四文字をめぐるUインターの人間模様

『証言UWF 最終章 3派分裂後の真実』を読み終えました。

前作(参照:DOKURYO“U”)に続いて、

先飛ばししたり、後回しにせず読了しました。
証言UWF最終章表紙

パンクラス、リングス…いろいろ思うところはありますが、

ここは私らしくUインター部分に絞って、

ネタバレに気を付けつつ振り返ってみたいと思います。

まず田村潔司ですが、

ほとんどの話は聞き手・堀江ガンツさんが過去に手掛けた記事等で、

明かされてきたエピソードではあり、

当然その軸となっているのは高田延彦との愛憎劇ですね。

今回ばかりは“真剣勝負発言(参照:真剣勝負発言)”の真意も、

はぐらかす事なく語っています。
真剣勝負発言1

さらに田村が高田に対して、

確固たる不信感を持った瞬間は、

静岡(参照:田村、時空を超えゴッチと出会う~前編~同~後編~)の試合後だったのではないか、と。

今までこれを見落としてましたよ。
勝利の雄叫び

同時に高田に対戦を迫った時の胸中は、

やはり憧れの裏返しだったんだろうな、と。

言ってみれば愛憎の“愛”の部分ですね。

かくいう私もあの時点で高田vs田村は、

実現するべきだったと今でも思います。

そして実現していたなら、

高田が勝っていただろうと信じています。
田村の呼び掛け

田村にとっては、

自分以外のみんなが対抗戦に出て行ったことも、

仕方のない事と受け止めるしかなかったのでしょう。
新日vsUインター若手対抗戦1日目

或いは山本喧一が田村に求めた責任感(参照:ヤマケンが語った田村との愛憎)も、

“田村の乱”や“山崎革命”や“宮戸クーデター”それぞれの失敗も、

田村にとっちゃ『知ったこっちゃない』事だったのかな? って。

ついでに言っちゃうと、後のUFC-Jの件も。
ヤマケンUFC-JAPAN王者

鈴木健木下雄一の対談で語られている、

リングス電撃移籍の裏話も含めて、

この章は紙プロ時代からガンツさんが唱えていた、

『1995年の田村潔司』完全版の様な気がします。
ゴーンさんの笑顔がいい

最後に金原弘光が語っている、

宮戸優光の事と、

若手たちの真剣勝負に対する葛藤ですが、

宮戸が伝えたかった部分は、

実は少しだけ違っていた様にも感じます。

現に他流試合はシュートだった訳ですからね。
健闘を讃えあう

若手だけシュート御法度っていうのも解せないです。

宮戸はかつて「若手は練習でそれ(シュート)しかやっていない」とも言ってました。

リングに上げた結果、シュートになってしまっても、

それはそれで有りだったんじゃないでしょうかね?(参照:宮戸語録 vol.21~プロレスラー育成論~)

金原は常々、「宮戸さんは俺の事が嫌い」とか、

「干されてた」旨の発言をしていますが、

プロとして強さ以前の評価が低かっただけだと思います。

「今、金原にシュートやらせたら変な方向に行っちまう」的な。
金原はタオルでの扇ぎ役

でもムエタイ挑戦以降、試合が怖くなくなったというのは、

思い返すとよくわかりますね。

デビュー当時は自信なさげに目が泳いでいた金原も、

いつの間にか団体一の太々しさを蓄え、

どんな大物相手でも呑んでかかる様になりましたもんね。
下がるキムケンを挑発

金原もヤマケンも異口同音に、

キングダム崩壊後のリングス入団の際、

「また掌底ルールに逆戻り」という想いを抱いていますが、

田村や(恐らく)垣原は二人と違い、

“掌底ルール=逆戻り(または退化)”とは思っていないでしょうし、

一つの大会に“シュート”と“ワーク”が混在する事も、

不自然、不公平とは決して思っていないでしょう(参照:プロレスラー)。
泣き顔の垣原

とにかく当時、Uインターの若手たちにとって、

様々な局面で“真剣勝負”の四文字が、

人間模様を変化させていくキーワードだったのですね。
田村vs桜庭煽りV23

それともう一つ改めて思った事は、

10.9に宮戸の姿があれば、

間違いなくメインの試合結果は変わっていたであろう、と。
「前田が泣いてるぞーーー!!…」

ぜひ興味のある方はご一読を。

証言UWF最終章表紙
 証言UWF 最終章 3派分裂後の真実 より

1991年1月7日、前田日明の「解散宣言」で約2年半の活動に終止符を打った第二次UWF。
その後、前田はリングスを、髙田延彦・安生洋二・宮戸優光はUWFインターナショナルを、
藤原喜明・船木誠勝・鈴木みのるは藤原組(のちに船木と鈴木は藤原と袂を分かちパンクラスを設立)
を立ち上げ、UWFは3派に分裂する。
表面上はプロレスを敵視し続けてきた男たちの「格闘技への理想」が明確な形となったわけだが、
そのリング上は「ガチンコだったのか、アングルだったのか」。
第二次UWF、分裂直前の人間関係も含め当事者、関係者たちの証言によって詳らかにする。


あと冨宅飛駈の話も良かったです。

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tag : 田村潔司 金原弘光 山本喧一 鈴木健 木下雄一

comment

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No title

読みましたよ〜。随所にちょっとしたボタンの掛け違いのようなことが多々書かれていて、今更ながら残念な気持ちになりました。
もちろん、分裂があったからこそのMMA、プロレスそれぞれの成熟につながったことは重々承知しているつもりですが...。

個人的には石井館長の視点が面白かったですね。当時の自分は週プロを読みながら友人に頼んでWOWWOWのリングスを録画してもらいつつ、後楽園ホールに修斗の公式戦を観に行っていたので余計に(フルコンタクト空手も読んでましたねえ)。やっぱり分水嶺みたいな時代だったな〜と今更ながら思ってます。

舞台裏を知ることで落胆することもありますが、学生だった自分が社会人としてその現実に触れてみると「しょうがなかったのかな」と思う面もあって複雑な心境です。でもあの熱い時代をリアルタイムで生きられたこと、それをこうしてレガさんや多くの皆さんと共有できることはこの上ない喜びです。これからも宜しくお願いします!!

>てつさん

読みましたよ<そうですか~。一気読みでしょうかね?

分裂があったからこそのMMA、プロレスそれぞれの成熟につながった<確かにそうですね。ただ冨宅の話での神社長のビジョンを読むと、前田氏だけを排除した後の方向性は現状MMAの様な世界観だったのかも知れませんよね。

石井館長の視点が面白かった<かなり都合いい様にデフォルメされている感もありますが、つくづく佐竹がリングスに上がっていた期間ってのは奇跡的な空間だったんだなぁと思いました。

あの熱い時代をリアルタイムで生きられたこと、それを…多くの皆さんと共有できることはこの上ない喜び<本当に今は便利なツールがありますもんね。とことんまで語り合って、語り継いでいきましょう。柳澤氏みたいな歪曲した史観が出来上がらない為にも。
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