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Cross a red line!!(1992)

これまでプロレスの歴史において、

いくつかの“禁じ手”が存在してきました。

そのほとんどがルールで明文化されたものではなく、

“暗黙の了解”という不文律で封じ込まれてきたものです。

“殺人風車”ゲーリー・オブライトが、

本当に殺人を犯してしまった錯覚に捉われた一戦。
ゲーリーが遂に…

それが1992年12.20 両国国技館

ゲーリー・オブライトvs垣原賢人
です。
ゲーリー・オブライトvs垣原賢人

対戦相手である垣原賢人の壮絶な玉砕ぶりは、

今観ても背筋が凍り付きます。

試合前、互いの額を擦りつけながらの睨み合い、

早くも一触即発か!?
互いにメンチを切り、

しかし離れ際には、

しっかりと握手を交わしてゴングです。
握手を交わしてゴングです

開始と同時に飛び込んだのはゲーリーから。

垣原も掌底を振り回しますが、

ものともせず組み付くと、
垣原の掌打をものともせず突進するゲーリー

ロープ際まで押し込み、

スリムな垣原の腹回りを左腕ごと抱えて、
ロープ際でクラッチを結ぶや、

物凄い速度でスロイダー一発!
即座にスロイダーから、

そのままクラッチを解かずに立ち上がると、
そのまま引き上げ、

一気に2発目のスロイダー!!
2連発! 頭から!!

垣原はモロに頭部からキャンバスに突き刺さりました。

これ全日ではなくUインターの硬いマットですからね。

さらにゲーリーは垣原を離さずに、

今度はそのままフルネルソンに。
そのままフルネルソンに極めると、

このまま終わる訳にはいかない垣原は、

必死に右腕を振っての抵抗。
垣原必死の抵抗も、

「えーい、しゃらくせえ!」とばかりにゲーリーは、

グラウンドに移行すると、

胴締めを加味して締め上げて行きます。
ものともせず締め上げて、

肩から首がもげてしまいそうな角度に極まったところで、

何とか垣原の右の爪先がロープに届きエスケープ。
ファーストエスケープ奪取

一旦ブレイクしてからスタンドでの再開、

垣原は左のローを繰り出しますが、

ゲーリーは難なくキャッチしてテイクダウンから、
垣原のローをキャッチするや、

グラウンドの展開でフェイスロックを極めかけると、

垣原はすぐに2度目のエスケープ。
テイクダウンからのフェイスロックで2つ目のエスケープ

組めば絶対的不利と悟った垣原は、

得意の打撃で局面を打開したいところですが、

またしてもミドルキックの蹴り足をキャッチされてしまいます。
今度はミドルをキャッチするが、

何度も同じ展開を繰り返すのは御免と、

垣原がロープ際で放った膝蹴りは顔面直撃!
ロープ際で垣原の膝が顔面直撃!

これがむしろゲーリーの気合に拍車をかける形となり、

バックからクラッチを結んでジャーマンの体勢へ!!

ところが垣原もこのタイミングを待っていたのか、

前転から膝十字の仕掛け!!
バックを取ると膝十字の仕掛けに遭うが、

しかし強固なゲーリーのクラッチは切れず、

逆に垣原の上半身を引き抜くと、

一瞬だけお腹の上で停止してから、
そのままぶっこ抜いて、

一気に急角度の、
急角度の、

殺人ジャーマン炸裂!!
殺人ジャーマン炸裂!!

例の如く後頭部から叩き付けられた垣原は、

意識朦朧としたまま再びフルネルソンの餌食に。
さらにもう一度フルネルソンから、

そのままゲーリーは起き上がると、
引き起こして、

ジャーマンと同じ軌道と速度による、

戦慄のフルネルソン・スープレックス初公開!!
戦慄のフルネルソン・スープレックス!!

しかもクラッチを結んだままなので、

垣原の首はありえない角度に折れ曲がっています!!
首が折れるぞ!!

さらにダメ押しのフルネルソンに持っていくと、
垣原の首が…

既に垣原は戦意喪失で、

ブレイクしたところ戦闘不能状態。
完全にダウン!

ゲーリー、僅か168秒の秒殺KO勝利です。
ゲーリーが秒殺勝利!!

この戦慄のスープレックスを最初に受ける事となった垣原は、

引退後の著書にこう記しています。

カッキー本表紙
 Uの青春~カッキーの闘いはまだ終わらない より

垣原
日本武道館で彼と再びシングルマッチが組まれたが、前回のトラウマがあり、とても憂鬱だった。
この試合で彼はジャーマン・スープレックスよりさらに危険度の高い、フルネルソンスープレックスという技を初めて披露し、僕はその技の餌食となってしまった。
試合開始から十分に警戒しながら闘ってはいたが、彼のあの長い手で巻きつかれたら最後、出っぱったお腹に乗せられ、メーターを振り切る背筋力を使って、真後ろに頭から真っ逆さまに放り投げられたのだった。
その日もまた記憶を失い、ドクターのお世話になってしまった。


文字通り脱出不能の殺人技でした。

それまで“殺人スープレックス”といえば、

ゲーリーの切り札はジャーマン・スープレックスでしたが、

幾度か仕掛ける機会がありながら、

自ら制御してきたフルネルソン・スープレックスを、

遂にこの試合で解禁した訳です(参照:殺人風車進化論)。

真の意味において“一線を超えた”訳ですね。
リングを背にする大きな背中

この試合からは既に四半世紀以上経過しています。

冒頭に書いたことを繰り返しますが、

今回、観返しても私は背筋が凍りつく思いでした。

どんなホラー映画や殺人描写よりも、

恐ろしい映像として、ずっと残されています。

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tag : ゲーリー・オブライト 垣原賢人

comment

Secret

No title

当時のインタビューで「もしゲーリーがフルネルソンスープレックスを仕掛けてきたら」という質問に、安生が「冗談じゃない」「それだけは喰いたくない」というかなり真剣なトーンで必死に答えていたのを思い出します。

インタビュアーの文面で「あんたらは見たいかも知れないけどやられるこっちの身にもなってみろよ」と言わんばかりの、という描写がその深刻さを物語っていました。

こんな惨劇にも生き残ったカッキーだから、これからの健闘にも期待して応援するしかないですね!

>てつさん

「もしゲーリーがフルネルソンスープレックスを仕掛けてきたら」という質問に、安生が「冗談じゃない」「それだけは喰いたくない」<当時はスープレックスが流行というか、スタイナーブラザースの投げっ放し式が主流だったんですよね。ゲーリーはそれに迎合せず最後までクラッチを切らないことで殺人技に昇華させていました。
さらに藤波から始まったドラゴンスープレックス幻想も強かったので、その両方が合体することなんか選手の立場では考えたくもなかったでしょうね。

こんな惨劇にも生き残ったカッキー<今年も同じ時期に大会があるみたいですね。しかも今回は打撃あり!
人間の持つ可能性、さらにはプロレスラーの超人的治癒力…これは無限大なんですね。

No title

ゲーリー、生きてて欲しかったな。。

色々話を聞きたかったなぁ。。

>平田さん

ゲーリー、生きてて欲しかったな。。色々話を聞きたかったなぁ。。<新日、全日、Uインターと実は日本のメジャー3団体に上がっていたんですよね。
現役は短かった可能性が高いですけど、存命なら貴重な話をたくさん聞かせてもらえたでしょうね。

No title

オブライトのスープレックスをゴングで見ながら、どんなんだろう・・・とワクワクした記憶を思い出します。
ただ、当時強いスープレックス=ブリッジの効いた高角度のもの、という印象があって最初オブライトのスープレックスを見た時は
「え?(蝶野のバックドロップみたい)」
という印象でした。
それはチョチョシビリの裏投げにも同じことを思いましたが。

えげつないな、オイ!
と思ったのは数年後からです。

ウィリアムス、ゴディ、オブライト、ビガロ、ホーク、ホーム・・・この時代の大型外人たちからいろいろ聞いてみたかったですね。
今いるベイダー、ノートン、アニマルなどなど古い話を聞けるうちに聞いておいてもらいたいですね。
特にベイダーなんて、新日初参戦・新日レギュラー時代、Uインター移籍&在籍、海外時代、全日本参戦、ノア参戦・・・いくらでも聞きたい話はあります。
ベイダーからのオブライト観も掘り下げて聞いてみたいです。

No title

レガさん。こんにちは!
見つけましたよ!
7分ちょいくらいからです
よろしくっす!!
https://www.youtube.com/watch?v=GUXsZs_WxOk

>ナリさん

ゴングで見ながら、どんなんだろう・・・とワクワクした記憶<週プロの4コママンガでしたかね? ゲーリーのスープレックスで投げられてる相手の顔が消える! みたいな。あおやま英雄先生のジャングルリングではなかったと思いますが。

最初オブライトのスープレックスを見た時は「え?(蝶野のバックドロップみたい)」<瞬発的に投げる印象でしたかね? 蝶野のはテーズ式そのものでした。
一方ゲーリーのは最後までクラッチを切らないで叩きつける形でKO狙いっていうのが衝撃的でした。同じ時期に藤原組でシャムロックがブリッジ効かせたフルネルソンスープレックスでKOを重ねていましたが、断然ゲーリーのジャーマンの方が破壊力は上だと思って見ていました。

ウィリアムス、ゴディ、オブライト、ビガロ、ホーク、ホーム・・・この時代の大型外人たちからいろいろ聞いてみたかった<特にゲーリーやトニー・ホームあたりはKAMINOGEで面白い話が読めたと思いますねぇ~。

ベイダーからのオブライト観も掘り下げて聞いてみたい<ベイダーはかなりゲーリーを警戒していたみたいですね。ゲーリーもどこまでがアレかはわかりませんけど、新日から来たガイジンには当たりがキツかったですよねー。

>Fさん

こんにちわ!!!!

見つけましたよ!…よろしくっす!!<ありがとうございます!!
了解です! というか大会全体を観返しましたが…これ今では神興行でしたね。当時、私も特リンに座っていたんですよ。

No title

こんにちは!
特リンですか!さすがですね~。
確かにかなり素晴らしい興行ですよね!!
あの最初のインローを生で見れたのは羨ましいですよ
是非嵐vs高田だけじゃなく他もお願いします!

>Fさん

こんにちわ。

特リン<Uインターに関しては91年、92年は2階席から、96年の2大会は特リンで観戦しました。…というか最後の大会はテイセンホールでしたので全席リングサイドでしたが(笑)。

確かにかなり素晴らしい興行<セミのみならず、桜庭vs北原も面白い試合でしたし、メインがね! 今日本で行なわれてるプロレスの原型じゃないでしょうかね。
技自体はハードヒットですし、タコのくだりも真剣にやり切ってるんですよね~。アホなことさえも真面目にやり切る…Gカップスvs冬木軍が今のエンタメ系プロレスの原点ですよ。

是非嵐vs高田だけじゃなく他も<が、頑張ります(笑)。

No title

いやあ、何度も見ても戦慄が走ります。
藤波さんが初公開したドラゴンスープレックス以上か?。
S・ウィリアムスの「バックドロップドライバー」にも匹敵します。

そう言えば、「クエスト」の代表取締役の木暮祐二さんが5日に亡くなったそうですね。
ご冥福をお祈りします。

>スライディングDさん

何度も見ても戦慄…藤波さんが初公開したドラゴンスープレックス以上か?。S・ウィリアムスの「バックドロップドライバー」にも匹敵<藤波の初公開時はフォールではなくギブアップを奪う技だったんですよね。
ウィリアムスのもエゲツなかったですけど、全日のリングにマッチした投げ方でした。

「クエスト」の代表取締役の木暮祐二さんが5日に亡くなったそう<現在の様な動画配信の時代が来る前の最大功労者の一人ではないでしょうか。レッスルの創業者でもあるそうですね。

御冥福をお祈りします。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
46歳のプロレス話


「紫レガのブログは少し滑る感じになってるんです。ですから今、スライディングしながらね。下ネタも使ってですね、巧く腕極めましたね」

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