猪木、スーパーマンとの喧嘩(1979)

猪木の技術論を書いていくうち(参照:続・ちょっと足を、やっちゃいました…猪木vs石澤スパー続編アントニオ猪木とタックル技術)に、

実際の試合で見られた実戦テクニック…いや、喧嘩のような動きを思い出したんですよね。

異種格闘技戦の中なんですけど、

私はアリ戦やウィリー戦、モンスターマン戦、ルスカ戦…それら以上の名勝負だったと思っている一戦です。

1979年4.3 福岡スポーツセンター
大蛇の闘魂ガウン

WWF格闘技世界ヘビー級選手権試合
懐かしの二階堂コミッショナー

アントニオ猪木vs“スーパーマン”レフトフック・デイトン

アリ戦の教訓からグローブを確認

当時の私は6歳。

はっきり言って、まだ真剣にプロレスを見てはおりません。

しかしこの試合の印象が強いのは、

事前に見たデイトンのデモンストレーションのインパクトによる所が大きいです。

手錠を自らの力での引きちぎり、硬式テニスボールを握力で潰し、コインを指の力で曲げ、

挙句の果てはロープで首を吊って、それに耐えるという…『ビックリ人間大集合』ばりの内容。

これがテレビで流されると、

「デイトンには首締めは効かない」という前評判が湧き上がりました。

私はじいちゃんに「この人、人間じゃないの?」と。

強い弱い以前に、本物の“スーパーマン”だと思って見てましたからね。

果たしてどんな試合になったのでしょう?

某仮説によると、

猪木の“真剣勝負”は生涯3戦。

モハメド・アリ戦、パク・ソンナン戦、アクラム・ペールワン戦(参照:アノキ・ペールワン~前編~~後編~)のみだそうです。

しかし筆者が言うところの“リアルファイト”は確かにその3つだけかも知れませんが、

通常の試合や地方のノーTVマッチの中にも、

確実に“危ない試合”というのはあった訳です。

そのうちの一つがこのデイトン戦だったと思います。

 猪木毒本―いま、なぜイノキなのか? より
“影武者”藤原喜明の証言 異種格闘技戦の真実

藤原
「ああ、レフトフック・デイトンっていいやつでね。ちょっと頭は狂ってたけど

「そうそう。一緒にトレーニングやったりしてたよ。なんか気が合ってね。アホなんだよ、コイツ。すっごいアホ。おだてられたらなんでもやる、みたいなね。コイツね、格闘家というよりも、なんていうのかな。ほら、いるじゃない、ビルの10階でロープを張って歩いたりする人。なんか、そういう冒険家というか、生きるか死ぬかという状況を楽しんでるやつでね。面白かったですよ」


とにかくデイトンの繰り出す技の一つ一つが、

危ないったらありゃしない。

ボディチェックが終わるや否やデイトン奇襲の左ミドルから、
いきなり奇襲のミドルキックから、

前に屈んだ猪木の側頭部にフルスイングの右フック。
側頭部へのパンチへ、

さらに強烈な腕力で締め上げると、
さらに締め

猪木も思わず場外エスケープ。
思わずインターバルを取る猪木

波乱の幕開けです。

とにかくアグレッシブなデイトンの攻撃。
デイトンのラッシュ

一発一発に力を込めて、顔面を狙っていきます。
常に顔面狙い

これらのパンチ、一歩間違えればKO劇となります。

それでも前に出る猪木。

これこそが宮戸の言う、「シュートじゃなくても真剣勝負」という事なのでしょう(参照:宮戸語録 vol.3~宮戸味徳編~)。

何とか猪木が蹴り足をキャッチすると、

すかさずジャッキー・チェンばりのハイキック。
蹴り足取られてのハイキック

ダウンした猪木に対し、間を置かずに顔面パンチ。
そして顔面へ

ここで何とか1R終了です。

インターバルを置いて2R。

開始と同時に放った猪木の延髄斬りは空を切ります。
2R開始早々の延髄斬りは空を切る

巧くテイクダウンに持っていき、

バックを奪いますが、ニアロープ。
バックを取るが、ニアロープ

寝技に活路を開きたい猪木は、

思い切ってタックルに飛び込みますが、
猪木のクワガタタックルは、

デイトンは難なく受け止めて場外への放り投げ。
受け止められて場外へ、

ならば一度打撃に付き合おう(?)と、

出てくるデイトンの顔面にカウンターの左ストレート。
猪木の左ストレート(?)も速い

そしてスリーパーへ!!
スリーパーは本当に効かない

実はこの試合、スリーパーホールドでギブアップを奪った方に、

賞金が渡される事にもなっていました。

しかしこの局面では極めきれず、

3R、再び打ち合いに。
打ち合いから、

デイトンの放った二段蹴りは猪木の顔面にヒット。
デイトンの二段蹴りは、

だが食いながら猪木も蹴り足を捕え、
何とかキャッチしてバックに廻り、

これ以上ない角度のバックドロップ!!
強烈なバックドロップ!!

斜めに落ちたデイトンは肩を痛めた模様です。
肩を痛めたか?

そして4R、試合もヤマ場を迎えます。

レッグシザースから変化しての両足タックルでテイクダウンを奪った猪木は、

2度目のスリーパーホールド。
2度目のスリーパーも、

しかしこれも返されて、

強烈なパンチと鉄槌の連打!!
返されて強烈な鉄槌!!

これが猪木の闘魂に火を点けました。
これで闘魂に火がついた

スーパーマン退治の秘策はヘッドバット!!
秘策はヘッドバット!!

一発でデイトンは崩れ落ちて額を割りました。
一発で崩れ落ちたスーパーマン

さらに追い撃ちをかけます。
さらに追い撃ち

デイトンも意地で返しますが、4R終了。
意地で返してくる

コーナーで介抱されますが、

完全にデイトンの闘志は萎えてます。
サックリ割れたデイトンの額

5Rに入ると、猪木はヘッドバット乱れ打ち。
打つべし!!

実にこのラウンドだけで32発!!
打つべし打つべし!!

さらに足元のフラつくデイトンにアリキック。
さらにアリキック

6R、それでも前に出るデイトンの根性には脱帽です。
6R、デイトンは最後の力を振り絞って前へ

しかし猪木のヘッドバットは終わりません。
それでもヘッドバット

そしてバックドロップ。
バックドロップ2発目

ダメ押しの一発。これで、デイトン側セコンドがタオルを投入。
3発目でKO

試合後のインタビューでは、

猪木
「とにかく今日は勝って良かったです。非常に…正直言って怖かったです」

勝利者インタビュー

よく語られてるように、

もしも異種格闘技戦の試合前には道場において入念なリハーサルをした上で、

本番に臨んでいたとしたなら、

デイトンのリアリティはヘタなトップレスラー以上。

もう、ハリウッドスターの域ですよ。

でも前述の藤原コメントを読む限り、

そのようなものをこなせるタイプじゃないという事もわかります。

そして、この試合で見せた猪木の喧嘩殺法。

もしタイムスリップして、猪木が初期UFCのオクタゴンに入ったのなら、

この試合のような戦術を取っていたのではないでしょうか?

あくまでも妄想に過ぎませんが。

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tag : アントニオ猪木 レフトフック・デイトン 藤原喜明 格闘技世界一決定戦 WWF格闘技ヘビー

comment

Secret

おー!

この試合、好きです(^^)

そうそう、リアルタイムの5、6歳の記憶だと試合よりデモンストレーションですよね!
ボクは試合はさっぱり記憶にないんですが、この首吊りはなんか見た記憶がします(^^;

真剣勝負説、アリだと思います(^^)
これ、試合後のインタビューで猪木が

“デイトンが体になんか塗ってた”

って言ってましたよね?試合中も手を拭く動作が多々あったような気も・・・
ボクはこの辺が気になりましたね~。そういうことするってことはプロレスラーに捕まえられるのを懸念している証拠じゃないかなーって(^^;
もし従来のプロレス的格闘技戦なら体に何か塗る必要ないですもんね?

どうでしょうかね?

(って、体になんか塗ってる話、デイトン戦じゃなかったら・・・記憶ちがいだったらすいません)

>流星仮面二世さん

試合よりデモンストレーション<あれはインパクトありました。
あと、もっと小さい頃に見たマクガイア兄弟のスクーターでの入場。試合なんかこれっぽっちも覚えちゃいませんが、ああいったものって記憶から消えませんよね。

真剣勝負説、アリだと思います<シュートかどうかじゃなくて、やるかやられるかの緊張感があれば、そこは真剣勝負の世界だと思います。

“デイトンが体になんか塗ってた”<言ってます言ってます。
「いっつもそれからああいう格闘技の場合ですね、油が凄いんですよ。最初に掴んだときにベローッと抜けちゃってね。これいっつもうちのマネージャーにも言ってんですけどね。いっつもこういうことで…アリ戦もそうだし、掴まえきれなくてね。これはルールとしてねやっぱりお互い…こっちも塗れないですからね。塗らないでやってもらいたいですね」

真剣勝負ですよ

猪木 異種格闘技戦の中でも間違いなくベスト3にいる戦いだったと思います。

無名デイトンのPRの為にTV番組で手錠引きちぎり等を披露したり、約30秒の
首つりに耐えるシーンを流したり・・・インパクトは大きかったですね。
そんな人間は現在でも見た事ないですからデイトンはまさにビックリ人間そのもの。


試合内容も前へ前へ出て、攻める攻めるラッシングパワーは凄いですよ。
剛力パンチが顎に当たれば猪木といえども倒れていたでしょう。

>くまモンさん

初めまして。
コメントありがとうございます。

猪木異種格闘技戦の中でも間違いなくベスト3にいる戦い<はい、全く異論ありません。

無名デイトンのPRの為にTV番組で手錠引きちぎり等を披露したり…まさにビックリ人間そのもの<記事にも書きましたが、デモンストレーションをはっきり覚えてるんですよ。
当時まだプロレスファンにまでは育ってませんから、余程のインパクトだったんですね。

前へ前へ出て、攻める攻めるラッシングパワーは凄い<他のテクニカルな試合とは明らかに違う展開です。

剛力パンチが顎に当たれば猪木といえども倒れていた<本当にやたらめったら打ちまくってるんですよね。例えが適当じゃないでしょうけど、K-1で台頭してきた頃のサップみたいにセオリー度外視で。
それをかわしていく猪木ってのも普通に凄いですよね。

猪木選手、火が点くと止まらなくなる印象です。
ヘッドバット32回!(◎_◎;)


猪木選手本当に強い。


体に何か塗っていたんですか〜反則とかではないんですよね?

レガ”さ'ん6歳から観てるんですかーーーー
素晴らしい幼少期を過ごされていたんですね。


>ミートさん

体に何か塗っていたんですか〜反則とかではないんですよね?<れっきとした反則です。実に悪質な方の。

素晴らしい幼少期<ありがとうございます。家庭環境に感謝です。

No title

猪木のしつこい攻撃は余裕がなかったということでしょう。
頭突きがルールで禁止されていたら
猪木は負けていたかもしれません。
デイトンはトーナメントの決勝戦でネービーハリケーンをKOして
猪木戦のチャンスをつかんだとゴングに書いてあります。
デイトンのマーシャルアーツの試合も見てみたいですね。
分からないのはモンスターマンの実力です。
モンスターマンはクレージーレッグスにKOされたためにネービーハリケーン
vsクレージーレッグス戦に変更になりました。

>ゴンさん

初めまして。
コメントありがとうございます。

猪木のしつこい攻撃は余裕がなかったということ<ここぞというときに集中してガンガン行くのは他流試合の鉄則かも知れませんね。

デイトンはトーナメントの決勝戦でネービーハリケーンをKOして猪木戦のチャンスをつかんだ<あ、そうなんですか!? 猪木戦の賭かったトーナメントか何かがあったんですね?
ネイビーハリケーンはマーシャルアーツの選手でしたっけ? デイトン確かにハードパンチャーですね。

分からないのはモンスターマンの実力…クレージーレッグスにKOされたためにネービーハリケーンvsクレージーレッグス戦に変更<そうだったんですか?
昨年発売されたGスピリッツによると、モンスターマンはかなりの実力者だった模様ですが、プロとしての戦歴があまりに少ないんですよね。
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