誇り高き赤っ恥。(2003)

ボマイェ(参照:ボマイェ考)を語るためには、この試合を思い返さないと意味がないでしょうね。

2003年の大晦日、未曾有の格闘技ブームに乗って、

前代未聞の地上波3局同時中継で、

PRIDE、K-1、猪木祭が三つ巴の視聴率戦争を繰り広げました。

新日本プロレスとしての立ち位置は当然、猪木祭への協力。

…と思われましたが、

この時点でのIWGP王者=団体の頂点に立つ中邑真輔はたった一人で、

K-1のリングに向かっていきました。
史上最大のアウェーへ乗り込んだ真輔

視聴率戦争においては無条件に一番となるであろうこのイベント。

なぜならメインでは第64代横綱の曙が、当時のスーパースターに最も近い存在のボブ・サップを相手にK-1デビューするという、

とんでもない“見世物”が待っていたからです。

その“見世物”の直前…セミファイナルに、中邑がプロレスという“文化”を背負っての出陣。

K-1の新星と、総合格闘技という名の“21世紀型異種格闘技戦”に臨んだのです。
K-1vsプロレス…って逆だろ!!

IWGPのベルトを肩にかけての入場は悲壮感溢れるものでした。
若くしてこの悲壮な覚悟

その意味のひとつには、

年末に発売されたとある書籍に対する意地でもありました(参照:中邑真輔待望論)。

2003年12.31 名古屋ドーム

K-1 Premium Dynamite!!

中邑真輔vsアレクセイ・イグナショフ
です。
中邑真輔vsアレクセイ・イグナショフ

このイベントに出ていった中邑のしたたかさが、私は大好きです。

その気持ちは、当時のコラムにも書き綴っています(参照:『馬鹿になったプロレス』by紫レガインターナショナル)。

前回の大晦日は完全なグリーンボーイとしてでしたが、

今回はチャンピオンとして紹介されます。
慣れないリズムの選手紹介を受ける

グローブを合わせて、ゴングです。
グローブを合わせて試合開始

始まると、
ゴングと同時に、

早々にタックルが決まります。
最初のタックル

あっさりと上を取りますが、
あっさり上を取るが、

柔術の特訓を行ってきたイグナショフの寝技対策も鉄壁です。
イグナショフのグラウンド対策も万全

ですが、すぐに2発目のタックルが入ります。
2発目のタックル

もみ合った末にイグナショフの左手首を捕え、

一気に極めにいこうとした瞬間…
もみ合いからイグナショフの左手首を捕えた!!

「ブレイク!!」
なぜか「ブレイク」???

???…

ドントムーブじゃなくて、スタンドからの再スタート。

すぐに気を取り直して、

今度は片足タックル。
3発目は片足タックル

テイクダウンと同時に一瞬だけマウントを取る。
一瞬マウント奪取

下からのパンチを食いつつ、

コーナーポストに相手を固定して、

コントロールしかけた時に…
コーナーに押し付けて鉄板ポジションを取るが…

「ブレイク!!」
また「ブレイク」???

???…

それでも動じない中邑は4発目のタックルも成功させて、
4発目

今度はサイドを取ります。
今度はサイドを取る

運悪くイグナショフの頭がロープの外に出てしまって、

「ブレイク!!」
イグナショフの頭がロープ外に出て「ブレイク」

残り時間が少ない中、

5発目のタックルは、初めて切られます。
5発目で初めて切られる

さらに6発目を放ったところで、ラウンド終了のゴング。
6発目を放ったところで1R終了

地上波ではこの後の2ラウンドが、まるごとカットされました。

スポナビに頼ると…

 スポーツナビ より
中邑真輔vsアレクセイ・イグナショフ

2R 開始早々のイグナショフのジャブに合わせて素早いタックルを決める中邑。ハーフからせめを狙うが、膠着するとすぐにブレークを命じられる。再度のスタンドから正面タックルにきた中邑にイグナショフはついに「バチン!」と大きな音をたてて左ひざ蹴りをヒット! それでも中邑はサイドを奪うものの、攻め切れず、無念のスタンドへ。

ひざ蹴りを浴びた後ながら、怖れず果敢にタックルを決める中邑。今度はイグナショフに切られ、4点ポジションで危うく蹴りを浴びそうになり、イグナショフに「注意」が与えられる。中邑はドクターチェック後、試合再開! 左ハイを繰り出した後に、粘り強いタックルからテイクダウンしていく中邑。イグナショフの堅いクロスガードを何とか解きたいところだが、逆にイグナショフは下からスイープを決めようとする。

終了間際のタックルも切ったイグナショフは四つんばいになった中邑の上に両ひざをのせ、鉄槌を顔面に叩き込んでいく。終了のゴングも中邑の顔が徐々に腫れ上がっていく。


1Rと同じような展開から、

逆に強烈なのを食ったようです。

そして迎えたファイナルラウンド。
2Rは丸ごとカットされて、最終Rへ

それでも怯まずに中邑はタックルに行きます。
開始と同時にタックル

上からギロチンチョーク狙いで体重を掛けていくと、またも…
上になってギロチンを狙ったところで、

「ブレイク!!」

???…
またまた「ブレイク」???

顔面をかすかにカットしたイグナショフのドクターチェックです。
カットした傷口のチェックだが…

チェック後、普通にスタンドからの再開。
スタンドから再開???

MMAが浸透した現在では考えられないほど雑なルールです。

そして唐突にエンディングを迎えます。
イグナショフの膝蹴り2

イグナショフの膝蹴り3

これで終わり???

セコンドと共に喜び合うイグナショフ。
歓喜のイグナショフ陣営

到底納得出来るはずのない中邑は叫び、
吼える真輔

抗議したくても、伝える人間がわからない。
途方に暮れる真輔

スポーツマンシップに則ったイグナショフの行動も受け入れるわけにいかない。
挨拶に来たイグナショフもシカト

結果的には最も一般視聴者が見ているだろう時間帯に、

K-1特有の曖昧なルールとレフェリングの板挟みに遭いながらも、

“敗北”という“赤っ恥”をかく羽目になってしまいました(のちに抗議が認められて無効試合にはなりましたが、大晦日の放送を観ていた視聴者には知る由もありません)

しかし最後に見せたこの表情。
この表情!!

この顔つきこそが、

プロレスという文化を背負って臨んだ男の“誇り”でしょう。

この顔を知っているから、

私は中邑真輔というプロレスラーが好きなんです。

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tag : 中邑真輔 アレクセイ・イグナショフ Dynamite!!

comment

Secret

これは知りませんでした・・・

紫レガ様、いつもお世話になります。自分はこの事実知りませんでした。当時「負け試合」から「無効試合」になったことで中邑選手に対しての印象がすごく悪くなり今に至っていました。自分もテレビ局の巧みな編集に騙された一人だったわけですね。紫レガ様にはいつも重要な「真実」を教えていただき大変感謝しております。今日からまた「一生懸命」中邑選手の応援が出来ます。ありがとうございました!

No title

こんばんは!今ふりかえればMMA創世記というか、ルールがあいまい過ぎますね。アウェイということで中邑はKO、あるいはタップしか勝利方はなかった・・と無理やり納得(笑)・・・でも中邑かわいそうです。

蹴りも怖いはずなんですが、中邑のアグレッシブなタックルは好印象でした。この性格MMA向きだと思いますねえ。またプロレスラーとして総合やって欲しいです!

No title

紫レガ様、お世話になります。
この試合東京から大阪まで見に行きました。メインはおっしゃるとおり“見世物”でしたが、会場の雰囲気はお客さんの目当てはこの試合でした。
ブレイクには自分も。周りの方も納得せず、ブーイングがすごかったです。後にロマネックスで借りを返しましたが大晦日でプロレスのチャンピオンが負けたという事実は世間的に恥をかいたと思いますし、プロレスファンとして悔しかったです。一番悔しかったのは中邑本人でしょう。
若干23歳にして一人でベルトを持ってK1のリングに上がったという
度胸は凄いと感じました。
本日誰もが忘れているストログスタイル復興を掲げた中邑が、真壁とIWGP王者決定戦に望みます。G1決勝のリマッチとなりますが
是非戴冠して可能であれば再び今年の大晦日、ベルトを持って参戦してもらいたいと思います。

>タキトさん

いつもありがとうございます。

当時「負け試合」から「無効試合」になったことで中邑選手に対しての印象がすごく悪くなり<私は逆にこの一件があって中邑を応援したくなりましたよ。
たった一つの星の色に、ここまで重きを置いてるプロレスラーは久しぶりだと思いました。
平成の世にあって、「負けたら次があるさ…」という時代に、ここまでして黒星を拒絶するという根性が素晴らしいと思いました。

いつも重要な「真実」を教えていただき<いやいや大した事は書けませんよ。
しかし総合格闘技において、プロレスラーが理不尽な負け方するっていうのが、これまで多すぎましたよ。

>H.Tさん

こんばんわ。

今ふりかえれば…ルールがあいまい過ぎますね<あと、平レフェリーの立場的なものもありますよね。本人は否定するでしょうが。

蹴りも怖いはずなんですが、中邑のアグレッシブなタックルは好印象<あの気迫に前田さえも高評価でしたよね。同時に永田にはボロクソいってましたっけ(笑)。

>naokinさん

いつもありがとうございます。

この試合東京から大阪まで見に行きました<当時、携帯サイトでお付き合いのあった熱烈な猪木信者の方も猪木祭り行かず、中邑の応援に飛びましたね。プロレスファンとしての立ち位置を示してくれましたよ。
naokinさんも同様ですね。

後にロマネックスで借りを返しましたが大晦日でプロレスのチャンピオンが負けたという事実は世間的に恥をかいたと思います<リベンジの時は「テーマが笑顔」でしたしね。
あれはプロレスラーじゃなく、アスリートとしての勝利でした。勝ったこと自体は凄いんですが、何か物足りなかったです。

本日誰もが忘れているストログスタイル復興を掲げた中邑が、真壁とIWGP王者決定戦に<どうやら勝ったようですね。そして猪木の名を出したみたいですよ。
今の新日にはアンタッチャブルであろう猪木に触れたか…やっぱり猪木を超えるためには猪木に噛み付かないと始まらないんですよ。


止まらなくなってきました。

が、今日はここまでにして。

この試合もあるかな
探してみます!


観たい試合が溜まる一方だ。
早く消化しなきゃ。。

>みーさん

観たい試合が溜まる一方だ…早く消化しなきゃ<いやいや、みーさんね、そんなに焦っちゃいけませんよ。
じっくり観ていった方が良いですよ。ノルマじゃないんで。

この試合はTSUTAYAとかでも置いてるんじゃないかな?
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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