ゲーリー幻のゴッチ式ジャーマン(1992)

ジャーマン・スープレックス、

言わずと知れたプロレスの芸術品。

その開発者は、もちろん“神様”カール・ゴッチです。

そのゴッチさんのジャーマンについて、

“和製オブライト”こと流星仮面二世さんのブログに興味深い技術論が記されています。

 団塊Jrのプロレスファン列伝 より
神様のジャーマン・スープレックス・ホールド

ジャーマン・スープレックス・ホールドをやっていくうちに自分の顔へのダメージがひどいので、相手を左へスライドさせる方法を使うようになった。投げる時点で相手も自分も真後ろに持っていく技ですが、ゴッチくらいの人になればその流れの中で相手をコントロールするという、それも出来たと思うんですよ。つまりゴッチはレスリングでの同技とプロレスの同技を使い分けたと…ゴッチのジャーマン・スープレックス・ホールドは使うにつれ、プロレス用にアレンジされたと、ボクはそう思ったんですよね。


…なるほど、

確かにゴッチさんのジャーマンは相手を左にスライドさせる事で、

自らの顔面や頭部へのダメージを避けているように見えます。
ゴッチの原爆固め

この“ゴッチ式ジャーマン”、

実はUインターにおいても一度だけ実践した選手がいました。

スープレックスと言えば…そう!!

“殺人風車”ゲーリー・オブライトです。
来た来た赤鬼が来たーーー!!

それは高田延彦全盛期のダブルバウト。
睨み合い

1992年11.25 名古屋・露橋スポーツセンター

高田延彦、山崎一夫vsゲーリー・オブライト、マーク・フレミング
です。
高田、山崎vsG・オブライト、M・フレミング

会場には元SWSの佐野直喜が、

2日前の新日両国大会で武藤、蝶野に仕掛けたのに続き、

高田への挑戦状を持って現れたのですが、
元SWSの佐野が来た!!

当の高田はノーリアクション、気付いた観客もまばらと…

この辺の流れは、また近くUPします。

先発、高田とゲーリーで試合開始です。
「タカーダ!! 出テコイヤー!!」

立ち上がり珍しく慎重なゲーリーは、

高田の肩口を深くホールドして、
深く腕を取って、

やや強引ながら巻き投げ。
体重を利しての巻き投げ

ダブルリストロックを狙うと、
腕を取りに来たところで、

すぐに高田はエスケープ。
高田ファーストエスケープ

この辺りはアームロックの効果ではなく、

試合前から痛めていた肋骨にゲーリーの体重が乗る事に対し、

早めの対処でしょう。

両チーム同時に交代すると、

フレミングはパワフルなフェイスロック。
フレミングのフェイスロック

山崎もスピーディな膝十字固めの切り返し。
山崎の膝十字

再び高田とゲーリーの局面になると、

高田、今度は鋭いローキック。
高田のローキックに、

ゲーリーもコーナーへ押し込んでおいてから、

一発目のベリー・トゥ・ベリー。
コーナーへ押し込んでのベリートゥベリー

この辺は一進一退です。

さらにデッドリードライブ気味のボディスラムで高田ダウン。
さらにボディスラムでダウン奪取

しかし回復の早い高田は、

すぐにキレのある膝をぶち込みます。
高田も膝で返す

代わった山崎はミドルキックの連打。

蹴り足を捕えられると、すぐにハイキックで追い討ち。
代わった山崎は蹴り足を預けてのハイキックから、

そのままきれいな人間橋で、

ゲーリーの巨体を投げ切ります。
綺麗なジャーマンで投げ切る!!

だがこれで赤鬼に火が点きます。

ミドルキックをキャッチしてグラウンドに持ち込むと、
ミドルは捕えられ、

万力の様なSTFでエスケープ奪取。
STFにエスケープ

山崎はもう一度蹴り足を預けてのハイキック、

しかし同じ技を二度食うゲーリーじゃありません。
2度目はかわして、

後頭部へのスレッジハンマーを挟んで、

バックを取ると、ここからが問題のシーン…
殺人…

いつもの様にぶっこ抜いた山崎の身体を、
風車…

微妙に左へスライドさせて叩きつけます。
炸裂!!

一瞬で動きの止まった山崎に、

ダメ押しのフルネルソン。
さらにフルネルソンで締め上げると、

何とかロープに逃れて高田につなぎましたが、

ここで山崎は完全に戦闘不能。
山崎は戦闘不能に

ここから代わった高田が孤軍奮闘。

打点の高いソバットでダウンを奪い、
ソバットでダウンを奪い、

矢継ぎ早に腕ひしぎ逆十字でエスケープ奪取、
腕十字と、

さらに逆片エビ固めでエスケープ連取。
逆片エビ固めでエスケープ連取

9月のゲーリー、10月の北尾(参照:10月最後の夜に…カタルシスを)と連破したこの次期、

特にこの11.25露橋大会が、

Uインターにおける高田の強さのピークだという意見も多数あります。

ここからのフィニッシュも圧巻です。

交代したフレミングはテーズ直伝のダブルリストロック狙い。
ダブルリストロック狙いのフレミングに、

高田は切り返すと上から潰してコントロール。
上になって潰す高田、

そのままフェイスロックに移行すると、
フェイスロックに移行すると、

フレミングは浅くフックされた高田の足を取り、
セオリーどおり足を取りにくるフレミング、

レッグシザースに行こうとした刹那…
待ってましたと…、

これを待ってました、とばかり逆十字で一本。
一気に十字!!

豪快な払い腰(参照:プロレスラーのテイクダウン払い腰、再び男が惚れる男)や、キック(参照:真冬の奇跡~後編~)で倒しておいての十字もいいですけど、

流れの中で極めた十字…これ好きですね。

終わってみれば高田完勝。
高田完勝!!

しかし、完全に肩を破壊された山崎は、

3ヶ月の欠場を余儀なくされました。
完全に破壊された山崎の肩

結果的に負傷者を出してしまったゲーリーの改良型ジャーマンですが、

実はこれゴッチ式を意識した訳ではなく、

得意の連発式を狙っただけと思うんですよね。

叩きつけた際のゲーリーの左足の浮き具合からして、

そのままクラッチを切らず2発目を。

しかし山崎の重心が変わってしまった為に、

スープレックスを諦めたと。

それも直後の技から察するに、

“戦慄”のフルネルソン・スープレックスを狙っていたはずです。

その証拠に翌月のUインター92年最終興行で、

垣原相手にフルネルソン・スープレックスを初公開したんですよね。

この日の殺人風車は、

2ヶ月前、高田に完敗したゲーリーの、

さらなる向上心が生んだ“偶発的なゴッチ式ジャーマン”だったと思います。

関連記事
スポンサーサイト

tag : 高田延彦 山崎一夫 ゲーリー・オブライト マーク・フレミング 佐野直喜

comment

Secret

バックドロップ気味ってやつですかね。


>男一匹さん

バックドロップ気味<…でもないんですよ、これが。
投げながら相手の身体を左にずらしていくみたいな…どちらにせよ高等技術だと思います。

初コメントです

オブライトのジャーマン・・・投げる際の両膝の締まりがいいですね。さすがに隙がありません。

そして、おっしゃるとおり次の技を狙っているようで、体を左に向けやすいポジションに持って行ってるように見えます。

しかし、いつ見てもオブライトのジャーマンは恐怖感が湧きます。

No title

いやぁ~いつも取り上げていただいて、どうもありがとうございます(^^)

なるほど~これも左に行ってますね!でもオブライトのスープレックスは自身の保護プラス、投げのあとの技につなげるための要素も含まれているんじゃないかなぁーなんて思います。オブライトの得意の連発式は正直、通常の真後ろ投げのジャーマン・スープレックスでは即、次の体勢に入るのは大変だと思うんですよ。でもこの方式なら相手は後ろへまっ逆さまですが、自身の体勢はすぐ起き上がる方へ行けると・・・思うんですよ。ゴッチとは対極に、オブライトのはアマチュアの要素を残しつつプロ仕様にアレンジされていったのかな~なんて思いますね~。まぁどっちにしてもオブライトの、やっぱすごいですね~!!

ヤマちゃんのジャーマン・スープレックスも見事ですね!!

>独断小僧さん

いつも流星さんのところでお世話になっております。
コメントありがとうございます。

投げる際の両膝の締まりがいいですね<これまた専門家の目からのご指摘ありがとうございます。
この辺りのフォーム…日本人のジャーマンの入り方とは異なりますよね。

次の技を狙っているようで、体を左に向けやすいポジションに持って行ってる<やはりそうですか。
この次の大会でフルネルソン・スープレックスを初公開したんですが、本来ならここで出したかったのでは? と思うんですよね。
それをあせってしまって変な角度になってしまったかと…違いますかね?

>流星仮面二世さん

いつも取り上げていただいて<こちらこそ、ありがとうございます。

自身の保護プラス、投げのあとの技につなげるための要素も含まれているんじゃないかなぁ<やはりそうですか。

通常の真後ろ投げのジャーマン・スープレックスでは即、次の体勢に入るのは大変…この方式なら相手は後ろへまっ逆さまですが、自身の体勢はすぐ起き上がる方へ行ける<いつも詳しい解説ありがたいです。
完全に打ち付けていきますから、連発する場合は自分の重心を変えていくしかないんでしょうね。

ヤマちゃんのジャーマン・スープレックスも見事<投げきってますよね、これ。
山ちゃんとか佐野って背筋力凄まじかったですよね。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
UFC (1)
最新トラックバック
検索フォーム
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイブ
リンク
来場者数
QRコード
QRコード