Yoji Anjo Is Alive vol.19~十年間、そして十年後・其の伍~(2004)

其の四からの続き、

いよいよ最終章です。

ヒクソン道場破りの返り討ち(参照:其の参)から、

ちょうど十年後。

ハッスルで高田延彦と再会した事から、

再び安生洋二の“運命”は動き出します。

その年の大晦日、『PRIDE男祭り2004 -SADAME-』において、

グレイシーとの試合が決定しました。

高田と共に臨んだ記者会見で、

安生は涙ながらに決意表明しました。

安生
「ヒクソンへの道場破りは自分の中で大きな傷として残っている。高田延彦の防波堤になれなかった事は人生の大きな汚点。その場で死んでしまおうとも考えた。敗れた事で高田さんがヒクソンと試合をする事になった。その時から、面と向かって高田さんの前に立てなくなった。(道場破りから)10年という区切りの年にグレイシー戦のオファーをもらい、くすぶっていたものを吐き出せるなら、再び面と向かって高田延彦という男と向かい合う事が出来るのなら、“SADAME”の戦いで自分の格闘技人生をぶつけてみたい。リング上で恥をかくつもりはない」

涙の決意表明

世界最高峰のリング、PRIDEの、

その年の総決算である『男祭り』に出場出来るのは、

通常ではナンバーシリーズや武士道で実績を残した選手のみです。

時には例外もありますが、

それはルーロン・ガードナーの様な他競技の世界王者で、

金子賢以外は本当に選ばれた一握りのファイターだけなのです。

なのに、ここで安生にチャンスが巡って来たのは、

“PRIDEの起源”はあの道場破りにこそある…という、

安生に対するDSEのリスペクトに他ならないでしょう。
10年の涙…いや20年の涙

しかし、そのDSEがチョイスした対戦相手は、

よりによって“一族最狂”と呼ばれていた、

今は亡き、ハイアン・グレイシーという、

ヒクソンとは真逆に位置するグレイシーでした。
相手はグレイシー最狂の男

2004年12.31 さいたまスーパーアリーナ

安生洋二vsハイアン・グレイシー

安生洋二vsハイアン・グレイシー

いつになく高いテンションで安生は入場して来ました。
いつにないハイテンションの入場

放送席には高田の姿。
高田が放送席から見守る

十年越しの安生vsグレイシーの舞台は整いました。

レフェリーチェックの際から、

いつも通りハイアンは臨戦態勢です。
試合前からいきり立つハイアン

ゴングが鳴ると長い見合いから、
長いお見合いから、

突如、ハイアンが飛び込み、
突っ込んだのはハイアン、

そのまま片足タックルでテイクダウン。
そのまま片足タックルでテイクダウン

この辺りは石澤戦(参照:自分は何者なのか?)の立ち上がりと一緒です。

すぐに安生はハーフガード。
ハーフガードの安生

ハイアンも巧くサイドを取らんとしますが、
サイドを取ったハイアン

安生必死の防戦のままニアロープ。
安生必死の防戦で、

ここでドントムーブがかかります。

リング中央で体勢を再現させますが、

ハイアンは勝手にポジションを変えてしまい、

注意が入ると、
ドントムーブからの再開に、

思わずこの表情…これがハイアンの魅力でもありました。
ポジショニングに納得のいかないハイアンは抗議、

しかし豊永レフェリーはイエローカード
イエローカード!!

スタンドからの再開です。
スタンドからの再開

再びハイアンはタックル成功。
またハイアンの片足タックル成功

またもサイドポジションでドントムーブ。
サイドポジションでまたもドントムーブ

今度は素直に従ったハイアン、

すぐにマウントを奪いに行きますが、
マウントを、

安生のハーフガードも鉄壁です。
再びハーフガードに戻して、

隙を見てハイアンを跳ね上げ、

脱出を試みますが、
ブリッジでのスイープ、

ここでハイアンはバックマウントを取って、

パウンドに来ます。
バックマウントを許してしまう

もう一度、安生は跳ね上げて、
再度スイープ、

ハーフガードに戻しますが、

ハイアンも腕を取りに来ます。
腕を極めに来た

それを嫌って安生が、

三度目の跳ね上げから裏返しになると、
三度目のスイープ、

これを待ってたハイアンはガッチリと胴締め、

さらに“グレイシーの奥義”バックチョークを狙います。
バックチョークを狙うハイアン、

これを凌いだ安生は、

ハイアンのスタミナ切れを察して一気に起き上がります。
起き上がっていった安生、

だがこれも罠でした。

すかさず下からの腕十字。
それを逃さずハイアンは十字に取って、

そのまま絞り上げると、

安生の右肘は逆方向に折れ曲がり、

すぐにタップ。
一気に絞り上げて一本!!

ハイアンの一本勝ちです
勝ち誇るハイアン

安生はうなだれながら、

セコンドの山本喧一と言葉を交わします。
うなだれる安生とセコンドのヤマケン

このカードを「裏メイン」とまで言っていた、

放送席の高田も無念。
高田も悔しそう

かくして安生の十年、

いや二十年の集大成は終わりました。

試合後、安生は言いました。

「なんとなく十年目にして、自信をなくしていた十年間というのがあるんですけど、また自信というものが再び蘇って来たという気がするんで、もう一丁と言わずに、さらに自分の中で向上した上で挑みたい」



あれから7年。

現在、泉浩のコーチとして、

タメ口の師弟関係を築いていますが(参照:安生洋二先生伝説の営業マン)、

丸っきり泉が持っているポテンシャルだけに任せている訳ではなく、

他の格闘家には決して真似の出来ない経験から、

一味も二味も違った指導が成立しているのです。

その根底には、

間違いなく“U”があります。

go fight Vol.1 (スコラムック)
 go fight Vol.1 より

安生
「UWF、Uインターとやってきて、新日本にも出て、『UFC-JAPAN』にも出て、なおかつ『ハッスル』にも出たりと、僕もたくさんいろんなことやってきましたけど、やっぱりそのベースにあるものって全部Uで培ってきたものですからね」

「泉浩はこういう流浪の人間に教わっているんですから、やっぱり自然とUの血も入っていると思いますよ。ホントに僕もこれまでいろいろとやってきて、その集大成じゃないですけど、『俺が得たものを全部、彼に教えたい!』と思いますから。ということで、泉浩! ユーも知らず知らずにUの魂が注入されていたんデスネー!(突然、司令長官口調で)」


もしも泉浩が新世代のグレイシー一族を倒す事があったなら、

我々Uインターファンは「安生が遂にグレイシーに勝った!!」「Uがグレイシーに勝った!!」と叫ぶ事でしょう。

純粋にMMAを観ているファンの皆さん、

その時くらいは許して下さい。

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tag : 安生洋二 ハイアン・グレイシー 高田延彦 泉浩

comment

Secret

No title

いやー深いシリーズでした。心の底より敬服しております!!これだけで一冊の本にして、読みたい気分です。素晴らしいものをありがとうございました(^^)

いろいろな総合格闘家が増えましたが、今プロで総合格闘技をやっている人の信念とはなんなんでしょうか?ボクにはこれが見えてきません。

打倒○○!!今、戦いにおいてこれがなくなってきていると思います。

ヒクソンとの戦いから10年・・・安生はもちろん全盛期のコンディションではなかったはず。でもそこに積み重ねられた歴史の中で生まれた打倒の信念があったからこそのハイアン戦だった。そして今なお次世代に伝授しているのも打倒の信念、なんでしょうね・・・

名前を利用され、視聴率や利益に利用される・・・やがて価値がなくなったら知らん振り。そんな打ち上げ花火のような人間の使い方をする今の格闘技界。正直悲しいです。

打倒の信念と、その打倒の位置に値する人間が登場することを願うばかりです。そしてファンも、選手も、安生も!!いつまでも夢を追うことができますように・・・

Uは安生かも

こんばんは。このカードが発表さた時、会社の先輩から『気になるなあ。俺もUの血が流れてるのかなあ、練習はどこでしているの?』と尋ねられたものでした。

注目度は、ある部分ではメイン級だったと思います。

前奏がトレモン、解説席で神妙な表情の高田と名場面も多かったです。

昭和の新日本で例えると片腕役の坂口、コーチ役の藤原、ポリスマンの星野、コミカルな荒川、こんなにもある役目を務めたプロレスラーは、もう出てこないし正当な評価を受けていない人も珍しいと思います。

道場破りの件があったのでプライド1の高田の入場はより一層インパクトが強かったのだと思います。単に足の裏にスプレーをかけていたというオチでしたけど。

こんばんは。

お疲れ様でした!
読みごたえのあるシリーズでした~

>流星仮面二世さん

これだけで一冊の本にして、読みたい気分です<いやいや流星さんの博識ぶりと比べれば、お恥ずかしい限りです。

今プロで総合格闘技をやっている人の信念とはなんなんでしょうか?<単純にそれが“お金”でもいいとは思うんですけど…確かにスケールは小さくなりつつありますね。

打倒○○!!<そこが私らの応援するモチベーションでもあるんですよね。

そこに積み重ねられた歴史の中で生まれた打倒の信念があったからこそのハイアン戦<2004年、格闘技バブルの真っ只中で行われた事は奇跡と言っても言い過ぎじゃないですよね。

打ち上げ花火のような人間の使い方をする今の格闘技界<ファイトマネーすら正常に支払われていないと言うのは、もう論外ですしね。

ファンも、選手も、安生も!!いつまでも夢を追うことができますように・・・<やっぱりグレイシーという名は不滅ですよ。Uも然り。

>aliveさん

こんばんわ。

会社の先輩から『気になるなあ。俺もUの血が流れてるのかなあ…』<ある時代を共有していた人にしてみれば、現在進行形とは別枠の関心があったでしょうしね。

前奏がトレモン、解説席で神妙な表情の高田<二人にとってもこの舞台は感慨深かったことでしょう。

こんなにもある役目を務めたプロレスラー<おっしゃるとおりです。
敗戦のイメージばかりが強いですが、イスラエルみたいなところで未知の相手とやったりするのは誰にでも出来る事じゃないです。

プライド1の高田の入場はより一層インパクトが強かった<あれは今見たって泣けますよ。

>ROSESさん

こんばんわ。

読みごたえのあるシリーズでした<ありがとうございます。
史実と違う部分あれば、ご指摘お願いします。
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