“辛”剣勝負(1999)

先日のフエルト布よしゆきさんのコメントで、

高田vsコールマンについて触れてらっしゃったので、久々に映像を振り返ってみました。

この試合に関しては様々な憶測が飛び交いましたが、

私なりの解釈で書き綴ってみようと思います。

コールマンは初期UFCの輝かしい経歴を引っさげて、PRIDEにやってきました。

1999年 4.29 名古屋レインボーホール PRIDE.5

“アルティメット・ハンマー”ことマーク・コールマンvs高田延彦です。

“アルティメットハンマー”コールマン

前年10.11のPRIDE.4でヒクソン・グレイシーに連敗を喫した高田はこの試合に備えてシアトルに飛びました。

モーリス・スミスのジムで、スミスはもちろんのこと“世界のTK”高阪剛という当時の総合格闘技の先端を走る二人をコーチに特訓。

高田のシアトル特訓

さらに2日目からはケビン山崎氏を迎えて体調面のトレーニングにも入りました。

コーチはモーリスとTK

万全を期しての試合は慎重な立ち上がりから、

試合開始

突如コールマンの高速タックル。

高田は永年の慣れから思わずロープを抱えてしまい、早くもPRIDE.1のような展開に(参照:第一歩)。

コールマン先制のタックルにおもわずロープを

開始早々、イエローカードが提示されます。

早くもイエローカード

再開後、すぐにコールマンの両足タックルは飛んできます。

2度目のタックルに高田は大きく浮かされる

しかし高田は焦らず、シアトルで反復した“TKガード”に入ります。

特訓の成果TKガード

クロスガードが主流の中、相手の股間に足の甲を差して距離をコントロールするこのTKガードは当時の総合において“最先端”の技術でした。

巧くコントロール

それでも世界トップクラスの圧力でコールマンはパスします。

パウンドに、

マウントからの強烈なパウンドに思わず高田はうつ伏せに返るという初心者的ミス。

裏返る凡ミスも、

ですがコールマンにはそこからの極めがありません。

高田は立ち上がることに成功。

コールマンは攻めきれず

でもすぐにテイクダウンからパウンドが来ます。

一発一発がフルスイングなので当たれば即致命傷です。

あくまでもパウンド

さらにフルパワーの袈裟固め。

高田曰く「布団でグルグル巻きにされた感じだね」

ただし黙って締められてはいません。右手で口を塞いでスタミナを奪います。

これもシアトルの成果でしょう。

必殺の袈裟固めに高田は秘策

何とか脱出しますが、これまたタックルが飛んできます。

高田曰く「交通事故にあったみたいだよ」

抜けきるとすぐにタックルが来る

何とか1Rを凌ぎきると、

疲労困ぱいのコールマン。

インターバル中のコールマン

一方の高田はセコンドのTKのアドバイスに聞き入ります。

スタミナは充分。

インターバル中の高田

2R、今度は高田がローで先手を奪います。

2Rは高田が先制

何発目かでコールマンがカウンターのタックルを決めてきます。

それでもローにタックルを合わせて来る

でも今度は対応が速い。

高田の秘策その2

コールマンの左手を取ったまま、両足を突っ張ってガードします。

腕をコントロールしつつ距離を取って、

スタミナ切れ間近のコールマンが焦れて飛び込むと、

入ってきたところに、

「待ってました!!」と、回りこんで足を捕え、

回り込んで足を捕える

一気にヒールホールドへ。

一気にヒールへ

すでにコールマンには返す余力はなく、

マットを叩くしかありません。

返す力の尽きたコールマンはマットを叩く

1Rを辛抱強く耐え抜いたことで勝ち取った試合でした。

高田曰く「とにかく下で、どこまで辛抱できるかっていうのが戦略だったから。辛抱するには技術もいるしね」

高田辛抱の勝利

当時の両者の力量と格付けを考えると、この結果に疑問を持たれた方も多かったようです。

しかし隠しようのない事にコールマンは完全に1Rでスタミナ切れ。

その原因の一つとして、試合当時アメリカにいる夫人の体調が最悪の状態だったこともあります。

コールマンスタミナ切れ

それと当時のコールマンの心構えを表わしたインタビュー記事があります。

 週刊ゴング №? より

― ヒクソン戦以外の(高田の)ビデオは見ていますか?

コールマン「(Uインター時代の)ゲーリー・オブライト戦の3試合は全部見た。私がアマチュア時代にテレビで見たんだけど、凄く興奮したね。あれから4、5年経って、あの高田と戦うなんて、運命的な巡り会わせだね。当時はこんなスポーツ(=総合格闘技)があるとは知らなかったし『俺も、こんな試合をしたい』と思ったからね。でもどうやって、そういう世界に入ったらいいのかが分からなかったんだ」

― WWF入りの噂もありましたが

コールマン「WWF入りには専門の技術が必要だと思う。将来的にはWWFで試合が出来たら嬉しいが、どちらかと言えば日本のプロレス団体の方が好きだ。自分のスタイルに合っているし、マイクパフォーマンスもアメリカに比べて少なく、エンターテイメント的要素も多くはない。より高い技術、運動能力が要求されているからね」


コールマンもジョシュと同様にアマチュア時代、Uインターの全米PPV放送『Shoot fighting』を視聴し、

日本のプロレスリングに思いを馳せたうちの一人だったんでしょう。

ある意味、UFCという当時のアングラ的競技で王者になったことで、日本の有名プロレスラーである高田と大会場でメインを張ったことに大部分満足してしまったのではないでしょうか。

裏を返せば、ほとんど力を発揮できなかった訳です。

試合後、名作コントも生まれました。

オラオラ状態でリングに登場し、高田に喧嘩を売る小川。

リング中央に保持するNWA世界ヘビーのベルトを放ります。

小川が来た!!

高田は冷静に拾うと、小川に手渡し。

小川も両手で受け取ります。

「はいよ」「あ、どーも」

すぐに小川も我に返ってTシャツを脱ぎ捨てます。

高田は既にエプロンへ…

「…じゃなくて!」

小川のマイクを聞き流すと、そそくさと退場。

セコンド松井の表情がコントの完成度の高さを物語っています。

「帰ろ帰ろ」

寂しそうに宙を泳ぐ小川の視線です。

「っておーい!」

ここからハッスルは始まったんです。

違うか?

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tag : 高田延彦 マーク・コールマン 小川直也 紙のプロレスRADICAL 週刊ゴング

comment

Secret

こんばんは!
今更ながら靴トーク読ませていただきました。すでにプロレスラーのリングシューズでMMA参戦を望まれてましたね。勉強不足でした。
コールマンと高田の試合に疑惑の声があるとは初めて知りました。でも高田が亀になったときにコールマンに決め手が無かったのは、かなり助かった部分でしたよね。
競技として急速に進化し続けるMMAではプロレスラーがプロレスのリングで培ってきた技術で勝つのは難しい。わかってはいますがどうしても望んでしまいます。
ハッスルつながりで言うと、川田のU-STYLE AXISの試合は面白かったなあ!田村とも同ルールでやってほしかったし、一番総合の試合が見てみたいレスラーだったんですけどね。川田と大森はせめてノアでの活躍見たいと思ってしまいます。

>フエルト布よしゆきさん

おはようございます。

コールマンと高田の試合に疑惑の声があるとは初めて知りました<アメリカのファンや関係者の間では高田の勝利した試合には大なり小なり八百長疑惑がありますね。
でも根っからのプロレスラーである高田が勝ったこと自体、当時は珍しいことですからしょうがないです。
むしろ疑惑も含めて“プロレスラーの勝利”だと思ってます。

プロレスラーがプロレスのリングで培ってきた技術で勝つのは難しい。わかってはいますがどうしても望んでしまいます<昨日H.Tさんのブログでカポエラ選手のMMAの試合を見たんですけど、最終的には背負ったもの勝ちというか…プロレスも裏の技術を駆使すればいいと思いますよ。

川田のU-STYLE AXISの試合は面白かったなあ!<AXISはそういう意味ではかなりの可能性秘めたんですけどね。残念です。

No title

PRIDEでの試合の中でPRIDE11とPRIDE5が1番コンディションよかったんじゃないですかね??
PRDIE11は精神的な面では大変だったかもしれませんが・・・
この試合は確かに色々言われてますよね
が・・・全然気にならないし
普通に高田の勝利かと・・・。
あの後スタンドになれば、それはそれで蹴りで倒すことも可能だったと思いますし・・。
辛抱の試合でしたね
これ生だったんですが
こっちが折れそうでしたよ(汗

生で見てました。
桜庭×べウフォートのインパクトがあまりに強くて高田×コールマンの展開は忘れてしまいました。
なのでなるほどこういった展開だったのかという感じでしたね。

あの大会ではアレクもUFO代表(共闘選手)として紹介を受けていました。
懐かしいです。(^^ゞ

No title

こんばんは!実はこの試合、自分のブログにきてくれている方から「見解を書いて欲しい」とリクエストされてるんですよ。実際、資料があまりなくて「ちょっと待ってね」という状態なんですが笑。
 言われるようにコールマンは、高田をリスペクトしていて、闘う事が嬉しい感じに見えましたね。そのファン心理みたいなものが敗因かなと思いましたね。

>Fさん

生でしたか。
高田の大一番、ほとんど追ってたんですね。

PRIDE11とPRIDE5が1番コンディションよかった<あぁボブチャンチン戦ですね。あの試合はハイキックも出てますもんね。
でもやっぱりFさん言う様に精神的な部分がきつかったでしょうね。
そう考えると、心技体ともに揃った試合というのはPRIDEではなかったんでしょうね…。

あの後スタンドになれば、それはそれで蹴りで倒すことも可能だったと思いますし・・<ロー入ってましたし、当時の記事読むと「北尾戦のハイキック出すつもり」みたいな発言してました。

>ROSESさん

やはり生でしたか。
桜庭×べウフォートのインパクトがあまりに強くて<あれは溜飲下がりました。
総合格闘技でフットスタンプ、ソバットですからね…しかも見せ技じゃなしに。
あの頃の桜庭の試合ってどれもが芸術作品ですね。

あの大会ではアレクもUFO代表(共闘選手)として紹介を受けていました<村上も含めて“UFO三兄弟”だそうです(笑)。

>H.Tさん

おはようございます。

自分のブログにきてくれている方から「見解を書いて欲しい」と…<見る角度によって見解は様々かと思います。
例えば平等だったかどうかとなると、決してそうではなかったと思う試合っていくつもありますから。

コールマンは、高田をリスペクトしていて、闘う事が嬉しい感じに見えました<やっぱり当時のUFCとPRIDEじゃ会場の規模が違いましたもんね。
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