物騒さ世界一決定戦外伝~猪木監禁事件~

前回のタイトルが、

なぜ猪木vsウィリーの記事(参照:物騒さ世界一決定戦~序章~~前編~~中編~~後編~)と同一の物になっていたのかというと、
立会人・梶原先生の続行宣言

単にプロレスvs空手つながりということではありません。

まさしく“物騒”と言うキーワード通りの登場人物と背景。

そしてこの二つの事柄が、

さらに物騒な“事件”によってつながっているからなのです。

“アントニオ猪木監禁事件”というのをご存知でしょうか?

1983年2月に大阪で起きたこの事件は、

屈強なプロレスラーの頂点に立つ猪木が監禁、脅迫されたという事で、

一般週刊誌等で大きく報道されました。

ただし、当時の私は10歳。

この類の報道を目にする事などなく、

リング上の猪木やタイガーマスクに、
猪木顔5

夢中で声援を送っているだけでしたので、

この事件の存在を知ったのは、

10年以上後の事でした。

きっかけは梶原一騎が関わっている極真会館と別に、

新日本プロレスが設立に携わった空手の他流派、寛水流にあります。

当時、新日のリングで人気絶頂のスーパーヒーロー、タイガーマスクの著作権を持つ梶原氏に無断で、

他流派を興した事が腹に据えかねたようです。

時は1983年2月8日。

この日、大阪府立体育会館での大会を大盛況で終えた夜の出来事です。

新装版 プロレススキャンダル事件史-いま明かされる真相- (宝島SUGOI文庫)
 新装版 プロレススキャンダル事件史-いま明かされる真相- より

新間
私と猪木は大阪ロイヤルホテルに泊まっていたが、夜、電話が鳴った。梶原一騎先生からであった。
「新間君、オレも今同じホテルにいるから、ちょっと来ないか」と言う。私は早速、先生の部屋を訪れた。
するとそこには、梶原一騎先生の他、士道館の添野義二師範とその門下生数人、そして、どうも堅気とは思えない人たちが数人いた。
聞くと、T会の関西支部長と、その子分という話だった。いきなりこの支部長が、私に食って掛かってきたのである。
「コラ新間!」という調子だ。
「一体、なんですか?」と戸惑って梶原先生と添野師範の方を見ると、彼らが説明する前に、支部長がとんでもない剣幕でまくしたててきた。
「図にのるな! 猪木を呼ばんかい猪木を!!」
「猪木に何かご用ですか?」
「猪木に言ってやりたいことがあるんや! 早く呼ばんかい!!」
わきに立っていた添野師範が軽く目で合図をした。仕方ないので、私は猪木の部屋に電話をかけた。
「今、梶原先生の部屋にいるんですが、社長、ちょっと来てくれませんか」
おう、わかった…と応じた猪木は、ほどなくして部屋に来た。


ここまでの部分ですが、

このT会関西支部長…実際には京都支部長とのことですが、

力道山時代からプロレス界とは縁深いT会の、

関西では“二丁拳銃の○○”と恐れられた幹部です。

新間
猪木が部屋に来るなり、間髪を容れず、支部長の大声が始まった。
「コラ猪木! 空手の寛水流とは何事だ。空手は梶原が極真やっとるやないか。それを寛水流なんてのをつくるってのはどういう了見だ。梶原を何だと思ってるんや!」
猪木は戸惑い、「何ですかこれは」と梶原先生の方を見たが、梶原先生が答えるヒマさえなかった。
「なんですかとはなんや! ふざけるな」
そして呂律の回らない口調で、ほとんど聞き取れないような言葉をまくしたてる。酔っ払っているんだか、クスリをやっているんだか、意味不明である。
猪木は眉をひそめ、こう言った。
「寛水流のことなら、私より新間の方が詳しいから」
そして猪木はさっさと自分の部屋に引き上げてしまった。猪木がこの部屋にいたのは実質3分ぐらいなものである。
すでに時計は23時半を回っていた。


出た、丸投げ!!

しかしこれを読んで思ったのは、

水谷氏との和解は新間氏が独自に推し進めた仕事だったのかなと。

猪木にしてみれば、

“寛”の文字を名貸ししただけであって、

空手の流派云々は一切ノータッチだったのかな? と。

いずれにしてもここからが修羅場。

…というか既にこの時点で、

“新間寿監禁事件”になっています。

新間
猪木が去った後も、支部長は絶えずまくしたてる。
「寛水流だあ? どういうつもりなんや!」
「いや、そう言われても。なぜそういうことを言われなくてはならないのか、理解に苦しみます。寛水流をつくったのは…」
だが、少しでも反論の姿勢を見せると、すぐにさえぎられる。
「なんやとお? 何が寛水流や!」と、こちらの一言一言にインネンをつけてくるのである(略)。
「オレをただもんだと思ったら大きな間違いやで。チャカでも何でも出したろか! オイ、チャカ持ってこいや」と同席していた若い衆に声をかけたりする。

(略)

一方的な罵詈雑言は、朝の6時半まで続いた。支部長は、7時間近く、ほとんどしゃべりっぱなしなのである。到底マトモだとは思えない。


実に7時間の監禁!!

ようやく開放され、

精根尽き果てた新間氏は、

部屋に戻ると猪木の部屋へ電話報告しますが…

新間
「今終わりました。大変でしたよ」
「おう、よかった新間。オレも寝ないで心配していたんだ。あと10分か15分経って連絡がなかったら、110番しようと思ってたよ」
猪木は呑気なことを言っている。


出た、呑気が一番!!

いやいや、一歩間違えたら新間氏部屋から歩いて出られませんよ。

結局この一件が明るみに出て、

他にも恐喝や暴行事件が発覚し、

梶原氏、T会京都支部長、さらに添野師範まで逮捕されてしまいました。

あくまでも報道上で監禁された人物は猪木ということでしたが、

実際に猪木は3分で自ら退室。

この事件を振り返る猪木も実に呑気です。

 アントニオ猪木の証明―伝説への挑戦 より

猪木
「新間との間で何かトラブルがあったかなにかで、俺も一緒に大阪のホテルの一室に呼び出されて、よく事情が呑み込めないままいきなり脅されてね。一緒にいた男は『チャカ持ってこい!』とか言ってるし。俺はチャカってピストルのことだってそのときは知らなかったんだけど(笑)。本当はそんなモノも単なる脅し文句だったんだと思いますよ、一通り言いたいこと言い終わったみたいだったんで『じゃ帰りますよ』と帰ってきたんだけど…。あのときホテルの廊下を『後ろから襲われるかもしれないな』と考えながら歩いたことが印象に残っていますね」

「なんのかんのと言っても、あの人(※梶原氏)は基本的にはアントニオ猪木のファンだったんですから!(笑)」


出た、『俺のファン』発言!!

また同じ締めになってしまいますが、

この開き直り、そして呑気さも猪木の武器だったのかも知れません。

そして結果的に身を挺して猪木を守った新間氏。

いろいろな物に屈しない、

新日本プロレスの強さがそこにありました。
猪木と新間氏

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tag : アントニオ猪木 新間寿 梶原一騎 添野義二

comment

Secret

こんばんは

猪木監禁事件は聞いた事がありましたが、
新間監禁だったのですね~
上の写真は迫力あります(~_~;)

……

こんばんは。83年の2月の大阪なら
1対国際3の試合後ですね。まさかこんなこと
が起きていたなんて。新間を置き去りにする
とこなんて、猪木の部下がよくいう
レスラー猪木は最高だが人間猪木は最低というのが伺える気がします。

妄想ですがこの場にヤマハ(特に星野)がいたら更にとんでもない修羅場になったのかなーと思いました。

>腹さん

こんばんわ。

新間監禁<あの様な残され方されたら、もう最後まで行くしかないですもんね…怖いです。

上の写真は迫力あります<この目…ですよね。
これ猪木と長州と前田しかないものですよね。

>aliveさん

こんばんわ。

1対国際3の試合後<ちょっと調べてみたんですが、猪木、坂口vsラッシャー、浜口のタッグマッチの様ですね。

猪木の部下がよくいうレスラー猪木は最高だが人間猪木は最低<新間氏自身が今でも言っていますよね。「アントニオ猪木は最高、猪木寛至は最低」って。
猪木信者の場合は両方が最高なんでしょうけど、新日本プロレスを落としたは猪木っていう一面もありますからね。

この場にヤマハ(特に星野)がいたら更にとんでもない修羅場に<星勘の武勇伝は凄まじいですからね。
しかしながらいろんな意味で丸く収まっていたかも知れません。

UFOの大会後の打ち上げパーティーで佐山が突然キレて猪木にナイフだか
フォークを突き付けたことがあったそうですが、その件について猪木は後日
インタビューで当時はまってたミネラルの話の中で、キレた佐山のことを
「体内のミネラルが足りなくなると人間はキレやすくなる」ことの一例として
ノンキに語ってましたね(笑)。
自分に刃物を突き付けた佐山と今ではまた良好な関係になってますから、
猪木の懐の深さとノンキさには恐れ入ります。

>赤とんぼさん

初めまして。
コメントありがとうございます。

打ち上げパーティーで佐山が突然キレて猪木にナイフだかフォークを<そういうのもありましたね!!
当時の佐山の役割自体がかなり物騒でした。

「体内のミネラルが足りなくなると人間はキレやすくなる」ことの一例としてノンキに<佐山の甘党ぶりまで理由に挙げてましたね。呑気というか、凄いですよ。

懐の深さとノンキさ<表裏一体ですけど、達観してますよね。

出た!!

これは最強の部類の物騒戦ですね!!

いやぁ~ボク若い頃、後楽園ホールで添野師範と真樹日佐夫を見たことがあるんですが、これが・・・ふたりとも何もしてなく普通にいただけなのに、とにかくすごいコワかったんです(^^;

そんな、ただでさえコワい梶原一派なのに、それプラスアルファな布陣がいたホテルの一室・・・新間さん、生きた心地しなかっただろうなぁ(≧▽≦)

しかし猪木って、やっぱり猪木ですね。とんでもないことでも軽くしちゃったり、軽いことをとんでもなくしちゃったり(^^)

まさにノンキがあれば、なんでもできる!!ですね(^^)

>流星仮面二世さん

最強の部類の物騒戦<もうリングとはかけ離れちゃってますもんね。

添野師範と真樹日佐夫<フルコンタクト系の道場主の方ってなぜかコワモテが多いんですけど、この二人は最たる例ですよね。

新間さん、生きた心地しなかっただろうなぁ<相手方の述懐ではもっとえげつないことになってますからね。まぁもの凄い修羅場です。

とんでもないことでも軽くしちゃったり、軽いことをとんでもなくしちゃったり<本当に骨の芯までプロレスラーですよ。

こんな恐ろしいことがあったなんて。

恐ろしすぎる。

新間さん朝までよく耐えられましたよね、いや耐えるしかないか。

猪木選手、こんな非常事態にどうかしてますよーー。

そうだ!
去年だっかな?
IGFが遠征先の北朝鮮で「訪朝」と「包丁」をかけて手に包丁を持っていたのですが、初めは分からなくて知った時は・・・
笑えなかったです。。

>みーさん

どうかしてますよーー<こんなヤバイ記事にまでコメント下さるみーさんもどうかしてるぜー!!
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