追悼・ミスターゴング~そのプロレス愛~

ファンの方なら既にご承知の通り、

今月3日夜、永くご闘病中だった、

“ミスターゴング”竹内宏介さんがお亡くなりになられました。
永遠のプロレス少年・竹内宏介さん

 カクトウログ より
竹内宏介さん死去~プロレスマスコミの立役者、ゴング誌を率いる【追記あり】

竹内宏介さん危篤で元ゴングスタッフが駆けつける~葬儀準備ではGリング派とGスピ派もひとつに


その名の通り、現在“休刊中”のゴングの創始者にして、

愛のある取材記事で、

私たちを夢の世界に誘ってくれた、

偉大なる“夢先案内人”でした。

そしてアントニオ猪木ともジャイアント馬場さんとも、

同じ様に接する事が出来た奇跡の人。

独自のスタンスによる仕掛けは、

日本プロレス界の歴史に刻まれています。

竹内さんの功績の中でも、

有名なのは“仮面貴族”ミル・マスカラスのプロデュースですね。

5年前の週刊ゴング最終号でマスカラス本人が、

当時病床の竹内さんへ感謝の気持ちを語っていました。

 週刊ゴング No.1168 より

マスカラス
「あの3年間、私のキャンペーンを張ってくれたタケ
(竹内宏介=当時、月刊ゴング編集長)には心から感謝をしている。私は日本に限らず何処の国へ行っても成功する自信があった。でもそれを早くから援護してくれたのはゴングであり、タケだと思っている。タケは日本に行ってからも私にいろんなフォローをしてくれた。編集部や自宅に招いてくれたり、スペシャルイッシュ(増刊)を出したり、日本で私を売り出すためのアイデアをたくさんくれた」


今では考えられない事ですが、

何と初来日まで3年間にも亘って、

未だ見ぬ強豪への夢を育て続けたのです。

そこにはやはり竹内さんならではの、

ファン目線が原点としてあったのでしょう。

プロレスファンが何を見たいのか?

何を知りたいのか?

どんなものが読みたいのか?

自分自身がファンの立場にあったからこそ、

ゴングのスタイルが完成された訳ですし、

新日からも全日からも、

絶対の信頼を寄せられていたという事です。

新旧の同志たちが語る竹内論の中にも、

それがはっきりと読み取れます。

三者三様・スペシャル版

菊池「やっぱり三者三様もそうだけど、あと単発ものの話とか、竹ちゃんが凝って注文を出してくるんだよ。それをこなすので精一杯だったけど、あれはやっていて楽しかったなあ(略)」

門馬「だけどね、彼から原稿依頼が来る時に、『ニクイなあ』って思うのは、俺が好きなレスラーがちゃんと全部くるんだよね。フリッツ・フォン・エリック、ディック・ザ・ブルーザー、アンドレ・ザ・ジャイアントとか。そりゃあ俺も嬉しいよ。何より彼が編集者として書き手側の財産を引き出してくれる事に対して、俺は嬉しかったね」

大川「僕の場合は子供の頃からゴングを見ていて、海外趣向が強くなって、外国人レスラーに憧れましたね。それこそ年に何回も海外取材に行かせてくれて、(略)『平和の祭典』がロサンゼルスであった時には、竹内さんが僕を行かせてくれて、そのあとティファナ経由でそのままメキシコに入ったんですよ。で、『こういう試合がメキシコであるんですけど』と言ったら、竹内さんが僕に『好きなだけ行っておいで』って(略)」


書いてる人間、取材してる人間が楽しくなれば、

同じプロレスファンの血が流れている以上、

読んでて楽しくならない訳ないじゃないですか。

まさしくプロレスファンの代表というか、

私たちの偉大な先輩だった訳です。

ちょうど20年前に20周年を迎えていた、

新日プロへの証言集でも、

そこはしっかりと強調していました。

 新日本プロレス20年史 より
我が心の名場面 竹内宏介

竹内
プロレス編集記者という少年時代からの憧れの職業に就いて早くも27年…ただ、ひたすら好きなプロレスの事だけを24時間、考えて生きてきたような、この27年間であった。


プロレスの事を24時間考える…単純に考えれば、

夢の様な職業ですが、

それとイコールして代表取締役である以上、

いろいろな責任も背負って、

プロレスを考えていたという事でしょう。

マスカラスの仕掛け人で、

『全日プロ中継』の解説者でもあった竹内さん。
全日本プロレス中継

とにかく全日のイメージが強いですが、

上に書いた様に新日や猪木との縁も深く、

この手記で竹内さんが挙げた名場面は、

およそ馬場さん的世界観からかけ離れた、

アントニオ猪木vs大木金太郎(参照:昭和の日韓戦)の“喧嘩試合”でした。
「もっと来い!」

その中でも最も鮮烈な衝撃として今も残っているのが、今から17年前の昭和49年10月10日に蔵前国技館で目撃したアントニオ猪木-大木金太郎のNWF世界ヘビー級戦の、あの感動的なシーンである。

(略)13発目の頭突きを浴びながら、それでも猪木はクワッと両眼を見開いて“ここに打ち込めるものなら打ち込んでみろ!”と、言わんばかりに自分の額を大木の目の前にグッと突き出した。その瞬間、私は全身に電流が走ったような衝撃を感じた。これこそ究極のストロング・プロレスである。プロレスは理屈ではない。自分の体を張った勝負こそが本当のプロの戦いである。そこには理論武装した今のプロレスなどは到底、入り込めない猪木だけの魔界があった。
私の中の猪木-大木戦は、ここで完全に終わっている。17発目の頭突き阻止も、最後のバックドロップも、この衝撃の場面の前では、すべて色褪せて見えてしまうからだ。


リアルタイムで観ていない私でさえ、

この場面を何度見ても鳥肌が立ちます。
新日史に残る名場面

ちょうど20年前といえば、

ターザン山本を筆頭に、

活字プロレスの全盛期。

試合よりも背後にあるものを追求するという、

プロレスの見方が主流になりつつありました。

しかし、この手記の最後の部分で、

竹内さんの心の叫びが聞こえてきませんか?

「プロレスは理屈ではない。自分の体を張った勝負こそが本当のプロの戦いである。そこには理論武装した今のプロレスなどは到底、入り込めない猪木だけの魔界があった」

そう、ここです。

竹内さんも他者とは違う形での、

猪木プロレスの理解者だったのです。
猪木引退の日の竹内さん



あれから20年、

竹内さんにとって今でも、

理屈を超えたプロレスラーは存在しているのでしょうか。

本当に永きに亘って、

プロレスに対する愛と夢を説いて頂き、

ありがとうございました。

心よりご冥福をお祈り致します。

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tag : 訃報 竹内宏介 アントニオ猪木 大木金太郎

comment

Secret

No title

私はまだ学生でゴングと週プロを両方
買えなかった時代は、どっちか中を見て読みたそうなものがある方を買ってました。
買いだした頃はSWSの設立の経緯もあまりよく分かってなかったので、天龍=SWSバッシングというのは「ファンの声」だと思っていたら、しばらくすると全然違うことに気づかされました。
そこからはゴング一辺倒になった気がします(一応、両方買う時期もありました)

ターザン山本という人の文章は非常に上手で、読み手を引き込ませる能力はあります。
それと、視点が独特なのでそこに気付かされると
「普通に見てる人にはわからない、一個ランクが上がった気分」
を感じたり出来るんですよね。

それでも、週刊ゴングの三者三様を読んでいるとベテラン記者らしい”素直なものの見方”かつ”厳しい観点”があったように思えます。
それぞれの著書に目をやるとターザンは「こういう風に見ろ!」というものに対し、菊池さんは自分の歴史に基づいたレスラーたちへの見方、竹内さんなんかはファンタジーに基づいた見せ方を説いていた気がします。
そこには理論武装ではなく「好きなら好きで良いではないか、彼らはこんなに素晴らしい」という好々爺の意見が見えます。

いつしか、プロレスを”したり顔”で見るマニアが多くなったのはターザンの影響というか週プロチルドレンというか、実は彼が批判していた『平成のデルフィン』たちなのではないかなぁと思ったりします。



全然余談ですが、大仁田厚が長州力を引っ張り出そうとするけど、猪木や小川絡みなどでどんどん話が難航していた時代に試合後の控え室で
大仁田「菊池さん、菊池さんよぉ!!
俺には、俺には何が足りないんだ!」
大仁田「長州を引っ張り出すにはどうしたらいいんじゃ!」
みたいなことをいったら

菊池「大仁田、お前、何言ってるか分かんないよ!」
という返事を繰り返す、一問一答が普通に大仁田興行のページに掲載されているのを見て、友人と「面白すぎる」とよくネタにしたものです。

竹内さんは父と同じ年齢だったと(学年は一つ違い)は、亡くなった時に知りました。

確かに竹内さんは馬場派のイメージが有りましたが、この文を見ると、新日本にも目を掛けていたんだなあと思い、本当にプロレス好き何だなあと思いました。
全日本プロレス中継の解説もですが、数年前、深夜にBSジャパンで国際プロレスのDVD-BOX発売記念の特別番組で竹内さんが菊地さんや門馬さん(多分)と出られたのを思い出しました。
当時、民放の衛星放送が見れたのが、両親の寝室のテレビで観たのを。
ご冥福をお祈りします。

はじめまして!

紫レガさんはじめまして!よくブログ拝見してます。

自分は週刊ゴング派だったこともあり、うるおぼえですが竹内さんの新日格プロ関連コラムをまとめた本を買ったのを覚えています。一時期復活した若林、竹内コンビの全日本プロレス中継の印象とはガラリと変わった鋭い目線、解釈は当時高校生だった自分には刺激的でした。今度その本を実家の本棚から探し出していちから読み直したいと思います!

>ジョーカー ナリさん

どっちか中を見て読みたそうなものがある方を買ってました<80~90年代のプロレスファンあるあるですよね。

天龍=SWSバッシングというのは「ファンの声」だと思っていたら、しばらくすると全然違うことに気づかされました<完全に週プロ(馬場さん?)に扇動されましたよね。
逆に橋本とかライガーが「プロレスにお金を出してくれる人を悪く言うな」と言ってたのが、何も理解出来ませんでした。

ターザン山本という人の文章…「普通に見てる人にはわからない、一個ランクが上がった気分」<言い得てますね!!
もしもタイムスリップして現在の姿を見てしまったら、当時の私はどう思ったでしょう?

三者三様<私はあまり好きなコーナーではなかったんですが、やっぱり必ず読んでましたね。

竹内さんなんかはファンタジーに基づいた見せ方<そうなんですよね。
マスカラスをあれだけ大々的に売り込んだのには、やっぱり並大抵のプロデュース力ではなかったと思いますよね。

ターザンの影響というか週プロチルドレン<あの時代、ある意味では団体以上にファンを掴んでいましたね。

菊池「大仁田、お前、何言ってるか分かんないよ!」<独特の立ち位置ですよね(笑)。

>通り菅井さん

竹内さんは馬場派のイメージが有りましたが…新日本にも目を掛けていたんだなあ<かすかな記憶ですが、確か飛龍原爆固めの命名にも一役買っていたと思います。

国際プロレスのDVD-BOX発売記念の特別番組で竹内さんが菊地さんや門馬さん(多分)と出られたのを思い出しました<もう菊池、門馬両氏位しかリアルタイムで記者として国際プロレスを目撃した人はいないのかもしれませんね。

>オビワン三世さん

初めまして。
コメント下さいまして、ありがとうございます。

うるおぼえですが竹内さんの新日格プロ関連コラムをまとめた本<結構独自の視点でMMAについての評価を書いてた記憶があります。
ただし当時の猪木と新日の関係については「今の新日に必要なのは総合(PRIDE)に出て行くのではなく、猪木に正面からNOを言う事」という辛口なのもありました。

今後とも宜しくお願い致します。

No title

追記・
そういえば忘れていましたが、竹内さんは大仁田が全日時代にひそかに開発していた技(カナディアンバックブリーカーで相手を持ち上げて、横に投げ落とす)に「サンダーファイヤー」と大仁田に名前をつけて与えたそうです。
結局技は日の目を見ることなく、引退してしまったのですが、FMW旗揚げ後に”サンダーファイヤー”を更に改良してパワーボムにして、「サンダーファイヤーパワーボム」と自分の必殺技として記者に紹介し、
「名付け親は竹内さん」
と公表したそうです。

ちなみに、菊池―大仁田のやり取りの後日、同じやり取りを竹内―大仁田間でやってました。
あの温厚そうな竹内さんをして「何言ってるか分かんないよ!」と言わせしめる大仁田厚はたいしたものだと思います。

橋本やライガーの意見< お金を出す=乗っ取る、というイメージが週プロのおかげでついてしまい、素直に聞き入れることは出来なかったですね。
そういう経験からかJリーグのサポーターがスポンサーに対して非礼なことをやってたりすると、非常にハラハラします。

>ジョーカー ナリさん

「サンダーファイヤーパワーボム」と自分の必殺技として記者に紹介し、「名付け親は竹内さん」<間違いなく一時代を築いた技ですね。
後年には通常のスタンプホールドになっていましたが。

菊池―大仁田のやり取りの後日、同じやり取りを竹内―大仁田間で<そこからヒントにして大仁田劇場へ進化させたんですかね?
だとしても大仁田恐るべしですね。

お金を出す=乗っ取る、というイメージが週プロのおかげで<今じゃブシロードなんかの様に完全に子会社化しても違和感ないですもんね…、時代なんでしょうね。

大木金太郎

大木金太郎で私もブログに書きました。今後ともよろしくお願いします。

>戦後史の激動さん

初めまして。
コメントありがとうございます。

確かに元祖韓流スターですね。
しかも時代背景が全く違うだけに偉大です。

こちらこそ宜しくお願い致します。

ちょうど【プロレスは理屈ではない。自分の体を張った勝負こそが・・】

この部分をお返事に書こうと思っていたんですよー。

ハイ!私にも聞こえました‼︎‼︎

>みーさん

ハイ!私にも聞こえました‼︎<そうですか。嬉しいです。
紫レガとは?

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45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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