シュートなアングル(1992)

先月Upした前田日明の発言(参照:格闘王への反論)。

Gスピリッツ Vol.23 (タツミムック)
 Gスピリッツ Vol.23 より

前田
佐野
(直喜=現・巧真)はもったいなかった
ですね。ちゃんと扱って、うまく上から引っ張り上げる奴がいて育てたら凄くなったのに、中途半端にUインターとか行って使い回されちゃって


繰り返しますが、私が観てきた中で、

佐野直喜(現・巧真)が中途半端だったのは、

むしろSWSでのジュニア王者時代だったと思っています。

では『Uインター時代に何を残したのか?』と、

もしも私が問われたなら、

高い水準の名勝負(参照:Yoji Anjo Is Alive vol.8~至高の闘い・前編~後編~)や、
佐野はアンクルで返す

強さが存分に見られた試合(参照:佐野さん最強!!)を挙げます。
右ハイキック!!



Uインター参戦の足掛かりである“佐野乱入事件”
佐野乱入事件

高田延彦の強さが最も発揮された試合という説もあるダブルバウト(参照:ゲーリー幻のゴッチ式ジャーマン)の直前に、
一気に十字!!

挑戦状を持って姿を見せた、

あの事件の真相を探ってみましょう。

佐野からの挑戦状はUインターだけではなく、

同時に新日本プロレスの、

武藤敬司蝶野正洋にも向けられました。

当時の背景を知るファンのほとんどは、

これこそ“Uインターの頭脳”宮戸優光の仕掛けによる、

新日への当て付けだと思っている方は多いでしょう。

U.W.F.最強の真実 (BLOODY FIGHTING BOOKS)
 U.W.F.最強の真実 より

宮戸
始めから私と佐野さんの仕組んだことのように思われがちだが、それは微妙に違う。


半分はその通りで、

もう半分は違う…といったところでしょうか。

そもそものキッカケはSWSを脱退した佐野が、

それまでも仲の良かった宮戸に、

Uインター参戦の相談を持ってきた事なのですが、

一気に展開が変わっていったのは、

プライベートで観戦に行った新日本の、

1992年10.21浜松大会での騒動からでした。

佐野はUインターなどの会場にも足を運んでいましたが、

スーツ姿で普段通り席についていた佐野に対し、

かつてのライバルである獣神サンダー・ライガーが殴りかかっていったのです。

これはライガー自身によるナチュラル・アングルです。

こういう流れになれば、

宮戸が黙っている訳がありません。

宮戸
翌日、佐野さんから電話があった。「参ったよ」「どうしたの?」と、私が聞くと、「昨日、新日本を観に行ったら、俺、客席にいたのにライガーにぶん殴られたよ。あんなことしていいのかねえ」と苦笑して言った。
私は「それでどうするの?」と聞き返したが、「いや、もうジュニアでやる気はないよ」と佐野さんはキッパリ答えた。その時、私はひらめいたのだ。
「佐野さん、今度は逆に客席から新日本に挑戦状持って行ってあげなよ。客で行って殴られるんだから、その逆もありでしょう。もし新日本が受けてくれたら、それはそれでいいんでしょ? もし受けなかったら、このあいだのうちに来るって話の答え、それうちにも持ってきてよ! ウチは受けるから


佐野の気持ちを汲んだ上で、

一か八かの賭けに出たのです。

もしも新日側が「おいしい話だ」と見て、

佐野の挑戦を受諾したなら、

待遇的にも、金銭的にも、

ほぼUインターに勝ち目はありません。

しかし…結局、新日は格の違いを前面に押し出し、

武藤、蝶野ではなく、

あくまでライガーが相手だ、と。

それもマスコミを通じての返答で、

佐野の気持ちは一気に冷めました。

そうなれば飛ぶ鳥を落とす勢いの高田と、

対戦出来る可能性が高いUインターで勝負に出る、と。

かくして佐野は1992年11.25 名古屋・露橋スポーツセンターに姿を現しましたが…、

宮戸
私は会場の後方で様子を見ていたのだが、ここでまずいことになった。高山が挑戦状を持った佐野さんを発見し、リングに行かせまいと立ちはだかってしまったのだ。
私は「まずいなぁ」と思い、次の瞬間、思わず「おい、高山!」と怒鳴ってしまっていた。高山は何がなんだかわからなかったと思うが、佐野さんはなんとかリング近くまでたどり着くことができた。それでも高山のおかげでまだリングまでは遠すぎる。すると今度は高田さんが無反応なのだ。


これまたUインターらしいというか、

このアングルを知っていたのが宮戸と佐野だけという…。

他にはそれとなく鈴木健に伝えていた程度でした。

リング下の高山善廣は若手の職務を全うすべく、

部外者の乱入を止めただけですし、

メインを前に集中している高田には、

対角線にいるゲーリー・オブライトの姿しか、

視界に入っていない訳です。

それでも機転を利かせた鈴木健氏が、

挑戦状を受け取って、

何とか形にはなりました。
元SWSの佐野が来た!!

12月3日に佐野は改めて、

両団体に内容証明書を送付。

当然の事ながら無視を決め込む新日に対し、

Uインターは12月7日に会見を開き、

正式回答として佐野の挑戦を受諾。

これで宮戸の仕掛けは一応の完成を見ました。

ただし当事者の佐野の心は、

少しだけ違います。

 プロレスの達人 Vol.21 より

佐野
「新日本とUインター、どっち“でも”いいっていうのはないんですよ。自分にとっては、どっち“も”よかった。どっちにも出たかったというかね。(略)順番はどっちでもいいんだけど」

「新日本、Uインター、先に受けてくれたほうにいこうと思っていたんで。で、Uインターのほうが反応がはやかった」


しがらみやネームバリューなんかを別にして、

佐野は、高田だけではなく、

武藤とも蝶野とも闘ってみたかったのですね。

プロレスラーとして、

一人の男として、

勝負がしてみたかったのでしょう。
佐野入場



“アングル”という言葉が嫌いな方は、

たくさんいらっしゃると思います。

でも、それもプロレスの大事な一面である事に、

間違いはありません。

そしてUインターが仕掛けたアングルは、

より“シュート”だったとも言えますね。

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tag : 佐野直喜 宮戸優光

comment

Secret

ちょっと思い出せないのですが、その時の新日ファンの反応ってどうでしたっけ?

しかし、今だったら考えられないですよね 笑
こういうことが紛れ込むからプロレスはおもしろかったと思うのですが…。

話は若干ズレますが、今のプロレスファンって、プロレスの世界で行われることは1から10まですべて決められているという認識で、アドリブ的世界をまったく認めないという風潮があるように感じます。
狭い所で楽しめるんだなーと、ある意味うらやましくもあります。
ファンがそれで楽しんでいるのはしょうがないことなのですが、逆に可能性を潰してしまっていると思うのは私だけですかね?

いろいろな側面があるのがプロレスだと私は思うので。
しかも、シュートありきで成り立っているのがプロレスだと。
猪木さんなんてアリからタッキーですからね 笑

普段、リング上で演じてるだけのレスラーでも中には良い選手がいるんですけどねー…。

>宮戸ゲノムさん

その時の新日ファンの反応<確か薄かったと思います。
自団体以外の仕掛けに対しては、全日もそうでしたが、反応が薄かったと記憶してます。特に相手がジュニアの印象が強い佐野ですからね。

こういうことが紛れ込むからプロレスはおもしろかった<世の中と一緒で、作り事の為に一生懸命作り上げていくのも面白いのですが、予定調和が壊れてしまった時の面白さというのがプロレスの醍醐味でしたよね。

今のプロレスファンって…アドリブ的世界をまったく認めないという風潮<認めないというよりも、そうなった時の面白さを知らないんでしょうね。全部アクシデントで片づけてしまう。
プロレスラーが仕掛けてる細かいやりとりに気付いていない節もありますよね。私も含めて。

いろいろな側面があるのがプロレス…シュートありきで成り立っているのがプロレス<全くの同意です。

そこで、宮戸ゲノムさんに逆質問です。
IGFでの宮戸の仕事ってどう感じてらっしゃいます?

現状、現場部長という立場から、おそらく“現場のみ”の権限だと思うんですよね。マッチメイクその他については権限ないと思います。
もし宮戸が、ある程度の発言力を持っているなら、選手権試合で片やグローブ、片や素手とかってありえないと思いますし、“異種格闘技戦”という言葉自体が存在しないと思っています。

そのHNに免じて、ご回答頂けたら幸いです。

回答

逆質問光栄です!笑
ありがとうございます。

さすが鋭いですね。

Uインターを知っている人間からしたら、IGFの宮戸に“?”な部分が出てきて当然かと。
「本当にやりたいことやってますか?」ということですよね?笑

一言で言い切れば、“UインターとIGFは違う会社”に尽きると思います…身も蓋も無いですが 苦笑

先日、IGF所属の澤田が宮戸GM解任要求をした事はご存知でしょうか?
最初、アングルかと思ったのですが、わたくし独自の宮戸ゲノムリサーチでは限りなくガチだということが判明しました(笑)
その時に思ったのは、看板でもない一所属選手(澤田を悪く言うつもりはないです)でさえ、コントロールさせてもらえてないのかということでした。

Uインターの時は高田をトップに、横には鈴木健氏、安生がいてという状況のなか、団体の方向性や仕掛け、選手育成などあらゆる面で宮戸の顔が見えましたよね?
経営以外はすべてと言っても過言ではないような。

ですが今は猪木の下にいる以上、猪木的世界に身を置いたうえで宮戸流を発揮するしかないのでは?
私が考えるIGF・猪木的世界とは「強ぇヤツを上げろ。ルールや形式じゃなく、それは個々のアイデンティティに委ねろ」です。

私が思うに、猪木イズムを程よく浄化し、一つの形として見せたのがUインターだと勝手に解釈しております(反論は…認めます!笑)。
宮戸イズムがあるとすれば、それは宮戸の今までの数々の発言からもわかるように猪木イズムから来ている物だと言えますよね?

私は猪木ファンであり、宮戸ファンであり、IGFファンなので、いろいろな側面から考えちゃいますね…苦笑

宮戸にはプロレスラーとして核となる部分、本来持っていて然るべき部分を次世代を担うレスラーに伝えていってほしいです。

>宮戸ゲノムさん

こちらこそ、一つ一つ丁寧にお答え下さって、ありがとうございます。

Uインターを知っている人間からしたら、IGFの宮戸に“?”な部分が出てきて当然<どの程度の力があるのか? ちょっと理解不可能な部分があるんですよね。

一言で言い切れば、“UインターとIGFは違う会社”に尽きる<なる程…当然っちゃ当然ですよね。

澤田が宮戸GM解任要求<それもまた違う意味で理解不能ですねぇ。
大晦日の件もありますしね。

看板でもない一所属選手でさえ、コントロールさせてもらえてない<澤田はスネークピットで練習してませんから、宮戸との関係は薄いんでしょうね。

猪木の下にいる以上、猪木的世界に身を置いたうえで宮戸流を発揮するしかない<猪木を最大限にリスペクトするがゆえに、宮戸は思い切った事が出来る訳がないですよね。
橋本亡き今、プロレス界最強の猪木信者は宮戸ですから。

猪木イズムを程よく浄化し、一つの形として見せたのがUインター<そこも同意です。細かい部分は抜きにして。

宮戸にはプロレスラーとして核となる部分、本来持っていて然るべき部分を次世代を担うレスラーに伝えていってほしい<そうなるとスネークピットでの役割が大きいんでしょうけど、私はやっぱり、いつの日か宮戸の“団体”が見たいですよ!!

No title

佐野選手はSWS時代はU・ドラゴン選手と並ぶジュニアの二枚看板扱いでしたからね。
もし、新日本がこのライガーとのナチュラル・アングルを利用して参戦させたらどうなったのでしょうか?。やっぱりジュニア戦線、偶にヘビー級との闘いかな。

高田道場時代でもインディーのジュニアベルトを巻いてたし、ジュニアの祭典の一つ、「スーパーJカップ」にも参戦したからな。
佐野選手がヘビーとしての扱いされてるのはここ数年なんでしょうね。
(佐野選手の顔面ソバットが好きです)

>通り菅井さん

U・ドラゴン選手と並ぶジュニアの二枚看板<そうでしたよね。
二人はメキシコで一緒でしたから違和感はなかったかも知れませんが、ライバルと呼べる様な関係ではなかったですね。

新日本がこのライガーとのナチュラル・アングルを利用して参戦させたら<後の対抗戦でもそうでしたが、やっぱりジュニア扱いだったでしょうね。
そのうちライガー、サムライらと組んで、大谷、金本らと世代闘争…とかのパターンだったでしょうね。

佐野選手がヘビーとしての扱いされてるのはここ数年<もはやどこからどう見てもヘビーですからね。
しかし…今のファイトスタイルはどうなんでしょうね。もっとサブミッションとか見たいんですけどね。
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Author:紫レガ 
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