混沌の中の鉄拳(2004)

アントニオ猪木中邑真輔

二人の関係を考えるにあたって、

最も象徴的な出来事があります。

2004年11.13 大阪ドーム

闘魂祭り


中邑が現在組んでいるユニット名がCHAOS=混沌ですが、

とにかく、この大会ほど混沌としたリングはなかったでしょう。

当初、ファン投票で選出されたメインのカードは中邑vs棚橋のシングルマッチでした。

ところがチケットの売上が伸びずに、

テコ入れの為にカードを一任された猪木が仕掛けたのは、

互いに否定していたはずのハッスルからの選手レンタルという事態でした。
猪木の強権発動で、

かつての暴走王の姿とは打って変わった“キャプテン・ハッスル”小川直也が、“ハッスルK”川田利明を従えて登場。
キャプテンハッスル参戦

彼ら…いや小川の目的は試合ではなくハッスルの布教=ハッスル・ポーズでした。

対戦相手の天山棚橋は心ここにあらず。
天山のモンゴリアン炸裂

特にメインから格下げされた棚橋は見るからにやる気を失っており、

小川が繰り出す「スリー、ツー、ワン…」からの足払いにきれいな受け身をとり続けるだけで、
しょっぱい足払い

最後はハッスル軍の合体技に、ジョバーまで引き受けました。
俺ごと刈れ

そしてこの後が、まさしく“混沌”の始まり。

いつものようにハッスル・ポーズで締め括ろうとした小川に、

新日勢は総動員で止めに入り、
新日総出でハッスル阻止

妥協して花道で行おうとした小川にもわざわざ追っていって阻止。
あくまで阻止…

「あくまでもストロングスタイルのリング上で、腰を前後させることなど許さない!!」と。

ところが、無人となったリングに現れた蝶野が、「おい!! ハッスルやれ、オラ!!」と一言。
「ハッスルやれオラ!!」

そもそも試合後にハッスルポーズを云々言う前に、

試合中に何度もやらせている時点でアレなんですが…。

意志の統一のないリングを、小川らは苦い表情で後にしました。

これが“いまのところ”小川最後の新日マットです。

そして本題。

猪木がマッチメイクしたメインエベントの、

中西学、中邑真輔vs藤田和之、ケンドー・カシンです。
中西、中邑vs藤田、カシン

中邑は明らかに胸に秘めたものを持って入場してきました。
鬼気迫る表情で中邑入場

ただし、試合ではカシンと大好きなランカシャー風味の攻防、
カシンとはヨーロッパ式攻防

藤田とは互いにベースであるフリースタイルレスリングの攻防と、
藤田とはレスリング主体

総合に打って出たレスラーの先人とジックリ肌を合わせました。

中邑との攻防とは変わって、

中西に対する藤田とカシンの攻めは相変わらずです。
中西にはこのような仕打ち

フィニッシュまでの展開は、

中邑が下からの三角締めにいくと、
下からの三角は、

藤田は力ずくで持ち上げます。
持ち上げられ、

この辺は後のPRIDE無差別級GPでのW・シウバ戦を彷彿させます。

さらにパワーボムをホイップ式で決めますが、
ボム・ホイップ

すぐに中邑は十字に行きます。
すぐに十字に切り返す

これは天山戦(参照:バクチ人生の始まり)を思い出します。

それでも藤田は再度パワーボムから、
さらにパワーボム

サップを潰したサッカーボールキック。
顔面サッカーボールキック

やがて中邑の動きが止まって、KOの裁定が下ります。

そんな中、“神”猪木がリングイン。
ゴングの中猪木が入ってきて…、

朦朧とする中邑を引きずり起こして、
中邑を引きずり起こすと、

顔面へ右ストレート!!
鉄拳!!

吹っ飛んだ中邑にさらに気合を入れてからアリ・キック。
さらに気合を入れる

ただならぬ猪木の形相におもわず止めに入るのは対戦相手である藤田。
思わず止めに入る藤田

中邑は一瞬やるせない表情を見せてから、
やるせない表情の中邑

中西の心配をよそに途方に暮れます。
心配そうに駈け寄る中西

さらに猪木は活を入れんとします。
さらに猪木は喝を入れる

この場面はかつての武藤に対するものにも似てますね(参照:鉄拳教育とは何か!?)。

猪木「遠慮するなと言ったはずだぞ! 男を見せろ、この野郎!!」
「男を見せろ!!」

帰っていく中邑の背後からも檄を飛ばします。

形は似てましたが、これは前記した武藤の件とは意味が異なるようです。

返す刀で藤田にも一言。

猪木「オメエらも遠慮無く殺せ!コノヤロウ! オメエらが高い壁になれよ! 頼むぞ!」
「高い壁になれ!!」

締めを任された藤田は、出場する大晦日Dynamite!!の宣伝。

もちろんシメはこれです。
最後はコレ

ボロボロになった控え室でのコメント。

中邑「僕はまだ“闘魂”の意味がわかっていないのかもしれない…。これから突き詰めていきますよ」


後年、発行された実話系雑誌の中に、この試合の真相が書き綴られていました。

先日のnaokinさんのコメントにもありましたが、

実はカード変更の際に、中邑は小川との対戦に名乗り出たそうです。

そして密かにかつての“1.4事変”の仕返しにシュートを仕掛けてやろうとしたらしいのです。

それを知ってか知らずか猪木はこのカードを回避。

その制裁の意味で、試合後に見せしめ的な行動に出たとのことなのです。

橋本が潰された“1.4事変”。

新日から強さの概念が消されたその事件は、

ファン時代の中邑にとって積年の恨みだったのです。

この行動を肯定するか、否定するかで、

プロレスに対する考え方は変わってきますが、

小川直也にシュートを仕掛けようというレスラーが、新日に何人いるのでしょうか?

少なくとも小川のしょっぱい足払いを甘んじて受けた上で、

ジョブも受け入れる棚橋とは“覚悟”の差がはっきりしていると思います。

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tag : アントニオ猪木 中邑真輔 小川直也 藤田和之 ケンドー・カシン 中西学

comment

Secret

No title

いつもお世話になってます。
いやぁ、まさに『混沌』ですねw
当時蝶野の発言が一番の『?』でしたがw
しかしプロレスの面白さはストーリーは表だけではなく実は裏にもある
伏線がある面白さだと思います。
話によると事前に中邑が同期だけに小川にシュートを仕掛ける話を
していましたが、そのうちの誰かが上に報告してしまい猪木さんの耳に入る結果となってしまったみたいですね。
猪木さんは「小川にシュートしかけるといいつつ、藤田に仕掛ける勇気がないのか」という意味で鉄拳制裁したという話も聞きました。
中邑とすれば小川に仕掛けるのは橋本の仕返しの意味合いが強かったので、もちろん藤田に仕掛ける意味がなく、結果あのやるせない顔をしたのではないかと思います。
本日IGFが会見を開くようなので楽しみですね。

No title

凄い意味のある試合ですよね。

試合前の会見では「俺もハッスルをやらないとな」と小川選手を喜ばせといて、当日は新日の選手たちには「絶対させるな」と言っていたんですよね。マイクで呼んでも来なかったので、小川選手は猪木さんに仕掛けられたと思ったらしいですよ。

案の定、試合後の猪木さんは「あんな下品なポーズ・・・」に変わってました。

藤田選手とカシン選手は中邑選手が来てもいいように準備をしていたそうですね。やっぱり遠慮してしまったんじゃないですかね。

>naokinさん

いつもありがとうございます。

まさに『混沌』ですねw<これ以上ないくらいです(笑)。

話によると事前に中邑が同期だけに小川にシュートを仕掛ける話を
していましたが、そのうちの誰かが上に報告してしまい猪木さんの耳に入る結果となってしまったみたいですね。
猪木さんは「小川にシュートしかけるといいつつ、藤田に仕掛ける勇気がないのか」という意味で鉄拳制裁したという話も聞きました。
中邑とすれば小川に仕掛けるのは橋本の仕返しの意味合いが強かったので、もちろん藤田に仕掛ける意味がなく、結果あのやるせない顔をしたのではないかと思います。<諸説あるんですね。
この翌年、IWGP王者になった小島は中邑戦後のコメントで、「怖かった」と言ってましたが、こういう伏線があってでしょうね。

>123daさん

凄い意味のある試合<だと思います。

マイクで呼んでも来なかったので、小川選手は猪木さんに仕掛けられたと思ったらしいですよ<川田は小川を責めてましたね。当時。

藤田選手とカシン選手は中邑選手が来てもいいように準備をしていた<信頼のないリングだったんですねぇ…

試合後にこんな展開になるとは。

それは中邑選手あの顔になりますよね⁈

でも、中邑選手に対するレガさんの想いが改めて分かってきました。


皆さんのコメントにも助けられてます。
本当に詳しいです。

>みーさん

中邑選手に対するレガさんの想い<あくまでも当時は「中邑しかいない」と思っていたんです。
でも中邑だけじゃなかったんですね。

だからプロレスは面白いのかも知れません。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
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長州、これは俺のブログだ。

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