『三沢のエルボー』

本日、偉大なるプロレスラー、

三沢光晴の死からちょうど半年が過ぎました。

ここでは何度か書きましたが、

私にとっての三沢は“受け身の天才”でも“垂直落下プロレスの象徴”でもなく、

紛れもなく“闘うプロレスラー”でした。

ですからエメラルド・フロウジョンよりも、タイガードライバー91よりも、

エルボーだった訳です。

そう、『三沢のエルボー』です。
あくまでエルボー、

今年最後の技トーークは、

追悼の意味も込めて、そのエルボーを私なりに検証してみようと思います。
三沢のエルボー

まず、三沢自身がエルボーを主武器に使い出したきっかけと、その威力についてです。

 プロレスの達人 Vol.17 より

三沢
「結局ね、でかい相手だとスープレックス系の技は通用しなくなる。自分より重い奴は投げられなくなるじゃないですか。それを補える技としてね、やっぱりね。スマッシュ系だと、前からの攻撃だと人間強いですから、後ろから前から、そして左右の攻撃とね。人間やっているうちに成長しなかったら阿呆ですからね」

「首筋に入れた場合、音が凄かったりしてね、角度的に良くてね、その時は意外と効いてなかったりしてね。逆にガスッと鈍い音がして効いたりね、その時はね、感覚で、ヒジでわかるじゃないですか」


ヘビー級に転向してからマスクを脱ぎ、本気で団体の頂点を目指すにあたって、

相手は自分よりもひと回りもふた回りも大きな選手ばかり。

そこで出現した技はシンプルで、効果的な古典技のエルボーバットだった訳です。

当時、数多く対戦した渕が三沢のエルボーの技術論を語っています。

 G SPIRITS Vol.13 より


「パンチと違ってエルボーを打つ場合は、リーチが短くなるから自分が一歩前に出なくちゃいけない、あるいは相手が前に来たところカウンターで行くとか、細かい技術が要求されるんだよ。三沢は3ヶ月ぐらいで、完璧に間合い、相手との間隔を見極めるようになって、自分のものにしたね。
(略)三沢のエルボーって脳は揺れるし、首にもくるよ。鶴田さんはよく耳に食らって、鼓膜を破ったりしてたもんなあ」


ジャンボにエルボー

当初はガムシャラに打ち抜いていたように見えますが、
必殺のエルボー

特筆すべきはキャリアを重ねるごとに、

三沢のエルボーにはほとんど“打ち損じ”がなかったことですね。
小橋にもエルボー

鼻っ柱にエルボー

三沢のエルボーを数多く食らったノアの選手たちの体には、

その威力を物語る痕跡が残っています。

 Number PLUS プロレスに殉じた男 三沢光晴 より

秋山準
「エルボーの衝撃の凄さに驚きましたね。見ているのと実際に受けるのでは全然ちがう」


高山
「まあ、三沢さんのエルボーは凄いよ。初めて受けたときは驚いた。痛いっていうレベルじゃない。口から頭蓋骨が出てきそうな感じっていうのかな」


齋藤彰俊
「今もアゴの骨が変形してるんですけど、三沢さんのエルボーをくらいすぎたせいなんですよ。奥歯が縦に割れたこともあったし…本当に凄かったですね、あのエルボーは」


顔面へ、
そしてたった1度や2度の対戦でも、

新日の選手はエルボーを食ったことで三沢の強さを体感しています。

 新日公式 より
2009年1.4東京ドーム 試合後コメント

中邑
「聞きしに勝る。痛いだけじゃなく、凄いだけでもない。三沢のエルボーというのは初めて受けましたけど、『ああ、これか』っていう。ちょっと言葉じゃ形容しにくいですね(苦笑)。効きましたよ、マジで。自分みたいな若造が『いいモノ持っている』と言ったら失礼ですけど、あれは凄い武器だなと思いますね」


中邑にもエルボー

 Sponichi Annex より
「心の広い人」永田は三沢さんに感謝

永田
「首に受けた痛みが胸にまで響いていた。これが“三沢のエルボー”かと思った」


主に使われたのは正面からのエルボーバットですが、

技を考える事に情熱を燃やした三沢は、

エルボー自体にオリジナルのバリエーションを加えていきました。

タイガー時代からの空中技の要素を取り入れたダイビング式
ダイビングエルボー

いくつもの名勝負にピリオドを打ってきたランニング式
ランニングエルボー!!

ローリング式のダイナミズム感も忘れられません。
ローリングエルボー1

ローリングエルボー2

ローリングエルボー3

ローリングエルボー4

プロレス技特有の“タメ”さえも排除したワンツー式
左、

そして右!!

バックブロー式の正確さはキックボクサー顔負けです。
三沢エルボーで返し、

時には拳と見違えるような際どい打ち方もしていました。
エルボー!!

ただし、これだけ打ち続けた代償も大きく、

晩年の三沢は他の故障箇所と同様に、

肘にも大きなダメージが蓄積されていました。

 三沢光晴外伝 完結編 より

試合で連発するエルボーのせいで、右腕の肘のあたりは砕けた軟骨、いわゆる関節ねずみがちらばっている。肘を回すたびにガリゴリと音がする。どこまで回るものか、そのたびに違うので見当がつかない。90度以上曲がらない時は、顔を洗うにも食事をするにも支障をきたしてしまう。曲がればめっけ物。曲がらなくてもともと。まるで宝くじのような肘なのである。


プロレスをそれ程知らない方でも、

猪木の卍馬場の16文と同様に、

三沢のエルボーを知る方は意外とたくさんいました。

プロレス界の重要文化財だったと、

私は思います。

改めて、ご冥福を祈ります。

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tag : 三沢光晴 エルボー

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No title

こんばんは!言われるように三沢のエルボーから闘いを感じざるを得ないですね。選手らのコメントからも伝わってきますが、もうTVを見た時点で痛みが伝わってきますよね。

普段見ない方でも、あのエルボーでプロレスの凄さを感じ取ったと思いますよ。素晴らしい選手でしたね。

あのエルボーは天龍のエルボーを見て、

「使える…!」

と思ったそうです。

…天龍のエルボーなんか記憶にないですが…


確かに三沢のエルボー以外のエルボー合戦なんか観ると萎えてしまいますね…。もういいよ、と思いました。

三沢のエルボーと蝶野の喧嘩キックは、単純で誰もが出来るんだけど、オリジナリティ溢れた「プロレス」技として完璧だと思います。

こういう繋ぎとしてもフィニッシュとしても使える技って凄いと思いますわ。

>H.Tさん

こんばんわ。

三沢のエルボーから闘いを感じざるを得ないです<それ以外の何ものでもないですよね。確実に相手を壊す事の出切る技なのは間違いないです。

普段見ない方でも、あのエルボーでプロレスの凄さを感じ取った<本当にですね、今回の件で、私的にはちょっと意外な人の口から「三沢のエルボー」って言葉が出たんですよ。
それだけ浸透してたんだなぁと思いましたよ。

>BKっち

天龍のエルボー<…コーナートップから後ろ向きにダイブするエルボードロップくらいしか思い浮かばないですよね。

三沢のエルボー以外のエルボー合戦なんか観ると萎えてしまいます<同意します。よく90年代から2000年初期に見られた順番に打ち合うアレは本当に萎えちゃいましたよね。

三沢のエルボーと蝶野の喧嘩キックは<それプラス破壊王の袈裟斬りチョップもですね。そう考えると彼らはやっぱり偉大です。
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