ちょっと待った!!~前編~(1996)

前々々々回(参照:続・田村潔司の源)に続いて、

kamiproからの引用です。

このやり取りを読んで、

反論せずにいられない私がいます。

kamipro No.146(エンターブレインムック)
 kamipro No.146 より
1990年4月27日の武藤敬司座談会

斉藤「Uインターとの対抗戦のときも動けてましたよね」

井上「全然あとづけだけど、やっぱり新日本としては高田が北尾戦みたいに仕掛けてくるんじゃないかっていう不安があって。だから油断はできないってことで武藤が大将戦に出たんだよね

斉藤「あっ、それは凄く納得できる話ですね!」

井上「それを踏まえて、あの試合を見返すと凄くおもしろい」

斉藤「そうだそうだ、なんだか武藤のフットワークがふわふわしてるんですよ、いつもと違って。『なんなんだろうな?』と思ってたんですけど」

ガンツ「ズバリ、騙し討ちされないように警戒してるんですよ。あのとき俺は高田を応援してたけど、4の字で負けたことが悔しいんじゃなくて、UWF信者の俺から観ても『これはリアルに武藤のほうが強いな』って心のなかで思っちゃったことなんだよね

井上「いやね、そこなんだよ、我々の心を捕らえて離さないのは(以下略)」


ちょっと待って、と。

Uに関して“語り部”ともいえるプロの変態三氏が、

本当に「リアルに武藤のほうが強い」って思ったのでしょうか?

あの10.9ならいざ知らず(参照:歴史は10月に作られる~平成編~)、
伝説の足4の字

翌年1.4のリベンジマッチは、

随所に高田武藤の格闘技術の攻防があり、

贔屓目抜き…とまでは言いませんが、

高田が圧倒していた印象があります。

とにかく振り返ってみましょう。

1996年1.4 東京ドーム
挑戦者・高田入場

IWGPヘビー級選手権試合
王者・武藤入場

武藤敬司vs高田延彦
です。
武藤敬司vs高田延彦

放送席には、

この日、ベイダーとの死闘を終えた猪木が座りました。
リングサイドには手負いの猪木

先制打は高田のインロー。

武藤の膝に躊躇なく打っていきます。
高田いきなりインロー

寝技に自信を持つ武藤は、

スライディングして高田の足を狙いますが、

バックステップで難なくディフェンス。
スライディングして足を狙う武藤

もう一度仕掛けんと、

フェイントのステップワークを使いますが、
細かいフェイントを使う武藤に、

高田は構わずローキックで機先を制します。
高田はローキック

何とか足を取りたい武藤。

再度仕掛けにいきますが、
前に出ようとする武藤を、

高田がカウンターの張り手で制します。
カウンターの張り手で制する

打撃の間合いを嫌って、

今度は片手を取ってからの、
片手を取っての、

カニ挟みという奇襲に行きますが、

これもバックステップによって不発。
カニばさみ狙いも不発

ならば、「打撃には打撃」と、

得意のローリングソバットを繰り出しますが、

高田はゆうゆうかわしていきます。
大きなモーションのローリングソバットはゆうゆうかわす

ここで武藤の攻め手を見切ったか、

高田はノーガードで向き合います。
余裕のノーガード

高田の方から組みに行くと、

武藤は顔面への掌打、キックを警戒して、

ガードを固めます。
上への打撃を警戒する武藤を、

そこへローキック、
右ローで崩して、

空いた顔面に張り手、
張り手から、

そして胸板へのミドルキック。
左ミドルのコンビネーション

10.9と打って変わり、

Uインターのリングで見せるコンビネーションそのものです。

手数のなくなってきた武藤は、

前戦同様に一発で流れを変えるべく、

ドラゴンスクリューを狙っていきますが、

高田はしっかりとディフェンス。
ドラゴンスクリュー狙いは読んでいる

何とか組み付いた武藤は、

体格差を生かして“がぶって”いきます。
武藤はガブって、

すぐにグラウンドで上を取り、
グラウンドへ、

バックに回る…この巧さはさすがです。
バックを取る巧さはさすが、

高田もすぐに足首を極め返しますが、
高田も足を極めに行く、

武藤、今度は腕十字にいきます。
武藤もすかさず十字へ、

一進一退のグラウンドの攻防の中、

突如カメラは亜紀夫人を映し出します。
ここでカメラは亜紀夫人のアップ、

再びスタンドへ。

今度は上半身の差し合い、

高田、得意中の得意である“右四つ”の体勢(参照:あと3分だけ…~前編~)です。
今度は右四つから、

ここで武藤は、

己のベースである柔道流の一本背負い。

引き手、タイミング共にドンピシャです。
武藤の一本背負いは、

しかしここも高田はすぐに反応して、

上から潰していきます。
高田が潰す

今度は2発目のソバットのフェイントから、
ソバットのフェイントから、

両足タックルにいきますが、ニアロープ。
タックルに入るがニアロープ

この辺りから高田の蹴りにも、

キレが出てきます。
高田の右ミドル、

まさしくUインターのエースである、

高田延彦そのものです。

武藤はもう一度飛び込まんとしますが、

これまた高田のバックステップで不発。
武藤再度のカニばさみ狙い(?)も不発

ここまでの攻防いかがでしょう?

武藤のテイクダウンをことごとく切っていく高田。

この一連の攻めは、

武藤が普段見せるプロレスのテクニックとは明らかに違います。

高田は完全に、

Uインターのエースに戻った試合となった訳です。

さらに後編へ続けましょう。

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tag : 高田延彦 武藤敬司 IWGP アントニオ猪木 UWFインターナショナル

comment

Secret

No title

待ってました!うーん、今だこの時代が面白いってのがなんというかですが(笑)

>本当に「リアルに武藤のほうが強い」って思ったのでしょうか?

 まずはあの10・9の時点が全てなのかなあと思われます。この「武藤の方が強い」という発言が当時の感情なのか、再評価のものなのかは分からないですが、自分が見た限りでは10・9の決戦では最初のグラウンドをほとんど武藤選手が上を取っているあたりに、「武藤の方が強い」の説得力があるように見えました。

 ただまあ、逆を取れば新日本との合併を良しとしてしまうまでに追い詰められた高田選手の弱体化、というのも目立っていたように見え、10・9というのはいつもの動きが欠けていた、と見え、やっぱ万全ではなかったですよね。

 この2戦目は様々な意味で万全な(武藤選手から星を返してもらうとか)状態で、そうしたお互いの技術の強度が披露された試合なのでしょうが、しかしこのころのプロレスの強さというものについては「試合のケツを決めておく」ことの前提がないと発揮しきれない鈍さが目立ってる印象があります。時期的にヴァーリトゥード前夜で「何が最強なのか」が実現していく機運が高まる直前だからそう自分が感じてるんだと思いますが。

No title

身体能力の高さは武藤自伝で本人も自覚しているとおり並外れていますから、凡人なら「つくりごとの打ち合わせ」をしても当時の武藤と対等以上の攻防はできないと思われます。この試合序盤の武藤の動きを高田がリアルに封じたとすれば、この時期にヒクソン戦が実現できて結果負けでも、「惨敗」とは感じない試合になっていたと思います。

No title

こんにちは
私からすれば、10.9も1.4も全くもって本来のUインターの高田延彦ではなかったですね
試合自体は面白かったんですが・・・。
後半楽しみにしています

>8798さん

待ってました!<お待たせしました。

あの10・9の時点が全てなのかなあと思われます<いずれにしても10.9当時の高田はもぬけの殻でしたからね。
1.4も完全ではないんですが、試合をしている気構えはありました。

この2戦目は様々な意味で万全な(武藤選手から星を返してもらうとか)状態で<それでもこの試合以降、安生なんかは良く言ってましたが、高田自身が“機械化”してしまったんですよね。何とも味気ないプロレスラーになってしまいました。
それでも私は高田が強かったと思います。

時期的にヴァーリトゥード前夜で「何が最強なのか」が実現していく機運が高まる直前<いや、すでにUFCもパンクラスもありましたし、安生のヒクソン返り討ちもありましたから…気付いてた人はたくさんいたんでしょうね。
私はそれでも高田が元に戻れば最強だと信じてました。

>病弱者さん

身体能力の高さ<これは武藤がダントツでしょう。しかし高田はアスリートとしてプロレス界随一だったと思います。
いずれそれを証明した記事をUPしましょう。

この時期にヒクソン戦が実現できて結果負けでも、「惨敗」とは感じない試合になっていた<ん~~…別物だとは思いますが、高田が自信持って試合に臨めば、持っているものの何十倍も発揮しますからね。

>Fさん

こんばんわ。

私からすれば、10.9も1.4も全くもって本来のUインターの高田延彦ではなかった<全盛期の高田…Uインターを一人で背負っていた頃の高田ではないですよね。
あの時代の高田なら、Fさんも同じだと思いますが、全盛期の前田にも船木にも、田村にも桜庭にも負ける訳がないと思っています。

No title

身体能力も高田が上でしょう

>Aさん

身体能力も高田が上<部分的なものを比較するとアレでしょうけど、トータルバランスというか総合的なものでは高田が上だと思っています。武藤はあちこち壊れてる箇所ありますしね。
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