完成形の方向への咆哮(1992)

前回の記事(参照:忘れえぬ“熱い男”)のコメント欄で、皆さんと大谷の若手時代の話をしましたが、

結局、私らプロレスファンが一人の選手に対して思い入れを持てるか持てないかの違いは、『その選手がのし上がっていくストーリーを目の当たりに出来るか否か』なのだと思います。

叩き上げの選手が、負けて潰されたところから這い上がって、上の人間を超えていく…

そんな物語があるかないかで、プロレスラーに対する思い入れは全く変わってきます。

私らの世代では闘魂三銃士や全日四天王が、“鶴藤長天”に対して挑んでいったことで見ることの出来た数々の名勝負がそれでしょう。

小橋なんかは最たる例じゃないでしょうか。

そして、それをU系に当てはめるならば、賛否両論あるでしょうが、

私は田村潔司だと思います。

リングスやパンクラスにも叩き上げのストーリーは存在しますが、

絶対的象徴に潰されて(参照:私についての説明から~高校編①~)、そこから上位概念を食う事でのし上がってきたのは、

田村だけだと思います。

それは桜庭にも、TKにも、近藤有己にもないものだと思います。

そんな田村が確実に一皮むけた大一番です。

調印式

公開練習での視線の先にいたのは、

公開練習での田村の視線の先には、

ボクシング界においては伝説的な選手でした。

マシューの速くて重いパンチ

緊張の面持ちで入場してくる田村。

傍らには同志である垣原を従えてます。

カッキーを伴って緊張の面持ち

リングの直前で立ち止まると、

咆哮一発!!

リングイン直前で咆哮一発!!

想像以上のプレッシャーとの闘いの中、

田村はリングに上がりました。

それでも表情は硬いまま。

セコンドの大江の心配そうな顔を背に田村はコールを受けました。

コールを受けても硬い表情

1992年 5.8 横浜アリーナ

田村潔司vsマシュー・サード・モハメッド


大抜粋の格闘技世界一決定戦への出陣です。

田村潔司vsマシュー・サード・モハメッド

ボディチェックの際、マシューがガンを飛ばすと、

マシューがガンを飛ばすと

田村のスイッチが入りました。

田村の表情が一変

ゴングが鳴りました。

田村の構えはいつもより高めです。

試合開始

最初に仕掛けたのは田村から。

速くて重いインローを一発。

ファーストコンタクトは田村の速いインローから

さらにインローからミドル。

これは2発とも空振り。

さらにミドル

ここでマシューは一気に距離を詰めて出てきます。

それに合わせて田村はカウンターのインロー。

前に出てきたところに低い軌道のインロー

崩れるマシュー。

身体が流れる

そのまま転倒!!

スリップダウン

チャンスと見た田村は一気に上になると、

チャンス!!

完全にバックを制してスリーパーへ。

一気にスリーパ-へ

締め上げると、マシューは即タップ。

タップアウト

勝った!! 秒殺だ!!

すぐに垣原が飛び込む。

勝った!!

この辺りの関係はUの先駆者達にも似ています。(参照:歴史は10月に作られる~昭和編~)

田村初他流試合

当時の田村はUスタイルの完成形よりも、自らの“プロレスラー”としての完成形を目指し、精進していました。

この試合前のインタビューを読み返してみると、

 週刊プロレス №? より
田村潔司 “原色の輝き”

田村
「そもそも格闘技戦だからとか、相手が○○の格闘技やってるから○○の練習をするとか、それはおかしいと思うんです。それだったら、今までやってきたことはなんだったんだってなっちゃうじゃないですか。だから相手がボクサーだからといって、ボクシングの練習をするようなことは、してません」

「やっぱり最後は関節技だと思ってますから。自分がこれまで4年間近くやってきたレスリング…関節技が『こんなに凄いものなんだ』って、ファンに思わせたいんです。それが『プロレスこそ最強の格闘技』の証明にもなるでしょうし」

「オレとしては、今回の試合はあくまでも自分の力を試すためのものと思っているんですけど、『格闘技世界一決定戦』というネーミングとか、周囲の雰囲気とかがかなり…。横浜アリーナでメイン扱いの試合ですからね。当然、お客さんの見る目も今までと違ってくるだろうし。まだ“メイン慣れ”してないんですよ」

「ウーン…(しばし熟考)、本当はもっとレスリングやボクシング、キックなどいろいろなものを取り入れて、自分なりにモノにしていって、格闘技者として完成してからやりたかったんですよね。だから、勝てば完成した自分の一端が見えるんじゃないかな」


まさにUWFのプロフェッショナル・レスラーとしての自分を作り上げるための試合という発言の数々です。

実際に完成形へ向けて、この次の大会6.28博多より、

田村はレガースを外してレスリング技術のみで試合するという実験を始めました。

高田式勝利ポーズ

健闘を讃えあう

試合後、リングを降りるまでガッツポーズをとって叫び続けた田村。

控室に通ずる廊下で初めてプレッシャーから開放された笑顔を見せました。

やっと白い歯がこぼれる

そして、大会のメインに最高の形でつなげたのです。(参照:オーバー・ザ・シュート【7発の殺人橋】~前編~~後編~)

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tag : 田村潔司 マシュー・サード・モハメッド 格闘技世界一決定戦 週刊プロレス 鈴木健

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No title

一発に爆発させた気概、画像からも伝わってきますね。
談話中にある、
「プロレスこそ最強の格闘技」の証明に・・・
との言葉、胸打たれます!
田村選手のこれからにも、おおいに期待しているところです!!

>YYさん

一発に爆発させた気概<気迫の乗った一発というのは技術を越えますもんね。

「プロレスこそ最強の格闘技」の証明に・・・との言葉<当時は宮戸の教えからか、Uインターはプロレスの強さに異常な程プライド持ってました。

YYさん。
田村もそうですが、桜庭も。彼らが現役でいられる時間は少しずつ減ってきています。
高田引退に接してきた者として思いますが、一挙手一投足を活目して見ていきたいですよね。
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