Uインター異人史 vol.10~格闘技世界一決定戦編~(1991~1992)

ご好評を頂きました『Uインター異人史』ですが、

Uインターの歴史を語る上で、

やはり忘れられないのが数々の他流試合です。
調印式

この場合、末期(参照:vol.9)に行われた桜庭和志vsレネ・ローゼや、

ドージョー・カマクラの参戦などは対象外です。

あれはUインター公式ルールに則った、

プロレスリングの試合だからです。
極めまくって桜庭圧勝

ですから宮戸優光が、

そこに居るか居ないのか…が、

他流試合の“重さ”の境界線なのです。
まずは宮戸と握手

Uインターが掲げていた『最強の格闘技プロレスリング』

まだ日本にMMAなどというキーワードも、

NHBやバーリ・トゥードという言葉もなかった時代。

“最強”を証明する舞台は異種格闘技戦でした。

そこに異を唱えたUインターは、

他団体で行われている異種格闘技戦ではなく、

その競技のチャンピオン級との対戦しか認めない、

『格闘技世界一決定戦』の復活を宣言しました。
発表記者会見

中でもUインターが主張したのが“世界”という舞台。

先駆者のアントニオ猪木が成しえなかった、

プロボクシング世界ヘビー級チャンピオンの打倒です。

Uインターにとっての格闘技世界一決定戦の定義を語る、

当時の高田延彦のインタビューがあります。

 週刊プロレス №? より

高田
「まず【1】実力的に世界のトップレベルである事。【2】自分達がやっているインターのプロレスの強さが、世界に対してアピールできる選手であること。この2つが条件になりますよね。そうなると、世界のプロ格闘技界の現状を考えれば、ヘビー級のプロボクサーが、やはりまず候補に上がるわけです。でも、ヘビー級のボクサーなら、誰でもいいわけじゃない。【1】現役である事。これはもちろん絶対条件です。それに加えて【2】元王者か今でもトップランカーの選手。これに限られてきます。(略)これらの条件がクリアされていれば、絶対に『アメリカではビッグネーム』ですよね。『格闘技世界一決定戦』を起爆剤にして、【1】アメリカにも働きかけたい。【2】世界にインターをアピールしたい。っていう希望が、俺たちにはあるんですよ。当然アメリカのプロ格闘技で一番メジャーなのは、ボクシングですからね。そうなると、その中の【1】世界的に通用するプロフェッショナル。【2】プロフェッショナルとして実績のある選手。に対戦相手は限定されてくるわけです」


この言葉を発した時点で、

最終的なターゲットは決まっていました。



そこに辿り着く為の“社運を賭けた”、

1991年12.22 両国国技館のメインエベントで、

高田の相手に指名したのは、

モハメド・アリの最後の対戦者である、

“元WBC世界ヘビー級王者”トレバー・バービックでした。
バービック入場

試合背景や試合経過については、

過去記事をご参照下さい。

 プロレスとプロボクシングとルール
格闘技世界一決定戦 高田vsバービック

高田も再度「NO!!」

 本当の意味での真剣勝負
打つ!!

最後の一発

 最強ノ男、覚醒スル。

動けぬバービック

「タイソンか、ホリフィールド!!」

以上、三つの記事で書き尽くした感もありますが、

この試合の映像は、

今見ても緊張感が溢れています。

舞台裏の背景も含めて、

まさに“命懸け”の闘いでした。



同日のセミファイナル(発表はダブルメイン第一試合)も、

格闘技世界一決定戦と銘打たれた、

プロボクシングとの他流試合でした。

急成長株のビリー・スコット(参照:vol.2)と対戦したのは、

当時、現役の“IBF世界クルーザー級王者”ジェームス・ワーリングです。
ジェームス・ワーリング

後年、MMAのリングでヘンゾ・グレイシー戦や、

K-1のリングではピーター・アーツとも対戦した選手です。
ビリー@格闘技世界一決定戦2

当時、キックボクサーも兼ねていたワーリングは、

長いリーチからの打撃を駆使しましたが、
ビリー@格闘技世界一決定戦1

全く噛み合わずに10回フルラウンド終了。
ビリーの猛攻

2-1の判定でビリーが勝利しましたが、

例の如くジャッジにクレーム。
ジャッジにクレーム

挙句の果てには「フルラウンド持たせたら判定勝ちになる“約束”だった」と主張。

実際には試合前から、

直前のファイトマネーの吊り上げ(「あと5000ドル出さなければ出場しない」)や、

グローブのサイズ変更(メキシコ製の10オンス装着をゴリ押し)と、

一癖も二癖もあるファイターだった様です。



1992年5.8 横浜アリーナで格闘技世界一決定戦として、

田村潔司が初の他流試合(参照:完成形の方向への咆哮)に挑戦。
調印式

対戦したのが“元WBC世界ライトヘビー級王者”マシュー・サード・モハメッド
マシュー・サード・モハメッド

同タイトルを8度防衛した伝説的ボクサーです。

試合では持ち味が発揮されずに、
ファーストコンタクトは田村の速いインローから

秒殺されてしまいましたが、
身体が流れる

この試合で田村の“眠っていた何か”を、

呼び起こした印象があります。
タップアウト



緊張感に充ちた三度の“シュートマッチ”。

そのセコンドには、

必ず宮戸の姿がありました。
高田のセコンドは絶対に宮戸

健闘を讃えあう

“絶対に負ける事が許されない”闘いを、

シュートマッチで体現していったUインターという団体。

やはりプロレス団体としては、

異常だったのでしょうか?

高田
「両国の格闘技世界一決定戦も、『俺たちはこういう気持ちでいるんですよ!』『プロレスラーはこれだけ強いんです!』っていうアピールだったんですよ。その気持ちがあるからこそ、俺たちはUWFやってるんですから。原点に1度帰って『俺たちはここがスタートなんだ』『プロレスが最強なんだ』っていうことを、俺たち自身も確認する。だから俺は、これは2発か3発で終わっちゃっても、いいと思ってるんですよ。2~3年がかりになるかもしれないけれど、最初にインターの姿勢を見せて、先に進んで行くにしても、そういうクサビをスタートラインに打っておけば、いいと思っている。1発じゃ絶対足りないから、何発か打ってね。それで、インターの歴史にそれが残ってて。『ああ、こういう気持ちで、こういう姿勢で、インターの選手はやってるんだなあ』
って、時がたった時にうっすらとでも、ソレがみなさんの心の中に残っていてくれれば、それでいい。俺はそう、考えているんですよ」


その見果てぬ夢の先には、

人類の大多数が“世界最強の男”と認識していた、

マイク・タイソンがいました(参照:幻の“真”格闘技世界一決定戦~第一章~~第二章~~第三章~~最終章~)。
マイク・タイソン

もう20年も前の話ですか…。

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tag : トレバー・バービック ジェームス・ワーリング マシュー・サード・モハメッド 格闘技世界一決定戦

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No title

レガさん、久々の更新嬉しいです。と同時に先日の地震のことが気になっていたので、こうして元気でPCに向かっていらっしゃるレガさんの姿を確認できたことも嬉しいです。

バービック戦当時は凡戦だの肩すかしだの、さんざんな声も聴きましたね。でもこうして振り返ってみるとやはり凄い戦いだったのだと思います。確か高田は直前の練習でけがをして、公開練習でもあまり体を動かさなかったのでは?


これからも応援しています。マシューサードモハメット戦で田村が見せた、高い位置にガードを上げてローを蹴る姿、懐かしい!!

どっち派?

こんにちは。

あえて格闘技戦と書きますが、興味の度合いでファンのプロレスに対するスタンスが
分けられると思います。

昭和新日本やUインター派は「プロレスは格闘技の王様」
全日本派は「プロレスは、プロレス。他の格闘技と絡む必要なし」
実際に私の周りにいたのですが、総合の実績はプロレスの実力に関係ないとするノアファンがいました。
ゼロワンの旗上げ戦で藤田が吠えた「誰が一番強いのかまで、やろう」発言に対しても、その人曰く藤田が一番弱いだろうと。
安田がバンナに勝った時も、そんなに強いとは思わない。

私は私でジャーマンは一撃必殺で見てきたのでノア(四天王プロレス)のタッグなら10発くらいジャーマンが出てくる試合にはどうしても違和感がありました。

まあ、ファンのプロレス感に正解なんてないでしょうけども。

また、バービックに関しては、金原も言っていましたが、高田のハイキックにダウンしなかったのはビデオを見てて驚きました。確かこの試合から高田はガウンを着用するようになり、強くて、格好いい、男の理想像のようなスターの要素を必要以上にもったような選手になったと思います。

>てつさん

久々の更新嬉しいです<こちらこそ楽しみにして頂けて嬉しいです。
先日の地震<お気遣いありがとうございます。

こうして振り返ってみるとやはり凄い戦いだったのだと思います<肋骨を折っていたんですよね。でもそれが関係したのか、物凄い弾け方をしました。
あの試合があったから、PRIDEでいくら負けが続いても、私は「次こそは…」という風に見続けられたのだと思います。

高い位置にガードを上げてローを蹴る姿<ガチガチになってた田村…あれこそが“原色の輝き”だったんでしょうね!!

>aliveさん

こんばんわ。

興味の度合いで…スタンスが分けられる<先日のニコニコ動画の番組で、異種格闘技戦をテーマにしてたんですが、これまでのテーマよりもコメント数が激減してたそうです。
今のプロレスファンにとって、もはや過去の遺産なんでしょうね。

総合の実績はプロレスの実力に関係ないとするノアファン<ノアだけは云々といわれた時代の話でしょうね。
団体に力があった頃は本当に黒星を徹底的に拒否していましたからね。

ノア(四天王プロレス)のタッグなら10発くらいジャーマンが出てくる試合<タフマン・コンテストともいわれた四天王プロレスですが、私はあのトランポリンみたいなマットが嫌でした。
ゲーリーのジャーマンを食っても立ち上がる川田に、「U系とは受け身の技術が違う」という解説が腹立たしかったです。
今なら良い思い出なのかも知れませんね。

高田のハイキックにダウンしなかった<戦意喪失しながらもしっかりとスウェーで威力を逃がしてんですよね。
やっぱり世界王者級の動体視力って半端じゃないという事でしょうか。

強くて、格好いい、男の理想像のようなスターの要素<顔も良くて、足も長くて、強くて…こういう選手がもっと出て来てくれれば、プロレスの復興なんて時間の問題なんでしょうけどね。

No title

当時の高田バービックの試合結果を知った時は
「バービック逃げたな」
と思ったものでしたが、
今振り返るとワーリングしかり、バービックしかり、ルールを把握していないというか(変な話、彼らがの認識が”試合に事前に勝敗が決してるもの”なのかなどの)
当時のマスコミにはローキックは禁止か?と確認してる割に、足にテーピングががっちり巻かれているからバービックにはローキック禁止という認識はなかったという指摘はありましたが、
「禁止になってるかどうかも分からない」状態であれば、テーピングも巻くし、試合前にレフリーに確認するよなぁ…と。
多分、バービック陣営(こういう試合背景の割に、バービック陣営にはいう程の人数もいなかったような)もその辺りのルールは誰に聞いても「分からない」という状態に陥っていたのかなと。

この試合については、Uインター側の話はたくさん出ていますがバービック側の話は出ていないので何とも言いようが無いですが、猪木アリ戦しかり、こういうシュートな背景をもった試合にはこういうものが付き物なのかなぁなんて。
肝心のバービックは鬼籍に入っているので、聞くにも聞けないですけどね。

No title

某実戦空手の王者だった人の下段突きを一発受けて悶絶・口から泡を吹いたことがあります。
試合を眺めていた時は押し相撲程度にしか感じられず、当てた本人も手加減したそうですが、頂点に立った人の技の威力を実際に体験すると、はっきり言って素人には凶器を使われたのと同じでした。
高田さんも元世界チャンピオンのパンチの危険性を充分認識して試合に臨んだので緊張感が出たのだと思います。

>ジョーカー ナリさん

今振り返るとワーリングしかり、バービックしかり、ルールを把握していないというか<ああ…そういった見方も出来ますよね。
結局、私らが知っているのはUインター側の見解のみですもんね。

「禁止になってるかどうかも分からない」状態であれば、テーピングも巻くし、試合前にレフリーに確認するよなぁ…と<そういった部分も含めての“真剣勝負”と思うのは、ちょっと都合良過ぎるでしょうか。
いわゆる“コンテスト”とは毛色の異なるものだったとは思っています。

肝心のバービックは鬼籍に入っているので、聞くにも聞けない<その後の転落人生は悲しいものがありますよね。

改めてご冥福をお祈り致します。

>病弱者さん

某実戦空手の王者だった人の下段突き<非常に貴重なお話ありがとうございます。

試合を眺めていた時は押し相撲程度にしか感じられず…頂点に立った人の技の威力を実際に体験すると<仰る通り、拳そのものが兇器ですよね。

フルコンタクトの下段突き…新生UWF旗揚げ当時にも見られた技術ですね。
もちろん空手一筋の方から見れば、あれも技術のうちには入らないのかも知れませんが、現在のMMAに通じる道の途中には確実に存在していたという事ですよね。

元世界チャンピオンのパンチの危険性<実際にリングで向かい合った時に、バービックのグローブの小ささに飲まれかかったらしいですよね。
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