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北沢さんが語った猪木の強さ

ちょっとコメディタッチになりましたが、

魁勝司こと北沢幹之さんの証言(参照:ローンホークはゴッチ式!?)には、
北沢幹之

日本プロレス史における、

道場内での強さに関する資料が、

たくさん詰まっている事がわかりました。

今回は日本プロレスから東京プロレス、

そして新日本プロレスまで添い遂げた、

アントニオ猪木とのエピソードに限定して、

歯に衣着せぬ“北沢節”を拾い集めましょう。
黄金コンビのセコンドに小鉄さんと北沢さん

まず最初にカール・ゴッチ教室以前、

道場においての実戦練習は、

誰が中心となって行なわれていたのでしょう?

Gスピリッツ06表紙
 Gスピリッツ Vol.06 より

北沢
「中堅の人はみんな強かったですよ。長沢秀幸さんにしろ、大坪清隆さんにしろ極めるのが巧かったです。大木金太郎さんも強かったですよ。でも、やっぱり猪木さんがズバ抜けてましたね」

(セメントの技術指導者は)レフェリーの沖識名さんです。あの人はそういうの全部知ってたから。あとは大坪さんとか吉原(功=後の国際プロレス社長)さんがよく教えてくれましたね」


まず、コーチとして沖識名の存在があった、と。

沖はメインレフェリーとして有名でしたが、

柔道流関節技の名人でもあったそうです。

そして、アマチュア相撲出身の長沢秀幸、柔道五段の大坪清隆

さらに力道山道場四天王の一角、大木金太郎が“極めっこ”の中心にいた様ですが、

そこから頭一つ飛び出ていたのが、

若き日の猪木だったという構図です。
猪木顔2

もう一人、吉原功の名前も出ていますが、

これはもう一つの強さともいうべき、

レスリング技術の指導が主だったと推測されます。

なぜなら猪木の強さを強調した、

次の北沢さんのコメントがあるからです。

北沢
「猪木さんは自分より1歳下なんですよ。自分は年下のもんには絶対に負けたくないという気持ちを強く持ってたんですけど、これがまた猪木さんは凄い身体してるし、その当時から強かったんです。道場の中で猪木さんはグラウンドでも、あらゆる面で強かったですよ。一緒に練習やった人はわかると思うんですけどね。サブミッションだけじゃなくアマチュアレスリングも強かったです、ズバ抜けて」

「自分は今でも思うんですけど、猪木さんの弟子でよかったなと。怖いものがなくなりましたから」


はっきりサブミッションとアマチュアレスリングを言い分けてますね。

日プロOBはよくセメントの練習を『アマチュア』と表現しますが、

これ後者のことだと思うんですよ。

いわゆる“極めのない(グラウンド中心の?)技術練習”。


北沢さんの「年下のもんには絶対に負けたくない」という信念も、

190センチ近い長身で尚且つ、

均整のとれた体躯を持っていた猪木にかかれば、

あらゆる面でも勝負にならなかった、と。

猪木の強さは“サブミッション”においても、

吉原氏中心の“アマチュアレスリング”においても、

ズバ抜けて強かったという事ですね。
日プロ合宿所のチャンコ風景

そんな猪木が力道山死後に渡米し、

長い武者修行を終えて日本へ戻ったのは、

東京プロレスという新興団体のリングでした。

北沢さんはより逞しくなった猪木と再会します。

北沢
「首なんかも凄く太くなってたし、練習だけはどこに行ってもよくやってたみたいです。それに言葉にしにくいんですけど、なんか吸い込まれていくような感じがありましたね。一緒に練習してても、この人には逆立ちしても絶対に勝てないんじゃないかって。
(略)ゴッチさんが剛なら猪木さんが柔という感じで。前田なんかもいいモノを持ってるけど、やっぱり猪木さんとはちょっと比べものにならないですよね」


この頃の猪木の急成長ぶりと異様なまでの強さは、

同じく東プロで初めて合流したマサ斎藤も驚きを隠せなかった様子です(参照:マサとアントンのWRESTLER'S PRIDE)。

東京五輪の日本代表レスラーだったマサさんを以てして、

「アントニオ猪木も俺もレスリングを知ってる」と認める存在でした。

しかし程なくして東プロは分裂し、

猪木は古巣の日プロへUターンすると、

北沢さんもまた、それに追随しました。

そこでゴッチさんとの出会いが待っている訳ですが、

そもそものゴッチ教室開校の目的が実に意外。

北沢
「猪木さんを潰すために呼んだんでしょ、日プロが。後で聞いた話ですけど、そうみたいですよ。他にもゴリラ・モンスーンっていうガチンコの強い選手がいたんですけど、それを猪木さんにぶつけるとか言って。猪木さんは“いつでもやってやるよ!”って強気で言ってましたけどね。でも、ゴッチさんが来たらすぐに猪木さんと仲良くなったんです。練習の好きなもん同士っていうのは、やっぱり合いますよね」


Uターンしてきたニュースターの猪木を潰す目的で、

ゴッチさんへのコーチ要請と刺客としてのモンスーン招聘。

…ん? これって約20年後に繰り広げられた、

前田日明と新日本の関係にも似ていますね。

歴史は繰り返される、という事でしょうか。
aliveさんDVD1

猪木もそれを察知して当初はカタくなりましたが、

類が友を呼んだのか、すぐに意気投合、

そこから長い師弟関係がスタートした訳です。
ゴッチさんが仲裁に入る

別媒体のインタビューでも北沢さんの猪木評は変わりません。

猪木50周年本上巻表紙
 アントニオ猪木50Years 上巻 より

北沢
「猪木さんは練習はよくやりましたね。もう練習の嫌いな人は猪木さんのそばに寄らなかったですね。嫌がっちゃって」

「猪木さんのおかげで決め技とかいろいろ覚えさせてもらいましたし。だから猪木さんと練習してると、強いガイジンと練習しても怖いと思わなかったですね」

「いやもう、かなわないどころじゃなかったですよ。凄かったですから。猪木さんとずっと(練習を)やってたから、決められない自信ってのはついてきてましたね」


前回書いた通り、超辛口の北沢さんが、

無条件に「かなわないどころじゃない」「凄かった」と言う猪木の強さ。

これは実際に肌を合わせてこそ理解出来るものだそうです。

北沢
「あの人の強さっていったら、一緒にやった人間じゃないとわからないと思うんですよ。以前、新日本(の会場)に行った時、かなり古いヤツが『猪木さんってホントにガチンコ強かったんですか?』って聞いてきて。『ああ、コイツ若い頃から入ってたのに、猪木さんに胸借りたことないのかな』と思ったりしましたね」


新日本を設立して以降、

ある時期から猪木のスパーリング量も激減したのでしょう。
旗揚げの挨拶に立つトルコさん

そんな猪木の絶頂期は、

北沢さん曰く「日プロで伸し上がった頃」だったそうです。

北沢
「みんなビビってそばに寄らなかったですね。あのころが一番強かったんじゃないですか? あれは凄い精神力でしたよ」


これに関しては度々、先輩プロレスファンのご指摘もあります。

昔から猪木を知る櫻井康雄さんも同意見でしたね(参照:櫻井さんの馬場論 コメント欄)。
日プロ時代の猪木vsJ・ブリスコ

20代半ばから30歳手前の頃、

前田氏は格闘王として新生UWF旗揚げ、

高田延彦はUインター旗揚げで格闘技世界一決定戦、

二人の弟子はレスラー人生の岐路に立っていました。

今の選手で言ったらズバリ、

オカダ・カズチカの年代なんですよ。
“レインメーカー”オカダ・カズチカ

改めて、プロレスラーの強さの基準は奥深い。

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tag : アントニオ猪木 北沢幹之

comment

Secret

No title

どもっす。

猪木は、デストロイヤーもレスリング出身者だと思ったくらいレスリングが出来たそうですね。
猪木は吉原さんからグレコローマンでも学んだのかな?
それともゴッチはレスリングも教えていたのでしょうか?
サブミッションとレスリングって書いてましたが、この当時からキャッチアズキャッチキャンとグレコローマンという感じで別のものと定義されていたのでしょうか?

ちなみに大坪清隆さんってプロ柔道から国際プロレス団と、木村政彦と共にしていたんでしたよね。
猪木は力道山、カール・ゴッチの弟子でありながら、木村政彦の孫弟子とも言えるんですよね。

興味深い・・・。

>HBKさん

こんばんわ。

デストロイヤーもレスリング出身者だと思ったくらいレスリングが出来たそう<あー、馬場さんに挑戦表明したワールドリーグ戦で決勝進出を拒まれたのがデスト戦でしたっけ?
あの試合、映像部長のDVDで観た様な気がしますが…仕掛けたんでしたっけ?

吉原さんからグレコローマンでも学んだのかな?それともゴッチはレスリングも教えていたのでしょうか?<どちらからも猪木はレスリング技術を学んだはずですが、吉原社長って“早大の星”と言われてたそうなんですが、日本初のアマ出身プロレスラーということ以外アマレスの実績ってどのくらいなのか出てきません。
ゴッチさんはグレコというかCACC技術でしょうね。

この当時からキャッチアズキャッチキャンとグレコローマンという感じで別のものと定義されていた<その様ですね。別な書籍では、猪木曰く「レスリング技術は吉原さん、関節は大坪さん、プロレス全般を沖さん」と。

力道山、カール・ゴッチの弟子でありながら、木村政彦の孫弟子<特に大坪さんからは可愛がられたそうですが、猪木自身は入門数ヵ月で大坪さんも含めて誰にも上のポジションを取られなくなっていたそうです。

No title

セメントとアマチュアに関してはメキシコでもそうらしくて、佐山が言ってたと思うのですが
「メキシコに日本人が行くと必ず『アマチュアを教えてくれ!』と言われるんだ」
というようなことをどこかのインタビューで言っていました。

メキシコではルチャやセメントは教えれてもアマチュアを教える人は少ないとかだそうで。
きっとメキシカンの寝技の攻防と、日本のレスラーの寝技の攻防の違いっていうのはそういうところにあるのかなぁ…なんて感じます。


元々力道山は沖識名やシュナイザークラブ(でしたっけ?進駐軍の慰問プロレスの人たち)からアマチュアを習っているはずなので、おそらくその弟子筋達にもアマチュアは流れとしてあるでしょうし(力道山が教えたかどうかは知りませんが…)
それと言っちゃあなんですが、レスリングの場合は当時から柔道や相撲と違って競技人口が格段に少ないので身体の大きい人がある程度習ったらそこそこ上位に行っちゃう世界なので、プロとしてレスリングをやってる人が何人も集まって毎日稽古すれば
「レスリング出身者?」
と思われることも可能かもです。

それにアニマル浜口が女子レスリング日本代表の指導者にも入ってるくらいなので、吉原という人は相当優秀な指導者なんでしょうね。

沖識名!

沖識名といえば、外国人レスラーに八つ当たりされてシャツをビリビリに破かれたり、レフェリングでフォールカウントをとる時に、フォールするレスラーの上にのしかかってカウントしたり(笑)ややコミカルな印象がありましたけど、猪木に手ほどきしてたんですね!若き日の猪木、馬場の脇に立つ氏の写真は貫禄十分ですね。

我々は裏方としてとらまえていた人が、意外と知らないところで多大な影響を与えていたんですね。吉原社長しかり。

しかし、こうしてみると、猪木は本当に強くて練習熱心だったんですね。これでレスリングだけに専念する求道者だったら…。まぁたらればですね。破天荒さがなければ、新日本のドラマチックな展開は見られなかったかもしれませんし。

猪木の源流は意外な所にもある事を教えていただいた今回のブログでした!

>ナリさん

佐山が言ってたと思うのですが「メキシコに日本人が行くと必ず『アマチュアを教えてくれ!』と言われるんだ」<メキシコって実際にアマレスのレベルはどうなんですかね?
ドスカラスJrがいましたが、メヒコでアマ出身の有名ルチャドールいましたか?

メキシカンの寝技の攻防と、日本のレスラーの寝技の攻防の違いっていうのはそういうところにあるのかなぁ<ジャベも充分な実戦テクニックだという話を聞いた事もありますが、レスリング要素は確かに薄まってる感はありますね。

力道山は沖識名やシュナイザークラブからアマチュアを習っているはず…弟子筋達にもアマチュアは流れとしてあるでしょう<今回、亀熊さんから頂戴した『チャンピオン太』の映像を見ていて、力道山が少年相手とはいえ飛行機投げを連発するシーンを見たんですけど、意外と基本通りというか…私ごときが書くのも失礼な話ですけど。

レスリングの場合は当時から柔道や相撲と違って競技人口が格段に少ないので身体の大きい人がある程度習ったらそこそこ上位<でもマサさんは言わずもがな、サンダー杉山とかも強かったみたいですしね。ジャンボの時代も含めると、八田イズムはやはり凄いと思います。
特にフィジカルの鍛錬は他の格闘競技と比較しても抜きん出てると思いますね。

アニマル浜口が女子レスリング日本代表の指導者にも入ってるくらいなので、吉原という人は相当優秀な指導者<吉原社長も本当に強かったそうですね。
それと先見の明というか、興行的なこと以外にもプロレス界でいち早くサンボ導入なんかは凄い事だと思います。

>亀熊さん

沖識名といえば、外国人レスラーに八つ当たりされてシャツをビリビリに破かれたり…ややコミカルな印象<力道山も手ほどきを受けたぐらいですから指導者としての手腕は確かなものだったのでしょうね。

猪木は本当に強くて練習熱心だったんですね<当時の道場を知る人たちは異口同音に猪木の強さを語りますね。それがさらにバックボーンが陸上競技なのですから、より強烈です。

レスリングだけに専念する求道者だったら…。まぁたらればですね<その道一筋だから強いっていうパターンと、幾つも寄り道することで強くなるパターンとありますけど、猪木の場合は後者でしょうかね?
寄り道することでリングに還元していた様な部分も多々あったかと思います。

猪木の源流は意外な所にもある事を教えていただいた<それもこれも亀熊さんにいただいたDVDが起点となっています。
本当に本当に貴重な資料をありがとうございました!!
紫レガとは?

紫レガ

Author:紫レガ
47歳のプロレス話


「昔はインターネットを旅してましたからね。毎晩ブログでね、今みたいにSNSがいっぱいある訳でもないし、終わったらみんなブログでね、一日の終わりにUPして。今こんなこと言ったらエラいことになりますけどね、よく寝不足になったね、部屋でPCを打ったりね。…いや、そういう歴史はちゃんと教えとかないとね」

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