欧州“殺し”紀行~zwei~(1978)

einsからのつづきです。

過密スケジュールの中で、

西ドイツに到着したアントニオ猪木に待っていたのは、

信じられない位のビッグネームとの連戦でした。

その初戦、11.7(※以下全て現地時間) 西ドイツ・ラーベンスブルク・オーバーショワルツェン・スタジアムの相手は、

2年前に格闘技世界一決定戦で激闘を繰り広げた(参照:そっちの土俵、こっちの土俵)、

“ミュンヘン五輪柔道93kg超級&無差別級金メダリスト”ウィリエム・ルスカです。

既に2度の格闘技戦を初め、

攻略し尽してる相手ですが、

長旅による体調不良の影響もあって、

「早めに仕掛けた」猪木は、

5R、一本背負いからバックドロップでピンフォール勝ち。

しかし初っ端から思わぬ重傷を負ってしまいます。

アントニオ猪木50Years (上巻) (B・B MOOK 664 スポーツシリーズ NO. 536)
 アントニオ猪木50Years(上巻) より

新間
「食事もしないでギリギリで会場に入っていくのばっかり。それはいいんだけど第1戦からとんでもないことになった。猪木が受け身の取れない投げられ方をして、右肩を亜脱臼しちゃった。ヨーロッパには整骨医なんていないから大変なことになった。それで電気マッサージみたいな器具で毎晩マッサージ。猪木は疲れて寝ちゃってね」


その理由は、

ヨーロッパ特有のリングの構造にありました。

この遠征にボディガードとして同行した、

藤原喜明は後に証言しています。

藤原
「あれ、板を敷いてシートとの間におがくずが敷かれていたんだ。だから1試合、2試合ってやるうちにおがくずが寄っちゃって(キャンバスが)デコボコになっちゃうんだよ。おがくずが移動したところは板場のまんまだわ」


猪木の登場はメインですから、

当然おがくずは移動しきっている訳です。

さらにプロモーターでもあるローラン・ボックと対戦した2戦目、

11.8 西ドイツ・デュッセルドルフ・フィリップスホール大会で、

最初の“仕掛け”に遭います。

 アントニオ猪木引退記念ファイト縮刷版 より

二ラウンドにヒヤッとさせられるシーンがあった。いきなりバックに回ったボックが力まかせにフルネルソン、そのままの体勢で猪木の顔面、胸をキャンバスへ叩きつけたのだ。猪木は受け身もとれぬ状態でこの猛撃をもろにくって脳しんとうを起した。

猪木の話 あの体勢で、しかもうしろから凄い力でねじ伏せられたのでは身動き一つとれない。無論、わかっていながら受け身など出来なかった。これはプロレスの“ルール”に反する。あれではレスリングでなく殺しだ。(略)ゴッチが毛嫌いした通り、あいつはレスラーではなく殺人者だった。


後にI編集長の代名詞となった“殺し”。

そのキーワードが思わず出る位に、

猪木はボックにただならぬ殺気を感じたのでしょう。

まさに身体はボロボロです。

 アントニオ猪木の証明―伝説への挑戦 より

猪木
「リングなんて板の上にシート敷いただけですから、それこそスープレックス一発が必殺技になっちゃうんですよ。(略)一回投げられたら腰が痺れて…。『受ける』なんてとんでもない、それどころか、延髄斬りのあと着地したときに、自分がヒジとかヒザにダメージを受けちゃってね。肩も外しちゃったし、ヒザも打撲でやられてひどい状態でしたね


そんな中で準備期間もなく、

猪木は格闘技世界一決定戦を敢行しています。

1978年11.9 西ドイツ・フランクフルト・フェストホール

アントニオ猪木vsカール・ミルデンバーガー
です。
アントニオ猪木vsカール・ミルデンバーガー

最悪のコンディションに加えて、

ボクシンググローブ着用というハンデを背負い、

途中ミルデンバーガーのラッシュで、
ミルデンバーガーの猛攻に、

ダウンを喫しながらも、
猪木ダウン

完璧な延髄斬りから、
一発逆転の延髄斬り!!

“対ボクサー兵器”のボストンクラブで快勝。
とどめはボクサー殺しのボストンクラブ

ヨーロッパのファンに“KILLER INOKI”の強さを見せつけました。
勝利のダー!

苦戦を制した猪木は、

セコンドの藤原と勝利を分かち合います。
セコンドの藤原と共に喜ぶ猪木

そもそも当初の予定では、

この日の対戦者は、

“東京五輪レスリング・グレコローマン・ヘビー級金メダリスト”ウィルフレッド・デートリッヒのはずでした。

しかし直前になっての変更。

しかも急遽決行されたグローブを着けての格闘技戦。

持ち前の勝負強さでクリアした猪木でしたが、

過酷な欧州ツアーはまだ始まったばかりです。

dreiにつづきます。

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tag : アントニオ猪木 カール・ミルデンバーガー ローラン・ボック 藤原喜明 新間寿 格闘技世界一決定戦

comment

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No title

はぁ~~~(疲)
読んで ためいき・・・
よく 戦ったよね~~イノキ・・・。
さすがです。 それ以外の言葉が見つからない。

当時の状況なんて 知らないし・・・。

勝って 当たり前!! なんて 思ってましたもん。
すんませんっしたっ。

>ケロさん

深く読み入って頂きありがとうございます。

よく戦ったよね~~イノキ・・・。さすがです<まだまだ信じられない事が出て来ますよ~。本当に「行けばわかるさ」というか、行ってもまだわかんない世界に飛び込んじゃうんだもんなぁ…。

すんませんっしたっ<いやいや世の中わからない事だらけですよ。本当に。
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