大根にして名優(1996)

忘れられないコメントがあります。

以前頂いた病弱者さんの

黒澤監督の「蜘蛛の巣城」という映画で故三船敏郎に弓の名手が本物の矢を射掛けていたというのは映画通には有名な話ですが、普通の役者なら腰が抜けて失禁して演技にならなかったはずです。三船の人並みはずれた胆力・気力だから生死のただ中でも演じきる力があったのであって「つくりごと」なら誰でもできるわけではないはずです。


というものです。

この“生死のただ中で演じきる力”こそ、

三沢の例を挙げるまでもなくプロレスというジャンルそのものでしょう。

そういった意味で、

一流レスラーは“名優”であるという事が言えます。

ただ演技力というスキルは素人同然ながら、

プロレスファン皆の心に深く存在した名優がいます。

今は亡き“破壊王”橋本真也です。
“闘魂伝承”を背負って入場

彼のファンの間では、

小川直也との抗争以上の名勝負として語り継がれている一戦。
“最強復権”への入場

1996年4.29 東京ドーム

IWGPヘビー級選手権試合

高田延彦vs橋本真也


国歌吹奏での両雄

これまた“名優”である高田延彦にとっては、

年頭の武藤戦(参照:ちょっと待った!!~前編~~後編~)で奪取した、

王座の2度目の防衛戦です。

珍しく手四つの力比べからスタートしたこの試合。
手四つの力比べからスタート

早い段階から高田は、

得意技を仕掛けていきます。
早くも十字を狙う高田

高田の蹴りはいつものvs新日よりも軽く、

橋本は前蹴りを掴まえると、
軽く出した前蹴りを捕えて、

体重の乗った重いローキック。
重いローキックに、

高田の表情が変わります。
高田の表情が変わる

さらに重いローが飛んでくると、
さらにローを打つと、

すかさず高田はコンビネーション。

ローから、
高田もローから、

ハイキックでダウンを奪うと、
ハイキックで、

この表情。
ダウンを奪う

橋本が寝れば、すぐに十字狙いにいきます。
そして再び十字狙い

凌いだ橋本はハイキックから、
橋本はハイキックから、

得意技であるDDTを狙いますが、
DDT狙い?、

高田の返しはなんとスモールパッケージホールド。
高田スモールパッケージで回避

純プロレス技に対し、

逆に橋本のサブミッションが繰り出されます。
橋本の脇固め

エスケープされると、

再びローキックの連打から、
ローキックの連打から、

因縁深い足4の字固め(参照:歴史は10月に作られる~平成編~)。
因縁の足4の字

ただ橋本の太くて短い足では極めきれず、

高田はエスケープ。

ブレイクしてすぐに久々のソバットが飛び出します。
高田のソバットから、

そしてバックドロップ。
バックドロップは高角度、

重い橋本の身体を高々とひっこ抜き、

投げていきます。

さらに、再三の十字狙い。
そしてまた十字狙い

これは極まりかけましたが、

橋本も命からがらエスケープ。

ブレイク後に高田は勝負に出ます。

ハイキックの連打…これを橋本はブロックし、
左ハイをブロックして、

ケサ斬りチョップ!!
ケサ斬りチョップ

しかし攻勢は続かず、

再び高田のラッシュ。

腰の入った右のローから、
高田のラッシュはローから、

側頭部への左ハイ。
ハイキックとつなぎ、

これをノーガードで受けきる橋本って、

つくづく恐ろしいですよ。

しかしこれではこの試合のフィニッシュが変わってしまいます。

攻勢の高田はなぜか、

橋本の胸に双手突き。
ここで例のシーン、

そして繰り出したハイキックは空振りし、
高田のハイキックは空を切り、

起死回生の橋本の水面蹴りが炸裂します。
水面蹴り炸裂

大きく吹っ飛びながらも、

DDTにきた橋本を、

脇固めに切り返す高田ですが、
何とか脇固めで返すが、

ロープブレイク後のミドルキックはハーフスイング気味で、
ブレイク後のミドルキックを、

逆に橋本の強烈な一発を食ってしまいます。
破壊王のカウンター砲

橋本も一気に勝負へ。

必殺の垂直落下式DDTにいきますが、
垂直式DDTを切り返した高田に、

切り返して背後に着地した高田。

すかさず橋本はチョップ一閃。
チョップ一閃!!

打ち合いから膝蹴りの連打。

そして高速のDDT!!
高速のDDT!!

最後は高々と持ち上げ、

充分な溜めを作っての、
高々と持ち上げての、

素直落下式DDT!!
素直落下式DDT!!

さらに三角締めで高田はタップアウト!!
ダメ押しの三角締めで高田タップアウト

このフィニッシュシーンは、

日本のプロレス史に残る名シーンでしょう。

闘い終わって二人は固い握手を交わします。
闘い終ればノーサイド

この試合のキーポイントは言わずもがな、

終盤に放たれた高田の双手突きです。

あれがなければプロレス史に残る名シーンは、

生まれなかったとも言えます。

闘魂三銃士の三人。

武藤敬司はムタとしてなら超一流の名優でした。

マイク以外なら武藤としてのパフォーマンス(表現力)も素晴らしかった。

その表現力(パフォーマンス)という部分に限るなら、

蝶野正洋が文句なしのナンバーワンでしょう。

そして橋本真也、

あと10年遅く生まれてきていたら、

2000年代の新日において、

彼の“演じる力”ではメインエベンターとなり得たかどうか?

まだ90年代当時の新日は強さが優先されていたので、

それを持っていた橋本は堂々スターとなれました。

余談ですが、小川直也の立ち振舞いを見るにつけ、

橋本とツートップでスタートしたハッスルがショー・ビジネスとして定着するはずはなかったよな、

と今更ながら思います。

そして、この試合を見るにつけ、

Uが存在していなかったら、新日のエース…

アントニオ猪木の後継者は、

早かれ遅かれ高田伸彦になっていたんだろうなと思います。

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tag : 橋本真也 高田延彦 IWGP

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No title

拙いコメントを取り上げていただいてありがとうございます。
 故三船さんは「世界のミフネ」と言われ当時の外国の名優と共演しても同等以上の存在感を発揮した日本を代表する役者さんでしたが、一般人が国際的俳優と身近に接すれば気後れして縮まってしまうことを考え合わせると異常な胆力の持ち主だったということがよくわかります。
 プロレスを「つくりごと」とバカにするのは、「つくりごと」に真剣に取り組んでいる方々への冒涜にも等しいことです。古典バレエは台本も踊りの型も全て決まっている完全な「つくりごと」ですが、プロの興行では端役でも才能と努力で選ばれた極一部の人しか出られない非常に厳しい世界です(当たり前ですね)。プロレスも、各種団体はありますが、定番団体は才能と努力で選ばれた人々の一般人とはかけ離れた世界です。

No title

こんにちは
この試合は個人的に・・・あくまで個人的にですが・・・周りが言うほどではなかったですね
蹴りは軽い・・・言われる通り双手突き
まぁ結論としてvs新日では本来の高田延彦を見ることは無理だったと・・・。
避けて通れない道だったのかもしれませんができるのならインターのみの興行を6年間見たかったですね。
続けていられれば、vs田村も実現したのかも?しれませんね。
金原vs高田も見てみたかったカードです

No title

>アントニオ猪木の後継者は、早かれ遅かれ高田伸彦

猪木本人が一番可愛がったのが、青春のエスペランサ時代の高田でしたよね。これは贔屓目抜きの客観的事実だと思います。

>病弱者さん

とんでもないです、こちらこそありがとうございます。

異常な胆力の持ち主<これってよく“芸能界一の腕自慢”とか、“喧嘩最強”とか言われる人達の遥か上を行ってますよね。
結局、それらって演者としての演技上であまり意味がないですもんね。
むしろ直接演じる事に結びついていたその“胆力”…この話は勉強になりました。

「つくりごと」に真剣に取り組んでいる方々への冒涜<その通りでしょうね。

定番団体は才能と努力で選ばれた人々の一般人とはかけ離れた世界<先日NHKで猪木が女芸人相手に語ってたんですが、
「小学生で身長175あった」って…かつてはこういう話がプロレスの世界じゃ普通でしたよね。
努力だけじゃかなわないのが、プロレスという世界だったはずです。

>Fさん

こんばんわ。

周りが言うほどではなかった<これ新日側では歴史に残る名勝負なんですよね。
Uの歴史的には最も相手に迎合したつまらない試合でしょうか。

結論としてvs新日では本来の高田延彦を見ることは無理だった<確かに魅力なかったです。でも高田のプロレスセンスのレベルの高さは改めて知らされましたよね。

できるのならインターのみの興行を6年間見たかった<…う~ん…、それすごくわかりますね。
ただし、この新日との対抗戦に異常な程に胸が高鳴った私もいるんですよねぇ。

>スパさん

猪木本人が一番可愛がったのが、青春のエスペランサ時代の高田<『アントニオ猪木の謎』という書籍にも書かれてましたが、当時の猪木のブレーンの一人だった著者に、猪木の方から「高田なんかはどう?」って聞いてたそうですよね。
だから引退の時に猪木が居たのは私的には自然でしたね。

それからスパさん!!
ありがとうございます。
じっくり見させて頂きます!!
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