プロレスラーのテイクダウン

総合格闘技の試合において、組み技の競技者=グラップラーが勝利に向けてまず最初に力を注ぐのが、テイクダウンを奪うことです。

その代表的なものとして、ほとんどの方が思い浮かべるのは下半身へのタックルだと思います。

ただしタックルという攻撃ほど、高い技術を要して尚且つリスクの高い攻撃はないでしょう。

もう一つの手段として、あらゆる投げ技も重要な武器だと思います。

しかしこれも組み付くまでに大変なリスクがあります。

その代わりタックルは入る瞬間だけではなく、がぶられたり潰された場合に致命傷を負ってしまう可能性が高いのですが、

スープレックス系ならいざ知らず、腰投げ系の技なら失敗してもそれ程の危険はないと思います。

あくまでも素人の見解ですが…

裸体での投げ…これこそプロレスラーが最大限の力を発揮できる技術だと思います。

世界各国、多種多様なプロレスリングの試合で必ず見られる技に首投げ(フライング・メイヤー)と、腰投げがあります。

相手を腰に乗せ、脇に差した腕の力で投げつける。

時には序盤戦のチェーンレスリング(?)の中で。

時には相手の技に対する返しとして。

猪木難なく返す

柔道出身者はさらに実戦的に、払い腰としてグラウンドへのつなぎ技として使うことも多いです。

橋本真也の払い腰はタイミングといい、角度といい絶品でした。

ベイダー、ビガロ、ノートンの巨体、さらにはグレート・コキーナにまで完璧な型で投げきっていました。

橋本の払い腰

意外な名人として、これまた柔道出身の安生洋二がいます。

安生の場合はほとんどタックルという技は使うことがありませんでした。

その代わり、この払い腰からグラウンドへスムーズに移行するコンビネーションは流れるようでした。

綺麗な払い腰

ところが柔道出身のプロレスラーに対し、五輪クラスの柔道家の払い腰を見た場合、

裸体の相手の場合、とても道着着用の相手を投げるようにはいきません。

世界一の内股の達人ともいえる吉田秀彦でもそうなのです。

その理由は、柔道での場合、投げ技に重要なのは相手の首をコントロールする“釣り手”よりも、相手の腕をコントロールする“引き手”の方だからなのです。

その“引き手”は、相手の袖を掴む事で成立します。

裸体の場合、相手の前腕部か手首を掴むことになり、袖を掴む力の何倍も難易度の高い技となるのです。

吉田の払い腰1

吉田の払い腰2

ましてバランスの優れた選手との対戦の場合、投げの決まる確立はほとんどないに等しいでしょう。

吉田の払い腰3

日本における格闘技戦のターニングポイントとなった猪木vsルスカ。

ウィリエム・ルスカの場合はレスリング技術にも長けていて、

きれいに猪木を投げきりました。

完全に“一本”です。

ルスカの払い腰1

しかしその先はガッチリと袈裟固めを決めることしかなく、

ルスカの払い腰2

最終的には単なるヘッドロックになってしまい、脱出を許します。

ルスカの払い腰3

柔道の一流になればなるほど投げの精度は上がり、

相手を背中からマットに落とす投げとなります。

むしろ問題は投げた後のフォローなのです。

私が判断する、プロレスラーの払い腰使い手ナンバーワン、

それは柔道出身者ではありません。

意外に思われるでしょうが、

Uインター時代の高田延彦なのです。

高田の払い腰1

高田の払い腰は、踏み込む位置から、

高田の払い腰2

タイミングの取り方、

高田の払い腰3

腰への乗せ方、

高田の払い腰4

足の跳ね上げ、

高田の払い腰5

空中姿勢、

高田の払い腰6

落とす角度、

高田の払い腰7

投げた後のフォロー、

高田の払い腰8

高田の払い腰9

次の技への移行、

高田の払い腰10

高田の払い腰11

全てほぼ完璧なのです。

高田の払い腰12

この投げの角度では柔道の場合、有効も取れないでしょう。

しかし、そんなポイントは必要ないのです。

自分の極め技である腕ひしぎ逆十字固めに持っていく体勢として、これ以上ないベストポジション。

それを作るために、高田にはこの技が存在したのだと思います。

特にタイミングをとるのは達人の域で、

ほとんど“引き手”のみで、ベイダーの巨体をも投げきりました。

不完全ながら勢いで払い腰が決まる

後年、PRIDEにおいて、高田がこの技を使わなかった事は、

同時にプロレスラー高田の強さを一つ捨ててしまったという事だったと思います。

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tag : アントニオ猪木 高田延彦 橋本真也 安生洋二 ウィリエム・ルスカ 吉田秀彦 払い腰

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柴田の試合後にのエピソード知りませんでした
素晴らしい!
後年の高田はボロボロだったせいでUの頃の技が出せなかったと言われていますよね。それでもかなり強いときのマーク・コールマンからヒールホールドで勝ってるのは凄いと思います。でもハイキックや腕ひしぎを一度でいいから見たかった。
田村が中村とのスパーリングでフライングメイヤーをやっていましたが、総合の試合になると距離を取っての打撃がメインになるのでなかなか見ることができません。
桜庭が全盛期にプロレス技を使うことで人気になりましたが、脚光を浴びたのはモンゴリアンチョップなどU時代に使っていなかった技でした。
僕が見たいのは、プロレスラーがプロレスで実際に得意としている技を総合で使うところです。
それだけに柴田のジャーマンが未だに頭の中に焼き付いています。
もし鈴木みのるが総合に出たら、逆落としが見れそうな気がします。総合に出ること自体が無いでしょうが。

↓訂正

すんません。田村のファイヤーマンズキャリーでした。

どうもモンスター・リッパーです

払い腰、いいですねぇ~(^^)
若いときの橋本のって本当にうまかったですよね!画像は格闘衛星のですね(^^)
ルスカの、猪木戦でゴングがなってすぐ出した大腰もボク好きです!あれすごいですよね!!多分猪木は何で投げられたのかわからなかったんじゃないかというくらい技の入りが早かったですよね!

さて、柔道出身が裸の相手を投げるのって大変ですよね。ボクも柔道からレスリングと進んだので初めは掴むところがなくて調子がつかめなかったんですよ~。
でも裸の相手投げるときも引き手が外れない場所があるんですよね。
肘のところなんですが、文章で説明すると、そうですねぇ・・・人差し指と中指の付根のところを肘のところに当てて、そのまま親指で肘の関節の上を、中指で肘の関節の下を握るとちょうど肘関節のところに引っかかりませんでしょうか?どうでしょうか?

ここが裸の場合の投げの引き手なんですね。レスリングの首投げや一本背負いはここを引き手として持ってやります。だから・・・もしかして高田の払い腰も引き手、ここかもしれませんね(^^)

No title

1.4で武藤に決めた一発も最高でしたね!
1.4のは十字に入るのも速かったですね
どちらかというと紫レガ時代より青レガになってからのが
払い腰→十字のパターンが定着したように思えますね

>フエルト布よしゆきさん

後年の高田はボロボロだったせいでUの頃の技が出せなかった<本当にいい意味で真摯に取り組まなければ違った結果の出た試合もあったかも知れませんよね。

田村が中村とのスパーリングでファイヤーマンズキャリーをやっていました<Uルールではそこからの逆片エビ得意としてましたよね。

僕が見たいのは、プロレスラーがプロレスで実際に得意としている技を総合で使うところ<そうですね。私もそれが見たくてプロレスラーの総合格闘技の試合を見ているんだと思います。
田村のスープレックスも見られなくなって久しいですよね。
瀧本戦なんかは狙ってたような気がするんですが…

>流星仮面二世さん

若いときの橋本のって本当にうまかったですよね!<膝を壊すまでの破壊王の蹴りと投げ技は凄かったですよね。

ルスカの、猪木戦でゴングがなってすぐ出した大腰<序盤のいくつかの投げはまさに世界基準でしょうね。

裸の相手投げるときも引き手が外れない場所<いやぁいつも勉強になります!!
レスリング出身者の場合、払い腰よりも首をガッチリとホールドしての首投げを使う選手が多いですよね。あと一本背負いですか。
柔道出身者のそれよりも深く入っているように見えます。
逆に投げた後の仕掛けは柔道出身者の方が積極的なような気がします。レスリング出身の場合は「まず固める」みたいな。
まぁ桜庭の様な例もありますから一概には言い切れませんよね。

だからどっちの経験もない高田が綺麗に払い腰決めるのが意外ですよね。

>Fさん

どちらかというと紫レガ時代より青レガになってからのが払い腰→十字のパターンが定着したように思えますね<う~ん…そうでしょうか? そうかもしれないですね。
武藤以外にも越中、小原、嵐あたりはこのパターンで勝ってたような記憶ありますね。
PRIDE.4の時、この攻め出来てれば面白かったかもしません。
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