猪木のボック論

ご好評頂きました欧州“殺し”紀行の、

総決算としまして、

アントニオ猪木が自ら振り返った、

1978年欧州世界選手権シリーズの真相を掘り返してみましょう。

ローラン・ボック側からは、

Gスピリッツ Vol.21 (タツミムック)
Gスピリッツ Vol.21那嵯涼介さんの珠玉のインタビューで、

今回、充分過ぎる位に引き出されています。

それでは猪木が語ったボック論とは…、

今から17年前に発売されたキラー猪木 Vol.11の、

後半部に収録されたロングインタビューで、
猪木のボック論1

当時は“活字プロレス”の第一人者であった、

ターザン山本が引き出しています。



猪木
(ボックは)あのー、凄い野心家だと思うんですね。あのー、その野心家の中で、ただ戦略的に成功しなかったというか、このー、非常に我々の考えてるものとは違う、という部分でね。ただ、そのやはり一つの殻から飛び出して行こうというエネルギーというのは凄かったと思うね」

ボックだ!!

猪木
「彼によってずいぶん多くの選手が怪我をして、再起不能になったというのもね、知ってますしね。だからあのー、スープレックスというああいう形のものが、こう我々のプロレスに入り込んで来た元になってる部分というかね。我々が投げてたものとは全く違う形で、こうスープレックスをかけてくる。受け身が取れないという形でね。彼の絞りがね大きいし、それから腕が長くてグッと絞って来る。それで結局その速さですね。(略)こちらが、こう来て身体をこう返そうという余裕がない。そのまま肩から落とされるというね。」

猪木のボック論2

猪木のボック論3

猪木
「まぁアクシデントでそうなる時はありましたけど、そういう形の落とし方という角度というか、それはまぁ初めてのケースでしょうかね。で、お陰で肩をね、突っ込んで右肩。筋肉がここんとこ、何すかね、ポッコリ出て来ちゃうんですね。で、まぁ40日近い巡業でしたけど、毎日朝起きれなくて、風呂に入って暖めて…まぁ日本だったら治療してくれる人がいたりなんかするんですけどね。だんだん喋ってるうちに思い出して来て、痛さがあちこち出て来たなと思ってンムフフフ」

猪木のボック論4

猪木のボック論5

猪木
「シュツットガルト…これはベンツのね、あの大工場があったんですけど、まさにローラン・ボック、その何か地元の全部を背中に背負ってヒーローというか、そういう時の意識ってまた違ってくる場合があるんでね、選手。だから侮れない…まぁ最初から侮れない選手なんですね、これはもう。でも彼が一番やっぱり、ああいう大型選手の弱点というのはムラがありますよね。こうね、凄い時は凄くて、ある時『何だコイツは?』っていう様な弱点を見せる場合があるんですよね。この時には逆にいい方がね、全部出て来たという」

猪木のボック論6

猪木
「功罪という部分ではプロレスを難しくしてしまったという罪があるかなと。逆に私の方は、より格闘技の原点というか、あるいは原点と同時に格闘技の幅の広さという。あのー、ともすれば格闘技と言うのは非常に、こう一点に絞られがちと言うか。それをもっと幅広くして行く。そしてまぁプロレスの本来の使命というのは、やはり大衆に見せる要素という、そういったもので、尚且つそこで闘いという、まぁ我々の力道山という人がね、遺してくれた遺産というか、闘魂というか。その闘いの原点という。そこにリングの中に闘いがあって、それをやはり受け取る側のファンが一体となれば最高の興行じゃないかなという気がするんですけどね」
猪木のボック論7

猪木
「一つはお客さんがあっての話なんですが、お客さんの手の上に乗るのか? あるいはお客さんを手に乗せるか? という非常に語弊のあるかも知れないけど、そういうやはり自信というかね、結局そのお客さんの手の上に乗っかってのプロレスが今、非常に、こう華やいで技を多彩に見せている。それも時代の流れかなという気はするんだけど。でも、あのー“スポーツ芸術”というね、我々表現する時に、勝ち負けだけじゃなくね、そこにプラスアルファ何があるかというと。感動であるとかね。そこにやはりお客さんを一万も二万ものお客さんがね、自分の掌に乗っかってるような感じというか。そしてそれが一体となっていく状況というのは、そこまで感じれた人というのはレスラーとして幸せじゃないかなと」

猪木のボック論8

猪木のボック論9

猪木のボック論10

猪木のボック論11

猪木
「まぁだから知らない世界を我々の探究心というか、自分自身の欲望というか、そういう部分で本当に貪欲に色んなものにチャレンジして来た。ま、結果としてね、アントニオ猪木というのは、それに評価される部分と、逆に『そんなプロレスじゃなくていいよ』と、『プロレスはもっと易しいプロレスでいいじゃないか』という人達からすると、大変厄介なものにしてしまったと、いう気がします」

猪木のボック論12

猪木のボック論13



後半はボック論というよりも、

プロレス論になっていますが、

終始、満面の笑顔です。

過ぎてしまえば良き思い出…なんでしょうね。

この試合が放送された後、

最も反響があったのはファンよりも、

全日本の選手…ジャンボ鶴田だったそうです。

ターザン曰く「あの試合が放送されたら、普段やってる試合は八百長だと思われる」

真偽の程はわかりませんが、

もし本当に言っていたのなら、

ここでプロレス哲学というものが、

はっきりと表れてきます。

猪木にとっては、

アリ戦も、

アクラム戦も、

マクガイア兄弟とのハンディキャップ戦も、

海賊男も、

そしてR・ボック戦も、

全て一緒なのです(参照:プロレスとは仕掛け合うもの)。

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tag : アントニオ猪木 ローラン・ボック ターザン山本

comment

Secret

No title

確かこの当時の鶴田さんは常に「オー」で間を取る試合をしていたので、
ドリフの「志村、後ろ!後ろ!」的に「さっさと攻撃しろ!」と突っ込みたくなるもどかしさを感じていました(馬場さんも解説で指摘)。やはり鶴田さん自身手加減のため緊張感のないコント風の試合だと自覚はしていたのですね。
三沢さん達を叩き潰す残酷な試合(ほぼ殺人ショー)を見た時は深夜枠で正解と感じましたので、ボックと鶴田さんは身体能力や投げの技術の似た者同士だったのでしょう。

>病弱者さん

常に「オー」で間を取る試合<これ、私の爺ちゃんが大嫌いでしてねぇ。
いつもTVに向かって、「そんな事してないで早く攻めろ!」と。

鶴田さん自身手加減のため緊張感のないコント風の試合だと自覚はしていたのですね<後年、天龍をパワーボムで伸ばしてしまった時に、「つい本気でやってしまった」みたいなコメントしてましたよね。あれも私は嫌でした。
前田の鶴田評は「強いか弱いかよりも強く見せるのが上手い選手」でした。
闘った選手もそれぞれ「鶴田は強かった」「天龍の方が上」と真っ二つですんで、実際はどうだったのか? 謎の残るレスラーですね。

ボックと鶴田さんは身体能力や投げの技術の似た者同士<性格以外は非常に似ていたのかも知れませんね。

No title

ボックは「プロレスはシリアス」でなければならないという概念を持ってたんで、同じ概念を持ってた猪木を相手にそれを敢行したんでしょうね。
その気持ちが分かってたので、猪木はシュートとしてではなくあくまでも、プロレス内で受け切ったんではないでしょうか?

鶴田が強かったのか、弱かったのか、それは闘った人にしか分かりませんが、そのボックや猪木が共有していたであろう「概念」は、ワタクシ自身
当時は感じられませんでした。

レガさんの言われる通り、アリ戦もアクラム戦もマクガイア兄弟との
ハンディキャップ戦も海賊男もそしてボック戦も思い入れやダメージの違いはあれど、同じ笑顔で語れる「闘い」に違いはないのではないでしょうか?

No title

遅くなりましたが、欧州“殺し”紀行、お疲れ様でした。すごく楽しく読まさせていただきました(^^)

結論から言うと、やっぱり猪木!!なんだなぁ・・・と改めて思い返すところであります(^^)

ジャンボ発言は、ボクは以前からどうかなぁ?と思っていました。普段やっている試合って・・・場外乱闘、乱入多発の両者リングアウトや反則勝ち、反則負けが多ければ、もはや問題はボック戦のそれ以前だったんじゃないのかな?スタイル、形がどうあれ、プロレス、プロレスラーは試合を通してファンに何を伝えるか?なんじゃないのかなぁ・・・

猪木がどんな相手と戦ってもファンを引きつけることができたのは、まさにここ、ジャンボとのプロレス哲学のちがい、なんでしょうね(^^)

>ひがしさん

同じ概念を持ってた猪木を相手にそれを敢行した<そこはこのインタビューで猪木も認めていましたね。

シュートとしてではなくあくまでも、プロレス内で受け切った<ただし通常のプロレスとは異なるプロレス…猪木プロレスにおいてはプロレス内ですが、馬場さんのプロレスにはないプロレスでした。

鶴田が…ボックや猪木が共有していたであろう「概念」は、ワタクシ自身
当時は感じられませんでした<抜きん出てしまったがゆえ、本気になる自分に美徳を感じなかったんでしょうかね? 何かの間違いで新日に入っていたら…同じ言葉は出なかったでしょうね。当たり前ですけど。

思い入れやダメージの違いはあれど、同じ笑顔で語れる「闘い」に違いはない<そう取れるか否かで猪木のプロレスに心酔したか、否定したかのリトマス紙になるんじゃないでしょうか。

>流星仮面二世さん

お疲れ様でした。すごく楽しく読まさせていただきました<お忙しい中、ありがとうございます。
那嵯さんとスパさん、そして流星さんのお陰で、久し振りに長編を書き終えることが出来ました。

結論から言うと、やっぱり猪木!!なんだなぁ<やっぱり他のどのレスラーも真似出来ない…いや真似しないプロレスは猪木だからこそでしょうね。

場外乱闘、乱入多発の両者リングアウトや反則勝ち、反則負けが多ければ、もはや問題はボック戦のそれ以前<ジャンボはジャンボで素晴らしいレスラーでしたし、昭和全日本の世界観もあれはあれで素晴らしかった。
ただ、私や流星さんみたいなファンの周波数には引っ掛からなかったと言う事ですよね。

猪木がどんな相手と戦ってもファンを引きつけることができたのは、まさにここ<両者リングアウトすらもドラマにした部分ありましたしね。
シンやハンセンなんてあれだけの回数闘って、それでもファンを飽きさせなかったんですから、やっぱり凄いですよ。

No title

始めに「ウィキぺディア」から拝借したネタが有ります。

当時(70年代~80年代半ば)の全日本は「アメリカプロレス」スタイルだったそうで、両リンや反則勝ち、負けはよくある事で。
鶴田さんはボックのスープレックスを見てショックを受けたのでしょうか。
あの投げ方は対戦相手にフォールを充分に取れるのでは無くて、対戦相手を怪我させる投げだと。プロレスの範疇を超してるから。
鶴田さんはジャーマンを封印した理由について、「腰のバネで投げるスピードを調節してるんです。もし、僕が何も考えないで投げたら、相手が怪我しちゃいますよ」と語ってたそうで、鶴田さんの腰のバネを持ってすれば、ボックのような投げ方も可能だが、そうなると、対戦相手に悪いし観客が納得するかどうかで、ちょっと優しくした感じかな。
ボックのダブルアームは叩きつけるで鶴田さんのダブルアームは放り投げると全然違いますし。

鶴田さんのパワーボムは天龍選手の「喉笛チョップ」が伏線に成ってます。余りにもチョップを連打する余り、キレた若しくはスイッチが入ったか。
鶴田さんは三沢さんや川田さんのえげつないエルボーやキックの連打を喰らい、反撃に転ずるとエグイまでの攻撃したのをビデオや動画で見たような・・・。更にゴングでビッグ・ブーバーの得意技「アッパーブロー」が鶴田さんの口に入ったら怒ってしまい、ジャンピングニーから強烈なレッグロックで勝ったと書いてました。
チョップに怒った鶴田さんが報復で無意識に天龍選手の必殺技「パワーボム」をお返しにしようとしたが、如何せん今まで一回もパワーボム使ったことが無いから、掛け方を知らずに決めてしまい猪木さんがモンスターマンに決めた状態に近い当たり方になった訳で。
鶴田さんは「つい本気でやってしまった」と同時に「何で一度も使った事の無い技を決めてしまったのか?」とも思ったのでしょうか?。

何だか長々と鶴田さんの事を書いてしまいすいませんでした。

猪木さんとボックはかみ合う部分が有ったのでしょか。
「ストロングスタイル」とボックの「シュート」と。

>通り菅井さん

あくまでも私感で書かせて頂きます。

当時(70年代~80年代半ば)の全日本…両リンや反則勝ち、負けはよくある事<全日に限らず、新生UWFが成功するまで、そういった結末は慣例だったんですよね。

鶴田さんはボックのスープレックスを見てショックを受けたのでしょうか<プロに入って最初に教わったのがドリーですから、それもあったのかも知れませんね。

「腰のバネで投げるスピードを調節してるんです。もし、僕が何も考えないで投げたら、相手が怪我しちゃいますよ」と<怪我をさせてしまう…これジャンボに限った話じゃないと思います。
ボディスラム一発でも落とし方でカ●ワに出来るのがプロレスラーなんですよね。

余りにもチョップを連打する余り、キレた若しくはスイッチが入ったか<それについても、天龍の“受け”があって結果そうなってしまった訳ですから、スイッチが入った事だけを拾って「鶴田凄い」とはならないはずなんですよね。
むしろそういう状態で大怪我しない天龍の丈夫さ…こっちが凄いかと。

掛け方を知らずに決めてしまい猪木さんがモンスターマンに決めた状態に近い当たり方になった<これは決定的に違いますね。
むしろ第一回のG1優勝戦で蝶野が武藤を倒したアレに近いんじゃないでしょうか?

「ストロングスタイル」とボックの「シュート」と<これ逆の立場だったらどうなってたでしょうね…本当にいろんな妄想が尽きない試合ですよね。

アントンリブ

プログで 力道山で 検索中です。今 動画で 力道山を 観ていました
アントニオ猪木世代の私です。猪木は 強いですね。

>村石太レディ&松下&本田&豊田

お久しぶりです。

プログで力道山で検索中…動画で力道山を観ていました<力道山記事は驚くほど少ないので…お許し下さい。

アントニオ猪木世代の私です。猪木は強いですね<強いだけじゃなく美しいですよね。

プロレス同好会(名前検討中

ウェーブで 村石太 検索 で 検索中です
猪木さんは 美しいのですね。わかるようで わからないかもしれない 
その昔 猪木さん伝記 漫画 を 読みました。かっこいいです
私です。実は 私 プロレス 詳しくないです。
ドラゴンゲートと女子プロレスを 観に 行ったのが 合計2回です。

>プロレス同好会(名前検討中さん

村石太…さん?
お久しぶりです。

猪木さんは美しいのですね<甲本ヒロトばりの感性をお持ちですね!!

実は私プロレス詳しくないです<検索させて頂くと…かなり神出鬼没!! というか、いろいろな方面にお詳しいんですね。
また気が向いた時にお待ちしております。
紫レガとは?

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Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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