物騒さ世界一決定戦外伝~東海の殺人拳~

ここ最近で私が最も驚いた事といったら、

それはスパさんが知らせて下さった、

アントニオ猪木vsズベール=ジュベール(ジャラ)・ペールワンの幻の動画発掘でした。

もう31年も前の試合なんですが、

息を呑んで見入ってしまう内容でした。

当初はYouTubeという事もあって色々な面から、

これまでは触れずに来ましたが、

リンクさせて頂いている方々の各ブログで、

既に記事になっていますので、

ぜひそちらをご参考下さい。

 見たくない奴は見に来るな! より
猪木幻の試合がついに発掘される!猪木が先にアクラム・ペールワンの目を突いていた

 団塊Jrのプロレスファン列伝 より
総力結集!!猪木・ペールワン戦の謎を解けぇー!!

“猪木、幻の格闘技戦”、

このズベール戦の様に実現したけど、

これまで人目に晒されなかったものから、

アミン大統領、リチャード・キールの様に実現しなかったもの。

これらほとんど都市伝説の類ですよね。

その中でも一際、異彩を放つ人物がいます。

もし実現していたなら、

ウィリー・ウィリアムス戦(参照:物騒さ世界一決定戦~序章~~前編~~中編~~後編~)以上の“物騒っぷり”を残していたのは確実な空手家、
ウィリーの上段蹴りから、

その人の名は、

“東海の殺人拳”水谷征夫です。
水谷征夫氏

格闘技ブーム全盛の中、

その中心人物である猪木に“果し状”を突きつけた水谷氏。

それは文字通り、突然の事でした。

プロレス 金曜8時の黄金伝説 (講談社プラスアルファ文庫)
 プロレス 金曜8時の黄金伝説 より

小鉄
水谷征夫という空手家の弟子が来たときは、僕が最初に話をした。いきなり「うちの館長が猪木とやるといっている」なんていうもんだから、僕はこう答えてやった。
「勝手なことをいうな。猪木さんは、そんなの相手にできん。うちの若手選手とやってみるのはかまわないが、猪木さんを出すわけにはいかない。俺がやったっていいぞ」


梶原劇場の登場人物でもない水谷氏が、

何のコネもなく猪木に挑んできたのは100%シュートです。

その後は新間寿氏が対応します。

新装版 プロレススキャンダル事件史-いま明かされる真相- (宝島SUGOI文庫)
 新装版 プロレススキャンダル事件史-いま明かされる真相- より

新間
新日本プロレスが愛知県体育館で興行をしたときも、水谷征夫氏は弟子を何十人も引き連れて、控え室に押しかけてきた。最初、あまり迫力のない小柄な弟子たちを見て、鬼軍曹・山本小鉄が言った。
「坊やたち、何しにきたんだい」
そこで腹を立てた水谷氏の弟子の一人が言う。
「何を言うか。ウチの先生が猪木と戦うと言っている。猪木を出せ」
山本小鉄に呼ばれて、私が出て行ったら、水谷征夫氏はいきなりケンカ腰である。
「何がアントニオ猪木だ。オレと闘え。これは殺し合いだ」
そこで私はこう言った。
「ウチはプロだ。カネを稼ぐことができるのがプロ。だから興行として成り立たないものは、ウチではできませんよ。興行としてやれないものを、猪木にやらせるわけにはいかない」
私の説得が効いたのかどうか、この時はいったん引き下がった水谷一派だったが、猪木との対戦をあきらめてはいなかった。
名古屋のプロモーターのところに押しかけて、猪木との対戦を迫った。さらにそれに飽き足らず、新日本プロレスの事務所にまで弟子数人が乗り込んで来た。ほとんど脅しに近い状態である。


もうこれ…通常の手法ではないですね。

類は友を呼ぶと言うか、

執拗な挑発に対して、

九州で全日本プロ空手協会を主宰する、

“殺人空手”大塚剛が横から名乗り出ますが、


新間氏は丁重に断ります。

そして猪木と共にダメもとで交渉開始。

新間
私はもう放置するわけにはいかないと思い、水谷征夫氏に交渉を持ちかけ、とりあえず帝国ホテルで会うことになったのである。
私・新間、猪木、そして水谷氏という3人が、帝国ホテルの一室に集まった。
しかし、水谷氏は相変わらずであった。すごい剣幕で言うのである。
「何が最強だ。オレの挑戦が受けられないってのか。この野郎、ただじゃおかねえぞ。これはケンカだ。オレは鎖鎌でも槍でも使ってやるぞ」
のちに知った話だが、彼は鎖鎌の達人でもあった。
「いや、ケンカするわけにはいかない。試合にならないものをウチではやれないのです」
静観している猪木の代わりに、私はこう言って説得したが、彼はまったく聞く耳を持たない。
「何が試合だ。ケンカだと言っているだろう。キレイごとを言うな」
そして椅子を蹴り上げ、机を叩くのである(略)。
私は弟が勤務している帝国ホテルに迷惑をかけてもいけないと思い、慎重に話を進めたのだが、一向に納得してくれないのである。
「ふざけんなこの野郎。何がルールだ。ルールもへったくれもない。鎖鎌でも槍でも刀でも持ってくるぞ。話をつけたいなら、福田赳夫を呼んで来い。オレを納得させられるのは福田しかいない」
実現不可能なムチャな要求を言い出したりもする。


ここまで読めば、どういう事だったのか理解頂けると思うんですが、

そもそも、この水谷氏のエピソードというのが、

いちいち強烈な事この上ないものばかりなのです。

プロレス狂の詩 夕焼地獄流離篇 (Kamipro Books)
 プロレス狂の詩 夕焼地獄流離篇 より
後藤達俊

後藤
「ハンパじゃないです。道場にはいつも“花火番”が待機してたんですけど、近所で誰かが花火を上げようもんなら、『上げんな、コラ!』って注意しに行くんですよ(笑)。あと、近所の犬が鳴き続けるときも大変でしたよ。さすがに犬を殺すことはできないから、その家に『犬を静かにさせろ!』って怒鳴り込んで(笑)」

「剣の型を練習してるんですけど…どう見ても真剣なんですよ、真剣! いやあ~『これは俺にはできねえよ!』って思いましたよ(笑)」


この水谷氏の暴走を止めるには、

裏社会の実力者から力を借りるしか、

手段はありませんでした。

新間
ある時、水谷氏と知り合いの右翼の人が、私にひとつの提案をしてきた。
「新間さん、いい方法がひとつある。安藤昇さんに頼もう。水谷君は、安藤さんの言うことなら絶対聞くから。安藤さんに頼みに行ってはどうだ」

(略)

水谷氏は「オレは普通のヤツの言うことは聞かないが、安藤さんの言うことなら仕方ない」ととりあえず納得した。
話をつけてもらった私は、もう一度名古屋に行くことになった。


安藤昇とは、

俳優、作家、歌手…と様々な肩書きを持つ人物ですが、

かつて安藤組(株式会社東興業)を率いていた組長でもあります。

また、のちに『喧嘩空手一代―東海の殺人拳水谷征夫』を出版した程、
喧嘩空手一代―東海の殺人拳水谷征夫 (双葉文庫)

水谷氏とは深い関係でした。

略した部分は安藤氏の説得のやりとりですが、

これまた“物騒”なキーワードが普通に飛び出しています。

とにかく安藤氏の仲介で電撃的な和解を果たした両者は、

新たな空手流派“寛水流”を発足させ、

今日に至ります。

前記した猪木vsウィリーの際には、

猪木の護衛に寛水流門下生が大挙来場。

その時にも猟銃を持って来ていたと言うのですから、

やっぱり物騒ですよね。

ちなみに水谷氏は既に故人です。
ピリピリした猪木の入場

さて、首を狙われていた猪木本人は、

当時を振り返って、こう語っています。

 アントニオ猪木の証明―伝説への挑戦 より

猪木
「最初はね、水谷さんから一億円を賭けて闘いたいという申し出があったんです。お互いに一億円用意して勝ったほうが全部取るという条件でね」

「ルールもなにも、向こうは鎖鎌で闘うと言ってるんですから(笑)。それが結構俺も本気で思いつめてたんだ。本音言えばやりたかないですよ! 相手は凶器持ってて、なおかつその達人ですよ。なのに、まともに受け止めた俺も面白いよねぇ(笑)」


これ、当時は本当に思い詰めていたそうです。

前述した通りの人物ですし、

いつ闇討ちされるかわからない訳ですから。

猪木
「当時、水谷さんの家までたしか佐山が同行したのかな。駅に着くと黒いジャンパーを道着の上に羽織って、真冬なのに裸足で向こうの弟子たちがずらりと並んでた。俺だけが部屋に上がって、佐山は下で待っててね。会って話しても最初は何が目的なのかわからなくてね、実際彼はそういう挑戦みたいなものでのし上がった人だから、何か底の知れないヘビみたいな迫力や、強烈な個性を感じましたね。ただね、俺はあくまでもプロの格闘家だから、プロとしてリングで闘うのなら別だけど、果たし合いのような真似はできない。それでもやるというのなら、俺は普段はいつも一人で歩いているから、駅でも路上でも襲えばいいと、そうなれば自分の身を守るためには闘わざるを得ないからと、最後は結構開き直っていた。そんなことを話したのかな」

「水谷さんと会って話してみてわかったことが、彼はアントニオ猪木のファンだったということなんですよ(笑)。そりゃあ挑戦自体は彼も本気だったようですけれども」


この開き直りこそが猪木の強さでもあるんですよね。

しかしながら、この寛水流を発端として、

さらに物騒な事件へと展開していきます。

“物騒が物騒を呼ぶ”様なものでしょうか…

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tag : アントニオ猪木 水谷征夫 安藤昇 新間寿 後藤達俊 寛水流

comment

Secret

この話は初めて知りました!

もちろん寛水流は後藤達俊知っていましたけれども。

カミングアウトがなされていなかった時代における、物騒なれど、かなり興味深い話です。

もしもシュートで新日本プロレスの誰かと水谷氏が戦っていたらどうなっていたのでしょうね。

この件で裏社会に流れたお金も決して少なくはなかったのでしょうけれども、

それでも丸く治まって良かったと思えます。

誠心会館以降、空手との抗争も見なくなりましたね(インディー、どインディーではやってるかもしれませんが。)

相撲軍団(嵐、大和)とかは平和で良かったなと、関係ないことをしみじみ思いました。

No title

当時はいろんなのが挑戦に来た・・・と、よく聞きましたが、これぞ真打ちですね(^^;

猪木の日本人同士の格闘技戦ってありませんでしたが、もしやっていたら世の中にどんな風を吹き込んだのかなぁ・・・

さらに物騒な事件のお話も楽しみにしています(^▽^)

・・・

こんばんは。水谷氏は松永の著書によると馬場にも挑戦するつもりだったり道場開きに新日本から花が来ておらず激怒してたようです。井上編集長の著書によると連日のように新日本の事務所に脅迫電話をかけ退職する社員が続出したとか猪木は竹やぶで闘う気だったとか最終的に収めるためにどこだかの城で猪木&新間が土下座したとか、どこまでがリアルでどこまでがファンタジーなのか判別不可能です。寛水流の発足が後の軟禁事件につながるんですよね。続編も期待しています。

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>TKさん

カミングアウトがなされていなかった時代における、物騒なれど、かなり興味深い話<この手の話って実はたくさんあったんでしょうね。会場でシンに殴りかかるような客がいた時代でしたから。

もしもシュートで新日本プロレスの誰かと水谷氏が戦っていたら<いや考えただけで身も縮まりますね。事件まで行ったのかなと。

裏社会に流れたお金も決して少なくはなかったのでしょう<ライトウィングやらヤ印の方やら…人脈って大きいですね、この世界。

相撲軍団(嵐、大和)とかは平和で良かったなと<懐かしいですね(笑)。
あとZERO-ONEの小笠原師範も良かったですね。

>流星仮面二世さん

これぞ真打ちですね<言い得てますよね。
とてもカタギの話じゃないですよ。

もしやっていたら世の中にどんな風を吹き込んだのかなぁ・・・<それを考えるととても怖いんですよね。いや格闘技戦にはならなかったでしょうから。

さらに物騒な事件のお話も<次のはね…実名はちょっと伏せさせてもらいますね(笑)

>aliveさん

こんばんわ。

道場開きに新日本から花が来ておらず激怒<何やら続編を作っていて思い浮かぶのが、新間氏が独自に話を進めてたっぽいんですよね。猪木は名貸し的な感じで。
そういえば設立パーティーでは来賓で来ていたファイティング原田氏にもステージ上から喧嘩売ったとかいう話もありますね(汗)。

連日のように新日本の事務所に脅迫電話をかけ退職する社員が続出<これぞTHE物騒!!ですね。

猪木は竹やぶで闘う気だった<これも安藤氏のアドバイスもあったようです。鎖鎌対策ですよね。

どこだかの城で猪木&新間が土下座したとか<記事中の和解話でも猪木と新間氏の話が全く異なるんですよね。
時系列もまちまちですし…どこまでがリアルなのか全く不明です。

>○○さん

とにかく出てくる顔触れがいちいち物騒なんですよね(笑)

次は実名を伏せて続けてみます。

あれれ?

スイマセン。
無意識で「管理者だけに~」のチェック入れちゃってたようですね。
失礼しました。

>スパさん

どういたしまして。

またガンガンとコメントお願い致します!!
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