宮戸語録 vol.22~興行論~

新日と全日の『40周年合同興行』(参照:CS朝日ニュースターでサマーナイトフィーバーを観た)をはじめ、

プロレス界は夏のビッグマッチラッシュが始まりました。

そんな中での宮戸語録です。
宮戸優光②

“興行”…一言では言い表せないものですが、

宮戸優光の中にも、

揺るぎない興行論が存在しています。

必殺プロレス激本 VOL.6 (双葉社ムック 好奇心ブック 48)
 必殺プロレス激本 VOL.6 より

宮戸
「(Uインター時代)僕はいつも、お客さんの空気を観察してましたよ。だから、客席で見たことがない人、自分でチケット買って見に行ったことがない人は興行をやっちゃあダメですよ。料理の例でいえばタイミングよく料理を出さなきゃダメなんだよ。食べるのが速い人がいるかもしれないし、シラけてるテーブルもあるかもしれない。そのときに決まった間だけで料理を出してたら、お客さんはもっとシラけちゃうじゃないですか」


例の如く料理での例えから始まりましたが、

その奥深い話を、

ぜひご賞味下さい。



Uインターの団体経営においては、

金銭面以外の部分は、

ほとんど宮戸が動かしていたと言っても、

過言ではないでしょう。
まずは宮戸と握手

もちろん大会ごとのプロデュースも。

その原点に存在しているのは、

意外な人物でもあります。

宮戸
「ある地方の会場でのことなんだけど、お客さんがシラーッとしていたんですよ。そのとき、出番を待っていた長州(力)さんが、今日お客さんがシラけてるから、最初からバーッといってガーッといくぞ、って話してた。それを聞いて、ああ、なるほどって。言葉にしたらそれだけだけど、そのとき、いろいろなものが判った」


長州力
長州with健介

言わずもがな、

Uインター…特に宮戸とは、

一筋縄では行かない関係を作った人物です。

その長州の抽象的な一言が、

宮戸のプロデュース能力に火を灯したのです。

一見すると長州の体育会的プロデュースとは、

異なる印象を受けますが、

一つ共通項も浮かび上がって来ます。

宮戸
「マイクなんていらないよ。最低。プロモーターがもっと管理しなきゃダメですよ。だって、興行というのはコース料理といっしょなんだから、料理が勝手にしゃべったらマズイでしょ。しゃべるんだったら、意図的にやらなきゃ。ひとつの流れがあって、プロモーターはそれを描いてなきゃダメなんだから。勝手なマイクを認めたら、全部ぶち壊されちゃうんですよ」


ここもお得意の“料理式表現技法”ですが、
宮戸味徳4

要するに某MMA団体の様に、

誰もが試合後にマイクを持って好きな事を言うは、

ひいては大会自体を壊してしまう、と。

この辺が自身もマイクと共にのし上った割には、

マイクを持つ事を良しとしなかった長州と、

同じ考えでもあるんですよね。

ただ興行である以上は、

単純にガチガチのレスリングだけを、

提供すれば良いという事でもありません。

必殺プロレス激本 VOL.5 (双葉社ムック 好奇心ブック 44)
 必殺プロレス激本 VOL.5 より

宮戸
「我々とすれば『ファンには技術を見てもらいたい』というのが強いんだけれど、ファンというのは悲しいかな、それよりも『誰を見たい』というのが強くてね。ファンの人たちがレスリングのスタイルを見に来ているのかどうなのか…。(略)どんなにスタイルをチェンジしてみても、魅力のある人がいなければ、その競技は注目されないというのがすごくあると思うんですよ」


前回の宮戸語録(参照:宮戸語録 vol.21~プロレスラー育成論~)でも触れましたが、

宮戸にとって、

プロレスの中のスタイルというものには、

全くこだわりがありません。

ここを重要視するのって、

実はマスコミと、

それに先導されてる一部のファンだけなのかも知れません。

とかく新生U~現在のMMAにおいては、

リング上がシリアスになっていく一方で、

舞台演出というのも大きなウェイトを占めて来ました。

そこを軽視する訳ではありませんが、

宮戸には「プロレス、格闘技とはかくあるべき」という、

強いこだわりがあります。

宮戸
(新生UWF時代の演出について)選手サイドというのは職人さんですから、そこから先というのは、周りの人の仕事になるわけです。(略)僕自身としては、当時、ああいう演出をされてビックリして戸惑っていた部分もあったし、よくわからなかったですね。力のある選手は別にして、ある部分では中身以上のラップをされてるような気もしちゃうしね。ただ、そういう演出も必要なんだとは思いますよ」

「僕は、ラウンドガールとかはいらないと思いますもん。お客さんは女の子、見に来てるんじゃないですし、女の子見たいなら、違うとこ行きますからね。彼女たちが出てきて、口笛吹かれたりするでしょ。あれで水が差されるんですよ。僕がやるんだったら、女の子は絶対リングに上げない」


できるだけシンプルに。

あくまでも主役は選手であり、

提供するべきものは緊張感溢れる試合である、と。

この緊張感を大事にした宮戸はUインターにおいて、

それまでのUWFの恒例儀式をも省略しました。

 U多重アリバイ より

宮戸
「だから、入場式もなくしたんですよ。なくなったでしょ? 後楽園ホールとか小さな会場だけ、たまにやったんです。そうじゃなくてビッグマッチとかはやらなかった。なし!!」

「ていうのは、僕がファンの時代にそうだったから。やっぱりファンてね、いつも期待と不安の両方を持ちながら観てるんですよ。メインイベンターが試合になるまでホントに出てくるのかなってね。それが試合の前に一度、見てしまうと、その驚きって減っちゃうんですよね。音楽がかかった瞬間に、その期待がうわーって爆発するようなね。だってね、当時のフロンントサイドは
『入場式をやると盛り上がるからやってくれ』っていいましたよ。『でもその盛り上がりをやっちゃうことによって、ホントの試合での盛り上がりをマイナスにしてんだよ。その損得を考えた時に、そっちをとるんだったらやってもいいよ』って僕はいいましたよね


そんな中でも最も緊張感を削ぐ可能性の高い、

女性に対しては特に厳しく…、

U.W.F.最強の真実 (BLOODY FIGHTING BOOKS)
 U.W.F.最強の真実 より

宮戸
試合前は控室も通路付近も、一般の人は通らせなかった。試合後は多少大目に見ていたが、それでも女性は入れさせなかった。それは差別ではなく、そこがこれから男が闘いに出る戦場、仕事場だったからだ。女性が軽々しく入れる場所にはできなかった。

どこの団体とは言わないが、今は本当に控室の通路に行ったらガールフレンドはいるわ、誰だかまったくわからないヤツがタバコをふかしているわ、ジュースを飲んでるヤツがいるわで、選手の聖域が土足で踏みにじられている。それはやっぱり恥ずかしいことだと思うし、団体側も含め、選手自身が仕事に対する意識をしっかりと持っていなければいけないはずだ。それができないUインターの選手には、私は常に怒っていた。(略)それが私の仕事であったし、そこは怠けられなかった。相手に好かれているとか嫌われているとか、そういったことを基準にやっていたら仕事にならないわけだから。嫌われても私は自分のやるべきことをやっていたつもりだ。


緊張感がなければプロレスとは呼べない。

むしろ呼ばせない、という感じでしょうか。

この辺も、「リングに上がって笑いが出たら、もうその試合は終わっている」という、

長州の自論と重なるものがありますね。

但し、繰り返しますが、

あくまでも主役は選手。

自らも選手を兼任していた宮戸だけに、

演出よりも大切にしたのは、

選手そのものの体調です。

初期のPRIDEでは、

そこを軽視していた部分が見えます。
み…宮戸!!??

 格闘ゲリラマガジン vol.2 より

宮戸
(PRIDE.1主催のKRSに対し)ああいうスタッフの人っていうのはね、なるべく早く早く選手を控室から出したがるんですよ、進行上ね。僕らはUインターのときからそうだったんですけど、通路であんまり選手を待たせなかったんですよ。というのは、通路は控室と温度差があるんです。それが興行サイドのペースで持っていかれちゃうと調子が狂っちゃうんですよ。だから入場のギリギリまで控室にいさせてやってくれって頼んでたんです」


興行も闘いそのものも、

大切なのは戦術だと言えるでしょうね。



IGFの“現場部長”というポストに就任して、

久しく時間が経過した宮戸ですが、

未だにその大会自体には、

宮戸色があまり感じられません。

現場のみの責任者という立場である以上は、

仕方のない事かも知れませんが、

いっそ一夜だけでもいいので、

宮戸プロデュース興行でもやってもらいたいです。

現状のプロレス界に一石投じる事は、

間違いないと思っていますよ。
高田のセコンドは絶対に宮戸

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tag : 宮戸優光

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No title

こんにちは。

個人的には時と場合で入場式はアリです。
2000年代のPRIDEの入場式なんて本当に良かった。それを休む事もあった田村や小川には「今、なにを考えているのだろう」とかえって興味をもてましたし。当然1と4には必要ありませんが。

1の時なんてゲーリーのKO勝利もあったし「この何試合か後にまさか高田も」と異常に緊張しながら見ていて2人がリングに揃った時は「ついにやるんだ」とピークに達しました。
テレビ観戦でしたが、こんなに緊張とワクワク感が入り混じったこの興行は生涯忘れる事がないでしょうね。

新日本と誠心会館の抗争なんて実際、中島でも見ましたが入場曲がないというだけで喧嘩マッチの匂いが漂ってきたのにネットの秘蔵映像で小林が愛知に乗り込み青柳との試合では両雄とも入場曲が流れる中入場したのを見たときはオイオイと思いました。

No title

おそく なりましたが
タカさんのブログ ご紹介 ありがとうございました。
アタシもアメブロやってたので すぐ行けました。
ごあいさつ してきたよ。

真輔いっぱい で 腹いっぱい(笑)

No title

自分の中で選手入場式には悪い感情は無いのですが、以前どこかのインディー団体(失念)で入場式を見た時に物凄い違和感があったのを覚えています。
でも、aliveのコメントを見て合点が行きました。

プロレスという空間には入場式は似合わないんですね。

だったら、UWFは?
と言われるかもですが、UWFを当時見ていた人は「プロレス以上のもの」として見てましたもんね。
あの時代はプロレスも格闘技も同列でプロレスファンは捉えてましたから、プロレスの持ついかがわしさ感(それが宮戸のいう「メインイベンターが試合になるまでホントに出てくるのかなってね」に繋がるのかも思ってしまいました。
PRIDEやUFCには「選手がいないんじゃないか?」という感情は絶対に持ちませんもんね。
それはUWFも然り。

でもって、過去のビッグマッチを思い返して見ると高田-北尾、バービックで入場式やって北尾とバービックが出たら多分興ざめしそうです。
リングスだとニールセンがあがった時や、チームrAw(懐かしいです)なんかとの対抗戦あたりだと興ざめだったと感じます。
純プロレス(これも懐かしい)でもシンやブッチャーが入場式(世界最強タッグ開幕式以外)に出てきたらイマイチですもんね。

しかし、宮戸のプロレス論は非常に奥の深さを感じるというか、彼が90年代に言葉を持つ存在として編集長をやっていたらと悔しく感じます。

私も完全・宮戸プロデュースでの興行は見たいですね。

私のような、IGFを応援している者から見ても、宮戸さん的に本当に満足しているのか疑問に感じる事が多々あるのは事実です。

宮戸さんには是非、正式な引退式を行ってほしいと個人的に思っています。
“ある日の桜庭とのスパーが自分にとっての引退試合”というような事を自身の著書の中で書かれてましたが。

>aliveさん

おはようございます。

個人的には時と場合で入場式はアリ<私もです。特に新生Uなんかはあれがあったから、代わり映えしないカードでも大いに盛り上がった訳ですしね。

2000年代のPRIDEの入場式…休む事もあった田村や小川には「今、なにを考えているのだろう」と<あの場に出て来ないことで、緊張感と興奮度が倍加すると言う…プロレスラーにしか出来ない表現法ですよね。

1の時…「この何試合か後にまさか高田も」と…2人がリングに揃った時は「ついにやるんだ」とピークに達しました<本当に出てくるまで色々な思いを巡らせたのはあれが頂点だったかも知れませんね。

新日本と誠心会館の抗争…入場曲がないというだけで喧嘩マッチの匂いが漂ってきた<あの試合の空気は凄かったですよね。
小原なんて一介の若手ですもんね、当時なんか。それが全試合食っちゃったと言う…あれが新日本だと思います。

小林が愛知に乗り込み青柳との試合では両雄とも入場曲が流れる中入場<館長の地元なので、何かそういうアレはあったんでしょうかね。

>ケロさん

タカさんのブログご紹介<どう致しまして。
中邑ファンならここ読まなきゃダメですよね。

アタシもアメブロやってたので<え? そうだったんですか。
宜しければリンク貼らせて下さい。

>ジョーカー ナリさん

以前どこかのインディー団体(失念)で入場式を見た時に物凄い違和感<猫も杓子も的な時代はあったかも知れませんね。

UWFを当時見ていた人は「プロレス以上のもの」として見てました<一つ一つの事が既成団体とかなり異なっていましたし、実際に一試合毎の重みも違ったと思います。
それが影響して新日と全日も良くなっていった…いや古き良さが失われたのかな?

プロレスの持ついかがわしさ感…に繋がるのかも思ってしまいました<日本のプロレスが持つ(持ってた?)緊張感っていうのは独特のものがあると思います。そこはいかがわしさと表裏一体、胡散臭さとも背中合わせ…本当に稀有なジャンルだと思います。

彼が90年代に言葉を持つ存在として編集長をやっていたらと<逆にターザンと親交が深くて、2000年代初期には「ゴングの編集長になったら?」みたいに煽ってました(笑)。

>宮戸ゲノムさん

私も完全・宮戸プロデュースでの興行は見たい<ご同意戴き、ありがとうございます。

私のような、IGFを応援している者から見ても、宮戸さん的に本当に満足しているのか疑問<やはりそうですか。
スタイルがどうこう言うつもりは毛頭ないのですが、このままIGFが“アントニオ猪木の団体”ならば宮戸の存在価値ってなんだろう? って思いますよ。

正式な引退式を行ってほしい<意外と本人はこだわっていないんですかね?
他者をプロデュースするのは得意ですが、リングでは自分が前面に出る事はないですもんね。

No title

私のコメントにalive さんに対する敬称が抜けてましたね(汗)
すみませんでした。


宮戸とターザンが仲良かったのを思い出しました!
ターザンも日和見だったり、風見鶏だったりしますが、プロレスにたいする造詣は宮戸とも通じるものがあったのかなぁ…と思うのは分かる気もします。
後に、GKともターザンは和解(?)に至るのを見るとそういうものなのかなぁと。

Uの登場でプロレスの持つ古き良き部分はかなり削られましたが、
あの時代にそれでもと場外決着、不完全決着が続いていたら、あの頃を思い返すと全日における超世代軍の大人気や、新日におけるG1の盛り上がりも無かったかも知れません。
もっと早くにUの波に消されて、新日全日は淘汰されてしまっていたかも知れませんね。

IGFにおける宮戸さんの存在価値というとやはり、『コーチ業』なのではないでしょうか?

アングル・仕掛けというような仕事は現在はあまり…Uインター時をよく知る人からすれば、勿体なく感じるはずです。

マッチメイク(マッチメイカー)もバラバラですしね。
まさか、ウルティモ・ドラゴン25周年記念試合に宮戸さんが絡んでいるとは思えないですから…笑

主にコーチとしての手腕をIGFは買っているのでは?
他の格闘技から来た日本人選手を“本物のプロレスラー”に育成するには打って付けではないでしょうか?

プロレスラーとは?猪木イズムとは?というのをまず植え付けるところから始めるという意味で。
プロレスやる側がプロレスを舐めないように。
間違えないように。
1番大事な事だと考えて。

ただし、鈴川、岡本の早期デビューは猪木の意向なんだろうなというのは感じましたが…。

IGFはご覧になられませんか?
スネピにはもう在籍していませんが、鈴木秀樹なんかはバランスの良い選手だと思います。

>ジョーカー ナリさん

alive さんに対する敬称…すみませんでした<よくある事ではありますが、管理人である私からもaliveさん、申し訳ございません。ご理解下さい。

ターザンも日和見だったり、風見鶏だったりしますが<結局、プロレスライターの中で何とか食えてる一人ですからね。
今の30代後半~50代のファンに多大な影響を与えた功績は認めざるを得ませんね。

Uの登場でプロレスの持つ古き良き部分はかなり削られました<意味のある両リンとか反則決着は必要悪だと思うんですよね。
決着なんてなかなか着くものじゃないですから。

もっと早くにUの波に消されて、新日全日は淘汰されてしまっていたかも<そうやって考えると、新生Uは革命だったと言うことでしょうか。
完全なる実力主義とは言い難いですけど、決着云々でいえば格に忠実で最もプロレス的だったかも知れませんね。

>宮戸ゲノムさん

IGFにおける宮戸さんの存在価値というとやはり、『コーチ業』<やはりそうなるんでしょうね。

Uインター時をよく知る人からすれば、勿体なく感じるはず<非常に勿体無いと思います。

主にコーチとしての手腕をIGFは買っているのでは?…他の格闘技から来た日本人選手を“本物のプロレスラー”に育成する<そこも本来の宮戸の目的とは異なるんですよね。
叩き上げをトップに据えたいと思いますので、鈴木や定にもっともっとオーバーしてもらいたいでしょうね。

プロレスやる側がプロレスを舐めないように。間違えないように。1番大事な事だと考えて<そこが最も猪木と合致する部分ですよね。

IGFはご覧になられませんか?<ピンポイントでは観てます。
やっぱりインパクトでは一番だと思いますよ。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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