宮戸語録 vol.18~K-1論~

現在、IGFのリングにおいて、

一躍主役の座に踊り出んとしているのが、

ジェロム・レ・バンナらのK-1ファイター達。
バンナの意気込み

彼らは不本意な形でホームリングを離れて、

猪木のもとへ集結した訳ですが、

プロレスリングのルールにおいて、

K-1でのいでたちそのままで闘う姿に、

現場部長である宮戸優光は何を思うのでしょう。
宮戸優光②

宮戸が現場に復帰する遥か以前に、

正道会館・石井和義館長の指揮の下で、

当時全盛期を誇っていたK-1の世界を、

語っていたインタビューがあります。

そもそもK-1という格闘競技と、

石井館長という人物に対して、

宮戸はどういう印象を持っていたのでしょう。

必殺プロレス激本 VOL.5 (双葉社ムック 好奇心ブック 44)
 必殺プロレス激本 VOL.5 より

宮戸
「たとえば、K-1ってあるじゃないですか。K-1とタイ式のルールを比べたら、K-1のほうがゆるいんですよ。組みがないし、ヒジもない。だけど、少なくとも今は、K-1のほうが人気がありますよね。だから必ずしも、ルールを究極に持っていったほうが人気が出るのかというと、そうではないわけですよね。もし、究極でいくなら、タイ式みたいなものを持ってきたほうがいいはずなんですから」

「それで、さらに言うと、そのK-1よりも、手だけでやる国際式のほうが、もっと世界的に認知されてる。その辺のルール設定は難しいし、石井さんはそれなりの考えをもってやられたということなんでしょうね」


これはプロレスや他の格闘技と比較したコメントなのですが、

当時脚光を浴びつつあった、

PRIDE、バーリ・トゥードへの警笛なんですね。

どんどんどんどん過激化する、

総合格闘技のルールについて、

殺し合いや喧嘩に近づく事が、

決して進化という事ではないという、

宮戸流のアンチテーゼです。

そのさじ加減の絶妙さが非常に難しく、

それを実践していた石井館長に、

宮戸は敬意を払っていました。

二人の唯一の接点はたった一度だけ、

1995年末の『K-1ヘラクレス』で、

パトリック・スミスとのアルティメット戦に臨んだ、

田村潔司のセコンドとして一夜だけ現場復帰した、

名古屋レインボーホールのバックステージです。
パトスミ戦

U.W.F.最強の真実 (BLOODY FIGHTING BOOKS)
 U.W.F.最強の真実 より

宮戸
試合直前に会場でK-1の石井和義さんに呼ばれて、「Uインターの人間から宮戸をセコンドにつけないようにしてくれと言われたんだけれども、私としてはやはりファイターが自ら選んだセコンドなわけだから、そこを邪魔する権限はないと思っている。私がいくらK-1を仕切っている立場だからと言って、ファイターの邪魔はするつもりはないから」と伝えられた。
私は石井さんに「僕としては、そんな出しゃばってリングに上がって自分の存在を見せたいわけではありませんから」と率直に言った。それがあの時の正直な気持ちだった。その気持ちは石井さんもすぐわかってくれたようで、「そうですか。Uインターから一応そういう話がありましたので、私はお伝えだけはしなければいけなかったので、気を悪くされないでください」と気を使ってくれた。
それを聞いた時、頭にくるというよりも、ちょっと情けなかった。(略)いったい何を怖れているのか、そんなに俺が怖いのか…。それよりタムちゃんは、今どうであっても、まだUインター所属選手ではないのか。その邪魔をするのか…。逆に石井さんはさすがだと思った。


当時、宮戸はUインターを離れ、

一料理人として中華の修行に励んでいました。

そんな中、団体内で孤立していた田村が、

セコンドとしてすがったのが、

“最強の参謀”ともいえる宮戸でした。

Uインターとしてみれば、

新日との対抗戦に背を向けた二人は、

“裏切り者”で、

その二人が団体に頼らず、

力を合わせて大一番に臨むのが、

面白くなかったのでしょう。

そして宮戸はこの時の印象から、

世間が見ていた石井館長のダーティな顔とは異なる、

一空手家としての純粋な面を見つけたのです。

必殺プロレス激本 VOL.3 (双葉社ムック 好奇心ブック 35)
 必殺プロレス激本 VOL.3 より

宮戸
「K-1には、少なくとも石井さんの愛情を感じる。だから成功して当たり前だと思いますよ。だから逆に、レスリングの興行には進出しないと思いますよね。なぜなら、空手というものに思い入れがあるだろうから。(略)自分に愛情がないものを手がけたときにどうなってしまうかをわかってるでしょうし。他の格闘技を肥やしにすることはあるかもしれないけど、そっちに出てくことはないと思う」

(当時の安生、長井のK-1挑戦には)石井さんは少なくとも肥やしとしか思ってないでしょうね。というか、自分が愛情を注げるものにはたっぷり注ぐ、そうじゃないものには、ということでしょう。(略)彼を商売人という人もいるけど、ものすごく純粋なものも感じますよね」


石井館長は後に『WRESTLE-1』という、

大型のプロレスイベントにも着手しましたが、

思った様な結果が出たとは言い難いと思います。

それはやっぱり宮戸が言う“愛情の差”であって、

館長が一線から退いた後のK-1が、

坂道を転がり落ちていくのも、

また宿命だったのかも知れません。

そして現在、

あの時のK-1にとってのプロレスラーの様に、

IGFがK-1戦士を肥やしにし切れていないのが、

宮戸にとっては歯がゆい部分でもあると思います。

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tag : 宮戸優光 石井和義 K-1

comment

Secret

No title

「自分が愛情を注げるものにはたっぷり注ぐ、そうじゃないものには、ということでしょう。」
純粋な部分が似ている成功した商売人もおります。ガラクタ製品でも話術で売り捌いていると思われがちなタカタ社長は、自身で確かめて気に入った思い入れのある製品の良さを視聴者にも分かる様に紹介しているだけでダメ製品は宣伝も販売もしないと言ってました。

何かを作る上で大丈夫なのは、そのモノをよーく知っている人が愛情を込めて育てるのがなによりですよね(^^)

いくら優秀な種でも、いい水をあげても、そして肥やしがよくても・・・そのモノをよーく知っている人が愛情を込めて育てなければ台無しです。まして間違った肥やしなんか使ってたらどうでしょうか・・・

ボクらも、歯がゆいですよねぇ(T_T)

訂正!!

すいません!!コメントの
“何かを作る上で大丈夫なのは”

ごめんなさい!!

“大切なのは”

と入れたかったのに

“大丈夫なのは”

と入れてしまいました(T_T)

>病弱者さん

タカタ社長は、自身で確かめて気に入った思い入れのある製品の良さを視聴者にも分かる様に紹介しているだけでダメ製品は宣伝も販売もしない<石井氏にも言えるのですが、世間の大多数が“金の亡者”的な見方をしていながらも、その実、私欲の為に使う金は驚くほど少なくて、会社やジャンルを回していく資金にしていたということですよね。
まぁ石井氏の場合はそれが法律を超えてしまったというのが問題だったんですが。
今後、格闘技界でそういうお金の使い方はもう不可能になってくるでしょうか。

>流星仮面二世さん

何かを作る上で大切なのは、そのモノをよーく知っている人が愛情を込めて育てるのがなにより<そこが基本でしょうね。日本人の。

愛情を込めて育てなければ台無し…まして間違った肥やしなんか使ってたらどうでしょう<よそはどうでもいい、うちが大きくなる!…の気概で昭和の二大団体は競って互いに大きくなって行ったと思います。
運動会じゃないけど、やっぱり仲良く並んでゴールじゃ繁栄する訳がないですよね。

No title

石井館長が刑事ザタ に なって 
びっくり!!したのを 覚えてます。
そんなこと するような人では ないと
おもっていたので。
レガさんのコメみて ちょっと安心・・・。

プロフィールの写真 よいですわ~~。

>ケロさん

そんなことするような人ではないとおもっていたので<でもやっぱり武の道の人間だなぁ…と思うのは、刑務所内での生活ですよ。すぐに模範囚みたいな存在になったそうです。
そしていろんなジャンルの犯罪者の中で、すぐボス格に納まった、と(笑)。

プロフィールの写真<あ、これ暫定的なアレですんで、すぐに変えたいと思ってるんですよ。
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