プロレスとは仕掛け合うもの

昨年の レガ大賞(なんじゃそれ?…という方はここ流して下さい:笑) ベストバウトに選ばれたのはSports Graphic Number 681における猪木と柳澤健氏の対談。

題して『アントニオ猪木が語る1976年のアントニオ猪木』。

柳澤氏自身が著したノンフィクション作品の補足部分として、猪木本人へのインタビューを敢行した入魂の8頁。

1976年のアントニオ猪木1976年のアントニオ猪木
(2007/03)
柳澤 健

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Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2007年 7/5号 [雑誌]Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2007年 7/5号 [雑誌]
(2007/06/21)
不明

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私がこの本を手にしたのは今年の夏。

先にNumberの方を読んでから一年後に本編を読みました。

先述したレガ大賞の制定もこの本を読む遥か以前。

当初、この作品も暴露本の類だと認識していた私は、文春も思い切ったなと。そして猪木も良く受けたなと。

しかしインタビューを読んでみると、案の定猪木は本の内容自体を関知しておりませんでした。

ところが以外にかみ合ってと言うか、プロレス的名勝負というか…終ってみれば、さすが猪木という結末だったんですね。


Sports Graphic Number 681
『アントニオ猪木が語る1976年のアントニオ猪木』より

―結局、プロレスラーの猪木さんがモハメッド・アリとリアルファイトをやったことが現在の混乱の原因ではありませんか?

猪木「はい、俺にとってはそれ全然矛盾はないんですよね。プロレスはショーだと決めつけても構いませんけど、プロレスは仕掛け合うもので、ある意味じゃゲーム的なものなんです。『あ、そこまでやるの、お前』『だったら俺もここまでやるよ』という具合に。そのためには自分が相当自信を持ってコンディションも整えて、相手を自分の手で遊ばせることも必要になる。いろんな選手から、猪木との試合が最高の思い出の試合だったとよく聞きます。勝ち負けは別にして、自分の知らない自分を引っ張り出してくれたと。昔言ったけど、プロレスはセックスみたいなものなんです。こいつとやったらもう忘れられない。だから俺はいい女だと(笑)」

―でも、アリとの試合を、たとえばマクガイア兄弟の試合と一緒にされては困るという気持ちはありませんか?

猪木「あんまりそれは感じたことない。いま言われて初めてね、あれもあり、これもありという、言い方変えりゃ非常にいい加減なやつですけど(笑)」


随所にアントンスマイルを織り交ぜながら、予定時間内に全てを引き出そうという柳澤氏の質問を時に正面から、時にいなす(=風車の理論)一流の受け答え。

ここでは今日の123daさんのコメントにあるように、プロレスが持つ特殊な曖昧さを猪木流に説明しています。

他にもインタビュー中に何度も「リアルファイト」と「プロレス」という言葉の使い分けでカミングアウトを促す柳澤氏に対し、猪木は直接的な言葉を使う事なくやんわりと透かさずに返答。


Sports Graphic Number 681
『アントニオ猪木が語る1976年のアントニオ猪木』より

―アリの上になるためにはタックルしなくてはなりません。でも、船木誠勝さんや金原弘光さんが以前おっしゃっていたことですが、新日本やUWFの練習では、タックルはなかったそうです。実際のところはどうだったんでしょうか?

猪木「俺たちのタックルはまた違うんですよね。こっちから飛んでいかない。だからまず組み合ってから(ロックアップ)、外してパッと後ろへ回るとかね。ま、ゴッチ流のタックルですかね」

―ゴッチさんがグレコローマンのレスラーだったから、という理由もあったのかもしれませんが、下半身へのタックルを新日本プロレスやUWFの試合で見ることはできません。(略)猪木さんがタックルに成功したところは見たことがない。失礼な見方かもしれませんが、それはゴッチさんが猪木さんに教えなかったからではありませんか?

猪木「俺の場合はもともと形がないんですよ。関節技は教えられるけれど、アマレスの基本であるタックルだとか、そういうものはやってない。だから俺は自由に変化できるという部分もある。(略)だから、ジェット・シンであろうとアンドレであろうと自由に変化して相手が出来るというのは、へんな言い方をすりゃ俺に基本がないからこそでね」


この辺は何か別のインタビューでも「俺には他の格闘技の基本がないから異種格闘技に対応できる」みたいな事言ってた記憶があります。

タックルもアマレスのは知らない、蹴りも空手やキックボクシングではない、関節や締めも柔道やサンボではない。

全てがプロレスリングの技術。


Sports Graphic Number 681
『アントニオ猪木が語る1976年のアントニオ猪木』より

猪木「さっきも言ったように俺には基本がない。だから柔道家であろうと空手家であろうと、相手の戦い方に全部合わせられる。逆に言えば、噛み合わない相手こそが俺が得意とする部分なんです」


ここでも言ってました。

結局、猪木自身にはイズムがあっても型がない。

それ故にアリとも、ペールワンとも、ルスカとも、ウィリーとも、ジェット・シンとも、アンドレとも、マクガイア兄弟とも、ローデスとも、ガスパーとも戦えるんだと。

そしてそれらは個々に違った意味合いを持つリアルファイトや、ワークファイトなどではなくて、全てが形を変えた同じ意味でのプロレスリングであると。

今回の宮戸との電撃合体もここにつながって来るはずです。

またこの部分掘下げてみましょう。
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tag : アントニオ猪木 柳澤健 1976年のアントニオ猪木

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仕掛け合うというのは闘いですよね。選手がリアルに緊張しなければ伝わらないですよ。猪木、ウイリー戦はもの凄い緊張感がありましたよね。

猪木さんのタックルは胴タックルですがレフトフック・デイトン戦で見たことがありますよ。アレはアマレスのタックルだと思いますよ。

マサ斉藤さんは猪木さん相手だとタックルをよく仕掛けてましたよね。猪木さんは倒されても足入れてマサさんを入れませんでしたけど、それって今の総合格闘技の動きなんですよね。形がないというのはそういうことなんでしょうね。

>123daさん

猪木vsウィリー<一部の極真の人間は真剣に刺し違える覚悟だったみたいですね。
猪木のタックルといえば…私はグレート・アントニオに決めた片足タックルが思い浮かびます。あれだけ自然な形で出てますので、決してタックルが出来ないという事はないと思います。
ロビンソン戦でもわかるように猪木の足捌きは絶妙だと思います。
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