アノキ・ペールワン~後編~(1976)

前編からのつづきです。

2Rが始まると、アクラムは両手を大きく掲げての挑発行為。
諸手を挙げるアクラムに、

そこに猪木も歩調を合わせます。
猪木も返す

お互い探るように組みにいきます。
両者組んでから、

もつれるようにグラウンドへ移行すると、

バックマウントを奪った猪木の“顔面しごき”。
「ゴッチちょくでん」

猪木曰く「ゴッチ直伝(ちょくでん)」

さらに左足をロックしたまま、

バナナ・スプレッド(?)を狙いにいきますが、

異常に脚力の強いアクラムは極めさせません。
脚が異常に強いアクラムに足関は極まらず、

猪木も作戦変更。

再び体重をアクラムの背中に乗せて、
左足を固めたまま、

左右から連続のフェイスロック。
左右連続での顔面締め

これが執拗に何度も何度も繰り返されて、

“腕折り”の前兆ともいえる攻防に発展してしまいます。

延々と続く顔面締めの中で、

2Rが終了。

すぐにアクラム陣営のセコンドがリングに入り、猛抗議。
2R終了

「猪木がサミングした!」と。

一方の猪木は、
何やら猪木のアピール、

血の滲んだ前腕をアピールしながら、

「アクラムが、先に噛み付いた!」と。
タオルで血を拭きながら「噛み付いたぞ!」

これ、どちらが先に仕掛けたのかは、

今に至るまで謎のままですが、

間違いなくこれがフィニッシュへの布石だったのでしょう。

3R開始。

今度はグレコ式の差し合いから始まります。
3R開始早々、喧嘩四つから、

1Rと同様に胴タックルからバックに回ったアクラムに、
猪木は腕を取りながら、

これまた1R同様、猪木はリストを取ってグラウンドへ。
グラウンドへ移行し、

体勢を入れ替えながらアクラムの腕を捻り、
下からのストレートアームバー。さらに…、

これ以上ない位の完璧なダブル・リストロック。
完璧なダブル・リストロック

英国人レフェリーに何かを忠告(確認?)すると、
レフェリーに忠告してから、

通常の試合ではありえない角度で締め込みます。
締め込んだ!!

!!!!!!!

一斉に雪崩れ込むアクラム陣営。
アクラムの肩が外れると同時に一族が雪崩れ込む

喜ぶ猪木陣営。
小沢はアルバトロス式に喜ぶ

騒ぎ出す観客席に向かい(?)、

猪木は吐き捨てる様に「折ったぞ!!」
「折ったぞ!!」

一族の代表の惨敗に慌てふためくアクラム陣営。
緊急事態のペールワン一族

騒然となる会場に小沢の怒声が響く。
暴れる客に一喝する小沢

混乱を収める為に(?)リングへ上がる兵士達。
軍隊も興奮して撮影不能に

この非常事態の模様を藤原は語っています。

 猪木毒本―いま、なぜイノキなのか? より
藤原喜明の証言

藤原
「軍隊いただろ! 俺の勘違いかい? リングサイドにいたんだよ。(猪木がペールワンの腕を)ボキッ!とやって観客がワーッって立ち上がったら、軍隊がこうやった(銃を向けるポーズ)んだ。映ってた?」

「大変だったんだよ、ワーッときたとき。おかしなやつが猪木さんを撃つかもしれねえと思って、俺は猪木さんのまえで(両手を広げて)こうやったんだよ。そしたら猪木さんが『待て待て待て、ダーッ!』ってやったんだよ。そしたら、その『ダーッ!』でお客さんが急に静かになった。なんだ!? と思ったら、(ダーッ!のポーズが)アラーの神様への感謝の印に見えたらしいんだ。それで急にシーンとなったんだよ」


近年発刊されたノンフィクション本では、それらを否定する記述もありましたが、

その場にいた藤原や新間氏の証言では、

我々が想像するよりも非常事態だったという事が窺われます。
勝利者インタビュー

緊迫した雰囲気のまま猪木陣営は控室へ。
堂々と控室へ

暗室のような部屋の中で、インタビュー答えます。

猪木
「今日の結果というのは、もう、この国民に対してはショックなんでしょうけどね。まあ普通ならあそこまでやらなくて良かったと思うんですけど、相手も必死だし、腕がガクーッとなって、それでも参ったしないんで、二段打ちで絞り込んだからね。これはもう恐らく治らないでしょう」


発言中も藤原らは猪木を囲み、

絶えず周囲を見回します。
回りを気にする永源

その後、ホテルで軟禁状態に会いながらも、

一族の再戦要求を飲む形で握手。
一夜明けて一族の訪問を受ける

後に対戦するズベール・ペールワンらと記念撮影。
記念撮影

殺伐とした雰囲気から解放された猪木を待っていたいたのは、

パキスタン国民から、最強の証である『ペールワン』の称号でした。

これも前編に書いた書籍で「プロレスラーの呼称自体が“ペールワン”」という記述もありましたが、

猪木の強さを万人が認めた事に変わりはありません。

そして、前編の締め括りに書いた、

当時の猪木の無謀っぷり。

なぜ地位も名誉もある猪木が、

リスクしかない異国の地でのシュートマッチを決行し、

相手の腕を折る(実際は脱臼)行為にまで及んでしまったのでしょう?

 kamipro No.143 より
猪鬼の品格

猪木
「まあ、言えることは日本という国内じゃないから。要するにイスラムという世界は日本からすれば理解しがたいこともあるわけで。いまの自爆テロじゃないけど、そこまでの命に対する誇りもありますし、日本とは価値観が違う世界もあるからね」


宗教と国民性が、そうさせたのでしょうか。

それとも猪木自身が持つ無鉄砲さ故か?

 猪木毒本―いま、なぜイノキなのか? より
藤原喜明の証言

藤原
「あの人は恐ろしい人だったよ。AB型のあれで、『死にたくない』という感覚がないんだよ。自然体で、『なんかあたったらこれはしゃあないじゃないか』というアッサリとしたところがあるんだよ。生きることに対する執念があんまりないんだよ


なぜならば…

 kamipro No.114 より
神様と猪鬼

猪木
「マジメな話、俺は死というものを何回か経験しているんです。命のやり取りもあったし、命を賭けるということはどういうことかということも知っている。だから死んだときに何か未練が残らないように、とことんやってきましたから


リングの上に於いては、

勇気と無謀…生と死は常に背中合わせです。

勝利者トロフィー授与

特にそれが異国の地であれば、

言い訳さえも聞き入られません。

さて、青木真也ですが、

彼が次戦でも相手の腕を“折り”に行き、

勝利の後に中指までは行かなくとも、

大晦日のように狂えるのなら、

私は断固、彼を支持したいです。

「青木、おめぇはまだ狂えるのかい? ンムフフフ」

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tag : アントニオ猪木 アクラム・ペールワン 藤原喜明 格闘技世界一決定戦 青木真也 腕折り

comment

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No title

これをテレビで流してしまうのが凄いですね。
当時見てた人がプロレスを格闘技と思うのは当然ですね。
ちなみにストロング小林戦の試合前は「朝食(あさしょく)を食べて・・・」とか言ってましたね。

なんだかんだ言って猪木はすごいっすよね。
ボクはあの猪木のアームロックの入り方、こう下からの態勢で相手にまたがれないように片足かけて、片足でブリッジして・・・あれ好きなんですよ(^^)
あんなアームロックの入り方、なかなかできないですよね~(^▽^)

さて、関係ない話ですが、実は内容こそちがえどボクも猪木・ペールワン一族関係の記事を前編と後編で制作して今日アップしようと思ってたんですよ(//▽//)
でもパソコン壊れてアップできなくなちゃいましたが(^^;

>123daさん

これをテレビで流してしまうのが凄い<当時は放送コードも緩かったですしね。
アクシデントで折れたならともかく、この場合は完全にアレでした。
逆に言えば、当時はそれだけプロレスというものが“闘い”として見られていたのでしょうか。

「朝食(あさしょく)を食べて・・・」<2度目の小林戦でしたか?
あの試合前のキャデラックで会場入りする猪木はカッコイイですよね!!

>流星仮面二世さん

猪木のアームロックの入り方<猪木が常々言ってますが、あくまでもベースはプロレス技術であって、柔術とか柔道ではないそうなんですよね。
あと今回の記事で参考資料にしたTKの意見でも「あくまでスパーリングから身に付けた技術」だと。「マニュアルに沿って覚えた動きじゃない」そうです。

実は内容こそちがえどボクも猪木・ペールワン一族関係の記事を前編と後編で制作<それは残念です!!!!!!!
ぜひ読みたいです。流星さん流の猪木vsアクラム論、楽しみに待ってますよ。
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