運命共同体

小鉄さんの解説といえば、

その隣に座るのは古舘伊知郎アナ以外に考えられません(後の保阪アナも良かったですけど)。

それ以前、

新日が黄金期に突入していった時代、

その放送席は舟橋慶一アナと、

櫻井康雄さんだった訳です。
70年代の放送席

櫻井さんのインタビューも激面白いのですが、

Gスピリッツから、
Gスピリッツ SPECIAL EDITION Vol.1 アントニオ猪木 (タツミムック)

今宵は舟橋さんの回顧録です。

猪木との秘話を、

語っているのですが、

いかに当時の新日本プロレスが、

選手も関係者も一体となっていたかという、

興味深いエピソードがあります。

時は1975年5.19

場所はモントリオール ポール・サウベ・アリーナ

NWF世界ヘビー級選手権試合

タイガー・ジェット・シンvsアントニオ猪木

猪木vsシン@モントリオール1

シンに奪われた虎の子のNWFを、

奪回せんと敵地に乗り込んでの、

リターンマッチに臨んだ猪木と舟橋さんの、

ちょっといい話(?)です。

 Gスピリッツ SPECIAL EDITION Vol.1 アントニオ猪木 (タツミムック) より
舟橋慶一
アントニオ猪木の想いを表現することは、
青少年の教育に必ず繋がると思っていました

舟橋
「この時はテレビのスタッフは誰もいなくて、僕と櫻井さんだけが現地に行ったんです。録画は向こうの放送局にしてもらって、それを持って帰ってきて日本で放送することになっていたんですけど、モントリオールはゼネストの最中で交通機関から何から全部ストップしていたんですよ。依頼していた『チャンネル7』というテレビ局もストライキ中で、試合が午後6時から始まるというのに『中継車を出せない』と当日の朝に連絡があって。それで困っちゃってね。モントリオール近辺のムービーのカメラマンを電話帳で調べてやっと見つけたんですけど、『ビデオが撮れる機械を持ってきてほしい』と伝えたら、夕方の4時頃に1巻で10分しか撮れない映画のフィルムを10本持って来たんですね(苦笑)


そういやこの試合の映像って、

なぜ8ミリビデオみたいなんだろう? と思っていたんですよね。
猪木vsシン@モントリオール2

向こうの機材で撮影するのって、

よくある話なのでしょうけど、

それにしても不思議に思っていました。

そういう事だったんですね。

さて、問題はそんな事情を知らない選手自身に、

この緊急事態を伝えなくてはならないと…

舟橋
「まだ試合の2時間ぐらい前で少しは笑顔が残っている感じだったので、まず『猪木さん、一方的に聞いてください』と。『今日は60分1本勝負になっているんですよねえ。これを60分3本勝負にして、何とか1本を8分50秒ぐらいまでに決めちゃってもらえれば、うまく1巻10分のフィルム3本で収まるんですけど』と言ったら、だんだん怒り出してきて、しまいには怒りに震えているわけですよ(苦笑)。猪木さんは『試合はそんな生易しいものじゃない!』と。それで僕も『また、あとで来ます』と、一旦引いて」

「どうやらシン側が3本勝負を受けないと揉めていたようなんですよね。彼の勝負スタイルは、3本勝負より1本勝負で力を発揮するわけですから」

「もう他に方策はないし、僕も肚を括ってね。『VTRは日本に持ち帰れないだろうな』と99%は諦めて、そうなったらアナウンサーを辞めようと覚悟を決めて。でも、殴られてもいいから、もう1回頼もうと、再び猪木さんのところに行きましたよ。それで『もう1回、私の気持ちだけを言いに来ました。試合が始まって8分を過ぎたら、マイクを持って立ち上がって実況します。立ち上がった時が8分ですから』と(苦笑)。猪木さんも最初は『えっ!?』という顔をして聞いてましたけど、『そこから2分ぐらいで決着がつくような、そんな甘いもんじゃない。ふざけるな!』と、また怒り出してね。『じゃあ、7分を過ぎたら立ちます』と言ったら、余計に怒られて(苦笑)。取り合ってくれないから、とりあえず実況だけやろうと決めて放送席に座りましたよ」


まるで、元気が出るTVの“しつこい高田”と“パンチパーマ連合相澤会長”のやりとりの様ですね。

とにかく舟橋さんは必死です。

かくして試合の方は、

舟橋
7分過ぎに立ち上がって『さあ、アントニオ猪木、ブレーンバスターか!?』と喋ったら、ブレーンバスターに行ったんですよね。ちゃんと実況を聞いてるんですよ、猪木さんは(苦笑)。それで1本目は猪木さんが8分より前に勝って、2本目も3本目も10分以内で終わったんです。できない前提でほとんど絶望的な中で実況していた私と、状況を理解していた猪木さん…時間の制約もあるし、過酷な試合展開でしたけど、限界の中から生まれた阿吽の呼吸でしたね」


これをもって、

“八百長”ととるか、“阿吽の呼吸”ととるかで、

プロレスに対するスタンスは変わって来るのですが、

ワールドプロレスリングにおける、

NWF世界選手権という名の、

一つの作品を作り上げる団結力というのは、

“真剣勝負”そのものといえるでしょう。

舟橋
「結果的に試合形式自体を1本勝負から3本勝負に変えて、キチンとフィルムに収まったわけですから。しかも、この試合は視聴率が凄く良かったんですよ(笑)


それでこそ意味があるのです。

これがいくら素晴らしい映像に収まっても、

数字がガタ落ちなら全ての苦労は無意味なのです。

他にもネーミングの達人である舟橋さんですが、

ドラゴンロケットの命名だけは、

心から悔やんでいました。
舟橋アナのインタビューに答える新王者

こういった秘話を知るにつけ、

改めて昭和のプロレスは、

いろんな思想がぶつかり合って、

融合する事で成り立っていたんだなと、

痛感する次第です。
大巨人と舟橋さん

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tag : アントニオ猪木 タイガー・ジェット・シン 舟橋慶一

comment

Secret

個人的な考えですが

三本勝負、猪木さんが10分以内に決めれるようにスパートをかけた

ってことで良いですよね(・∀・)

古舘アナ&小鉄さん&桜井さんという実況席でしたか?

私、舟橋アナは全く記憶にないですが桜井康雄さんは覚えてます。


猪木と言えば、

実況が「○○体育館からごきげんよう、さようなら!」って言ってCMに入る→CMがあけて「ワールドプロレスリング-終-」って字幕が出てる後ろで猪木が延髄斬りでフォールしてる!ってのがありましたよね。

神業です。

あれを八百長の一言で片付けちゃう人は、人生の楽しみが一つ少ない気がします(^O^)/

>男一匹さん

初めまして。
コメントありがとうございます。

猪木さんが10分以内に決めれるようにスパートをかけた<そういうことですね。
無論、相手のシンもそれを汲んで10分以内のスパートをかけたんでしょう。猪木に付き合わずに時間を延ばせば、やられてしまうと読んだのでしょう。
そう捉えると、この試合…シュートですね。

>TKさん

古舘アナ&小鉄さん&桜井さん<私達の世代には舟橋さんの印象はあまり強くないですよね。
櫻井さんもコワモテの割には「この猪木君のねぇ、タイミングの取り方はねぇ、非常にねぇ…」って柔らかい感じでした。今回のGスピ読んで、改めて昭和のプロレスマスコミの頑固さを思い知った次第です。

「○○体育館からごきげんよう、さようなら!」って言ってCMに入る→CMがあけて「ワールドプロレスリング-終-」って字幕が出てる後ろで猪木が延髄斬りでフォールしてる!<一連の流れ…あれを見届ければ、ゆっくり眠ることが出来ました。
メインが8時40分くらいに始まる時は、私たちもハラハラしてましたし、心なしか猪木も急いで入場してきましたよね。

あれを八百長の一言で片付けちゃう人は、人生の楽しみが一つ少ない<そうですね。
プロレスを八百長と捉えてしまうと、世の中の事象は半分以上が八百長ですよね。

No title

引退した魔裟斗選手でも、撮り直しの効くドラマ出演時にシリアスな場面で目が泳いでしまう役者としては致命的な素人演技が時たま出てしまいます。演出の要求が些細なことであっても簡単に実行できるわけではないのです。
この件ではプロレスに徹した猪木・シン両人の技量が凄かったと素直に感じます。

>病弱者さん

魔裟斗選手でも…シリアスな場面で目が泳いでしまう<演技力と言う部分ではどんなトップレスラーでも演劇の場に出たならみんな大根ですよね。だからこそリングと言う舞台では常人の何百倍も輝けるのかもしれませんね。

プロレスに徹した猪木・シン両人の技量が凄かった<ほぼ毎週ゴールデンタイムの生放送、しかも公開番組ですから…テレビに出ることが本職の方々でも尋常ならぬプレッシャーがありますよね。
ましてやタイツ一丁ですからごまかせない部分が大きいですし…凄いという他ありません。

いやぁーこれは興味深い、タメになるお話でした(^^)

そう船橋さんて、アナウンサーでありながらこういう裏方のパワーも持っていてスゴかったですよね~(≧∇≦)

以前、確か古館さんの本で読んだと記憶しているのですが、昔、藤波とチャボ・ゲレロが対戦して藤波が大流血した試合あったじゃないですか(ちょっと日時とか忘れちゃいましたが)

あのとき船橋さんはレポーターだったそうですが、藤波のあまりの大流血で試合がストップしてしまいそうな状況になってしまったとき、船橋さんは藤波に“今試合が終わると放送時間が余ってしまうんだ”と耳打ちし、

「試合を続けるようです」

とリポートしたというお話があったのを今回これを読んで思い出しました。プロレスの裏表どうのより、みんながひとつになって一生懸命プロレスをやっていた、まさに運命共同な時代でしたよね(^^)

>流星仮面二世さん

藤波とチャボ・ゲレロが対戦して藤波が大流血した試合あったじゃないですか<寝屋川ですね。ドラゴンロケット自爆の!!
この試合がきっかけでかおり夫人と巡り逢ったんですよね。

船橋さんは藤波に“今試合が終わると放送時間が余ってしまうんだ”と耳打ち<それ新間氏も超えてますよ(笑)

みんながひとつになって一生懸命プロレスをやっていた<そうなんですよね。
それもなあなあじゃなしに、それぞれが猪木に直接意見してたらしいですから、仕事以上の物があったんでしょうね。

過去の映像を観て、古舘さん見て。

報道ステーションの人だーーーー
と真っ先に思いました(笑)

やはり、山本さん古舘さんのコンビは鉄板なんでしょうね。


そうだ!
前から聞きたいと思っていた事が。

今、新日の試合で実況席にアナウンサー以外に、ミラノ先生や選手が座ったりしますけど、レガさんが好きな方はいらっしゃいますか?
私は、ミラノ先生(説明が分かりやすく、自身もダハハ(≧∇≦)と笑い楽しそう)
外道選手(贔屓目じゃなく、きちんと選手の技の凄さを認めている)ライガー選手(おぉースゲぇーーと興奮気味に楽しんでる)
等々の理由で今 この3人が好きです。
いつの試合だったか、YOSHI-HASHI選手も意外な賞賛をされていましたが、私は聴けてなくって(T . T)

レガさんは、どなたかいらっしゃいますか?

>ミートさん

山本さん古舘さんのコンビは鉄板<この二人を超える実況はないですね。無理ですよ。

新日の試合で実況席にアナウンサー以外に、ミラノ先生や選手が座ったりしますけど…好きな方はいらっしゃいますか?<選手の解説ってほぼダメですよね。プロの仕事してダメですよ。

例外は高山。口調はべらんめえですけど、言ってる事は全て正しいですよ。
あとは現役なのか何なのか微妙ですけど、蝶野の解説も好きですね。
「今のはこういう事だから、こうなった」というのをキチンと言葉にして表現出来るのが、本当の解説者だと思います。
GKもそこは考えてやってるみたいですけど、たまに的外れな事も言ってますね。

あとは技術解説としてはほとんどダメでしょう。

一番最悪なのは、仲が良いのか何なのかわからいけど、ただひたすらおだてまくる解説ですね。
ヤ○カ○なんてちょっと気味悪いですよ。
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Author:紫レガ 
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