宮戸語録 vol.23~グレーゾーンの重要性~

読書の秋。

10月に発刊されたムックにおいて、

久し振りに宮戸優光のプロレス哲学が炸裂しています。

テーマは桜庭和志柴田勝頼の新日参戦論。
二人のKS、いざ参戦

昨年大晦日での二人が繰り広げた壮絶なタッグマッチを、

対戦者側セコンドとしてリングサイドで目撃した宮戸(参照:“現時点での”桜庭のプロレスリング)は、

桜庭のプロレス本格復帰も提言していました。

半年後、実際に桜庭はプロレスのリングに帰還し、

宮戸はプロレスの現場から離れました。

現在、ニュートラルな立場でこの一連の流れを、

どう見ているのでしょう。

KAMINOGE [かみのげ] vol.11
 KAMINOGE vol.11 より

宮戸
「かつて新日本にあった歴史を肌で知った柴田選手がいまの新日本に上がるというのは、どちらがいい悪いではなく、いまの新日本にとって両方とも新日本の歴史なわけで。同じ“新日本プロレス”でありながら異なる二つのモノがぶつかることで、何か変化が起こればおもしろいと思いますね」

「柴田選手の顔、とくに目なんかは凄くいいですよね。だから、新日本に上がるなら、自分のやりたいことを思う存分やったらいいと思いますよ。(略)二人が自分のプロレスを思う存分リングでやれば、そこに何かが生まれるんじゃないですか?」


まず、直接指導した弟子ではない柴田ですが、

前田や船木が授けたUの風情を、

宮戸も感じている様です。

期待値も大きく、

桜庭のパートナーとしては適役と評価している様です。

そして二人の参戦について、

当初あった、選手とファン両方からの拒絶反応が、

宮戸自身が関わっていた時代とは、

全く変わってしまった現在の新日本を、

象徴していました。

宮戸
「いまの新日本ファンが好きだとか、好きじゃないとか言ったところで、サクと柴田選手というのは、間違いなくプロレスの、自分たちの歴史の一部を持っているのは間違いないんだから。それをいまの人たちがいくら否定したって、否定しようがないんですよ」

「もしいまの新日本ファンや選手が、あの二人を気に入らないと言うなら、そのレスラーたちがリングでキッチリ、『こんだけ違うんだ』っていうカタをつければいいじゃないですか。もし、それでカタをつけられないのであれば、『なんだそんなもんなの?』『じゃあ、新日本のリングって、自分たちが勝てないレスラーが来たから、拒否してただけなんだ』みたいなね」


極めてシンプルに。

外敵が乗り込んできたなら、

リングでわからせてやる。

それこそがアントニオ猪木山本小鉄さんらが創ってきた、

新日の流儀でしたから。
桜庭メンチをきる

近年のファンがことある毎に論議していたのが、

「ところで桜庭ってプロレス出来んの?」です。

これははっきりとした実力測定の場としてのMMAに対して、

プロレスという言葉が“表現力”や“自己プロデュース”を競う、

そういったジャンルの競技であるという認識が、

ほぼ大勢を占めてしまった表われでした。

宮戸
「競技やスポーツのゲームなら、きちんとした規則、ルールがあるから、その中に基本的に観客、選手同士にぼやけた部分がなく、はっきりしている。しかしプロレスには、いわゆるそういうもので縛りきれない幅というか、グレーなゾーンがある」

「グレーゾーンは明確でない、ある意味不安要素であるから、競技のようにルールでキッチリ、カッチリさせたほうが、ある意味安心なんですよ。そして、そのグレーゾーンを心配だからといって、キッチリと競技とはまた違う方向で消してしまった、なくしてしまったのが、この10年、20年の『プロレス』と呼ばれるモノでしょう。だから、いずれにしてもプロレスのグレーゾーンというのは、総合にもない、そしていまの『プロレス』と呼ばれているモノにもない部分なんです。けど、ここがレスラー自身にとっても一番おもしろい部分なんですけどね。その部分がレスラーのナチュラルな技量を問われる闘いの部分であるわけで」

「そして、そのグレーゾーンがあるからこそ、レスラーは強くなるために技術を身につけ、コンディションを整え、リングの上で気を緩めなかったわけですよ。(略)で、サクと柴田選手がプロレスに帰ってきたことによって、間違いなく、そのグレーゾーンがまた現われると思うんですよ。そこが今回のおもしろさだろうし、(略)これは例え総合の選手が『いま』プロレスに転向しても、いまのプロレス教育システムの中では、絶対に醸し出せない部分なんですよ。なぜなら、いまのプロレス界では『プロレスとはこうだよ』と、グレーゾーンなんて存在しない枠組みの中のモノだけを教えちゃうから。『その枠組みのあるモノがプロレスなんだよ』って教えてしまった時点で、そのグレーは存在しないんですよ」


本来のプロレスというのは、

格闘技術だけではなく、

様々な意味で“実力”を競うものです。

その競い合いの中には、

もちろん前述した“表現力”や“自己プロデュース”も、

含まれていますが、

それらはほんの一部分であって、

やはり大切なのは“強さ”の勝負です。
中邑から逆指名

宮戸
「だから『プロレスってなんなの?』っていうことですよ。それって、昔で言えば『ルチャの選手とやるときは、ルチャ・リブレだけをやれ』って言ってるような世界なわけでしょ? プロレスっていうのは、それぞれのスタイルがあるわけだから、みんながルチャ・リブレをやる必要はないわけですよ。昔のメキシコの選手だって、一流どころはアメリカでも日本でも試合ができたわけで、もしいまの新日本の選手が、自分たちのスタイルでしかできないというのであれば、そこまでの選手ということになってしまいますよ」

「だって、ルチャ・リブレの選手がルチャ・リブレのスタイルでケンカすることだって全然できるでしょう? 彼らからすれば、ルチャの誇りをぶつけてくるわけだから。それをヘンに総合の真似をしたようなスタイルにしたら、おかしいでしょう。だから、自分の培ってきたモノでケンカすればいいわけですし、培ってきたモノでしかできないんですよ。中国拳法家がケンカしたら、やっぱり中国拳法で必死にケンカするわけでしょ? それをボクシングの真似なんかしたら、マンガになっちゃいますよ」


新日本の選手それぞれには、

これまでのキャリアで積み上げてきた、

バックボーンがあります。

だから桜庭、柴田に対して、

何もMMA的な技術で対抗する事が勝負ではないのです。

それこそ付け焼き刃。

そこで桜庭に勝つという事は、

200%不可能です。

だから真壁刀義の姿勢は、

200%正しいのです。

そして桜庭と柴田のスタイルも、

また間違ってはいない、と。

宮戸
「ボクはサクと柴田選手が持ち込もうとしている、グレーゾーンのあるプロレスというのは、いま現在のファンに反感を買うくらいでいいと思うんですよ。これがいまのファンにあんまり受け入れられすぎたら、彼らを入れた意味がない。ある程度の拒否反応が出るっていうことは、何かが違うとわかってくれたということだし、昔のファンには響いている可能性があるわけだからね」


あくまで木谷会長の考えなのか?

他にブレーンがいての戦略なのか?

現状の新日本には何の関係もなかった、

桜庭が新日本で闘う意味というのは、

ちょっと昔のファンを振り向かせる事であり、

近年のファンに何かを気付かせる事でもあります。

あとは、そこに必要な説得力ある対戦相手だけ。

その存在が中邑真輔という事でしょう。
遂に実現、中邑vs桜庭!!

IGFから距離を置いた宮戸は、

一つの評価をした上で、

やはり新日本には“闘い”を提言しています。

宮戸
「もちろん、いまのリングで繰り広げられているモノも、危険を伴う命懸けの攻防だと思いますよ。危険度だけでいえば、プロのレスリングであったときよりも上かもしれない。でも、その危険なことよりも、プロのレスリングが見たいレスリングファンというのは、それこそたくさんいると思うんですよ。そして、その部分を桜庭と柴田選手は持ってきてくれたんだから、そこと必死に闘えばいいことじゃないですか」


身体を張って危険に身をさらすのも、

プロフェッショナルですが、

レスリングのプロにしか出来ない、

プロフェッショナルのレスリングが見たい。

そういうファンが1.4にドームに集結し、

全国でPPVを視聴したら良いですよね。

さて…今夜も桜庭と中邑の極上のレスリングを、

夢でシュミレートしましょうか。

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tag : 宮戸優光 桜庭和志 柴田勝頼

comment

Secret

管理人さんは新日本での桜庭、柴田の試合はどう映りましたか?

たしかに緊張感はありました。
ですが個人的には正直、思っていたほどでもなかったというか…。

新日本側の「いやいや、これは“プロレス”なんで。それ以上でもそれ以下のこともしません、ありえません」としてるのがわかってしまい、桜庭、柴田もギリギリそれに付き合っているように見えます。

試合後の記者会見でのあの冷めた感じはポーズでもなんでもなく、“素”でしょうね。
ヤバイことをやってくるかもしれないと警戒していた分、拍子抜けしたというか。
向こうがあまりにも技を受けてくれるという部分もそうで。

IGFコンビと戦った時のように「向こうがやってくる前にやっちゃった」感じの試合じゃないですからね。
本音を言えば「やってきたら、やる。ていうか、やってこいよ」なんじゃないですか?

井上亘は傷痕も残せず、光らず、光らせず、たいした噛ませにもなれずで気の毒に感じました…。

新日本サイドも桜庭、柴田は「仕掛けてこなさそう」と見たのか、年内の興行では色の違う選手をぶつけてきましたね。

「当たりが弱い」と柴田が発言してますが、プロレスでいうハードヒット的な意味だけじゃないような気がします。
…考えすぎですか?苦笑

中邑と真壁が同じことを言っています。
“桜庭はMMAでの実績があるからOK、でも柴田は無いからNG”
桜庭にビビッて気を使ってるのかなと思ったりもしましたが…笑
柴田が新日本を離れている間、会社を守ってきたという自負から出た発言であり、(柴田の)今の新日本批判に対する返答がそれなのでしょう。

昔からプロレス界では“ホウキ相手でも試合を上手く組み立てるのがプロレスラー”という言葉がありますが、まさに今の新日本の価値観の中で大きなものの一つだと言えると思います。
もちろんそれはそれで素晴らしいことではありますが。
そこに桜庭を当てはめた場合、それを出来なきゃ、ある意味、負けなんじゃないでしょうか?
もちろん、桜庭自体、本物のプロレスラーなんですが!笑

棚橋はハッキリ「(桜庭とは)やりたくない」と発言してしまったのが「あーあ…」と思いました。
ですが中邑は違いました。
自信があるのでしょう。
はたして闘いのある、プロレスリングを見せることができるのか…!?

消費されるだけの試合は見たくないですよね!

長文失礼しました。

>宮戸ゲノムさん

心のこもった長文ありがとうございます。

新日本での桜庭、柴田の試合<確かに神戸>両国≧大阪という感じでトーンダウンしてはいますが、これまでの新日のきれいな流れの試合とは一線を引いた緊張感は感じていますよ。
IGFを見慣れてる宮戸イズムさんには物足りないかも知れませんが、桜庭のダブルリストロックとか飛行機投げとか…随所に見れてると思います。

新日本側の「いやいや、これは“プロレス”なんで。それ以上でもそれ以下のこともしません、ありえません」<今号のカミノゲではっきりしましたが、桜庭側は「上がらせてもらってる」身ですからね。
プロレスの範疇というのは致し方ないと思います。例えば勝敗なんか。
ただし踏み外すこともプロレスですから、やっぱりアクシデントありきの新日本に期待はしますよ。

試合後の記者会見でのあの冷めた感じ…向こうがあまりにも技を受けてくれるという部分<だから1.4は柴田の相手が真壁で正解だと思います。
真壁は覚悟が座っていますから、受けるつもり満々ですよね。そこで柴田がシングルで何をやるのか…本当に昭和のプロレスをやるつもりなら、もうブレイクスルーというか壊しにかかるしかないでしょう、壊れない真壁ですから。
魔界のマスク被ってた時に天山をキレさせたような蹴りが出せれば、柴田もまだ死んでいないと思います。

「やってきたら、やる。ていうか、やってこいよ」<それをやりたい相手が洋央紀なんでしょうね。

「仕掛けてこなさそう」と見たのか、年内の興行では色の違う選手をぶつけてきました<出し惜しみ路線よりは色んな組み合わせを出してくるのはいい事だと。きっと桜庭側も乗ったのだと思います。

「当たりが弱い」と柴田が発言してますが…考えすぎですか?<いやむしろその通りじゃないですか? 広夢も井上も真壁も入れていってますから。
本来プロレスは考えすぎくらいがちょうどいいですし(笑)。

“桜庭はMMAでの実績があるからOK、でも柴田は無いからNG”…柴田が新日本を離れている間、会社を守ってきたという自負から出た発言<これこそ正しいと思います。
ドロップキックのインタビュー読んだんですが、完全に残った中邑に自信と余裕が伺えるんですよね。

“ホウキ相手でも試合を上手く組み立てるのがプロレスラー”<もはやダッチワイフや透明人間と試合する時代ですからね。
これこそが柴田の嫌う「強い弱いで判断しないプロレス」でしょう。

棚橋はハッキリ「(桜庭とは)やりたくない」と発言してしまったのが「あーあ…」と<でも今の棚橋だから許される部分もありますよね。
ある意味、桜庭を拒否するだけの事をやってきてると思いますし。

消費されるだけの試合は見たくない<どれだけ凄い試合を残しても記憶に残らないのは勿体無い話で、全日四天王のように残ったのは肉体の傷跡だけみたいな話はなくしてもらいたいです。

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>○○○○○さん

プロレスは単なる競技でも単なるショーでもない何か<おっしゃる通りですね。
どっちでもいいんですけど、どっちでもない…というか。

グレーゾーン…今でも存在していると信じてたいです。

>○○○○○さん

田村vsベイダー<今さらですが、ベイダーのUインターでの存在って大きかったんですね。
あれこそが究極のプロレスだったのかもしれませんね。

>○○○○○さん

とんでもない。
多々ある事で、私なんかはしょっちゅうですよ(笑)。
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Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


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