雀鬼流プロレスラー

前回の記事(参照:惜しいんだよなぁ)で、

中邑真輔に多大な影響を与えた“雀鬼”桜井章一の存在に、

少しだけ触れましたが、

麻雀を全く知らない私でも、

雀鬼の存在は知っています。

その桜井氏が惚れ込んだ格闘家の中に、

中邑がいるということは非常に大きな事だと思います。

中邑真輔の一見さんお断り (kamipro books)
 中邑真輔の一見さんお断り より

中邑
桜井さんとの出会いは一回目のアレクセイ・イグナショフ戦が終わったあと、当時の新日本プロレスの幹部だった上井文彦さんに町田にある桜井さんの道場に連れていかれました。「ちょっと話を聞いてみろ」と。
何かしらヒントがあるんじゃないかってことで連れていってくれたんだと思いますけど、正直「俺、なんで雀荘に来てるんだろう?」という感じだったんですよ(笑)。
正直、桜井さんに会ったとき、僕はどういう方かまったく知らなかったんです。雀荘に来るのは学生のとき以来ですし、「雀鬼」とはなんなのか、桜井章一とは何者なのかをまったく知らなかった。


イグナショフ戦(参照:誇り高き赤っ恥。)後の心身ともボロボロの状態で、

何の予備知識も持たずに出会った二人。

そこから始まった二人の関係をさらに追ってみると、

一つのムック本に辿り着きます。
雀鬼と真輔1

この本、

桜井氏と縁のある著名人の方々の、

インタビューを綴った一冊なんですが、

とにかくその顔触れが凄い。

ヒクソン・グレイシー、鍵山秀三郎(イエローハット創業者)、E・ヒョードル、W・シウバ、船木誠勝、ちばてつや(漫画家)、甲野善紀(古武術研究家)…etc。

ヒクソンを筆頭に格闘家登場率が高いんですよ。

よく見りゃ巻末クレジットに“DSE”の3文字が…。

桜井氏自身も同じ勝負師として、

よくPRIDEのリングサイドに姿を見せていた様に、

格闘家とは相通じるものがあったんでしょう。

そこで中邑です。

JANKI-RYU 雀鬼流
JANKI-RYU 雀鬼流 より

中邑
「僕自身は『何を聞けばいいんだろう』って思っていたんですけど、格闘技についてもそうですし、勝負についてもそうですけれども、聞いてみたかったことを先に言われるんですよね。で、『はぁ、はぁ』としか言いようがなかったんですけど、変わった人だなあって思って。面白いなぁと思いながら聞いていました(笑)」

「僕、すごい切羽詰まってた時期なんで、
(イグナショフとの)リターンマッチに向けてトレーニングもしなきゃいけないし、次負けたらもう、この先に関わる。とりあえず僕の中では、プロレスっていう業界全体を背負ってるつもりでやってましたから。その切羽詰まっていたところを、『ちょっと力抜けよ』みたいな。『コップの水もいっぱいいっぱいにしていたら、余裕がなくなるから』って」

「ただ純粋に『この人の言うことは聞こう』って思いましたよね。初めて会った時に、『ああ、凄い』って思ったんで。ジャンルは色々あるんですけど、『ジャンルの上に立つ人』とか『道を極めてる人』の話は、どっか一貫性、共通してる部分があって、それをすごい分かりやすく、麻雀の戦い方を噛み砕いて、格闘技に当てはめてくれたみたいな。全く違和感なかったですね」

「やっぱり日本人が勝つには同じ事やってもしょうがないってことで、『日本人にしか出来ない動き』だったり、『日本人の骨格を使った体の動かし方』っていうのを、学んだ方がいいんじゃないかって思ってましたね。だから会長のおっしゃってることは、そういうものに絶対通じてるんだろうなって。むしろそっちの方が好きなんで。僕ちっちゃい頃、忍者になりたいと思ってたんです。『これはもしや』って思って」


フィーリングからピタリと一致したんでしょうね。

この出会いから枝が広がり、

中邑は前述した甲野善紀とも出会い、

さらに格闘の幅が広がっていきますが、

その辺りは、また別の機会にします。

さて、中邑が格闘人生を賭けたイグナショフ戦に、

突然、桜井氏は応援に駆けつけます。

そこで中邑は何者にも代えがたいアドバイスをもらいます。

中邑
「元々その試合前に聞いてた、例えば『試合前に余計な情報は入れるな』
ってことで、『相手の目も見なくていい』ということ。あとは『最初にやることを決めておけ』っていうこと。もう試合前には結構自分の中で肚が決まってたんで、一応緊張はしてましたけど、そこまで過度でもないし、多分落ち着いてた方だったと思うんですよ。それをよりいっそう、心強くしてくれましたね。それと、アドバイスっていうよりは石を貸してもらいました。あの虎目石(※桜井氏がヒクソンからもらったお守り)。『あれ、こんなのくれるんだ』って思ったら、後で返しましたけど(笑)」


当時、あの試合後の笑顔の意味が分からず、

私は中邑を批判したのですが、

実際には開き直りから来る“強さ”だった訳ですね。

試合自体も「相手の目も見なくていい」どころか、

目を塞いでおいてタックルに入る…という、

他のMMAファイターじゃ決して思いつかない戦法まで飛び出しました。

まさに“雀鬼流”

中邑
「僕が共鳴できる部分…やっぱりすごくいいのは、勝負論自体が麻雀の枠を、まぁ麻雀も含めて、『全てにおいて通用する』っていう、ね。雀鬼流の勝負論が総合にも通用するってことを、実際に僕はそれを体感しましたから。でもやっぱり、それが別に格闘技だけでもないってことですね。だから、道場が『人間教育』って言うと、すごい固いイメージがありますけど、『人を育てる場所』であったり。例えばビジネスマンでも使えるところがあるだろうし、主婦のおばちゃんでも、子供でも通用するだろうし。まぁ、経験からか感覚からか、なんで分かるのか僕にはちょっと分からないですけれど」

(別ジャンルで“この人は達人”って人は?)そうですね、達人…。凄い力がないと駄目ですか? 犬と話せたり、小鳥と話せたり」


動物と話す。

…これ以前(参照:武藤vs中邑 言葉のプロレスリング~後編~)にも語っていました。

中邑の究極の夢ですね。

実は二人がロタ島に旅行した際、

桜井氏は突然小鳥と話し始めて、

しばらく話した後に「もういいよ」と言うと、

小鳥は飛んでいったというエピソードがあったそうです。

中邑が他のプロレスラーや格闘家とは異質に見えるのは、

雀鬼に代表される様な、

尋常ならぬ人物との交流があるからなのですね。
雀鬼と真輔2

関連記事
スポンサーサイト

tag : 中邑真輔 桜井章一

comment

Secret

No title

真剣勝負では結果に繋がる効率的トレーニングが重要なことは承知しています。ただプロレスはロマンや願望といったファン心理も含みますので、猪木・馬場両氏が力道山・ゴッチ・アトキンスといった想像力を掻き立てられる非常識な変人達(ほめ言葉です)に鍛えられて突出したのと同じように他分野の達人のアドバイスで結果を出したことはプロレスラーとして価値ある逸話だと思います。

No title

桜井章一氏との話は自分も凄い興味がありました。
※日本プロレス60年史でも触れてました。

なんていうんでしょう・・・中邑の感性ってこういう所で結構唸らせられちゃうんですよね。

この辺りの持ってるものって本当に今までにいないプロレスラーだと思います。

>病弱者さん

プロレスはロマンや願望といったファン心理も含みます<無駄な物ほど魅力的に写るかも知れませんよね。

力道山・ゴッチ・アトキンスといった想像力を掻き立てられる非常識な変人達(ほめ言葉です)に鍛えられて<常人では耐えられる訳がない多くのエピソードが残っていますもんね。
通過儀式と呼ぶには余りにも壮絶な修行ですよね。
中邑の場合は一人一人との出会いが強烈ですよね。幸せですよ、彼は。

>トラさん

日本プロレス60年史<一個一個の出会いが劇的ですよね、中邑って。
この振り幅が今の時代には珍しいです。

この辺りの持ってるものって本当に今までにいないプロレスラー<強さって新日のレスラーとしては最低条件ですよね。だからこういった感性を持ってる人間がトップにいた方が面白いって思うんですけどね。
もちろん棚橋は棚橋の方法論があって、それはそれで面白いですし。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
UFC (1)
最新トラックバック
検索フォーム
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイブ
リンク
来場者数
QRコード
QRコード