戦術を堪能する(1985)

プロレスを観る上で、

最も贅沢な楽しみ方は、

私の独断で言わせてもらうならば、

ずばり“戦術”の分析だと思っています。

プロレスの場合、試合の攻防は、

あくまでも“ストーリー(=ブック)”にすぎない、

という見方もあるのでしょうが、

権威ある試合の中には、

それらを超越した“戦術”が垣間見えます。

かつて世界の頂点に輝いた権威がありました。
ジム・クロケットJr

二人のVIPに見守られてのチャンピオンシップ。
ロード・ブレアース

1985年4.23 相模原市立体育館

NWA世界ヘビー級選手権試合
NWA世界ヘビー級選手権

リック・フレアーvs長州力

R・フレアーvs長州力

権威に無頓着な革命戦士が、
長州の視線の先には、

権威に挑んだ一戦です。
世界最高峰のベルト

この水と油の二人が、

一発勝負の選手権試合を行う面白さが、

80年代の全日マットにはありました。

仕掛け人はもちろんジャイアント馬場、その人です。

試合開始は、

対極のスタイルを持つ二人の共通項である、

ロックアップから。
やはりロックアップから、

長州は素早くサイド・ヘッドロック。
長州のヘッドロック

切り返しの早いフレアーは、

じっくりとグラウンドのヘッドロック。
フレアーのヘッドロック

序盤はじわじわ攻めて行く…王者の定石です。

ハイスパートレスリングが信条の長州は、

早い段階で大技に行きますが、

フレアーは計算ずくのバンプを取ります。
高いショルダースルー

大きな攻めをさせる事で、

少しずつ少しずつスタミナを奪っていく訳です。

そんな中でもピンポイントでラフを織り交ぜていき、
フレアーのニースタンプは的確

打撃戦に転じて、
逆水平は独特の軌道

長州がヒートしてくると、
長州が攻勢に出ると、

コーナーワークに誘って、
コーナーワークを誘って、

お得意の転落ムーブ。
お得意のエスケープムーブ

晩年、この一連の展開は、

フレアーのお約束ムーブとして、

失笑のタネになってしまいましたが、

元々は相手を“いなす”という、

世界王者の高等戦術だった訳なんですね。

ゆったりとした展開から、

二度目のニースタンプは自爆。
ニースタンプ自爆で、

すかさず得意のサソリを狙う長州ですが、
長州のサソリ狙いは、

フレアーの強靭な脚力に阻まれてしまいます。
脚力で跳ね返す

長州は負けじと大技ブレーンバスターを挟んでから、
ブレーンバスターから、

再びのトライも失敗。
2度目のサソリも不発

苛立つ長州を、

「カマーン!!」とさらに挑発して、
長州を熱くさせるフレアー

ペースを乱しておいて膝へのニースタンプ。
足攻め1、

トウホールドで絞っておいて、
足攻め2、

豪快なニークラッシャー。
足攻め3、

まさに剛柔自在の足攻めから、

素早くフィギュア・4・レッグロック!!
そして足4の字!!

相手の必殺技を二度もすかしておいて、

自らは一発で決める…さすがです。

返されれば、

すぐに大技バックドロップを挟んで、
高角度バックドロップから、

再びフィギュア・4!!
再び足4の字!!

ニアロープでブレイクすると、

長州はカウンターのリキ・ラリアート!!
起死回生のリキ・ラリアートから、

今度こそ、と三度目のサソリ狙いも、
三度目の正直も、

何とフレアーは食わず!!
また不発!!

この辺り、

今のプロレスしか知らない方には意味不明だと思います。

しかし、これこそが、

全米、そして世界を渡り歩いた王者の“戦術”なのです。

長州はコーナーに登ったフレアーを豪快に叩きつけます。
デッドリードライブから、

これもフレアーのお約束…しかし、この時点で、

既に長州は疲労困憊です。
疲労困憊の長州

4度目のトライで何とかステップオーバーしますが、

足のフックも不完全で、腰も落とせず、
四度目でやっとステップオーバーするが…

崩れてしまいます。

スタミナも攻め手もなくなった長州は、

再度リキ・ラリアート狙い。
再度リキラリアートへ、

しかしこれはポジションも悪く、

フレアーの腰投げで迎撃されて場外転落。
かわされて場外転落

リングに戻るところを、

ブレーンバスターで叩きつけられ、
ロープ越しのブレーンバスターから、

ダメ押しのフィギュア・4!!
またしても足4の字!!

何とかリバースして脱出した長州ですが、

場外転落後、

自らフレアーを引きずり込んで、
長州から場外へ、

最後は両者リングアウト。

昭和によくあった結末ですが、

試合後の両者を見ると、

別なところに勝敗は存在しています。
余裕の王者と力尽きた挑戦者

反則決着やドローを重ねて、

長く王者に君臨したフレアーですが、

そこには負けることが許されない立場と、

負けないための“戦術”があったのです。
フレアー堂々のドロー防衛

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tag : リック・フレアー 長州力 NWA世界

comment

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好きなレスラー

リック ・フレアー 好きでしたね~。
狂乱の貴公子って 呼んでましたね~(笑)
なんとなく 品があって。
でも ちょっとクレイジーな感じ・・・。
キラキラのガウンも 金髪も エレガント。
ほめまくってるなぁ~あははは。

No title

これは勝敗・筋書き関係なしに対戦相手のスタミナを削ってバテさせ、相手より自分が格上であることを観客に印象付ける当時のNWA王者ならではの高等戦術ですね。
ザ・ファンクスの兄ドリーは「シュート」と言われるそうですが、それは若い頃のドリーにスタミナが異常にあって対戦相手が試合中にバテても無頓着に自分のペースで試合を進め対戦相手がスタミナ切れで自滅するので「シュート」と呼ばれるそうです(サブミッションマスターではあるがプロレスでは敢えて使用しなかったという異論もあります)。
馬場さんも師匠アトキンスからスタミナ重視で鍛えられたので試合中にガス欠を起こすプロレスラーに対しては格闘技術のシュートの強さがあっても高い評価はしなかったようです。

No title

いかに技を食らわないか、ということだとも思うのですが、この戦術(試合運び)は海の向こう特にWWEでは浸透してますよね。

フレアーのよさや凄さってなかなか理解し難い若き頃もありましたが、凄いレスラーですよね。
晩年はチョップと自爆バンプだけで試合してたような。。。

レッスルマニアでテイカーから受けた雪崩式ブレーンバスターとか視覚的(映像ですが)にも素晴らしかったです。

>ケロさん

狂乱の貴公子…なんとなく品があって<こう考えると、昔のレスラーってニックネームにも品がありましたね。
ハーリー・レイスなんて“美獣”ですからね(笑)。

キラキラのガウンも 金髪も エレガント<晩年はテンション高いオッサンみたいになっちゃいましたけど、この当時はかっこいいですよ。

>病弱者さん

勝敗・筋書き関係なしに対戦相手のスタミナを削ってバテさせ、相手より自分が格上であることを観客に印象付ける<文字通りの高等戦術ですよね。

ドリーにスタミナが異常にあって対戦相手が試合中にバテても無頓着に自分のペースで試合を進め対戦相手がスタミナ切れで自滅するので<それもきついですよね。表向きは普通の試合ですもんね。

馬場さんも…試合中にガス欠を起こすプロレスラーに対しては格闘技術のシュートの強さがあっても高い評価はしなかった<そこがゴッチ嫌いの原因でしょうかね。
あの体で60分以上の試合やってたんですから…異常ですよね。

>トラさん

この戦術(試合運び)は海の向こう特にWWEでは浸透<やっぱり本場のメジャーには残ってるんでしょうね。

晩年はチョップと自爆バンプだけで試合してた<この二つだけで客を納得させてたんですから…でも北朝鮮みたいな舞台でも熱狂させられるんですから、やはりフレアーも天才的ですよね。

レッスルマニアでテイカーから受けた雪崩式ブレーンバスター<いや、ちょっとあのバンプって芸術ですよね。

No title

いつかレガさんがブログで書いたお話・・・長州も、日本のローカールチャンプに過ぎなかった・・・まさにここですよね。こうしてフレアーあたりの戦い方を見ると、やっぱり世界だなぁと感じます。一見ショーマンに見えますが、必殺技を封じながらスタミナを奪っていくこの試合運び・・・うまいですよねー。受身もうまい。

そしてそう、最後は勝たずとも負けない!!長州、完全にフレアーの手の平の上でしたね(^^)



>流星仮面二世さん

いつかレガさんがブログで書いたお話・・・長州も、日本のローカールチャンプに過ぎなかった<カーンの記事ですよね。覚えていて下さってありがたいです。ブロガー冥利に尽きます。

一見ショーマンに見えますが、必殺技を封じながらスタミナを奪っていくこの試合運び<フレアーってブロディやゲーリーも一目置いていましたからね。同タイプに見られてるB・ロジャースとは違ったんでしょうね。

勝たずとも負けない!!<ある意味、猪木とも共通する戦術なんですよね。
勝ち続ける事よりも負けないと言う事がトップの証だと思います。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
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