Uインターの革命 2/2~独自のルール~

Uインターがプロレス団体として、

“世界中で唯一”と断言出来る功績は、

プロレスリングという競技において、

その永い歴史上初めて、

“芸術点”を設定した事です。

その名も“スープレックスポイント”
フィッシャーマンスープレックスでポイント奪取

ゲーリーのベリートゥベリー

旗揚げ時に発表されたロストポイント制の公式ルールは、

それまでの新生UWF公式ルールをなぞっての、

『ノックダウン1回(ロープエスケープ3回分)×5でTKO負け』を、

より明確にする為に『持ち点15点の減点制(シングルバウト)』としました。

『ロープエスケープ=-1点』と、
桜庭もエスケープを奪い返す

『ノックダウン=-3点』はそのまま継続。
ダウンを奪う

Uインターが他のU系2団体と違ったのは、

そこに加えて『ハイブリッジのスープレックスで投げられる=-1点』という、

前代未聞の“芸術点”の導入にありました。
殺人風車3

私の記憶ではプロレスリングのルールで、

“芸術点”が勝敗に関わってきたのは、

このUインターのスープレックス・ポイントと、

『ハッスル8』での小川vs川田の“観客ジャッジシステム”だけだと思います。

このスープレックス・ポイントがある事で、

打撃の得意な選手に有利なロストポイント制の中で、

レスリング系選手の一発逆転を可能にしました。

例えばハイブリッジのスープレックスで、

強烈に叩きつけた場合にダウンまで奪えば

相手は一気に-4点

これを4発繰り出せばTKOです。

まぁ実際にはそんな試合はありませんでしたが、

よく試合開始直後に余力充分の状態で、

ゲーリー・オブライトが立て続けに、

スロイダーで相手を投げていったのには、
Uでの初スープレックスはスロイダー

最初にポイントを連取して主導権を奪うという、

心理的な駆け引きがあったのだと思います。
一発目は開始早々のスロイダー

それまでもUWFの代名詞といえば、

『KICK,SUBMISSION & SUPLEX』でしたが、

キック、サブミッションに比べると、

スープレックスがあまりにも軽視され気味で、

ともすれば痛め技にカテゴライズされつつありました。

そんな中でUインターが旗揚げ時に打ち出した、

“芸術点”としてのスープレックス・ポイントは、

UWFの歴史にとどまらず、

プロレスリングの歴史においても、

革命的な事だったと思います。



ルール設定の中でのもう一つの革命は、

団体末期の1996年秋に改正された新公式ルールの中の、

“1カウント・フォール”だったと思います。

この新ルールでは、

それまでの『持ち点15点(シングルバウト)』『10点(同)』に変更。

残念ながらスープレックス・ポイントは廃止されましたが、

新たに加わったこの『1カウント・フォール=-5点』には、

大きな可能性を感じていました。

U系においては「KOとギブアップのみが勝利」という風潮があり、

フォールの概念は消えつつありました。

が、やはりプロのレスリングである以上は、

フォール勝ちというのも立派な勝利だとも思いました。

ただし当時はラリー・プロレスとハイスパート・レスリングの全盛期で、

「頭から垂直に落とす事がフォールへの道」

「3カウントを奪うには頭部にダメージを蓄積すべし!!」…的な、

不思議な方向に向かってもいました。

そもそもフォールを取る技術というのは、

「仰向けにした相手の肩をマットに付ける」という、

もっとテクニカルなものだったはずです。

だからUインターが打ち出した1カウント・フォールは、

アマレス出身者に再び脚光が当てられる、

格好のルールだと思っていました。

あるいはプロレスリングにおける試合巧者、

格闘技術以外のクイックを得意とする選手にも、

光が当たると思っていました。

Uインターという団体内においては、

前者が桜庭和志で、

後者が佐野友飛ですね。

しかし奇しくも、

このルールを最も生かしていたのが、

一年間に亘る対抗戦の最前線にいたゴールデン・カップスの、

山本健一(現・喧一)でした。
伸し上がってた頃のヤマケン

新日本WARとの対抗戦の中で、

貪欲に幅広い技術を磨いていったヤマケンは、

冬木軍との抗争で外道から盗んだ“外道クラッチ”で、

早速、新ルールが採用された1996年9.30 岩手県営体育館のダブルバウトでの高田延彦、桜庭戦で、

桜庭からの1カウント・フォール奪取を皮切りに、

いくつかのフォールを重ねました。

特に1996年11.23 仙台ワッセでの、

vs桜庭初勝利へつなげた2度のキャメル・クラッチの、
キャメルクラッチから、

合間に決めた外道クラッチでの1カウント・フォールは見事でした。
外道クラッチで1カウントフォールを奪い、

急角度のジャーマンから、

再度強烈なキャメルクラッチで勝利

いずれも相手がのちに“IQレスラー”と呼ばれた桜庭というのが興味深いですね。

結局、私が期待した、

“アマレスの実力者”や“プロレスの試合巧者”の、

1カウント・フォールの技術を観る事がないまま、

Uインターは解散してしまい、

その後のバーリトゥード~MMAの時代においては、

当然ながら1カウント・フォール自体絶滅してしまいました。



ここで紹介した二つのルール。

プロレスリングが格闘技である前に、

プロレスリングがプロのレスリングである為に、

私は密かに復活を夢見ています。

それが出来るのは、

Uの名を冠したリングしかない…とも思います。

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tag : ゲーリー・オブライト 山本健一

comment

Secret

こんばんは。

私はこの1カウントフォールの試合を見たことが無いんですが面白そうですね!^^

スープレックスポイントの導入は名案でしたよね。^^

柔道でスープレックスへの芸術点が導入されていれば、日本の凋落はなかったかもしれません。個人的に、どうしてフィギュアスケートであんなに盛り上がれるか、分かりません。対戦相手がいてこそ、美しく投げることなどに魅力を感じます。

1カウントルールについては、引退した木戸選手が参戦していればと、ふと思いました。打撃が劣る人が、より立ち向かえるルールだったと思います。

いつも楽しく読ませていただいております。

以前一度だけ違うHNで書き込ませていただいたことがあります。

当時、スープレックスポイント導入はド肝を抜かれました 笑
シュートボクシングから頂戴した、ヒントを得たのではないかと私は思っているのですがどうなんでしょう?

話は変わりますが、先日のハードヒットはご覧になられましたか?
以前、管理人さんは“Uとは先ず思想、そして技術”という事を書かれてましたよね?
その管理人さんがどのように感じたか、とても興味があります。

No title

当時というか新生U時代にはスープレックス→かけられた側がキレイに受身を取り、アームロックへ・・・という展開(KOする投げっていう概念が全員生粋のプロレスラーだけになかったせいもありますが)が多かったのでいつの間にかスープレックスをする人がいなくなってましたよね。
1フォールに関しては、もうちょっと時代が過ぎていると受けいられていたかも知れません。
長州力がクルスフィックス(対抗戦でよくやった独特の押さえ込み)が評価され始めた頃なら、”押さえ込み”という技術評価をされたかも。
いわゆるKO技、サブミッションを得意としなくてもレスリングに長けた選手が勝てるルールが出来上がったかも知れませんね。

でも、フォールだけで勝敗が決まったら盛り上がりには欠けるでしょうけど(笑)

>ROSESさん

こんばんわ。

1カウントフォールの試合を見たことが無いんですが面白そうですね<これ実際には流れの中で決まっちゃう事がほとんどでしたが…というかヤマケンしかこのルール生かしきれてなかったですけどね。

スープレックスポイントの導入は名案<もしかすると、これがあったからUインターにはスープレックスの名手が集結したのかも知れません。
プロレスとしてはいいルールだったと思いますよね。

>非力なビックボディさん

柔道でスープレックスへの芸術点が導入されていれば、日本の凋落はなかったかもしれません<歯がゆくもありますが、今や世界のJUDOはジャケットレスリングですもんね。
双手刈りをはじめとしたレスリング技術が大きなウェイトを占めています。

どうしてフィギュアスケートであんなに盛り上がれるか、分かりません<華麗さとひたむきさとエロさ…ある意味女子プロレスが持ってた要素でもありますね…って強引すか。

1カウントルールについては、引退した木戸選手が参戦していれば<そういえばあれだけUに縁の深い木戸でしたが、インターには一切触れる事がありませんでしたね。
キドクラッチも1カウントフォールにもってこいの技だったかも知れません。

>宮戸ゲノムさん

いつも楽しく読ませていただいております<ありがとうございます。

スープレックスポイント導入はド肝を抜かれました…シュートボクシングから頂戴した、ヒントを<宮戸自身がシーザー会長と旧知の仲でしたもんね。
誰の発案だったのか気になります。

先日のハードヒット<まだ観ていません。
いろんなシチュエーションの試合が並んだそうですね。
以前のU-STYLEとの違いは選手の意識でしょうか?

>ジョーカー ナリさん

スープレックス→かけられた側がキレイに受身を取り、アームロックへ<ある意味定番ムーブだったのかも知れませんね。

いつの間にかスープレックスをする人がいなくなってました<もともとスープレックスでオーバーした元祖とも言える前田が(膝の事もあるでしょうけど)使わなくなっちゃったのが原因でもあるのかな? と。

長州力がクルスフィックス(対抗戦でよくやった独特の押さえ込み)が評価され始めた頃なら、”押さえ込み”という技術評価をされたかも<vsUインターでは使いまくってましたもんね。
やはりアマレスで世界に出た意地として、「レスリングじゃ負けないぞ…ああ」というのがあったのでしょうね。

フォールだけで勝敗が決まったら盛り上がりには欠けるでしょう<確かに(笑)。
でもそういう試合があっても良かったですよね。あれだけ五輪級の選手が揃っていたんですから。

ハードヒット

実は私も全試合を見たわけではないのですが 笑

「コレ、素人?(苦笑)」な方々が数名出られておりました 笑
普段、演劇しかしていない人間が付け焼き刃で出来るような類の試合ではないでしょ、という感じで。
プロレス界に蔓延る偽者がUルールをやるという、悪趣味な観点というか、物珍しさとして楽しめはしましたけど。

MMAの選手がアジャストできてたとしても、あくまでルール上というだけかもしれません。

回転体、取って取られてというようなUの様式美という観点から見たら不満が残るような…。
多分、イベント後に田村が発したコメントはそういう意味に繋がるかと。

あ、でもメインは両選手共に気持ちや思いが見えた良い試合だとは思いました。
実際、感動しましたし。

今回のハードヒットで疑問に思うポイントを挙げるとすれば、『技術が無い、技術を越えるようなフィジカルも無い者がUルールをやる』、『MMAの選手が格闘技としてのみUを捉えてしまう危険性』だと感じました。

管理人さんのようなUに思い入れや誇りをお持ちの方はどう思われたのかが非常に気になりまして聞かせていただきました。

私個人としては続けてほしいイベントではあります。

>宮戸ゲノムさん

「コレ、素人?(苦笑)」な方々が数名<やっぱりDDTという団体がベースである以上は仕方ないのでしょうか。格闘技術だけあればいいわけでもないですし。

プロレス界に蔓延る偽者がUルールをやるという、悪趣味な観点<そうなってしまうと、その時点で模倣に過ぎなくなってしまうんですよね。
やっぱり高いレベルのものが要求されるルールです。

MMAの選手がアジャストできてたとしても、あくまでルール上というだけ<そうです。いずれにしてもいびつになってしまう訳です。

Uの様式美という観点から見たら不満が残るような<MMAの選手がやりたい事だけやっても残るものは無に等しいです。

イベント後に田村が発したコメント<E、G、S、Vの上位概念としてUを据えている田村ですから、言葉の意味は大きいですよね。
本当に理解してる選手と田村との試合が観たいです。切実に。

メインは両選手共に気持ちや思いが見えた良い試合<潰しにいく、勝ちに行く、倒しに行く…それが見えたからでしょうか?
ちょっと観てからコメントさせていただきたいです。

『技術が無い、技術を越えるようなフィジカルも無い者がUルールをやる』、『MMAの選手が格闘技としてのみUを捉えてしまう危険性』<非常に分かります。非常に。

どちらもある種のカン違いから起こりうるものですが…ロープのある意味とかリングで闘う意味、レガースを装着する意味や素手で闘う意味、色々なものを理解していないとUは表現出来ないでしょうね。
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Author:紫レガ 
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