FC2ブログ

暴風雨の中の風車 Vol.2~ブレーキの壊れたダンプカー~(1979)

Vol.1からのつづきです。

2度目の新日本プロレス参戦(通算3度目の来日)にして、

早くもアントニオ猪木の持つ、

NWF世界ヘビー級のタイトルに挑戦し、

あわや王座奪取の場面を作り出したスタン・ハンセンでしたが、
猪木vsハンセン1977~8

次の新日参戦までには1年以上の期間を挟みます。

その理由は別に干されたのではなく、

母国でのレスリングビジネスが成功していたからなのです。

Gスピリッツ46表紙
 Gスピリッツ Vol.46 より

ハンセン
「新日本の77年8月のツアーから帰国した後は、ジョージアテリトリーでビジネスが上手く行っていた。ファイトマネーも良かったし、いいポジションで仕事ができたよ。79年にジョージアに入ってきた天龍はブッカーのオレイ・アンダーソンと良い関係を築けなかったようで、今もいいことは言わないが、私にとってオレイは優秀なブッカーだった。だから、日本に行く必要がなかったんだ」


ビンス・マクマホン・シニアの思惑通り、

しばらく冷却期間を置いた事で、

ハンセンは再びアメリカのマット界で、

脚光を浴びるポジションを見つけたのです。

それも古巣WWWFではなくNWA系のテリトリーにおいて。
ハンセン@1978

一方の猪木も1978年はタイガー・ジェット・シンとの抗争を軸に、

上田馬之助との釘板デスマッチ(参照:本物同士のデスマッチ)や、
館内を煽る猪木

第1回MSGシリーズの制覇、

欧州世界選手権シリーズ参戦(参照:欧州“殺し”紀行~eins~同~zwei~同~drei~同~vier~同~finale~)と、
傷口めがけ手刀

さらにプレ日本選手権開催と制覇(参照:獅子と狼のレスリング勝負~前編~同~後編)など、
プレ日本選手権優勝インタビュー

まさしく大車輪の活躍でした。

さらには藤波辰巳の凱旋帰国(参照:日本ジュニアヘビーの夜明け)を機に、

興行の方も大盛況の様相を呈していました。

そして長い沈黙を経て1979年

ハンセンは再び新日来襲を果たします。

1年7か月ぶりの来日となった『第2回MSGシリーズ』ですが、

ここでもハンセンはプロレスラーとしてターニングポイントを迎えます。

それが“大巨人”アンドレ・ザ・ジャイアントとの出会いです。

Gスピリッツ46表紙
 Gスピリッツ Vol.46 より

ハンセン
「レギュラーになる前、79年4月のMSGツアーでアンドレ・ザ・ジャイアントと一緒になったことも、私にとっては好機だった。アンドレはスマートな頭脳の持ち主だったから、猪木とばかり戦っていても限界があることをわかっていた。彼はアメリカでも対戦相手に恵まれてなくて、ハンディキャップマッチで一方的に強さを見せることが多かったからね。だから新日本で私と対戦していく中で観客の歓声を聞き、リアクションを見て、“日本のファンはスタンをライバルにすることを認めてくれている”と理解し、いい試合をしてくれた」

「アンドレにとっても、私にとっても、新日本のリングで猪木以外の相手が見つかったというのはビジネスとして良かったんだ」


ちょっとだけ話が飛びますが、

この時の出会いがきっかけとなって、

両雄はプロレス史に残る伝説を生み出した(参照:田コロの伝説~前編~同~後編~)訳です。
アンドレ再び腕殺し

話を元に戻しましょう。

ハンセンは初出場となったこのリーグ戦において、

大本命の前年度準優勝者アンドレを、

勝ち点僅か1点差で上回り、

猪木との優勝戦に進出しました。

1979年6.7 蔵前国技館

第2回MSGシリーズ優勝戦

アントニオ猪木vsスタン・ハンセン
を振り返ります。
第2回MSG優勝戦、猪木vsハンセン

開始のゴングが鳴る前に、

ハンセンは文字通り猪突猛進に猪木へ突進。
ゴング前から突進していくハンセン

試合が始まると猪木は冷静にサイドヘッドロック、

力任せにロープへ押し込んできたハンセンに、

離れ際エルボー一発。
ヘッドロックから離れ際、猪木のエルボー

これでさらに火が着いたハンセンも、

ロープ際に追い込んでエルボースタンプから、

膝蹴りを見舞います。
ハンセンもロープ際でエルボー

睨み合いから、

軽々と抱え込んでのボディスラム、

上半身の力は半端じゃないですね。
ハンセンの豪快なボディスラムに、

すかさずエルボードロップを落としますが、

猪木はかわすと同時に、

序盤から伸びのあるドロップキックを放ちます。
猪木は伸びのあるドロップキック

前日の坂口征二との公式戦がロングマッチとなった事で、

体力をかなり消耗している猪木の作戦は、

どうやら短期決戦の様です。

それならハンセンも望むところだ、とばかり、

トップロープに猪木の腕を固定してのエルボーから、
ロープに固定してのエルボースタンプから、

一気にラフな展開に持ち込むと、

ストンピングで場外へ蹴落とします。
ストンピングで場外へ蹴落とす

ここも猪木は必要以上に間を置かず、

レフェリーにチェックを促し、すぐさまリングイン。
すぐに猪木はリングイン

ハンセンは猪木の腕を取りに来ますが、

ショートレンジのアリキックを一発入れると、
腕を取るハンセンにアリキックから、

ロープに振ってカウンターで卍固め!

…が勢い余って失敗に終わり、
ロープに振ってカウンターの卍は失敗、

そのまま猪木はグラウンドでのフロントヘッドロックへ。
そのままフロントヘッドロックに捕らえるも、

ここをハンセンは懐に潜り込んで、

両足タックルでコーナーポストまで猪木を運びます。
ハンセンが懐に入ってコーナーポストへ、

驚くのはハンセンが決して腕力だけではなく、

猪木の体重を持ち上げている部分。

私の勝手な憶測ですが、

恐らく修行の地であるファンク道場において、

同期の鶴田友美(のちのジャンボ鶴田)ボブ・バックランドという、

アマレスエリートとの練習の中で、

自然と体に浸みついたレスリング技術なのでは? と思う訳です。

さらに強烈なボディパンチ一撃から、
強烈なボディパンチから、

エルボー、ニースタンプとつなぎ、

今度は力任せのスリーパーに捕えます。
力任せのスリーパー、

ここは当然の様に猪木が、

切り返しの巻投げから、
巻投げで切り返す猪木

2度目のトライで卍固めに持っていきますが、
再び卍狙いも、

これまた体格差とパワーで跳ね返されます。
全身の力で振りほどくハンセン

ハンセンはこうなりゃラフ一辺倒じゃい!! とばかりに、

パンチの乱れ打ちから、

延髄付近へのエルボースタンプ!
パンチの乱れ打ちに、

ならば目には目を、

猪木一流の喧嘩殺法からヘッドバットの連打で応戦。
猪木はヘッドバットで応戦

2か月前に行なわれたレフトフック・デイトンとの格闘技戦(参照:猪木、スーパーマンとの喧嘩)において、

その威力は十分に証明済みです。

そのまま豪快なボディスラムも見舞っていきますが、
猪木も豪快なボディスラム

ここで待っていたのが、

ロープに振っての、
ハンセンはロープに振って、

ウェスタン・ラリアートでした!!
ウェスタン・ラリアート炸裂!!

モロに食った猪木は大ダメージですが、

カウント2で何とかキックアウト!!
猪木はカウント2でキックアウト

ハンセンはすかさず体重の乗ったエルボードロップに、
ハンセンさらにエルボードロップ

角度のいいドリルアホール・パイルドライバーと、
矢継ぎ早にパイルドライバーから、

立て続けにカバーに入りますが、

いずれも猪木はカウント2でキックアウト。
体固めもカウントは2

ハンセンの猛攻は止まりません、

まさしく“ブレーキの壊れたダンプカー”そのもの。
ガンガン殴る蹴るのハンセン、

ここが勝負と見たか、

ロープに振って2発目のウェスタン・ラリアート!!
2発目のウェスタン・ラリアートは、

…は猪木が捨て身のジャンピング・エルボーで阻止!!
猪木がフライング・クロスアタックのタイミングでジャンピング・エルボー

櫻井康雄さんの名調子が飛び出します。

櫻井氏
「タイミングの取り方はフライングクロスアタックでしたねぇ!」

これは不意打ちの効果もあって、

ハンセンに大きなダメージを与えた模様です。

そこからの瞬発力は猪木の真骨頂、

ドロップキックを左顔面にぶち込むと、
打点の高いドロップキックから、

もう一度ボディスラムで叩き付けておいて、
もう一度ボディスラムを挟んで、

一気にトップロープまで駆け上がると、
トップロープに駆け登り、

デッドリードライブ狙いで近づいて来たハンセンを、

飛び越えるかの様にダイビングボディスザース敢行!!
ダイビングアントンシザーズ③

これはハンセンの両手をも挟み込む形で決まり、

受け身のタイミングを失ったハンセンは、

そのままカウント3を聞く事となりました。
ダイビングアントンシザーズ⑤

このフィニッシュへの躍動感は、

IWGP・V11時代の棚橋弘至をも彷彿とさせます。

とにかく、いつもは使わない奇策(参照:オイ、飛べんのかい?)が功を奏した形で、

最後は猪木快心の勝利でした。
2連覇を果たした猪木の身体には大きなダメージ

しかしながら負けたハンセンの方も余力充分で、

体力的にはほぼ互角か、むしろ若いだけに上という印象。
雄叫びを上げてリングを後にするハンセン

猪木はMSGシリーズ2連覇を達成しながらも、

徐々に迫りくるハンセンの暴風雨を感じつつ、

翌シリーズの目玉であるR・ボックへのリベンジに乗り出しますが、

ボックが不慮の事故によって来日中止。

再びライバル、タイガー・ジェット・シンとの抗争(参照:血で血を洗う信頼感・੬~デスマッチとUWA~)へシフトチェンジしていきました。
スリーパーへつなぎ一本目先取

ハンセンがトップガイジンの一角に躍り出たところで、

このままVol.3へつづけます。

関連記事

tag : アントニオ猪木 スタン・ハンセン MSGシリーズ

comment

Secret

タイミング!!

このときはハンセンの入場テーマがリベンジャーなんですよね。こうせつなさがあって、子供心にハンセンかっこいいな~って当時は思ってましたね~(^-^)

そして桜井さん、出ましたね!!体をずらして不意をついてのラリアートの解説もこの試合でしたっけ?桜井節、いいですね(^O^)

いやしかし何気ないボディスラムですが、このとき140キロくらいはあったハンセンを、これだけ投げるんですからやっぱり猪木はすごいですね(^^)v

続き、楽しみにしてます(^-^)/

>流星さん

このときはハンセンの入場テーマがリベンジャー<そうそうそうです!! 流星さんから頂戴したCDでちゃんと知ったこの曲ですが、実際には映像で耳にしていたんですね~。
この曲を聴くと私なんかは角川映画を連想してですねぇ、流星さんにお聞きしたいんですけど、角川三姉妹の中で誰が一番お好きだったでしょうか? という、あ、ははははは!! いやぁすみません! お酒が入ってるもんだから、つい…。

桜井さん、出ましたね!!体をずらして不意をついてのラリアートの解説も<そうです! さすがです!! エルボーと見せかけてラリアート打った…的な解説でした。

何気ないボディスラムですが、このとき140キロくらいはあったハンセンを、これだけ投げる<そうなんですよね。一緒に練習してた選手の談話だと、猪木ってベンチプレスかなりの重量を挙げるっていうんですよね。決して腕が太い方ではないんですけど、ここ一発の瞬発力が凄いんでしょうね。

続き、楽しみに<ありがとうございます!! 最後まで読んで頂けると幸いです。

この試合は・・・

1月にスカパー!CS無料放送の「ワールドプロレスリングクラシックス」で見ました。初めてですね猪木vsハンセンは。

率直な感想はハンセンはガンガン攻めるなあ、猪木さんは僅かな隙を狙って勝ったなあでしょうか。

>スライディングDさん

「ワールドプロレスリングクラシックス」で見ました<本当にテレ朝はお宝映像の宝庫です。

率直な感想はハンセンはガンガン攻めるなあ、猪木さんは僅かな隙を狙って勝ったなあ<実にその通りでしたよね。さらに言うと、レフェリーのカウントもやや早いという…。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
46歳のプロレス話


「紫レガのブログは少し滑る感じになってるんです。ですから今、スライディングしながらね。下ネタも使ってですね、巧く腕極めましたね」

最新記事
最新コメント
カテゴリ
UFC (1)
ISM (1)
AWA (1)
最新トラックバック
検索フォーム
カレンダー
09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
月別アーカイブ
リンク
来場者数
QRコード
QRコード