宝の時代(2007)

先日の桜庭和志、UFC殿堂入り授賞式典(参照:桜庭、プロレスラーとしての矜持。)において、

私が印象深かったのはスピーチの最後で、

負傷欠場中の高山善廣に贈ったエールの言葉でした。
桜庭UFC殿堂入りスピーチ8

あの動画を観てから私は、

ちょうど10年前の二人の対談番組を観返した次第です。
高山善廣と桜庭和志

番組が収録されたのは、

“PRIDE最後の日”の翌日でした。
高山×桜庭・対談番組0

冒頭から話題は二人のUインター時代の秘話、

特に桜庭の破天荒なエピソードが圧巻でした。
高山×桜庭・対談番組1

桜庭、入門時の一部始終を語るのは、
高山×桜庭・対談番組2

もちろん宮戸優光です。

宮戸
「桜庭は入門テスト、そんとき僕が試験管だったんですね。で、来た時に何ちゅうの…何か伸びちゃった様なパーマ(頭)してたんです。何か藤子不二雄のラーメン食べる人みたいに、あんな髪型で(笑)。ちょっとあんな…誰だっけ? 小池さん? そうそう、小池さんっぽい頭だったんです」

高山「がははは!!」

桜庭「…(ニコニコ)」

高山×桜庭・対談番組3


宮戸
「『何やってたの?』って聞いたら、『大学でレスリング部です。アマチュアレスリングやってます』って言うから、だからそのパーマと何かバランスとれてなかったんですね。だから、もうその時4年生だったから、もう一線引いて、もう夏休みでしたからね。夏休みくらいだったから。だからもう引退っていうかね、アマレスの方は引退ってなってて、ちょっと遊んでる雰囲気だったんです。だって4年生で、夏休みって事は卒業してくるって事は半年後でしょ? この遊んでるってかね、ちょっと練習してない雰囲気を漂わせながら半年遊ばしたら、もう一回テスト受け直しですもん、どう考えても。それで、『どうしよっか?』と思った時に…『今学校辞めてくれば入れてやる』って言ったんです。そしたら『どうだろうなぁ?』って思ったんですよね。あのー『来ないかなぁ』って。だってあと半年で卒業な訳だから。そういう中で、なかなか来るって事をね、選ぶのは大変じゃないすか。ちょっと試してみる意味もあったんですけどね、やる気というか。したら…『辞めます』つって」

高山×桜庭・対談番組4

宮戸
「ほいで、ただ『2週間時間くれ』って言われたのかな? 合宿入るまでに。そしたら後から聞いたら『とにかくそれまで遊びたかった』って。だから2週間後に合宿所に来て。そういうアレがありましたね。だからその後ねぇ、桜庭家けっこう大変だったらしいですよ。だから僕もそういう意味じゃねぇ、ちょっと悪い事したなぁって、その後は思ってましたけどね」


ここなんですよね。

プロレス団体に入門するというのは、

ある意味、出家ですから、

相当な決意やら覚悟やらを抱えて、

飛び込んで来る訳です。

桜庭はそれがわかってるから、

『とりあえず出家前に2週間遊び切ろう』と。

この力の抜け具合、

緩急つけるクレバーさの中にこそ、

桜庭の強さの秘訣があると思うんです。

入門後も「いかにバレない様に手を抜くか」を考えてた事とか。

宮戸
「ただ今こうやって活躍ねぇ、してくれてるから僕もホッとしたし。桜庭には呑んだ後、『お前だって、けど…』その後、山本健一っていたでしょ? 『お前だけど、もしお前大学卒業してから入ってたらヤマケンの後輩だよ』って言ったら『あ、そう言われるとやっぱりあの時辞めて良かったです』って。…はっはっはっは!!」

高山「がははは!!」

桜庭「…(ニコニコ)」

高山×桜庭・対談番組5

笑い話にしていますが、

当時は桜庭一族総出で説得工作に当たったそうです。

しかし桜庭は「大学もレスリングするために入ったんで…」と。

この思考回路には、

さすがの高山も驚いていました。

続いて話はデビュー当時、
高山×桜庭・対談番組6

新人時代の桜庭は実に地味な選手でした。

宮戸
「もうデビュー戦からしてね、他の子たちとは違いましたよ。だから逆に言ったら、僕言ったんですよ『若さがねーな』。もうデビュー戦からベテランみたいな試合でしたから。『お前デビューからいぶし銀か?』みたいな、そんなとこありましたもん」

高山×桜庭・対談番組7

現場を仕切っていた宮戸としてみれば、

若手に要求したのはただ一つ、

「気迫を見せろ」と。

そういう部分で宮戸は、

当時の桜庭の試合運びを見て物足らなさを感じていたそうですが…。

宮戸
「桜庭もソツはないタイプだったんですけど…酒癖悪かったんですよ。六本木とか行っても、外国人とかね、そういうのに喧嘩売るんですよ」

高山×桜庭・対談番組8

入門間もない時期に六本木で、

黒人相手に『FU○K YOU!』を連発してた(笑)、

このエピソードは余りにも有名です。

ここから桜庭の、

ある意味“伝説”とも呼べるエピソードへ。
高山×桜庭・対談番組9

語るは二人の先輩である金原弘光です。

金原
「ホント酒癖悪くってビックリしましたね。こんな酒癖悪い奴いるんだ、って初めて思ったのが桜庭で」

「あの~酔っ払って帰ってきて、普通トイレでおしっこするじゃないですか。で、後輩の布団でトイレと間違っておしっこしちゃったみたいで。あの~朝起きたら布団がベッタベタに濡れてるんですよね。『これどうした!?』って言ったら、『桜庭さんがトイレと間違えて、そこでおしっこしました』って言う後輩がいて、こんな布団でおしっこする奴初めて見たな、っていうのが…衝撃でしたね」

高山×桜庭・対談番組10

桜庭
「そのおしっこした時は憶えてないですけど。
(略)多分酔っ払ってたから、おしっこしたくなって、ヨタヨタって。ドアあったから、ここ便所だと思ってガーッと開けて、おしっこしちゃったんですね(ニコニコ)」
高山×桜庭・対談番組11

高山
「俺、そこの奥に寝てたの。手前が後輩で、ナカハラって辞めちゃった奴。
(略)でも便所のドアはこれだよ!(ドアノブ回すタイプ) これ(引き戸)じゃないから!(大笑)」
高山×桜庭・対談番組12

高山
「酒癖ホント悪かったもんね。六本木でね、ガイジンに絡んでね」

桜庭
「あれもあのー六本木とかでガイジンが偉そうに立ってるのが腹立つんですよね」

高山
「俺らが止めても、『いや俺の方が絶対強いから大丈夫っすよ! 大丈夫っす! 俺はケンカ一番強いっすからね!』って。へへへへ!! 『いいっす! 大丈夫っす大丈夫っす!』って(笑)。『だからやめろ!』って(笑)」

高山×桜庭・対談番組13

いやぁ~Uインターイズムど真ん中ですね(笑)。

絶対に一緒に飲みたくない集団…大将を筆頭に(笑)。



他にも有名な桜庭新人時代の学生ローン借金話や、

高山の壮絶なリハビリ秘話を経て、

最後に一人一人が語ったUインターの思い出には、

ジーンときましたね。
高山×桜庭・対談番組14

同世代ながら彼らの新弟子時代を見てきた大江慎はこう言います。

大江
「Uインターだから、Uインターのあの仲間たち、ていうかみんなだからやれたってところがあったんじゃないかな、って」

高山×桜庭・対談番組15

宮戸
「なんかこう不思議なね、縁があってそこに集まって、みんなで成長出来たって。素晴らしい時間だったと思ってますよ」

高山×桜庭・対談番組16

和田さん
「同志って言った方がいいのかな? あの当時のUインターってイケイケだったんで、どこの団体にも噛み付いてましたからね。その中で血ヘド吐いて汗流して涙流して、まぁみんな馬鹿やって喜んで、同志ですよね。僕ら最強軍団だと思ってやってましたから。その位の自負は持っていたし、練習も頑張ってやってましたからね。だから同志ですよね」

高山×桜庭・対談番組17

金原
「一緒に同じ釜の飯を食った仲間ってのは…“宝”ですよね。自分らの苦しみも悲しみも喜びもすべてわかち合ってきたっていう、僕はもう一生涯の仲間だって思いますけどね。大事な仲間だっていう」

高山×桜庭・対談番組18

VTRを見終えた高山が続けます。

高山
「今の俺があるのは、あん時の先輩とか桜庭みたいな後輩、仲間がいたからあるっていうのは紛れもなく事実だし。ホントに何かよく『全日本に入門してたら』とか『新日本に入門してたらどうでしたか?』とかってたまに質問されんだけど、ありえないって。UWFインターナショナルに入門したから今の高山善廣がある、って。ホントに何だろう…かけがいのないものでしょう」


あの時代“最強の格闘技プロレス”を背負って、

命がけで闘ってきた仲間たちとの絆は、

それこそ“宝”と言えるのでしょう。

それこそのちに金原、高山、桜庭も上がった、

戦場の名であるPRIDEそのものでしょうね。

しかしその反面、

高山
「…でもあのまま続いてたら嫌だったね! ガハハハ」

桜庭
「ちょっと辛いっすね(ニコニコ)」


並大抵のプレッシャーではなかった事でしょうし、

何より「飽和状態になった」と高山は言います。
高山×桜庭・対談番組19

番組は互いにメッセージを贈り合って、

エンディングを迎えます。

高山は噛みしめる様に桜庭への思いを語りました。

高山
「PRIDEを生み出したのは高田さんやスタッフの人たちだろうけど、桜庭はPRIDEを育てたし、生かし続けた男。一番の功労者だと思う。PRIDEを生かして育てた功労者って事は、日本の総合格闘技を生かして育てたホント第一人者だから」

高山×桜庭・対談番組20

高山
「その自負を持って日本の総合格闘技界の本当のリーダーであって欲しいです。これからも。これから色んな選手が出てくるけど、桜庭以上に功績した人はいないと思う、出てこないと思う。そういう気持ちで頑張って欲しいです」

高山×桜庭・対談番組21

同門の後輩に対して最大級の賛辞です。

まさしく同じ釜の飯を食った同志たちにとって、

“世界が恐れるIQレスラー”桜庭和志の存在は、

誇り以外の何物でもないのでしょう。
桜庭UFC殿堂入りスピーチ1

それは金原、高山らだけではなく、

高田にとっても田村にとっても。

関連記事
スポンサーサイト

tag : 高山善廣 桜庭和志 宮戸優光 金原弘光 大江慎 和田良覚

comment

Secret

No title

10月17日に福岡で開催されるRIZIN参戦予定選手の中に桜庭選手の名前がありますね
6月23日のTwitterで山本喧一さんが榊原代表との打ち合わせを呟くなど、高田vsヒクソン戦の20周年メモリアル大会に向けた動きかもしれませんね

>かなさん

10月17日に福岡で開催されるRIZIN参戦予定選手の中に桜庭選手の名前が<今回はMMAですか? それとも前回同様、グラップリング的なアレでしょうか?

高田vsヒクソン戦の20周年メモリアル大会に向けた動きかも<具体的な話題が出て来なくなってしまいましたが、やっぱり今年ですよね。記念碑的な大会はあってしかるべきだと思いますし、そこには当時の登場人物が揃っていて欲しいです。

かなさん、いつも情報本当にありがとうございます。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
UFC (1)
最新トラックバック
検索フォーム
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
月別アーカイブ
リンク
来場者数
QRコード
QRコード