誇りの他流試合~後編~(2003)

前編からのつづきです。

一瞬頭に血が上った田村でしたが、

セコンド宮戸の声に冷静さを取り戻します。
宮戸の声で我に返る

しかし、実はここが勝負のターニングポイントだったりもします。

 紙のプロレスRADICAL No.65 より

宮戸
「僕ね、そこで『落ちつけ落ちつけ!』ってなだめちゃったんですよね。いま思うとね、彼はある種、天才タイプなんだから、その彼がスイッチ入ってエンジンかかったわけだから、それがどういう精神状態だろうと本人に任せれば良かったなって思って。(略)平均的な選手に対してのアドバイスだったら間違ってはなかったとは思うんだけど、ああいう天才肌がスイッチ入ってるところに、要らぬ水を差す必要はなかったんですよ」


 孤高の選択 より

田村
試合中、吉田選手が僕のグローブを掴んできた。それだけ必死だったのだとは思う。けれど、自分のほうに引き込むときに、グローブを掴んでくるのはいただけない。
(略)僕は吉田選手との離れ際に、ヒザを出したのだ。
(略)「グローブを掴むな。掴むなよ!」
僕は思わずそう口走っていた。
正直、キレる寸前だった。
そのまま前に出て行こうか。
そう思っていた矢先、セコンドの宮戸さんの声が聞こえた。
「落ち着いて、落ち着いて」
あ、落ち着かなきゃいけない!
そう気がつくと、慌てて自分を冷静に戻した。結果論だけれど、ここで落ち着いていなかったら、もしかしたら違う結果が出ていたかもしれない。そう思うと、キレた状態で試合をする自分も見てみたかった。


もしもあのまま田村が怒涛の攻めに出ていたなら…、

しかし、“もしも…”はリングの上に存在しません。

冷静な田村は再びインローから、
再びインローから、

得意の左ミドル、
ミドルへ

パンチと、コンビネーションが冴え渡ります。
パンチも

逆に冷静さを失った吉田は、

田村のパンチを顔面付近に食いながらも、
左は寸前で当たらず

ガムシャラに打ち合いに持って来ます。
吉田一気に前へ、

この辺りは、

技術を超えた気迫を見せます。

田村はノーガードの構えでさらに吉田を誘いますが、
田村はノーガード

乗っては来ません。

「ならば」と放った鋭い左ミドルは、
田村の左ミドルを、

逆にキャッチされて、素速いテイクダウン。
捕えた吉田は、

ここでも冷静な田村は、
テイクダウンに行くが、

体勢を入れ替えてバックに回ります。
田村がバックに回る、

コントロールしながら細かいパンチを重ねます。
側頭部に細かいパンチ、

この辺は“総合格闘技1年生”に対する経験値の違いでしょう。

それでも吉田は自ら培った“地力”でここを凌いでいきます。
吉田は起き上がって脱出

田村が離れると、

すぐに首を取って投げを狙います。
体落し狙いへ、

足の位置から察するに、

体落しでしょうか?

しかし田村も持ち前の腰の重さで耐えた為、

吉田はヘッドロックに切り替えて締め上げます。
崩れてヘッドロックへ、

20秒程で脱出します。
田村脱出

そこから田村は打撃に絞って、

またインロー攻めが始まります。
またもインロー

さすがに吉田の軸足も浮き上がってきました。
吉田の左足が流れ始める

が、この局面でも吉田は、

ガムシャラに前へ出て打ち合いに来ます。
吉田はフルスイングのアッパーから、

田村のカウンターにも恐れずに前へ来ます。
前に出る、

流れの中で、いつの間にか胴タックルに成功しています。
胴タックルに入った、

そこから一瞬、

気の緩んだ田村を大腰気味に投げ、
大腰風にテイクダウンし、

上になると、
上になると、

あれよあれよと、

必殺の袖車完成!!
速攻で袖車

田村はタップするしかなく、

屈辱の一本負け!!
吉田勝ったが膝が壊れる

吉田は完全に左膝を痛めましたが、

ここまで完璧な一本を奪われては、

田村の精神的ショックは計り知れません。
田村は崩れ落ちる

結局、勝敗を分けたものは、

一つのチャンスに対する勝負勘の差と、

吉田の柔道技への“こだわり”だったと思います。

道着を利した締めには、

MMAファンの賛否…主に否定派が大多数ですが、

前にも書いた様に(参照:僭越ながら…カッコ悪いよ!!)、

総合のリング自体が、看板を背負ったもの同士の、

他流試合の“場”である以上、

柔道を背負って闘う吉田の姿は魅力的でさえあります。

逆に言えば、

小川戦や石井戦のようなMMAスタイルの吉田よりも、

この田村戦やジョシュ戦、シウバ戦のように柔道着を纏って、

柔道家として総合のリングに上がる吉田が、

本当の吉田秀彦なのです。

引退試合は本当の吉田で臨んで欲しいと思います。

さて、一方の田村潔司

実現するしないなんて、どっちでもいいです。

吉田に雪辱したい自分の気持ちにだけは、

嘘をついて欲しくないです。

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tag : 田村潔司 吉田秀彦 PRIDEミドル級GP

comment

Secret

今年こそ田村に期待!

いやー!この試合いつ振り返っても興奮しますね!この時の熱を今の田村に期待しているんですが・・・。
ところで、この時のセコンドに宮戸が付いたのはどういう経緯だったんでしょうか?

>フエルト布よしゆきさん

この試合いつ振り返っても興奮します<私にとってはPRIDE史上№1の名勝負だったと思います。

この時のセコンドに宮戸が付いたのはどういう経緯<高田戦と同様に大一番でのセコンド運が強い宮戸に付いて欲しかったんだと思います。
あとは信頼感でしょう。
最近で言えば立嶋篤史かな?

No title

こんばんは。

この試合以上の興奮は無いです。
途中のノーガードの田村が格好良すぎます。
記事を読ませて貰って、興奮を抑えながら書いてます。

宮戸さんのセコンドは、やっぱり田村の中でUWFvs柔道という気持ちがあったのでしょうか。その一つ前の高田戦は別として、サップ戦やシウバ戦は、セコンドをみても田村はUを背負うというよりリングスジャパン代表って感じでした。
でもこの試合は、吉田のセコンドに高阪が付いていて、その部分はさみしい気持ちになりました。

最後の袖車に入られる瞬間に、田村はまさかあの状態から極められる技があるとは思って無かったんでしょうね、余裕(?)をかましてマウスピースを外してる最中に首を極められてましたね。

あと試合後に、何回も何回もリングを叩く田村が凄く印象的でした。

そしてこの試合を見て、古賀が「吉田は寝技が得意な方じゃ無いのに、田村も口のわりには大した事が無かった」と発言して、凄く悔しかったです。
だから今も古賀をTVで観ると、イラッとします。

>武さん

こんばんわ。

この試合以上の興奮は無い<やっぱりU系の人間にしか出せない緊張感ってあるんですよね。

宮戸さんのセコンド<Uインター出身者は絶対の信頼を寄せてるんですよね。高山も然り。
桜庭も秋山戦の時に望んでたらしいですから。

田村はまさかあの状態から極められる技があるとは思って無かったんでしょう<悪い意味で警戒心無さ過ぎましたよね。
当時の吉田の最大の武器でしたから。

古賀発言<柔道側としては「してやったり」だったんでしょうね。
田村も寝技に自信持って行ってもらいたかったですよ。
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