ターニングポイントは北の地から(1996)

NOAHでのシングルのリーグ戦において、

高山善廣が初代の優勝者となったようです。

 スポーツナビ より
プロレスリング・ノア「Spring Navig.'10」
第9試合「グローバル・リーグ戦10」優勝決勝戦
秋山準vs高山善廣

ノーフィアー!!

― シングルのリーグ戦で優勝するのは初めてですか?

高山「初めてだね。いつもリーグ戦の最終戦はどうでもいいタッグマッチをやってたよ。リング上でも言ったけど、武道館で最後にインタビューを受けるのも初めて。そこのところでちょっと感傷的になったね。Uインターでもよく使った場所だしね。全日本、新日本でもやったけど、メーンで勝つのは初めて。インタビューも初めて。勝ててうれしいな~って感じ。こういうインタビューも馴れてないからつらいね。いつもはワーって叫んで終わりだからね。あちこちかゆくなってくる。居心地悪いです。まあノアじゃないけど、オレの友達(鈴木みのる)がヨソの団体でシングルのリーグ戦に優勝して、今日ブタ(浜亮太)と(三冠王座を懸けて)戦ってるんでしょう? 向こうには負けられないからね。お互いリングで戦うわけじゃないけど、競争してると思ってる」


“帝王”の名を欲しいままにしている高山ですが、

シングルのリーグ戦やトーナメントでは、

なかなか優勝という機会はありませんでした。

古くはUインターでのジュニアリーグ、キングダムでのワンデイトーナメント。

全日のチャンピオン・カーニバルは99年、2000年、2009年と何れも揮わず。

新日では2002年のG1準優勝が最高位。

ノアでもGHC初代王者決定トーナメント決勝で三沢に敗れての準優勝ですね(参照:緑のマットでの崇高なる“闘い”~前編~~中編~~後編~)。

そんな中、

2002年~2003年のNWF王座決定トーナメントでは藤田、高阪を連破して優勝。

さらに遡ると、

私の記憶に残っている最初の栄冠は、

Uインター末期の『高田延彦対戦者決定リーグ戦』です。

それまで高田とのシングルバウトの経験がない、

若手4人による総当りリーグ戦は、

今思えば、

実に“団体内イデオロギー闘争”でした。

特に忘れられないのは、

生で観戦した1996年11.20 札幌テイセンホールでの、
札幌テイセンホール

高山善廣vs桜庭和志です。
高山善廣vs桜庭和志

試合開始早々、

桜庭は片足タックルでテイクダウンを奪います。
開始早々に片足タックルから、

いつものローシングルではなく、

大きな高山には高い位置でクラッチしてますね。

そのまま腕十字でファーストエスケープ奪取。
十字でエスケープ奪取

高山も序盤から得意の膝蹴りを出していきますが、
高山の重い膝も、

桜庭は受け止めてまたもテイクダウン。
受け止めてテイクダウン

体格差で上を取った高山は、

掌底を振り回していきます。
上からの掌底

離れると対角線を走り込んでの膝蹴り。
走り込んでの膝は、

これを寸前で潜り抜けた桜庭は、
潜り抜けてキャッチすると、

一気に弧を描いてキャプチュード。
キャプチュード

Uインターからキングダムにかけて、

スープレックスは桜庭の大きな武器でした。

再度、腕十字に行く桜庭ですが、

高山も足首を極め返していきます。
再びの十字に高山も足首固めで返す

体勢を変えて桜庭は変形のアームロック。
変形のアームロック

こういった応用力が、

当時から桜庭の特徴でもありました。

一方、高山も最大の武器である膝蹴りで、
高山の膝蹴りで、

最初のダウンを奪います。
桜庭ダウン

蘇生した桜庭はまたも腕十字。
またも十字

対する高山はキャッチ技、クロックヘッドシザース。
高山はクロックヘッドシザース

立てば再び高山の膝地獄ですが、
顔面への膝

桜庭は巧くキャッチしてテイクダウン成功。
巧みにテイクダウンを取って、

アンクルホールドで立て続けに、
アンクルホールドでエスケープ

連続エスケープ奪取。
たてつづけにもう一度

それでも高山には一発があります。
高山には一発がある

グラウンドではダブルリストロック。

これもプロレスリングの古典テクニックです。
ダブルリストロック

桜庭はチョーク気味のスリーパーでエスケープ奪取。
桜庭はスリーパーでエスケープ奪取

高山の打開策はやっぱり膝蹴り。
高山はあくまでも膝にこだわる

落差の大きいスープレックスから、
豪快なスープレックスから、

Uの古典技、V1アームロックでエスケープ奪取。
V1アームロックでエスケープ奪取

すると桜庭は腰の入ったハイキックから、
桜庭綺麗なハイキックから、

打点の高いドロップキック。
打点の高いドロップキック

そして腕十字…実に心憎いコンビネーションです。
そして十字

高山も負けじと腕十字で切り返せば、
高山も十字

それをはぐらかすかの様に、流れの中でサソリ固め。
もつれる中でしっかりサソリ固め

いつしかお互いの残りポイントも僅かに。

高山は膝蹴りを中心に打撃で勝負に出ます。
勝負に行く膝蹴り

すると桜庭も蹴りで応戦。
桜庭も打撃戦に臨む

ここで突如、高山の豪快なジャーマンが炸裂。
ここでエベレストジャーマン

そのままリング中央で、

一気に膝十字固めを極めて、
一気に膝十字で、

高山快勝。
高山勝利

結局このリーグ戦、

高山が2勝1敗で金原と並びますが、

ポイント差で優勝し、

高田との初対決を果たします。

一方の桜庭は先輩の金原に勝ちますが、

後輩のヤマケンに敗れ1勝2敗に終わります。

札幌での、この一戦。

なぜ冒頭に“団体内イデオロギー闘争”と書いたかというと、

Uインターの末期、

個々の選手たちは、

既にそれぞれの進む道を見越した上でリングに上がっていたんですね。

この試合で桜庭が試みる技というのは、

当時のエンセンとのスパーリング(参照:エンセン井上が語ってたUインター道場)を想起させる腕十字のバリエーションや、

後にキングダムで威力を発揮するアンクルホールドなど、

いわゆる総合テクニックなのに対し、

高山は重量感を増した膝蹴りをはじめ、

ダブルリストロックやクロックヘッドシザースというプロレスリングの古典技。

身体つきも全日参戦を見据えた上で、

厚みのあるプロレス仕様になりつつありました。

今思えば、この北の地での一戦が、

そんな二人が奇跡的に交わった“最後の同門対決”だったんでしょう。

そのカードを生で見た幸せ者は、

北海道とイスラエルにしかいない訳です。

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tag : 高山善廣 桜庭和志 プロレスリング・ノア

comment

Secret

No title

>Uインターの末期、

個々の選手たちは、

既にそれぞれの進む道を見越した上でリングに上がっていたんですね。


 なるほど。やや不謹慎な見方ですが、団体が末期的になってきた時のひとつの見かたとして、各々の選手が次に進む道がファイトスタイルに現れてくる、というのは面白いです。

 暗い話題ですが、DREAMも青木選手が敵地にてああして敗れ、これまでにも存在意義がなくなっていったのに加えさらにそれが悪化した形となり、正直いって消滅間近の現状となっています。
 そういう意味で今回の記事を応用して考えれば、今後のDREAMでは選手の身の振り方が闘いに現れてくるっていうのを見て行くと、この砂をかむような味わいの現状にも彩りが生まれるのかな・・・などと詮無いことを考えてしまいます。

 今、桜庭選手がハレック・グレイシーと戦う、というのを、紫レガさんはどう見ているんでしょうか。

No title

こんにちは。私も会場で見ました。組んでからの桜庭は強いなあと思っていました。次の年のキングダムでのヤマケン戦も見て流れるようなマットさばきで凄いなとは思いましたが、それがPRIDEのようなルールでも適応できるかどうかは、疑問に思っていました。まさかその後LEGENDと呼ばれるような存在になるなんて想像もつきませんでした。

No title

某動画サイトにて大型レスラーで身体能力が怪物級のドン・レオ・ジョナサンの試合(×ドリー)のプロレス試合特有の序盤戦の腕の取り合いを見ましたが、この時体重のかけ方を変えるだけで対戦相手は簡単に骨折するだろうと思いました。
高山選手も同体型の大型レスラーなので、対戦相手にケガさせない試合を行いながら自分の強さを見せるのは、あたりの強いUインターや総合試合では厳しかったと思います。定番プロレス団体で対戦相手にケガさせずに強さも見せる「プロレス」を続けてきた成果が今回の優勝だと思いました。

>8798さん

団体が末期的になってきた時…次に進む道がファイトスタイルに現れてくる<まぁ、あくまで私論なんですけどね。

DREAMも…正直いって消滅間近の現状<時代性もあるんでしょうね。
でもね、日本で根付いたリングという競技場を完全に金網へチェンジしてしまったら、その時点でもう存在意義はないでしょうね。

今後のDREAMでは選手の身の振り方が闘いに現れてくる<金網を求めるなら、DREAMやSRCじゃなくって敵地であるアメリカへ行くべきですよ。
それを日本のリングに求めるのなら、それは甘え以外の何物でもないです。

桜庭選手がハレック・グレイシーと戦う<早速記事にしてみました。
いざカードを見てみると、やはり胸が高鳴ります。

>aliveさん

こんばんわ。

組んでからの桜庭は強いなあと思っていました<この前の中島(メインはゴールデンカップスvs冬木軍)で北原とシングルやった時も、桜庭の強さが際立っていましたよね。

次の年のキングダムでのヤマケン戦<あの時の中島体育センター…寒かったですよね。
結局あれが札幌での桜庭最後の試合になっちゃいましたね。

まさかその後LEGENDと呼ばれるような存在に<日本においては間違いなく第一人者でしょうね。

>病弱者さん

ドン・レオ・ジョナサンの試合(×ドリー)のプロレス試合特有の序盤戦の腕の取り合い<古い試合には今と全く違った空気感がありますよね。
おちゃらけの場面にすら殺気が漂います。

定番プロレス団体で対戦相手にケガさせずに強さも見せる「プロレス」を続けてきた成果が今回の優勝<なるほど。
確かに高山の攻めは厳しいものが多いですけど、相手を壊すような場面ってあんまりないですよね。
鍛えた場所をハードヒットするという…プロレスラーの基本ですよね。

No title

>金網を求めるなら、DREAMやSRCじゃなくって敵地であるアメリカへ行くべきですよ。
それを日本のリングに求めるのなら、それは甘え以外の何物でもないです。

な・・なるほど。厳しいが納得な意見です・・うーんやっぱ紫レガさんにはプロレス側として定期的にMMAについても語ってほしいです(笑)
ここでショックを受けたのが「甘え以外の何物でもないです。 」というくだりで、奇妙に説得力がありながら同時にどんなところで「甘え」を見たのかな、ということを、お手数ですがお聞きしたいんですが、いいですか?

>8798さん

ショックを受けたのが「甘え以外の何物でもないです。 」というくだり<アメリカのMMA界は金網が常識となりつつあります。それでも日本は四角いリングだと思います。
オクタゴンや何角形かの金網がこれまで出現しては、姿を消してきました。
初期の修斗も六角形だか八角形のリングでしたが、結局今では四角いリングですよね。

私の中ではそれしか考えられないんですよ。
金網=檻の中…それは見世物なんです。
やっぱりリングという高い位置にあるものを見上げて行きたいです。
それでも金網でやりたい、金網の大会がやりたい、それを見たいなら、UFCをはじめとする海外MMAをやりゃいい、見てりゃいいと思います。
そこにこだわるけど、日本の応援してくれるファンの前でやりたい…それってワガママだと思います。

No title

 ありがとうございます。この意見はやっぱUWFからの格闘史に根差したものとして凄く説得力ある意見で、ケージの中の日本格闘技というのはもう完全に日本の歴史のもんじゃないんですよね。正直言っていまMMAをやるってことがアメフトとかホッケーみたいなアメリカンスポーツに日本人が挑戦する、ということになっていく流れになりつつある中で、「日本格闘技史ってのは、そんな単純なものに収まっていくものだったのか?」という気持ちになるというか。甘えとは、そうやって歴史を見てきたファンを裏切るということなんですね。
 (これはプロレスが総WWE化していくことが生き残る策、という議論が5~6年前にもなされたと思いますが、やはりその時も「そんな単純なものに収まっていくものだったのか?」という気持ちが湧いたと思われ、ケージ・リング論議はそれと相似形と思っております。)

>8798さん

こちらこそありがとうございます。

ケージの中の日本格闘技というのはもう完全に日本の歴史のもんじゃない<そうですよね。プロレスからという観点で行くと、そのルーツは国際…ラッシャー木村ですから(笑)

甘えとは、そうやって歴史を見てきたファンを裏切るということ<そこまで深く考えていませんが、選手のコメント読んでも「リングじゃアメリカに通用しない。アメリカで通用するためにケージを…」って…プライドも何もあったもんじゃないでしょ。
リングで頂点にも立てずにケージ、ケージ言うんじゃないよって。

ケージ・リング論議<やっぱり自分が観て育ってきた原点ってのを大切にしたいんですよね。

njphjyyo@gmail.com

난 남자보는 눈이 없나봐ㅠ,ㅠ 예전에 정말 좋아하는 배우였는데..

>연예인노출さん

アンニョンンハセヨ!!

コメントありがとうございます。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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