高田の馬場論

ジャイアント馬場のプロレス哲学を表した名言の中で、
馬場さんには感情表現を教わる

忘れられないのが一つあります。

曰く、「シューティングを超えたものがプロレスだ」

この場合のシューティングというのは、

もちろん競技としての修斗ではなく、

発言した当時に“シューティングプロレス”を謳っていた、

UWFスタイルの事です。

強さを最重要視した猪木流のプロレスと一戦を画した、

馬場流プロレスを否定した関係者も居ましたが(参照:櫻井さんの馬場論)、

現役のプロレスラーとして…ある意味、猪木以上に、

業界の大先輩を真っ向否定したのは、

高田延彦だけだと思います。
ゲストは高田

旧UWF崩壊時には馬場さん自らが、

前田日明と共にスカウトに乗り出した高田でしたが、

時が経ち、

Uインター時代のテレビ出演時(参照:追悼チョメチョメ幻の“真”格闘技世界一決定戦~第二章~)には、

高田は公共の電波で何度となく、

馬場さんの存在そのものを攻撃しています。



『新伍&紳介のあぶない話』(1994)
新伍&紳介のあぶない話

山城「俺はね、一つね、不思議に思ってる事がある。これ真面目に考えてね、馬場さんが(通算)6000勝以上されてるでしょ? ずーっとね」
山城氏と高田1

高田「あ、そうなんですか?」

山城「千代の富士がね、1000勝して国民栄誉賞もらう。6000勝の馬場さんに何で国民栄誉賞やらんの?(笑)」

高田「馬場さんの6000勝と比較しちゃ、横綱怒るんじゃないすかね?(キッパリ)」
山城氏と高田2

山城「また、よう業界の先輩に…(笑)」

山城氏と高田3



『HERO'Sバー』(1995)
HERO’S バー

MC「ジャイアント馬場は確か今年で57歳(※放送当時)…になるじゃないですか?」
HERO'Sバー1

高田「そんなもんでしたっけ? もっと行ってると思いました。80ぐらい…」
HERO'Sバー2

MC「フハハハハハハ…」
HERO'Sバー3

高田「違いましたか? そういう風に見えたんで」

MC「あんまり高田さん評価してないですね。…まだ現役ですね?」

高田「やっぱり…素晴らしい伝統工芸…伝統工芸じゃない(笑)」
HERO'Sバー4

MC「アハハハハハハ…」
HERO'Sバー5

高田「伝統…何でしたっけ?。伝統…芸能か。もう出て来るだけで湧いちゃうっていうか、お客さん喜んじゃうんですから。足上がりゃあ納得するっていう」
HERO'Sバー6

MC「でもそれスポーツであるかどうか? っていう疑問出てきますね」

高田「ええ、そうっすね。スポーツなのか娯楽なのかっていう。僕らはスポーツだって思ってないです。スポーツは技術を鍛えて、磨いて…技術でぶつかり合うっていうのがスポーツだから」

HERO'Sバー7



格闘技としてプロスポーツとしての、

プロレスリングに誇りを持っていた高田が、

日本人にとっての、

その象徴ともいえる馬場さん自体を、

認めていなかった訳です。

さらに決定的だったのは、その数年後、

PRIDE.1での、

ヒクソン・グレイシー戦で高田が歴史的敗北を喫した時です(参照:顔を見る、感情を見る。第一歩)。

当時、馬場さんは度々高田を口撃しました。

中でも痛烈だったのはこれです。

 サンデー毎日 98.5/10、17合併号 より

馬場
「ヒクソン・グレイシーは知っていますよ。この間、レスラーを辞めて何かの技を研究しだしたのか高田っていうのがいますけれどもね、自分の名前を売りたい、芸能人になりたい、という人がヒクソンと試合すること自体、僕は感心しませんね。ヒクソンとやるために毎日練習しているんだったら理解できます。でも芸能人になりたい人たちが、格闘技戦に出場するなんて、一生懸命レスリングを勉強している人たちが迷惑すると思うんですよ」


いくつか「…?」という部分もありますが、

とにかく高田の挑戦自体を否定した訳です。

これには高田も怒りました。

 紙のプロレスRADICAL No.12 より

高田
「芸能人になりたい気持ちなんてね、『お前の1万分の一ぐらいだ』って。あんたはナンやねん!と。自分のことを棚に上げて人のことを言うな!って。ダメだ、あんなの許してちゃ。あんなのにいつまでも拍手を送ってるからマット界はダメなんだよね。だからね、高田の“た”の字も言われたくないよ。言うんだったら本人の前で言えよ。(略)な~にが『シューティングを超えたものがプロレスである』だよ。お前やったことがあんの? やったことがあるヤツが言うならいいわ。なんにもやってないのに偉そうなことを言うんじゃないって。それを支持する人がいるからダメなんだよ」

(馬場さんが総合格闘技に)出ていきゃいいのにね。“世界の巨人”なんだから(笑)。見せてもらいたいよね、その“越えたモノ”っていうものを。口で勝負するんじゃなくて肉体で勝負しないとね。近頃、馬場の言ってることが、ちょっと格のあるお坊さんが言ったことのように聞こえて、大事に大事に受け止めちゃう人がいたりするんだよね。あの人の生き方を見てみりゃあわかるんだから」


大人気ない…と言ったらそれまでですが、

この本気の、

本音のやり取りにも、

プロレスを感じる事が出来たなら、

二人の論争も無駄じゃあなかったと思いますね。



ここからは得意の妄想ですが、

もしも1996年に噂された、

全日とUインターの対抗戦が実現していれば、

全日マットで馬場さんの前に立った高田は、

後の高田総統なんて比じゃない位の、

スーパーヒールとして迎え入れられてたのではないでしょうか?

とにかく確実に日本マット史を変えていたでしょう。

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tag : 高田延彦 ジャイアント馬場

comment

Secret

ある意味アントニオ猪木も、リアルよりリアリティを求めるという発言から

リアリティを求めるプロレスは、リアルである総合より上だと言ってたのではないでしょうか。


馬場は自分を棚に上げたような発言をしているみたいにもとれますが、自分や高田の様な人間が、ああいう場所に出るべきじゃないって言いたいんじゃないですかね。

まあ馬場も、あの場に上がる高田を認めてやるべきではありましたが

No title

その道を究めた達人に他分野の人が真剣勝負で挑んだら勝てない、例えば、元全日にいたヘイシンクに柔道で輪島さんに相撲でプロレスラーが真剣勝負したら結果は判るだろう的なことを馬場さんは言いたかったのではないでしょうか。高田さんが絶頂期に「Uインタールール」でヒクソンと真剣勝負していれば多分高田さんが勝ったと思いますから、有名格闘家をプロレスに懐柔して骨抜き状態にしてきた敏腕プロモーター馬場さんとしては高田さん側が有利となる状況にヒクソン側を引き込めなかったのが歯痒かったのでしょう。

No title

昔、力道山の頃から見ているプロレスファンの先輩に、馬場さんのこの話の意味を聞いてみたら
「大昔はプロレスはシュートばっかりだったんだけど(伝え聞く2~3時間の激闘など)時が経つにつれて興行としてなりたたなくなったり”整備”されてきたので、いわゆる『プロレス』という形になったのね。
馬場から言わせれば『昔から進化したものが今のプロレス』だから、そういう意味なの」
と言ってました。

形は違いますが、目潰し・噛み付き以外はOKという初期アルティメットから、今のようにルールが大きく整備されたMMAになってるようなものなのかなと最近思ってます。
だからきっと、ヒクソンや古いグレイシー一族から言わせると今のMMAは「UFCは闘いではない、MMAを越えたものがアルティメット」となるのでしょう(苦笑)
当然、アンデウソンなどの現王者からすれば「ふざけるな」となりますよね。

No title

当時、高田の馬場批判に快哉を叫んだ一人です。

馬場が河津掛けの『掛け』を省略しても、相手と観客がそれを許したりするから、プロレスが組体操になっちゃうんですよ(怒)。

当時の全日本ファンは新日本以上に他団体に厳しかったから、対抗戦が起きたら凄いまでのブーイングの嵐だったでしょうね。
打撃に対応出来ても関節技に対応出来たのかな?。高田VS天龍の試合の様に。
そういえば、山崎一夫さんがフリーに成って、新日本に参戦していた初期の頃に プロレス雑誌かな?のインタビューで新日本でIWGPのシングルベルトを獲得したら、全日本に参戦したとか何とか言ってたような・・・。今ひとつ覚えていませんが。まあ、それは叶わかったけど。

>名無しさん

リアリティを求めるプロレスは、リアルである総合より上だと<猪木の場合はボーダレスというか、プロレスと総合格闘技の線引きすら定めていませんからね。

自分や高田の様な人間が、ああいう場所に出るべきじゃない<あぁ、そういった見方は気付きませんでした。
『自分の目の黒いうちは誰も総合に出さない』というのは長州のセリフでしたが、馬場さんは無言のうちにそれを実践していた訳ですね。

馬場も、あの場に上がる高田を認めてやるべきではありました<その辺は力道山道場生の意地なのか? それとも違った次元の話なのか?
認めなかったところが全日流の“王道”だったんでしょうね。

>病弱者さん

ヘイシンクに柔道で輪島さんに相撲でプロレスラーが真剣勝負したら結果は判るだろう的な<「プロレスはプロレスである」も馬場さんの発言でしたっけ?
当時は都合の良い言い回しだな、と思っていましたが、実は深いですよね。

有名格闘家をプロレスに懐柔して骨抜き状態にしてきた敏腕プロモーター<その辺も岩釣兼生氏とのエピソードを思い出すと馬場さんのプロレス哲学が見えてきますよね。
一方の猪木も水谷征夫氏とのいきさつを思い出すと…やっぱりプロレスって面白いですよね!!

>ジョーカー ナリさん

馬場から言わせれば『昔から進化したものが今のプロレス』<そこですね。
馬場さんからしてみれば、進化に進化を重ねた物が四天王プロレスだったでしょうし、雑誌の企画で来日してそれを観て、異を唱えた鉄人テーズ。その時に再会してスネークピットの立ち上げを決意した宮戸…プロレスって全てがつながっているんですよね。

古いグレイシー一族から言わせると今のMMAは「UFCは闘いではない、MMAを越えたものがアルティメット」<面白いですよね。
ヒョードル最強説の真っ只中でもヒクソンは上から目線で評論していましたからね。
形を変えたイデオロギー闘争でしょう。

>スパさん

当時、高田の馬場批判に快哉を叫んだ<Uインターを観ていた人間に取っちゃ馬場さんの一言は憎しみの対象でしかありませんでした。
あとは何度か書いてきましたが、ゲーリー全日移籍後にスープレックスが痛め技になってしまった件。

相手と観客がそれを許したりするから、プロレスが組体操になっちゃう<「16文キックは、まるで大きな足に吸い寄せられるように…」って催眠術みたいな事になってましたもんね(笑)。
それでも当時は「馬場さんだから許される」的なアレでしたが、今じゃほとんどの攻防が催眠術なしには成り立ちませんからね(怒)。

>通り菅井さん

当時の全日本ファンは新日本以上に他団体に厳しかった<確かに!! 一見さんを寄付けない様な空気ありました。
友人と三沢vs田上を観に行って、途中でトイレ行ったら2階後方の立ち見客に睨まれましたからね(笑)。

山崎一夫さんがフリーに成って…新日本でIWGPのシングルベルトを獲得したら、全日本に参戦した<言ってましたね。
IWGP取ったら、試合後にリング上にベルトを置いて、全日に三冠取りに行くって…政治的なアレは別にして夢がありましたよね。

何が正しいなんてない!

馬場御大の言ってることも その通り。

高田が言いたいことも その通り。

みんな違ってみんないい (by 金子みすず)

そんな オチで どうでしょ?

あたしにゃ 深すぎて よう分からんのです(笑)

三沢が馬場の高田に対する答えで、高田総統が高田の馬場に対するアンサーになっているような…。

>ケロさん

まとめて頂き、ありがとうございます(笑)。

プロレスについて語り合うと言うのは、本当に至高のひとときですなぁ…、

いいえ、誰でも(by 金子みすず)…って違うか(笑)。

>BKっち

三沢が馬場の高田に対する答えで、高田総統が高田の馬場に対するアンサー<なるほど…そういう事でしたか。
という事は高田にとっての総統は皮肉だったのかなぁ…自虐と言うか。
やっぱりハッスルは好かんですたい。

ちょっと無理矢理過ぎましたね…。

>BKっち

いやいや!! その無理矢理を理論付けしてこそのBKっちでしょ!!

No title

こんばんは!お久しぶりです。この馬場と高田の攻防はとても印象強いです。理由はあれど、プロレス界ではそれなりの地位を持っている馬場に対し、高田の口撃はインパクト大でしたよ。

金原弘光がツイッターを始めたそうで、ちょこっと覗いてみたら「よし20周年記念興行は一夜限りのUWFインター復活だ。まずは帝王に相談。ただ、皆、個性が強いんだよなぁ!」よコメしてます。実現して欲しいですね!

>H.Tさん

こんばんは。本当にお久しぶりですね。

高田の口撃はインパクト大でした<ここまで言う人間は馬場さんの周りにはいませんでしたからね。当然っちゃ当然ですけど。

金原弘光がツイッター…「よし20周年記念興行は一夜限りのUWFインター復活」<いつもながらですが、まず無理でしょう(笑)。今だからこそ、あのルールでの試合は見たいんですけどね。

それにして金原ももう20年ですか…
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Author:紫レガ 
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