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降りなかった終着駅(2000)

20年前の今日、

日本におけるMMAの歴史の中で、

エポックメーキングとなる大会が開かれました。

それは『PRIDE GRANDPRIX 2000 開幕戦』。
PRIDE-GP2000開幕戦

この3ヵ月後に桜庭和志が、

主人公となるPRIDEという場において、
死闘にボロボロのホイス

初代主人公の高田延彦が、

最後にメインエベントを務めた日でもありました。
最後のVTという決意を胸に

その対戦相手は、

グレイシー柔術の名を世界に轟かせたホイス・グレイシー
開会セレモニーもこの日が初

高田が“バーリトゥードの終着駅”として臨んだ、

2000年1.30 東京ドーム

PRIDE GRANDPRIX 2000 一回戦

高田延彦vsホイス・グレイシー
を振り返りましょう。
高田延彦vsホイス・グレイシー

まずはホイスが“元祖”グレイシートレインでの入場。

ホイスの前は長男のホリオン・グレイシー

その前には父エリオ・グレイシー(参照:柔術神の微笑)です!!
グレイシートレイン

続いて入場の高田でしたが、

私は入場時に着用していたTシャツのデザインが、

全盛期の高田が勝利したときに見せていた、

“両手を挙げてのジャンプ”に見えてなりませんでした。
高田最後のメインに出陣

この試合における高田には、

二つのモチベーションがありました。

紙のプロレスRADICAL23表紙
 紙のプロレスRADICAL23 より

高田
「ホイス・グレイシーっていうのは、あくまでも自分にとっての終着駅のような感覚はあるよ。
(略)どれだけ成長してるかっていう査定の場所のような気がするからね。だから、それに対してどういう答えが出せるかっていうことだね」

(プロレス回帰するなら)やっぱりWWFだね! あそこって種を蒔いてから、凄く時間がかかるらしいんだけどね。(略)だから、あそこも大きな山なんだよ。あそこでメインを張るっていうことは『PRIDE・GP』に優勝することと同じぐらい大変なことだよ。それ以上かも知れないね。そういう意味で、山としてはホイス、それ以上かも知れない」

(ホイス戦の1.30は)偶然、結婚記念日なんだよ。いいプレゼントを送りたいね!」


結婚記念日に亜紀夫人へ勝利をプレゼントすること、

同じくホイスを倒してVTを卒業すること、

その先に見据えているのはWWFのリングという、

それはそれは壮大な夢でした。

向かい合う二人の体格差は歴然。
さあ決戦だ

ゴングが鳴らされると高田は、

余裕からかノーガードでホイスに近付きます。
いきなりノーガードの高田

ホイスはフェイントから一気に距離を詰め、
ホイスは速攻の胴タックル、

胴タックルから大内刈りでテイクダウンを狙いますが、

高田はガッチリ組み止めてから、
組み止めた高田、

四つ相撲に持って行く、

この腰の強さたるや!
四つ相撲になる、

続くホイスの小内刈りも微動だにしません。

PRIDE.4(参照:あと3分だけ…~前編~)ではここから消耗戦に入りましたが、

ヒクソン戦のVTRで充分に研究してきたホイスは、

すぐに引き込んでガードポジションに入っていきます。
ホイスは自らガードポジションへ

高田も当然『その轍は踏まん』と、

腰を上げていきますが、
一旦立ち上がる高田

それを見越していたホイスは、

自らのギ(道着)を使って高田の首周りを固定。
ホイスはギを使った攻め

まだ余力充分の高田は両襟を掴み、

かいな力で引き離せば、
引き離す高田

ホイスは一瞬の隙を見て、

再びギを使い高田を動揺させます。
再びギを使うホイス

高田は襟を掴んだまま腕を突っぱね、

もう一度突き放します。
かいな力で突き放す高田

ホイスは高田の両手首を掴み、

その手を切ろうとしますが、

無理だと悟った瞬間に右足を掛けて仕掛けます!
ホイスは仕掛ける、

高田は焦らずに対処して、

スペースを確保していきますが、
高田は凌ぐ

ホイスは高田の掴みを逆利用し、

自らの左腕で両拳に巻きつけて固定。
小刻みなパンチ

ここから激しい組手争いが始まり、

早くも試合時間は3分が経過しました。
3分が経過

時折、下から極めに行くアクションを見せながら、

ホイスはここでキャンバスに背中をつけて、

スタミナの温存に切り替えます。
またホイスが仕掛ける

楽なポジションで高田の頭部を固定しながら、

右足のカカトで脇腹にコツコツと細かい蹴り。
カカトを脇腹に当ててくるホイス

高田がそこを抜け出ようとすれば、

すぐにホイスは極める動きに転じます。
高田がギを掴む

もう一度、高田が中に入れば再び脇腹をコツコツ、

自らの右手で右足を掴んで当てていきます。
自ら右足を掴んでの打撃

スタミナにロスを最小限に抑えるホイスの動きですね。

さらに高田の両手が不自由と見るや、

死角から頭部にパンチを当てます。
死角からパンチ

ホイスの一つ一つの戦術には、

父エリオの教えが息づいています。
ホイスのセコンドにはエリオが!

あっという間に5分が経過しました。
早くも5分経過

ホイスは高田の左顔面をギの襟で塞ぐと、

それを死角にしてパンチを当てていき、
ギで死角を作ってパンチ

あわよくばそのまま締めていく連続技。
そのまま締めていくホイス

締めが入らないと見るや、

すぐにパンチに切り替えますが、

高田も両襟を掴み直してディフェンスを固めます。
高田もギを掴んでのディフェンス

まだ極めは無理だと見て、

ホイスはまたカカトをコツコツ始めます。
またカカトをコツコツと

コツコツコツコツ当てながら時は過ぎ、

この形のまま7分が経過しました。
7分が経過

高田の右拳は依然として固定されたままで、

もう一度ホイスは襟を巻きつけての締めに転じます。
今度は掌打を当てるホイス

これも入らないとわかれば、

無理をせずに脇腹へのコツコツを開始、

高田の左脇腹が徐々に変色してきました。
徐々に高田の脇腹が変色

高田のセコンド桜庭は、

この戦況を言葉少なに見守ります。
静かに戦況を見守る桜庭

試合時間は9分経過、

残り時間も6分となりました。
残り6分

ホイスは改めて両脇を絞り、

高田の両拳を固定しにかかります。
高田の両拳が固定される

オープンフィンガーグローブによって膨らんだ両手が、

さらにギによって滑り止めの作用も働き、

これを抜くだけでも相当な力を使ってしまう訳です。

一方、ガードする側は最小限の力で防御が可能。

これがグレイシー柔術の兵法でしょうね。

気がつけば残り時間5分、

ホイスは自由な右手で右から左から、

ガラ空きとなる高田の頭部にパンチを打ちます。
残り5分ホイスなおもパンチ

両耳を狙っている様にも見えますね。

高田は一瞬、左足を立てますが、
何かを狙うかホイス

すぐに断念。

それを待っていたかの様に、

ホイスはまたもやギを使った締めに入ります!
また締めだ!

もはや蟻地獄か? ホイスの連絡技が続いていき、

高田は同じポジションで凌ぐのが精一杯です。
これは入ってるか!?

何とかここもギを掴んで耐え切ると、

ホイスは残り時間をセコンドに確認。
ホイスは残り時間を確認

このPRIDE-GPのルールは『15分1ラウンド』、

ラウンド終了後に判定となり、

決着がつかない場合は延長に突入…というものでした。

高田はホイスの左襟を取って防御しながら、

ひたすらチャンスを待ちますが、
高田はホイスの左襟を取って防御

余裕が出てきたホイスが体勢を変えたところで、

場内に「残り時間3分」のアナウンスが響き渡り、

広いドーム内からは焦りの色が出始めます。
体を移行するホイス

高田も焦れたのか、

一瞬、前に出かけますが、

冷静にホイスは頭部を抑えて制しました。
一瞬、前に出かけた高田を制すホイス

高田の動きはまたしても止まり、

場内からはブーイングも聞こえてきました。
ギを巡る攻防

我関せずのホイスは、

カカトで脇腹、拳で頭部、それぞれ打撃を加えます。
ホイスのパンチが力を増す

残り時間はあと2分!

すがる思いで高田への声援が大きくなりました。
もう残り2分!

時間がない…高田の表情にも焦りが見えます。
高田の表情に焦りの色が

しかし依然としてホイスのガードは崩れません。

左腕で両手を制して、右の拳を当ててきます。
またホイスのパンチ

それを嫌って高田は上半身を起こしました。

さぁ一発当てるか!?
高田仕掛けるか!?

ところがすぐ頭を下げて同じ体勢に。

再びホイスのパンチが繰り出されます。
ホイスがクロスガードから再びパンチ

展開が変わらぬまま、

残り時間は僅か1分!!
残り僅か1分!!

意を決して高田は右膝を立てました!

ヒールか!? パウンドか!?
右膝を立てた高田

ところがホイスは下からコントロール、

この期に及んで冷静極まりません!
冷静に対処したホイス

そして残り30秒で、

ホイスは下から狙って来ます!
ここで下から狙ってきた!

…が、これはフェイントか?

再びガードを固めた高田に、

今度は左右から掌打を打ち込んでいきます。
耳元に掌打

残り10秒!

高田は顔を伏せたままパウンド一発!
高田もノールックでパウンド

だが、これは浅い。

最後は高田が左膝を立てたところで、
最後の勝負で高田は左膝を立てるも、

ラウンド終了のゴングが鳴り響きました。

タイムアップです。
ここで終了のゴング

ブレイクと同時に両者は立ち上がり、

自分のコーナーに戻ろうとしたところ、

高田に異変が!
左膝の怪我が再発

試合の1ヶ月前に負った左膝の痛みが、

どうやら再発した様です。

椅子に腰掛けても苦痛に顔が歪みます。
キツイ表情の高田

一方のホイスは給水しながら、

静かに判定を待ちます。
静かに判定を待つホイス陣営

ジャッジがまとまりました。

判定の結果は3-0でホイスの圧勝です。
ホイスが判定勝ち

高田は悔しさを押し殺して、

ホイスの勝利を讃えます。
試合が終われば讃え合う

この瞬間、

朧げに描いていたWWF挑戦の夢も潰えました。

何より亜紀夫人に対して、

勝利というプレゼントを贈ることが出来ませんでした。

高田は試合後のコメントでは、

言い訳せずに敗因を語りましたが、

一言だけ不服を述べています。

 ゴング格闘技プラスVol.5 より

高田
「道衣で首を絞めてはいけないと聞いていたんで、試合中にアピールしたんですけど、向こうのほうから“いいんだよ”と言われて、しゃあないなって。でも本当はいけないはずなんですね」


ほんの一言でしたが、

私なんかはPRIDE.1に続いて、

『またもや島田にやられたな』と思ったものです(参照:ルールとジャッジと戦意)。
ヒクソンの猛抗議に「コーション!」

大会のエンディングは、

一回戦を勝ち残った選手たちによる記念撮影。

8人出場した日本人も、

残ったのは桜庭と藤田和之(参照:飛び級とは何か?)、小路晃の三人だけでした。
一回戦を通過した8人

過酷なトーナメントであることを証明した形に、

当時、PRIDEのファンは、

ある種の“失望”を感じましたが、

実はこの3ヵ月後に感じる、

“希望”への序章でもありました。

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tag : 高田延彦 ホイス・グレイシー PRIDE-GP2000

comment

Secret

No title

私は高田のPRIDEの試合は、いつも正座しながら見てたのですが展開の変わらない、この試合の時は、さすがに足を崩しました。

柔術を習ってる今なら展開も変わったんでしょうけど。

>aliveさん

高田のPRIDEの試合は、いつも正座しながら見てた<まるで猪木の試合を観る鈴木みのる少年の様ですね!

柔術を習ってる今なら展開も変わった<MMAにおける技術のセオリーというかバリエーションは増えていたでしょうけど、高田延彦というプロレスラーの魅力は半減していたかも知れませんね。

No title

懐かしい画面に見入りながら、一番驚いたのはWWF発言でした!いやー全然知らなかったです。
もしその展開が叶っていたら、どんな景色が見られたんでしょうね??

>てつさん

驚いたのはWWF発言<これ意外と忘れられた歴史であります。
この時点でWWFと何かしらのパイプがあったのかどうかは疑問ですが。

その展開が叶っていたら、どんな景色が見られたんでしょうね<Uインター時代の姿は見られなかったと思いますが、のちに出現したエスペランサー以上のキャラクターが出てきた可能性はありますね。

No title

まさかのWWF・・・ 2000年当時であればストーンコールド、HBK、アンダーテイカー、ロック(はまだホーガン時代のウォリアーランク)の時代
シャムロックはUFC出身でキレたら暴れまわるキャラクターをやっておりました(フミ斎藤さん風に言うと「ケンは格付けでいうと関脇クラス」)

新崎人生が成功して、海援隊がいって・・・ 高田がどういう扱いを受けたかっていうのは興味がありますね

そういえばラウンド終わって足を引きずる高田を見て、谷川貞治が
「足がしびれたんですかね」
とか呑気なことを言ってたのを思い出しました 笑

No title

懐かしい画面に見入りながら、一番驚いたのはWWF発言でした!いやー全然知らなかったです。
もしその展開が叶っていたら、どんな景色が見られたんでしょうね??

>ナリさん

当時であればストーンコールド、HBK、アンダーテイカー、ロック…の時代<私は門外漢でしたけど、好き放題暴れるストーンコールドの姿は爽快でした。

シャムロックはUFC出身でキレたら暴れまわるキャラクター<シャムロックはこの時期位からPRIDEと関わり始め、ドン・フライとの犬猿対決につながっていきますね。

高田がどういう扱いを受けたか<KENTAを以ってしても埋もれてしまった訳ですから、なかなか難しかったかと思います。

谷川貞治が「足がしびれたんですかね」<確かに15分近く両膝を折って体重掛けてりゃ痺れるでしょうけど…このときの高田、かなり膝悪かったですからね。

>てつさん

驚いたのはWWF発言<これ意外と忘れられた歴史であります。
この時点でWWFと何かしらのパイプがあったのかどうかは疑問ですが。

その展開が叶っていたら、どんな景色が見られたんでしょうね<Uインター時代の姿は見られなかったと思いますが、のちに出現したエスペランサー以上のキャラクターが出てきた可能性はありますね。

…って、リプレイみたいになっちゃってます!

No title

こんにちは。随分挨拶が遅れました。申し訳ありません。
今更ですが、明けましておめでとうございます。
この試合確か生だったと・・。
私も入場時の顔とTシャツでめちゃくちゃ期待してました。
トレモン流れてる最中に勝ちを予測してしまうほど・・。
想像以上に足がダメで練習もいっぱいいっぱいだったみたいですよね~。
PRIDEでは、こんな表情の高田延彦はこの試合のみでしたね。
WWF発言はもっとパンプしてもっと筋肉つけて、ナチュラルでって言ってから、さっぱりでしたよね。
鍛錬と努力。やっぱ今でも高田の試合って好きですね。
では、今年もよろしくお願いします!!

>Fさん

こんばんわ。お久しぶりです。
あけましておめでとうございます。

この試合確か生<さすがですね。しかしながら、さすがにドームでこの攻防は辛かったと思います。

私も入場時の顔とTシャツでめちゃくちゃ期待…トレモン流れてる最中に勝ちを予測<この日は意外と背水の陣感がなかったですね。TKとか金原とか佐竹ら若い選手と充実した練習が出来てたというのもありました。膝の状態はアレでしたが。

PRIDEでは、こんな表情の高田延彦はこの試合のみ<期するものが大きかったのでしょう。だからその反動として、この後の高田は大きくトーンダウンした感も否めませんね。

もっとパンプしてもっと筋肉つけて、ナチュラルで<英会話も始めていたそうですし、きっと何かしらのツテが見つかってたんでしょうね。ホイス戦の結果から断念したという部分もある意味、高田らしいですよね。

今でも高田の試合って好き<Fさん、今年は今一度Uインターの試合も振り返りたいと思います! こちらこそ本年も宜しくお願い致します。
紫レガとは?

紫レガ

Author:紫レガ
48歳のプロレス話


「昔はインターネットを旅してましたからね。毎晩ブログでね、今みたいにSNSがいっぱいある訳でもないし、終わったらみんなブログでね、一日の終わりにUPして。今こんなこと言ったらエラいことになりますけどね、よく寝不足になったね、部屋でPCを打ったりね。…いや、そういう歴史はちゃんと教えとかないとね」

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