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Pride of instinct 12~巌流島の決闘 四の章~(1987)

11からの続きです。

マサ斎藤の執拗な締め技の連続に、

病み上がりの体調もあって、

アントニオ猪木は大幅にスタミナを削られてしまいました。
ガッチリとスリーパー、

何とか脱出の糸口も掴みますが、
猪木は脱出、

マサはとにかく執拗に締め直してきます。

左腕に装着した分厚いサポーターは、

ここまでの段階でかなりの効果を発揮しています。
すぐに締め直すマサ

猪木は徐々に起き上がると、

マサのサイドに回り、
猪木は徐々に起き上がり、

ここでバックドロップ!!
バックドロップ!!

この闘い初めての大技が炸裂し、

マサに大きなダメージを与えたことで、

猪木は一気にイーブンに持ち込んだ感があります。
両者共にダメージ

何よりこの試合のリングの構造が、

それを可能にした模様です。

奇しくも同時に身体を起こした二人、
向き合って同時に起き上がる

1時間以上が経過したところで、

仕切り直しを迎えました。

お互いに立ち上がっての組み際、

マサは大外刈りに行きますが、

猪木は柔らかい足捌きでカット。

ここでも猪木の柔道テクニックが光ります。
マサの大外刈りは猪木がカット

ならばマサは再三再四の裸締め、

今度は柔道流のクラッチで締め込み。
再びマサのスリーパー

しかもレフェリー不在でチョークは容認されていますので、

マサの橈骨先端部が喉元に食い込んでいます!

猪木は締められながら身体を伸ばして、

サードロープの下から潜り抜け、
猪木はロープを潜り

ここでもリングの構造を利用して、

首を抜くと同時にマサの左腕を取りました。
マサの腕を取る

そのままエプロンの角をテコにしてのアームブリーカーへ!
今度はエプロンを利した腕折り

マサの肘を伸ばし切ったところで、

さらにバックスイングを効かせてアームブリーカー!
エプロンの角でアームブリーカー!

これは危険な荒技でしたが、

幸いにもマサが装着していた分厚いサポーターによって、

致命傷を回避出来た感があります。

しかしながらダメージは大きいですね。
マサの左腕に大ダメージ

しばしマサはインタバルを置きましたが、

やはり組んでしまえば有利な形に持っていく訳です。
猪木はテイクダウンを回避

猪木はロープを掴んでテイクダウンを避けますが、

ならばマサは両腕をカンヌキに極めて組み伏せてから、
マサはカンヌキから

そのままマウントポジションを取り、

喉元へ前腕を押し付けていきます。
猪木の喉にギロチン

気が付けばとっくに日も暮れて、

関門海峡を挟んだ下関の街にはネオンの灯が。
下関の街にもネオンが灯り

マサは黙々とV1アームロックを極めにかかりますが、

猪木の二重関節がそれを許しません。
マサはV1アームロック

暮れなずむ空の下、立会人・坂口征二の指示で、

ヤングライオンの船木優治(現・誠勝)が松明に点火しました。
船木が点火し

かがり火の炎が風に揺れて、

一気に巌流島の風景が幻想的になりました。

Gスピリッツ49表紙
 Gスピリッツ Vol.49 より

上井氏
「でも、よく篝火(かがりび)まで用意していましたよねえ(笑)。あの時はリングもテントも僕が用意したんですけど、篝火は頼んでもいないのにリングと一緒に東京から送られてきたんですよ(笑)。恐らくテレビ朝日が小道具として用意したんだと思いますけど」


白いリングの四つ角に炎が立ち昇り、

二人の闘い模様も、より幻想的です。
松明に火が入って、

実はこの風景、

猪木が思い描いたイメージ通りだったのかも知れません。

決闘を謳った以上は、

普段のプロレス会場と何ら変わりない“画”では意味がない。

この神聖な風景を描いての夕刻開始だったのではないか、と(参照:闘魂芸術論)。

もちろん体調を回復させる意味での時間稼ぎもありましたが、

この時間帯に闘いをセットアップしていったのは、

猪木とマサのプロレスラーとしての本能に他ならないと思うのです。
幻想的な画が

マサはここまでやられてきた、

エゲツない攻撃へのお返しとばかり、

左膝で顔面をスリコギ。
マサは膝で顔面しごき

防戦一方の猪木はここで脱出すると、

逃げる様に場外へエスケープ。
脱出した猪木

スタミナ充分のマサは猛然と追います。
追うマサ

後ずさる猪木にジリジリと距離を詰め、
追いつくマサ

かがり火付近で追いついたと同時に、

ガシッと組み付きました。
組み付くマサ

サッとバックに回り足を掛けていきますが、

猪木はバランス良くこれを凌ぎます。
バックを取る

ならばマサは首を取り、

脇を差してのテイクダウン。
寝かせて

袈裟固めに入ったところで月も浮かび上がり、

さらに幻想的な画は拡がっていきます。

試合時間も1時間半が経過しました。
月が出た

気温も低下し地面の温度も急降下していく、

この時間帯での袈裟固めは猪木にとってキツイですね。
再び袈裟固め

それらは全て計算ずくで、

マサは容赦なく体重を掛けていきます。
燃え上がる松明の前

何とか起き上がった猪木ですが、

マサの締め込みは尚も緩むことなく、

強烈なヘッドロックに変化していきます。
猪木は起き上がると

猪木はかがり火ににじり寄っていくと…、

一切躊躇なく至近距離から、

マサを炎にぶつけていきました!!
マサをぶつけていった

何が起きたのか一瞬フリーズするマサの横で、

倒れた松明の火が芝に燃え移ります!
芝に燃え移る

当時、現場で闘いを見守っていた船木は、

この瞬間を回想しています。

 Masakatsu Funaki(YOUTUBE) より
巌流島『猪木vsマサ斎藤』は正直早く帰りたかったです(船木誠勝)

船木
「どういう気持ちで試合してたかっていうのも全く分からないんですけども、一瞬にしてその状況が変わった瞬間がありました。松明…火がバーッと燃え上がる松明に向かって猪木さんがマサさんをぶつけたんですね、ドン! と。普通であれば除けると思ったんですけどね、熱いですから。除けると思ったんですけど、マサさんがそのまんま身体で当たったんです。それを見た瞬間に“この試合、ただごとじゃないな”と。あのー、まあ自分の気持ち、『早く終わんないかなぁ』ぐらいにしか思ってなかったことに一瞬でその空気が変わった瞬間、そこですね」


立会人の山本小鉄さんが消火活動する中、

場外での殴り合いから再びリングへ。
リングに戻ると

何せルール上『決着は10カウント、もしくはギブアップで、必ずリング上でつけられる』ため、

主戦場はあくまでもリングの上なのです。
巌流島2

一瞬の間から再びハプニングは起こります。

マサの上がり際に放った猪木のソバット、

いや、骨法流の跌法でしょうか? これがモロに入ります。
猪木はソバット

その直後、マサは悶絶してリング下へエスケープ、
マサはモロに食って悶絶

しきりに胸部を押さえて苦しそうな表情を見せます。

Gスピリッツ40表紙
 Gスピリッツ Vol.40 より

マサ
「アントニオ猪木のキックで、(胸を指しながら)ここの骨(剣状突起)が折れた」


どれだけ鍛え上げられた肉体であっても、

何気ないたった一発の蹴りが大怪我や事故を生む。

プロレスというのは本当に気が抜けない世界なのですが、

マサの肉体は既にゾーンへ突入していて、

骨折の痛みさえもすぐに消え失せてしまいました。

マサ
「あの時はハイになった。ハイで戦った。ふと気づいたら闇夜になっていて、松明に火がつけられて…あれで余計にハイになった。ランナーズハイと一緒だよ」


まさしくレスラーズハイですね、これは。

リングに戻るとまたもや袈裟固め。
マサは袈裟固め

猪木はセオリー通りにヘッドシザースで返します。
猪木はヘッドシザース

立ち技に移行すると、ここでボディスラム!

いつもより重低音で響き渡るキャンバスの音!

この日のリングの構造上、これ一発でKOもあり得ます。
ボディスラムも強烈

さらに猪木は大技ダブルアームスープレックスを狙いますが、

今回もマサの上半身には不可能の様です。
ダブルアームは不発

今度はマサがグラウンドに持ち込んで、

十字架固め…長州が得意とするアレですね。
マサの十字架固め

右肩を痛めた猪木には厳しい技ですが、

マサは尚且つ首も極めていきます。
首も極めに行くが

さらに厳しい角度かと思いきや、

猪木はこれを脱出してマウントポジションへ、

マサの顔面にナックルを落としていきます。
猪木がマウントからナックルを落とす

そして離れるとすぐには組みに行かず、

猪木は自らロープに飛びました。
初めてロープに飛んだ

正直に書きます。

このシーンを初めて見た当時の私は、

「え!? 決闘というシチュエーションでロープに飛ぶの???」と、

一瞬しらけムードにもなりました。

しかし今ならわかるんです。

これプロレスラーとしての本能なんですよ。

猪木とマサは、

剣術家でも武道家でもなく、

チンピラでもヤのつく職業の方でもない、

プロフェッショナルのレスラーなんですよ。

ルールなき闘いも、その本能で闘えば、

リングを有効に使うことは勝負の鉄則なのです。

ヘリの爆音が鈴虫の鳴き声に変わる中、

ストーリーも13へ続きます。



今回の記事は最後に、

先日お亡くなりになられた橋本田鶴子さんの、

ご冥福をお祈りして終わりたいと思います。


今年2月の馬場さん追善興行、4月のドラディションへの登場は、

田鶴子夫人のお力による部分が大きかったと思います。

僕らの永遠のヒーローであるアントニオ猪木を、

支えて下さった田鶴子さん、本当にありがとうございます。

どうぞ安らかにお休み下さい。

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tag : アントニオ猪木 マサ斎藤 船木誠勝 上井文彦 訃報 橋本田鶴子

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Author:紫レガ
47歳のプロレス話


「昔はインターネットを旅してましたからね。毎晩ブログでね、今みたいにSNSがいっぱいある訳でもないし、終わったらみんなブログでね、一日の終わりにUPして。今こんなこと言ったらエラいことになりますけどね、よく寝不足になったね、部屋でPCを打ったりね。…いや、そういう歴史はちゃんと教えとかないとね」

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