いだけであって、記事のカニバサミなんかは物凄い技術だと思います。

ワークとフェイクは違います<宮戸理論そのものですね。
言い切ってしまうのはアレかも知れませんが、シュートが身についてるからワークが光り、ワークに長けているからフェイクが許されるのだとも思います。

>aliveさん

こんばんわ。地震驚きましたね!!

この抗争から『新日本は最高、他はカス』みたいな概念を刷り込まれた<本当ですよ。私なんか長州軍団が登場するまで全日をちゃんと見てなかったですから。
国際に関しては北海道で放送されていなかった事も関係して、団体とも見てなかったですよ。

自分にとっては桜庭はタイガーで高田は猪木なんだよなぁ<一緒です、はい。

5分くらいでKOしてそれまでの2年間の抗争を強引に終結させたのが筆頭<大阪ですね。
あの試合のラッシャーは腰痛がMAXで歩くのもやっとだったらしいですね。それでもバンプ取ってるんだから…凄いなぁと思いますよ。
強引に締めるのが猪木なんですよね。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


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