無謀の雨(1988)

夏の屋外興行と言えば、

最大の敵は雨です。

雨足が強まれば、

大会自体が中止になる事もあります。

しかし時にはこの雨が、

試合のスパイスになる事さえもあります。

雨の野外試合で忘れられないのが、

このシックスメン・タッグマッチ。

1988年7.29 有明コロシアムでの、

藤波辰巳、木村健吾、越中詩郎vs武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也

そうです!! 闘魂三銃士初お披露目の一戦です。
若き橋本の入場

若き蝶野の入場

しんがりは武藤

若手時代に切磋琢磨した三人(参照:前座の意味とリングの痛み)が、

師であるアントニオ猪木の命を受けて臨んだ凱旋試合。

しかし凱旋とは名ばかりで、

試合内容は若き三人が何かに苛立つ様に、

やりたい放題暴れて、

さっさと帰って行った…というものでした。

烈闘生―傷だらけの履歴書 (幻冬舎アウトロー文庫)
 烈闘生―傷だらけの履歴書 より

武藤
「日本に帰って有明コロシアムでワンマッチやった時は『この試合で何を主張しよう』とか、俺自身はあんまり深いことは考えてなかったんだけどね。ただそれまではスペース・ローンウルフにしても世代闘争にしても全て会社の言いなりみたいな感じだったけど、その時は自分の主張を出したいっていう部分はあったんじゃないかな。(略)試合自体はあんまり覚えてないけど、自分のやりたいように暴れたような気がするな」


蝶野
「暴れるだけ暴れたっていう感じだったけど、その手応えっていうか、どれだけ反響があったかっていうのは、自分ではわからなかったね。(略)いろいろたまってたストレスをそのまま試合で出しただけっていう感じだったから」


橋本
「みんなもまたいい加減でね。ムトちゃんなんか海外でバンバン仕事うまくいってたし、日本に定着してやる気なんか全然ないから試合の態度も、あんなにいい加減。それが結果的によかったのかもしれないけどね」


単純に日頃の鬱憤を吐き出しただけ。

しかしこんなに面白い6人タッグはなかったです。

先に登場した三銃士は、

入場して来た藤波らをリングに上げません。
リング上を占拠、

しばらく下から静観しますが、
下から静観する藤波組

このままじゃらちが開かないと、

一斉にリングイン。

しかしすぐに場外へ放り投げて、
意を決してリングインすると、

リングを占拠します。
まさにやりたい放題

何とか試合は始まりましたが、

当時のIWGP王者一人に的を絞った三銃士は、

容赦なく蹴りまくり。
チャンピオンを蹴りまくる

藤波も大技で返していきます。
意地のバックドロップ

代わったキムケンも序盤から稲妻炸裂!!
キムケンもいきなり稲妻出すが、

何かベテラン組の方が焦っている様な印象です。

ところがここで、

何の文脈もなく橋本がハイキック。
すぐさま破壊王の蹴りが

あわや顎に入りそうな危険な一発です。

武藤は足4の字からふてぶてしくアピール。
武藤の足4の字

橋本は軽量の越中をロープに振ると、

カウンターで風車式のストマックバスター。
橋本の風車式ストマックバスター

蝶野はバックスピンキック。
蝶野のバックスピンキック

三人が交代で越中を痛ぶります。

このふてぶてしさに藤波が怒りの一撃。
藤波怒りの一発に、

すぐに橋本もフルスイングの張り手で返します。
橋本も遠慮無しの一発

場外では雨で滑るマット上で、

武藤は躊躇せずに鉄柱攻撃。
足元の悪い場外戦

交代したキムケンは、

かつての付き人、武藤にバックドロップ。
キムケンのバックドロップから、

さらにニアロープながら逆片エビを仕掛けると、
逆片エビに、

何と橋本はローキックでカット。
またも橋本

当時の橋本の蹴り…シャープです。

コーナーに詰められたキムケンが、

蝶野の顔面を張ると、
キムケンの強烈な張り手に、

それまで受けの役割を担ってた蝶野が、

突如ストンピング攻撃。
蝶野キレ気味のストンピング

後頭部に踵入れてますね。

代わった越中は美しいジャーマン。
越中のジャーマンには、

これも二人がかりでカットです。
二人がかりのカット

コーナーで待機して冷静さを取り戻した藤波は、

カウンターのドロップキックから、
藤波ドロップキックから、

ドラゴン・バックブリーカーとつなぎ、
ドラゴンバックブリーカーにつなぎ、

カバーに入ると、

すぐに橋本の蹴り。
カバーに入るとすぐに橋本の蹴り、

再び怒りが甦ってきた藤波。

橋本から視線を外しません。
そろそろドラゴンにも苛立ちが、

ゆっくりとサソリ固めにステップオーバーすると、

またも橋本は腰の入ったミドルキック。
案の定橋本のフルスイングの蹴りに、

遂に堪忍袋の緒が切れたドラゴン。
ドラゴン怒りの形相から、

橋本の顔面を思いっ切り張っていきます。
顔面に一発、

ここから掴み合いの乱戦へ。
掴み合いから両軍入り乱れて乱闘へ

キムケン、越中は暴れる橋本を場外で捕獲して、

雨足が強まる中での鉄柱攻撃。
二人がかりで鉄柱に打ち付けられる橋本

リング上では藤波が、

武藤をコーナーに逆さ吊りしてパンチの連打。
逆さ吊りの武藤に藤波の鉄拳

レフェリーの制止を何度も振り払っての暴挙に、

藤波は反則負けを告げられてしまいます。
乱戦の中で藤波反則の裁定

試合後も元気が収まらない三銃士は、

藤波をロープに振って三人で、

トリプル・ドロップキック!!
最後はトリプル・ドロップキック

最後のかましっ屁とばかりに、

橋本がマイクを持ちますが、

これは阻止されてしまいました。
橋本のマイクは阻止

最初から最後までノンストップで、

本当にやりたい放題暴れまくった三銃士。

その燃料となったのは“待遇への不満”でした。

橋本
「あの時の俺たちって、雨が降ろうが、ヤリが降ろうが関係なかったから。帰ってくる前に安達さん
(ミスター・ヒト)『今こんな状態で期待されてるんだから、一試合で百万円ぐらいはもらえるだろう』って言うわけよ。俺も『百万かぁ。それは無理にしても、まぁ五十万は出るだろう』って思ってて、ムトちゃんとか俺なんか服買ったりしてバンバン金使ってた。それで、試合前にギャラもらったら十万なわけよ(苦笑)。坂口さんが『少ないか? お前らじゃ、これぐらいだろう』って…それで俺ら黙り込んじゃった。で、もうムカーッとしちゃってヤケクソでユンケル十本飲んでね。で、あんなデタラメな試合になったわけですよ。『帰ろ、帰ろ』とか言って…」


若手時代から現在に至るまで三銃士は、

それぞれビジネスに対する一家言を持っていました。

その上昇志向が、

のちの90年代の黄金時代を作ったと言っても、

過言ではないでしょう。

そして現在のプロレス界、

若き才能はまだまだたくさん眠っています。

“金の雨”を降らせる唯一無二の存在さえもいます。

でも若い時にしか出来ない“無謀さ”こそを、

私は若い力に期待しています。

予定調和を壊すのは若さの特権ですから(参照:若さの特権)。
ウォーミングアップする三銃士

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tag : 藤波辰巳 木村健吾 越中詩郎 武藤敬司 橋本真也 蝶野正洋

comment

Secret

おぉ!

この試合見た時があります!たしかにハチャメチャな試合でしたが三銃士の熱量が半端じゃなかったです。

試合のセオリー云々を度外視した爆発力を今の若い選手にも見せてもらいたいものです!

カズチカ、内藤、祐二郎、平澤(キャプテンニュージャパンはもういいや)、吉橋…

もっと暴れろ!

No title

最近は「上手い」がプロレスラーを測る絶対的な物差しとなっていて、破天荒なファイトをすると他のレスラーから煙たがられたりするどころか、ファンにすら「なんだあいつは」と言われちゃうんですよね。
「プロレスは喧嘩じゃない」けど「プロレスというカテゴリーを使った喧嘩」であってもらいたいと思います。

例えば男色ディーノとか、飯伏とかすごいと思いますが
山本小鉄さんみたいにディーノに対してガチでキレてもいいと思うんです。
ディーノを本気で追い掛け回して「プロレスなめんな!」とやっつけるってのも面白いはずです。
飯伏に対しても「人形相手にプロレスやってるってふざけてんのか!?」と批難して人形相手とは違うリアクションにしかならない試合でもいいんです。
「あんなの見て『センスがある!』とか言ってるファンはバカです」
とPRIDEに上がった時の田村みたいにそういうファンを挑発したり、貶すようなことを言ってもいいんです。

今の何倍も人気があった時代のプロレスって、レスラーもファンも含めてそういうものでしたからね。

さきほど、BS 朝日の極上空間に武藤と蝶野が出てたので、なかなかタイムリーな記事ですね(^-^)

橋本、蝶野は次戻って来たとき藤波とジャパンカップ出てましたね。

この頃くらいから記憶が薄れてきてますなぁ~。

>オビワン三世さん

ハチャメチャな試合でしたが三銃士の熱量が半端じゃなかった<不平不満をリングでぶつける…これこそがプロレス団体の正しい姿だと思います。

試合のセオリー云々を度外視した爆発力<現状の新日ではむずかしいでしょうね。
でもそれが許されるのがG1なんですよね。
期待しましょう。

>ジョーカー ナリさん

ファンにすら「なんだあいつは」と言われちゃう<まさしくリングを見下ろす姿勢です。
やっぱりプロレスラーは憧れの対象、どんな事でも見上げていたいですよね。

山本小鉄さんみたいにディーノに対してガチでキレてもいいと思う<小鉄さん自身も若き時代にメキシコのオカマレスラーと試合していた訳ですけど、どうしても譲れない一線はあったのでしょうね。

今の何倍も人気があった時代のプロレスって、レスラーもファンも含めてそういうものでした<本当に殴られるのが当たり前の存在でした。
今はやっぱりファンを失いたくないレスラー達が変にやさしい時代ですもんね。

やっぱり近寄りがたい存在ではいて欲しいです。

>BKっち

BS 朝日の極上空間<観ましたよ~。
蝶野は本当にスリムになりましたね。昔みたいなレスリングは無理でしょうね。

橋本、蝶野は次戻って来たとき藤波とジャパンカップ<確か“飛龍三銃士”とかって無理矢理なユニット名ついてましたよね(笑)。

BKっち!!
盆休みはどうなんだい?
Gさんが来道しますよ。

おっと、ガクさん来道すか?
お盆休みは12から16までっす。予定は今んとこわかりませんf(^_^;

そういえば、話全然変わりますが、全日のメトロ以外に印象に残ってた紳士服のCM youtubeでついに見つけました!
ラグラックスっていうんですが、スーツのおっさんが走ってて、最後タキシードで女性をエスコートするんですよ!当時よく真似してたんすよね~。
しかもなんとそのCMの役者さんが、仮面ライダーストロンガーの荒木茂さんだったとは!
一人で感動してました…。

>BKっち

全日のメトロ以外に印象に残ってた紳士服のCM youtubeでついに見つけました!<憶えてないなぁ…、新日の方はコマツとか、シバウラトラクターとか、SOFT99とか、フィリップスとか…たくさん憶えてるんですけどね。
全日の場合はローカルだけに印象の薄いCMが多いのかな?
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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