神様が降りて来た夜(1992)

高田延彦が最高に輝いた試合。

プロレスファンそれぞれに、

色々な評価の仕方があるでしょうが、

90年代のファンならほとんどの方が、

この試合を挙げる事でしょう。
高田vs北尾調印式

それは1992年10.23 日本武道館

格闘技世界一決定戦

高田延彦vs北尾光司
です。
「よおーーーしっ!!」

まだロングガウンよりも、

Tシャツで入場する方が多かった高田。
高田入場

直前で変更された3分×5Rという試合形式。

間違いなく引き分けになるであろう様々な条件の中、

高田は威風堂々と、
恒例のガン付け

プロレスの怖さを叩きつける為だけに、
高田の睨み(vs北尾)

札止めの武道館のリングに立ちました。
ゴング前の握手

この試合におけるリング下の駆け引きや、

後に語られた真相については、

過去記事をご覧下さい(参照:10月最後の夜に…カタルシスを)。

今回は試合内容を振り返りたいと思います。
高田延彦vs北尾光司

試合開始。

アップライトから軽いフットワークで身構える高田に、

北尾は独特の空拳道の構え。
高田は軽いフットワーク、北尾は独特の構え

硬さがない高田は、

探る様にローキック2発から入ります。
軽い左のローを数発

そして前蹴り。
前蹴りも効かない

効果はありませんが、

この時点で北尾の打撃に対する防御力を、

既に見切った様子で、

徐々に腰の入ったローに切り替えます。
ロングレンジは北尾の距離?

距離も詰めて膝上にクリーンヒット。
初めて左ローがクリーンヒット

フェイントも織り交ぜながら連発していきます。
フェイントからの左ロー

意識が下にいってる所へ、

突然ソバット。
ソバットは顔面をかすめる

1R終了間際には左ハイキック。
1R終了間際に左ハイ

どれも北尾のガードが追いつきません。

インターバルを挟んで2R開始。
2R開始

少し余裕の出た高田は、

敢えて体格差のある北尾と組みに行きます。
手の探り合いから、

ここを待っていた北尾は、

一気に距離を詰めての膝蹴りから、
初めて北尾が膝蹴りから、

軽量の高田を軽々と高角度の裏投げ。
高角度裏投げの連続攻撃

しかししっかり受け身を取った高田が、

逆に上になって十字を狙います。
しかし上になったのは高田、

リング中央で力を込めますが、
十字に行くが、

北尾はかいな力で耐ながら、

巨体を転がしてエスケープ。
巨体を転がしてエスケープ

もう実力差は明白です。

再び高田はローキック地獄に行きます。
再び左ローから

足の止まってきた北尾に、

2発目のハイキック。
2発目の左ハイキック

一発目もそうですが、

この左ハイは打ち抜いていません。

これがフィニッシュへの布石となったのでしょう。

もう一度組み合うと、
組み合うと北尾有利、

力任せに北尾はがぶって潰しに行きます。

しかしそこから何もないまま2R終了。
がぶって上になるがそこからの攻めがない

インターバル中の高田陣営。
鉄壁のセコンド陣

一人一人の選手が分担して高田をケアしています。

まさに“鉄壁”。

さぁいよいよ運命の3Rです。
そして運命の3R

またもローから入る高田に、

北尾は食うのを承知で蹴り足を捕りに出ます。
右ローから

2発目は離れた高田を追って来ます。
2発目のローを捕えきれず追って来た北尾

完全にローの蹴り足しか頭にない所へ…
ハイキック1

ハイキック2

ハイキック3

ハイキック4

ハイキック5

カウント10!!

北尾は起き上がって来ませんでした。

一斉にリングに雪崩れ込むUインター勢。
高田激勝!!

北尾にとって生涯初の衝撃です。
ダメージの大きい北尾

若手が作った騎馬に乗って、

高田は快心のガッツポーズ。
神輿に乗る高田

高田
「あの、凄く怖かったんですけど、えー、インターと、応援してくれるファンの為に…勝ちました!! 誰の挑戦でも受けます!! 誰の挑戦でも受けます。待ってます!!」

「誰の挑戦でも受けます!!」

いわゆる“好試合”と呼べる内容ではないですが、

この試合は日本のプロレス史に残る“名勝負”だったと、

私は今でも思っています。

そして、後に宮戸優光は、

当時をこう振り返っていました。

U.W.F.最強の真実 (BLOODY FIGHTING BOOKS)
 U.W.F.最強の真実 より

宮戸
試合後、「俺たちにはプロレスの神様がついているのかも」と言って私と安生さんは抱き合って、高田さんの勝利を喜んだ。本当に“奇跡”のようなハイキックだった。


まさしくこの日の武道館は、

プロレスの神様が降りて来た夜だった訳です。



さらに、この試合には、

プロレスが内包している様々な物が、

凝縮されていたと思います。

勧善懲悪、ダブルクロス、ハッピーエンド…

当時も今も諸説“真相”が追求されて来ました。

高田自身も『泣き虫』の中で、

試合前に約束があった事を明かしています。

ただし文字通り、神がかりとも言える、

「“奇跡”のようなハイキック」が炸裂した瞬間は、

まぎれもない“シュート”であり、

“真実”を凌駕する“事実”が、

そこにはあったと思っています。

以前も書きましたが、

日本プロレス史の序章に、

力道山vs木村政彦が存在している以上、

この“事実”こそが“真実”以上なのです。

関連記事

tag : 高田延彦 北尾光司 格闘技世界一決定戦 宮戸優光

comment

Secret

スーパースター誕生

こんばんは。

この試合の結果はネットもCSもない時代だったので、翌日の日刊スポーツを緊張しながら開き『高田、KO勝利』と見た時は狂喜しました。ビデオも買い何度も泣きました。

ヒクソン戦もこの再現を期待しました。事実、当時の煽りCMにこの時のマイクを何度も使っていたので。

泣き虫を読んで複雑な気分には、なりましたけど、それでもこの試合は私の中では全く色褪せることはありませんでした。

ヒクソン戦でも言えますが、高田と同世代のプロレスラーでこういったジャンルを背負った試合をしたのは高田だけだと思います。

誰が何と言おうと90年代最高のプロレスラーだったと思います。

No title

記事内容と少し外れますが、通販限定の高額な福田祥円著「空拳法教範」を所有していました。内弟子で5年ほど修行すると超人的な格闘能力が身に付けられるいう何とも胡散臭い内容が書かれていたのですが、今ほど情報もない高田戦当時は北尾が空拳法の途方もない必殺技をやらかしてくれるのではないかと内心期待していました。
後で調べたところ「空拳道(北尾)」はプロ空手発祥、「空拳法(カシン)」は
中国拳法の一流派という名称が似ている以外無関係でした。共通点があるとすれば、どちらも当時の格闘技術にローキック対処法はほとんどなかったと思われることです。

>aliveさん

こんばんわ。

翌日の日刊スポーツを緊張しながら開き<全く同じでしたよ!! さらに翌々日に(当時)2日遅れの東スポ買って、週末に週プロ買って…懐かしいです。

泣き虫を読んで複雑な気分には、なりましたけど<Uインターのリングであった以上は単純なダブルクロスの一言じゃ終わりませんよね。

こういったジャンルを背負った試合をしたのは高田だけ<そうなんですよね。そういう意味では猪木の継承者…いや外に出て行ったという事じゃ猪木以上の部分もありますよね。

>病弱者さん

福田祥円著「空拳法教範」<ちょっと調べてみましたが…凄い本じゃないですか!! 80年代以前の格闘技界はいろんな人物が混在していたんですね。

北尾が空拳法の途方もない必殺技をやらかしてくれるのではないかと内心期待していました<まさにファンタジー…いやロマンでしょうか。

どちらも当時の格闘技術にローキック対処法はほとんどなかったと思われること<北尾の場合は空拳道というよりも肉体の強さだけでしたからね。
それでも当時の高田のローキック…ものすごい威力だったという事でしょうね。

空拳道

この試合も観に行きましたがレガさんの力作を前に、もはや書くことはありません。
そこで、大文字三郎先生ですね。この試合の数年前に、観てるのですよ、大文字三郎の試合。
プロカンフー後楽園大会。客席はがらがらで、自由席で入ったのにリングサイドに案内されました。
出てくる選手はみな初めて聞く武術・格闘技のチャンピオン。色とりどりの空手着や功夫着に身を包み、なぜかマスクマンも2人(カト・クン・リーとスペル・アストロのマスクを着用)
みな小柄で、一番大きいのがプロ野球の審判だったというレフェリーでした。
試し割と称して、中腰の相手の頭にブロックを叩きつけ、ブロックは粉々、やられた方はのたうちまわって悶絶。
試合内容は推して知るべし。でも、あんな構えはなかったような気がします

>SisLANDさん

大文字三郎先生<この試合では既に北尾と大文字氏の関係は切れていた様ですが、気になる人物ではありました。

プロカンフー後楽園大会<何だか胡散臭さ全開ですね。
大塚剛氏のプロ空手とはまた違ったアレだったんでしょうか?

中腰の相手の頭にブロックを叩きつけ、ブロックは粉々、やられた方はのたうちまわって悶絶<もはや格闘技というよりカランバとかTVジョッキーの奇人変人の域ですね。

プロカンフー プロ空手

北尾が大文字三郎に師事すると知った時、これで北尾はおしまいだと思いました。もうちょっとまともな先生はいないのか、誰が紹介したんだよ? Uインターは大文字三郎を知っていたのでしょうか?
プロカンフーが何に一番似ているかというと、大塚剛のプロ空手ですね。
実は、さらに数年前にプロ空手も観ていまして
猪木対Xの時のファイト紙で知った大塚剛とプロ空手。変酋長は超過激と言い、その後、どうもインチキくさいと噂に聞いたプロ空手。
凄かったです。ズンドコの極み。でもプロ空手の方がプロカンフーより派手で弾けいていました。
大塚剛の試合はなくて、秘技「闇法師」の演舞だけでしたが「次回後楽園大会では外人空手家と戦う」と発表され、期待は高まるのでした。

>SisLANDさん

北尾が大文字三郎に師事すると知った時、これで北尾はおしまいだと思いました<プロカンフーを体感された方なら、そう思ったでしょうね。

Uインターは大文字三郎を知っていたのでしょうか?<恐らく知らなかったと思います。

変酋長は超過激と言い、その後、どうもインチキくさいと噂に聞いたプロ空手<いくつかの映像をYOUTUBEで観ましたが…色んな意味で凄いですよね。

大塚剛の試合はなくて、秘技「闇法師」の演舞だけでしたが「次回後楽園大会では外人空手家と戦う」と発表され、期待は高まるのでした<興行の技法が完全にプロレスを踏襲していた様ですね。
それでもテレビのレギュラー枠持ってたというんですから、つくづく昭和っていい時代でしたよね。

プロカンフー後楽園大会

プロカンフー後楽園大会は、TBSのすばらしき仲間2で放送されたんですよねー。

たしか、大文字さんのドキュメントで、試合になるとあまりのズンドコぶりに突然スローモーションと音楽になるコブラのデビュー戦方式で放送されてました(笑)。

しかし、プロカンフーの目撃者がいらっしゃるとは!!

>スパさん

TBSのすばらしき仲間2<確かトーク番組でしたよね?

大文字さんのドキュメント<一人でスポット浴びたんですか!?
つくづく凄い時代ですね。

突然スローモーションと音楽になるコブラのデビュー戦方式で放送<当時の流行だったんでしょうか(笑)。

私、数年前まで大文字氏と力忠勝氏は同一人物だと思っていました(汗)。

すばらしき仲間

>確かトーク番組でしたよね?

最初はそうだったんですが、2になるとドキュメント形式の今でいう情熱大陸みたいな感じになったんですよね。新生UWFの前田VS船木の武道館が特集されたのもこの番組でしたね。

情熱大陸に大文字三郎‼‼
あの時代に帰りたい(笑)。

このビデオお持ちの方を探してるんですが、さすがに出てきません(笑)。

>スパさん

ドキュメント形式の今でいう情熱大陸みたいな感じ…情熱大陸に大文字三郎‼‼<いや色んな想像働かせたんですけど…無理でした(笑)。
大文字氏での情熱大陸は、アメトーク30分版のぼんちおさむくらいのインパクトです。

このビデオお持ちの方を探してるんですが、さすがに出てきません(笑)<もはや都市伝説の類でしょうからね。

お持ちの方、御一報下さい。

プロカンフー プロ空手

レガさんの力作を脱線した懐旧談で台無しにしたのではないか、という反省もあったのですが、盛り上がってよかった。
訂正をひとつ
「闇法師の演舞」ではなく「演武」
youtubeでご覧になったのは私達が「カラテ映画の川口浩」と呼んだトンデモ映画だと思います
私が後楽園で観戦したころの選手は技術も体力も下がっていました。
プロカンフーの目撃者?
観客数は100人くらいかなぁ。このような、書いて喜ばれる貴重な体験談になるなんて

>SisLANDさん

コメ返遅くなりましてすみません。

盛り上がってよかった<こちらこそ貴重なお話ありがとうございました。

youtubeでご覧になったのは私達が「カラテ映画の川口浩」と呼んだトンデモ映画<あれは凄いですよね。今では各方面各団体からかなりの批判が来てしまいかねない内容です。

私が後楽園で観戦したころの選手は技術も体力も下がっていました<という事はプロカンフーもそれなりの全盛期があって、また次世代の育成に失敗したという事ですかね。
どの格闘技も世代交代がうまくいくか失敗するかで、その存亡が決まってくるんでしょうね。

本当に面白い話題をありがとうございます。

ローだと思ったらハイキック。

しかも完璧!

あのキックを食らったら もう…無理かな〜

高田選手って技の一つ一つが綺麗なんですよね。
魅せるな〜



>みーさん

高田選手って技の一つ一つが綺麗<この試合は日本のプロレス史上に残る一戦です。
プロレスをバカにして出て行った者を初めて公開リベンジに成功した例かも知れません。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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