月日が師と弟子を変える~後編~(1989)
前編からの続きです。
常に手四つから始まる両者の攻防、
やや押され気味の藤原喜明ですが、
形勢を逆転する一発を秘めていました。

それがノーモーションのヘッドバットです。

高田延彦は、
この試合最初のダウンを喫してしまいました。

1989年時点においてUWF公式ルールでは、
あらゆる箇所に対する頭突きが認められていたんです。
しかし高田はカウント8で立ち上がると、
序盤から積み重ねたローキックの集中打で、

すぐにダウンを奪い返して、
ロストポイントを同点に戻しました。

常に手四つから始まる両者の攻防、
やや押され気味の藤原喜明ですが、
形勢を逆転する一発を秘めていました。

それがノーモーションのヘッドバットです。

高田延彦は、
この試合最初のダウンを喫してしまいました。

1989年時点においてUWF公式ルールでは、
あらゆる箇所に対する頭突きが認められていたんです。
しかし高田はカウント8で立ち上がると、
序盤から積み重ねたローキックの集中打で、

すぐにダウンを奪い返して、
ロストポイントを同点に戻しました。

藤原はカウント9まで間を置いてからスクッと立ち上がると、
歓声が沸き上がります。
手四つから組み合うと、
パーフェクトに近いカニばさみで高田を寝かせ、

膝十字を仕掛けていきますが、
ここは冷静に高田が逆片エビ固めに切り返します。

アキレス腱と膝と腰を同時に極める、
旧UWFではジャパニーズ・レッグクラッチと呼ばれていた型ですね。
藤原は何とかエスケープ、
ブレイク後も膝を気にしてなかなか起き上がれません。

レフェリーに促されて前に出ると、
待ち構えていた高田はローキック一発、

すぐに藤原が2度目のダウンを喫しました。

ここはすぐに立ち上がった藤原、
手繰り合いから高田は「来いオラ!」と挑発します。

そこに藤原が張り手一閃、
高田もすぐにコーナーに追い込んでのローから、
張り手の連打連打!

藤原は得意の体を入れ替える動きから、
ボディブロー、さらに張り手!

今度は高田がすぐに体を入れ替えて、
強烈な張り手からロー、ハイキック。

さらに再び「来いオラ!」の挑発。
手四つからのインローも、
膝の内側を強烈に打ち抜きます。

首の取り合いから、
藤原が足を捕えてテイクダウン。

ここでも下から先に仕掛けて行くのは高田の方、

当時で言うチキンウィングアームロックですが、
さすがにこの局面では藤原も極めさせません。
徐々にポジションを移行して、

背中に乗ってのフェイスロックで、
二つ目のエスケープ奪取。

立てば再び高田のキックが待っています。
ソバットから、

やや当たりは浅いながらもハイキックでコーナーに詰めて、

ローキック連打、ミドルキック連打から、
左ハイキック4連打で、

藤原またもダウン!!

自らコーナーに下がってカウンターを狙う、
いつもの戦法が全く見られません。
それでもカウント9で起き上がると、
ニヤリと笑みを浮かべながらファイティングポーズ。

そして手四つから、
再び顔面へのヘッドバット!!

高田は足から崩れてダウン!!

藤原の打撃技はこのヘッドバットだけでしたが、
これが文字通り、唯一無二の破壊力ですね。
しかし立てば高田優位は変わりません、
強烈な左ミドルから、

ボディにソバットをぶち込んでコーナーまで追い込むと、

右のロー、ここはスネでカットして、

藤原は猛然と前に出ます。
これには思わず高田も後退、

一瞬、若き日の苦手意識がよみがえったか?
それでも高田は払拭するかの様に、
強烈な張り手を顔面に入れて、

藤原遂に4度目のダウン!!

完全に後がなくなった藤原ですが、
ここから驚異の粘りを発揮します。
高田の脇腹めがけてボディブローの連打、

コーナーに追い詰めてもなお、
ボディブロー右から左から打ち続けて、

さすがに高田もダウンです。

ここが勝負と見たか?
完全に立ち上がる前の高田へ突進すると、

待ってたのは高田の返礼、
右からの張り手で迎撃すると、

再びローを打ちまくって追い込みます。

しかし待っていたのは藤原のヘッドバット!! 3発目!!

これによって高田も4度目のダウン!!
互いに後がない新生U特有のスリリングな試合展開に。

カウント9で立ち上がると、
ここでも、すぐに飛び込んでくる藤原。

高田はボディブローを受け止めて、
顔面へのフルスイングの張り手から、

ふらつく藤原に狙いすました、

渾身の右ローキック!!

これにはたまらず片膝をつく藤原。

この瞬間、5ノックダウンによる高田のTKO勝ちが決まりました。

それはまさしく高田が師・藤原から取った、
シングル戦初勝利だったのです。
抱擁後に握手を交わした際の藤原はこの表情、

この表情…ズバリ言って、
悔しさが滲み出ていますよね。
4年前の握手の時(参照:遠慮知らずのリスペクト)の表情とは全く違います。
それはこの試合を境に、
両者が師弟関係から、
ライバル同士に昇華した瞬間だったのかも知れません。
この試合、友人と共に2階席から観戦していたのですが、
最後のTKOが告げられた瞬間、
一瞬微妙な空気に包まれたんですよ。
「え~最後ローキックかよ」みたいな。
隣の友人も同じ事言っていました。
試合中も館内はやや静かな雰囲気でしたしね。
この日の安生vs鈴木やら前田vs田村やらで、
さんざんインパクトあるものをセミ前に見せられてた反動ですかね。
ただ、この静かな雰囲気の中で、
私は高田が藤原を超えた瞬間を感じました。
それと同時にこの体格差ですね、
当時の大会パンフを読むと、

『高田105キロ』『藤原103キロ』とありますが、

今でも画像を見るからに、
間違いなくそれ以上の体重差はあったでしょう。
高田は106~110はあったでしょうし、
藤原は90キロ台に違いないと思います。
事実、藤原は先日CSの番組で「90キロちょっとだった」ってカミングアウトしていたんですよ。
それでも当時の私の記憶では、
「藤原の関節地獄を耐え抜いてTKOした高田」というのがあったんですけど、
前編で書いたBPHさんのコメントをきっかけに、
改めて見返してみると、
高田の完勝に近い試合だったと確信しました。
BPHさん、観るきっかけを下さり、ありがとうございました。
歓声が沸き上がります。
手四つから組み合うと、
パーフェクトに近いカニばさみで高田を寝かせ、

膝十字を仕掛けていきますが、
ここは冷静に高田が逆片エビ固めに切り返します。

アキレス腱と膝と腰を同時に極める、
旧UWFではジャパニーズ・レッグクラッチと呼ばれていた型ですね。
藤原は何とかエスケープ、
ブレイク後も膝を気にしてなかなか起き上がれません。

レフェリーに促されて前に出ると、
待ち構えていた高田はローキック一発、

すぐに藤原が2度目のダウンを喫しました。

ここはすぐに立ち上がった藤原、
手繰り合いから高田は「来いオラ!」と挑発します。

そこに藤原が張り手一閃、
高田もすぐにコーナーに追い込んでのローから、
張り手の連打連打!

藤原は得意の体を入れ替える動きから、
ボディブロー、さらに張り手!

今度は高田がすぐに体を入れ替えて、
強烈な張り手からロー、ハイキック。

さらに再び「来いオラ!」の挑発。
手四つからのインローも、
膝の内側を強烈に打ち抜きます。

首の取り合いから、
藤原が足を捕えてテイクダウン。

ここでも下から先に仕掛けて行くのは高田の方、

当時で言うチキンウィングアームロックですが、
さすがにこの局面では藤原も極めさせません。
徐々にポジションを移行して、

背中に乗ってのフェイスロックで、
二つ目のエスケープ奪取。

立てば再び高田のキックが待っています。
ソバットから、

やや当たりは浅いながらもハイキックでコーナーに詰めて、

ローキック連打、ミドルキック連打から、
左ハイキック4連打で、

藤原またもダウン!!

自らコーナーに下がってカウンターを狙う、
いつもの戦法が全く見られません。
それでもカウント9で起き上がると、
ニヤリと笑みを浮かべながらファイティングポーズ。

そして手四つから、
再び顔面へのヘッドバット!!

高田は足から崩れてダウン!!

藤原の打撃技はこのヘッドバットだけでしたが、
これが文字通り、唯一無二の破壊力ですね。
しかし立てば高田優位は変わりません、
強烈な左ミドルから、

ボディにソバットをぶち込んでコーナーまで追い込むと、

右のロー、ここはスネでカットして、

藤原は猛然と前に出ます。
これには思わず高田も後退、

一瞬、若き日の苦手意識がよみがえったか?
それでも高田は払拭するかの様に、
強烈な張り手を顔面に入れて、

藤原遂に4度目のダウン!!

完全に後がなくなった藤原ですが、
ここから驚異の粘りを発揮します。
高田の脇腹めがけてボディブローの連打、

コーナーに追い詰めてもなお、
ボディブロー右から左から打ち続けて、

さすがに高田もダウンです。

ここが勝負と見たか?
完全に立ち上がる前の高田へ突進すると、

待ってたのは高田の返礼、
右からの張り手で迎撃すると、

再びローを打ちまくって追い込みます。

しかし待っていたのは藤原のヘッドバット!! 3発目!!

これによって高田も4度目のダウン!!
互いに後がない新生U特有のスリリングな試合展開に。

カウント9で立ち上がると、
ここでも、すぐに飛び込んでくる藤原。

高田はボディブローを受け止めて、
顔面へのフルスイングの張り手から、

ふらつく藤原に狙いすました、

渾身の右ローキック!!

これにはたまらず片膝をつく藤原。

この瞬間、5ノックダウンによる高田のTKO勝ちが決まりました。

それはまさしく高田が師・藤原から取った、
シングル戦初勝利だったのです。
抱擁後に握手を交わした際の藤原はこの表情、

この表情…ズバリ言って、
悔しさが滲み出ていますよね。
4年前の握手の時(参照:遠慮知らずのリスペクト)の表情とは全く違います。
それはこの試合を境に、
両者が師弟関係から、
ライバル同士に昇華した瞬間だったのかも知れません。
この試合、友人と共に2階席から観戦していたのですが、
最後のTKOが告げられた瞬間、
一瞬微妙な空気に包まれたんですよ。
「え~最後ローキックかよ」みたいな。
隣の友人も同じ事言っていました。
試合中も館内はやや静かな雰囲気でしたしね。
この日の安生vs鈴木やら前田vs田村やらで、
さんざんインパクトあるものをセミ前に見せられてた反動ですかね。
ただ、この静かな雰囲気の中で、
私は高田が藤原を超えた瞬間を感じました。
それと同時にこの体格差ですね、
当時の大会パンフを読むと、

『高田105キロ』『藤原103キロ』とありますが、

今でも画像を見るからに、
間違いなくそれ以上の体重差はあったでしょう。
高田は106~110はあったでしょうし、
藤原は90キロ台に違いないと思います。
事実、藤原は先日CSの番組で「90キロちょっとだった」ってカミングアウトしていたんですよ。
それでも当時の私の記憶では、
「藤原の関節地獄を耐え抜いてTKOした高田」というのがあったんですけど、
前編で書いたBPHさんのコメントをきっかけに、
改めて見返してみると、
高田の完勝に近い試合だったと確信しました。
BPHさん、観るきっかけを下さり、ありがとうございました。
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comment
No title
藤原さんからしたら前田や佐山よりも高田の事が一番苦手だった気がします。それにしても高田延彦というプロレスラーは本当に強かったですね。それだけに改めてヒクソン戦が悔しいです。
No title
こんばんは。記事と関係ない話題で失礼します。
週間文春の記事はご覧になりましたか?
桜庭がスピーチで触れていましたが、ここで声を上げなかったら男じゃないぞ、高田延彦。
彼にはそれだけの力があると思うのです。
週間文春の記事はご覧になりましたか?
桜庭がスピーチで触れていましたが、ここで声を上げなかったら男じゃないぞ、高田延彦。
彼にはそれだけの力があると思うのです。
>BPHさん
前田や佐山よりも高田の事が一番苦手だった気がします<後年、関係が悪くなってからニュアンスが変節しましたが「腕を折れる」発言は正直なアレだった様な気がします。
改めてヒクソン戦が悔しい<右に同じであります。
いまだにあの試合の映像観ると、もっと勝機はあった様に感じています。
改めてヒクソン戦が悔しい<右に同じであります。
いまだにあの試合の映像観ると、もっと勝機はあった様に感じています。
>rascalさん
こんばんわ。
週間文春の記事<高山ですね? カクトウログさんのブログ記事で読みました。
まさか帝王が!? と思っておりますが、それだけリングは危険な場所という事を改めて思い知った次第です。
ここで声を上げなかったら男じゃないぞ、高田延彦<かわいい後輩の一人でしょうしね。弟子といってもいいかな?
統括本部長として何度も高山に興行を救われた感謝は消えていないはずです。
週間文春の記事<高山ですね? カクトウログさんのブログ記事で読みました。
まさか帝王が!? と思っておりますが、それだけリングは危険な場所という事を改めて思い知った次第です。
ここで声を上げなかったら男じゃないぞ、高田延彦<かわいい後輩の一人でしょうしね。弟子といってもいいかな?
統括本部長として何度も高山に興行を救われた感謝は消えていないはずです。