エスペランサの青い春(1984)

春は希望が溢れる季節ですよね。

4月の名勝負、

我々プロレスファンにとって高田伸彦の出世試合といえば、

間違いなくこの一戦でしょう。
“青春のエスペランサ”高田伸彦

向かい側に立つのは藤波戦を終えた直後の、

“アナーキー”谷津嘉章…実にグッドシェイプですねぇ。
迎え撃つは谷津嘉章

1984年4.19 蔵前国技館で行われた、

正規軍vs維新軍 5対5勝ち抜き戦の、

正規軍次鋒・高田伸彦vs維新軍中堅・谷津嘉章です。
高田伸彦vs谷津嘉章

ゴング直後、

ロックアップからすぐにバックを取りに行く谷津に対し、

高田もすぐにダブルリストロック狙い。
ロックアップと同時にバックを取りに行く谷津、

そのままグルグルと揉み合って、

ブレイクが掛かったところで、
揉み合いながら高田が押し切ると、

高田が強烈な張り手一発!
離れ際の張り手

これが若い両雄の開戦の合図でした。

再びバックを奪った谷津、

今度はスピーディに持ち上げ落としていきます。
谷津今度はスピーディに持ち上げて落とす、

しかしそれ以上にスピーディな高田は、

即座に逃げると、
しかし高田の逃げもスピーディ、

すぐに臨戦態勢を取り、

超満員の国技館も大歓声です。
ドッと沸く館内

またもやバックの奪い合いから、
バックの奪い合いから、

高田はクラッチを結ぶと強引にジャーマン狙い、
高田強引なスープレックス狙いは、

これに谷津は河津掛けで反応し、
谷津は河津掛けから、

そのまま体を入れ替えて反り投げ。
体を入れ替えて反り投げ

“日本アマレス重量級史上最強”の触れ込みはさすがです。

しかし先に立ったのは高田の方で、

猛然とストンピングを見舞うと、
高田のストンピング、

谷津が立ち上がったところに、

顔面へフルスイングの張り手!
フルスイングの張り手

さらに上からガンガン殴っていきます。
ガンガン殴っていく高田

当時の“格”では遥かに谷津が上でしたが、

この遠慮のない高田の攻めっぷり。

これが記憶に浸み付いているから、

現状のヤングライオンのおとなしさが残念極まりないんです。

さらにその場飛びで高々とジャンプして、

ギロチンドロップを落下させていきますが、
ジャンプ一番ギロチンドロップ

谷津も黙ってやられてる訳にはいきません。

一瞬の隙をついた起死回生のバックドロップで、
隙をついた谷津のバックドロップで、

高田は後頭部をキャンバスに痛打!
後頭部痛打の高田

さらにロープの反動を利した谷津の、

体重が乗ったランニング・ネックブリーカー。
体重の乗ったランニング・ネックブリーカー

フォールカウントを2で返した高田が、
フォールに行くがカウントは2

谷津のお株を奪う高角度のスロイダー!
高田は高角度スロイダーから、

当時は90キロ程ですからね、

完全なヘビー級の谷津をこういう風に投げ切るのは、

余程腰が強くないと不可能でしょう。

さらにお返しのランニング・ネックブリーカーも高打点!
お返しのネックブリーカーは高打点!

高田の試合スタイルの肝は、

その高い身体能力に特化している部分があります。

それともう一つは人一倍の負けん気!!

例えばこのフロント・インディアンデスロックからの張り手です!
フロント・インディアンデスロックから張り手、

とにかくバチバチ入れていくんです。

谷津も下から応戦しますが、
谷津も下から打ち返すが、

逆に「もっと来い!」と挑発に出ます。
もっと来いと挑発

この展開を打破せんと谷津は、

立ち技に活路を見出してのベンジュラム・バックブリーカーから、
谷津はベンジュラム・バックブリーカーから、

ブリッジの利いたダブルアーム・スープレックス。
人間風車炸裂

さらにロープに振ってのドロップキック、

これを高田がリバウンドを止めて阻止します。
ドロップキックは高田が阻止して、

またしても同じ技で返礼、

しかも打点が高いですね!!
逆に高田がお見舞い

さらに軽々とブレーンバスターで叩き付けて、
高田のブレーンバスター

数年後に波紋を呼ぶキャメルクラッチへ。
カウント2でキックアウトされた高田はラクダ固め

いわゆる“北海道の中井少年”を落胆させた極め技ですが、

これ80年代のヤングライオンの三大フィニッシュ技ですからね。

その80年代の新日で、

それぞれヤングライオンのトップに立った高田と船木が試合して、

これがフィニッシュに用いられたって何の矛盾もないでしょう。

キャメルクラッチは格闘技ではありえない…?

いや長期戦でバックマウントから隙をついたら可能ですよ、これ。

しかも高田のかいな力って凄かったらしいですからね。

…いや脱線しちゃダメだ。

技が解けても高田はガンガン行きます。
ガンガン後頭部目掛けてストンピング

しかしロープワークの中で、

谷津がカウンターのサイドキックを入れて形勢逆転。
谷津はカウンターのサイドキック「あ~ああ、あ~!」

「あ~ああ~…あ~~!!」って当時、みんなやりませんでした?

…やらないか(汗)。

これを連発する谷津ですが、

3発目を受け止めた高田は、
3発目をキャッチした高田は、

ドラゴンスクリュー!!
ドラゴンスクリューから、

そして足4の字固め!! …は谷津も何とかロープへ。
何と足4の字! はロープエスケープ

…ってこれ、のちの武藤戦のアレ(参照:歴史は10月に作られる~平成編~)じゃないですか!!

ここから再び高田は張り手の連打から、
躊躇なく張り手の連打から、

谷津の身体を持ち上げて、

力づくでツームストンの体勢に持って行きますが、
力づくでツームストン狙いも、

谷津の身体が返り切らずに、

「しゃあないな」とばかりに不完全なまま落下!!
不完全なまま落下!

暗闇脳天の形ですね。

館内は超イケイケムード、

その余勢を駆って高田は、

飛距離のあるダイビング・ヘッドバット!!
飛距離のあるダイビング・ヘッドバット!!

これはやや当たりが浅かったか、

それならば、ともう一度トップロープに駆け上がりますが、
すぐさまトップロープに上がるが、

谷津も危険を察知してデッドリードライブでの回避。
谷津は察知してデッドリードライブ

ここで出ました、

ワンダー・スープレックス!!
ワンダー・スープレックス!!

これを高田はカウント2でキックアウト!!
カウント2で返した高田は一旦場外エスケープ

そのまま場外エスケープしますが、

追いかけてきた谷津は鉄柵に叩き付けます。
追いかけてきた谷津が鉄柵攻撃

いち早くリングインした谷津は、

一足遅れて戻った高田をロープに振り、
上がり際ロープに振っての、

ショルダースルー狙い…を高田が蹴りで阻止して、
ショルダースルーは高田が蹴りで阻止

バックを取ると高角度ジャーマン!!
そしてヘソで投げるジャーマン!!

しかし惜しくもブリッジが崩れてしまい、

フォールは取れません。

ならば高田はもう一回バックに回って、

谷津の肩口に飛び乗ると前方回転エビ固め。
ブリッジが崩れるとすぐに高角度回転エビ固め

これもカウント2!

間髪入れずトップロープに駆け登ると、
もう一度トップロープに登り、

当時の必殺技であるミサイルキック発射!!
今度はミサイルキック炸裂!!

これは大金星か!?

しかしカウント2でキックアウトの谷津!!
しかしカウントは2

高田はもうガムシャラに勝利を狙いに行きます!

ロープに走ってショルダータックルから、

さらに反対側へ走ると、
ロープに走る高田を、

待っていたのは谷津のスクープサーモン!!
捕えてのスクープサーモンで、

ここで無情にもカウント3!!
カウントは3つ!!

会場からも落胆のため息がこぼれます。
マットを叩く高田と手を掲げる谷津

ゴング後、何度もレフェリーにカウントを確認する高田は、

谷津に対しても物言いたげに詰め寄ります。
悔しい表情の高田伸彦

試合は文句なしの名勝負でした。

この後、勝ち抜き戦は大将戦にまでもつれ込み(参照:闘魂の掌上)、

結果的に新日正規軍が勝利しました。
正規軍揃っての勝ち名乗り

この試合の映像を観ていて気が付いたのは、

高田の攻勢時における新日セコンドですね。

パトリック田中辺りを注視してると、

明らかに「やっちまえ! やっちまえ!!」みたいな。

これ、今とは明らかに違うんです。

まず、今って客席の観やすさ優先か、

流血戦減少も関係しているのか、

セコンドの人数って非常に少ないんですよね。

それで川人とかヘナーレとかの表情とか見てると、

凄いオーバージェスチャーで頭抱えたり色々なんですよ。

ある意味、お仕事してるんです。

でも当時のセコンドワークってお仕事じゃなく応援なんですよね。

…いや、この辺でアレしときますか。



この試合の映像は、

昨年11月にグラスを交わした際に亀熊さんから頂戴しました(参照:ファイアーバードサミット 2016冬)。
20161126ファイアーバードサミット4

私がまだファンになる前の高田の貴重な試合映像、

今回の記事は亀熊さんのお力で書き上げる事が出来ました。

心より感謝致します!! ありがとうございました。

関連記事
スポンサーサイト

tag : 高田伸彦 谷津嘉章 亀熊さん

comment

Secret

これはまた懐かしい

こんにちは。

当時、テレビで見ました。5対5対抗戦は特別感があって異様に盛り上がりますね。

新日の前座で、若手の高田信彦と山崎一夫の試合が熱いという評判がずっとあって、ファンのアンテナにしっかり引っかかっていましたから、皆その高田の躍進には他の選手に対するのとは違う声援を送っていました。

若い高田の「行っちゃえ!」の姿勢がいいですね~。

No title

お疲れ様です!
こうしてみると、高田の、若手当時からの非凡さが改めてよく分かりますね。
格上だろうが食ってやる!という高田の剥き出しの闘志には、ファンは否応なしに
感情移入しますよね。

こうしてレガさんの解説付きで試合を振り返ってみると、自分では気付けなかった
味わい深い所に沢山気付かされるんですよね。週末に部屋飲みしながらレガさんの
ブログを拝見して、色々と思いを馳せるのが最近の至福のひとときなのであります。

こちらこそ、いつも楽しませてもらいまして有難うございます。

No title

キャメルクラッチがリアルで通用……する!といいきるところにレガさんの美徳がある(笑)。

むかし猿渡哲也先生の「高校鉄拳伝タフ」のなかで、高石義生に逆えび固めは道場スパーでも普通に極まると言わせていて、たぶん先生はモデルになった高橋義生本人から聞いたのかもしれませんが、さすがに、どうせ漫画だしと微笑ましく思ったものです。

しかし興味深い話もあって、高校時代、創設されたばかりのレスリング部に在籍したことがあるという方から伺ったのですが、部を立ち上げた顧問の先生というのがどえらい強豪+情熱家で、部員を奮起させるべく自ら国体か何かに出て全国三位に輝いたそうな。んでもって、その先生は部員にプロレスごっこをしようと誘って、当たり前にグランドコブラを極めてみせたといいます。
もちろんプロレスの原型がレスリングである以上、基本とされる技は、もともとリアル仕様だったわけで、けっして不思議なことではないのですが、やっぱり一定以上のレベルにある人じゃないと無理ですよ。
リアルにキャメルクラッチを極めるためには、そこにいたるまでのプロセスで圧倒できないと……まぁ、それでもMMAでキャメルクラッチを極めてタップを奪う選手がいたら素敵だなという期待はありますけど。


昭和の会場って、お客さん同士の距離がないというか、ほぼくっついちゃってますよね。まさに立錐の余地がない感じ。数の上では90年代が上回っても、密度の高さからくる熱気はドームの比ではなかったんでしょうな。そりゃ選手はアドレナリン全開になりますよ。

懐かしい

レガさん沢山更新されているじゃない
ですか。

お疲れ様です。


懐かしいといってもリアルタイムで観て
いませんが(^_^;)

なんだろう…高田選手は気が強いとか
気性が荒いとかの印象がありませんでさしたが
気の強さがみれた気がします。

この後、新日本プロレスを辞めたん
ですよね?

辞めてUWFへ?

きっとこの(谷津選手と)の試合を観て
これからの高田選手、新日本プロレスへ
の期待度数が上がった方には新日本プロレス
を辞めて残念?
新日本プロレスに高田選手が居れば
違う新日本プロレスが観れたのかな。。

あれ、また纏まりのないコメントになってし
まいました(笑)

レガさんが高田選手のファンになった
きっかけの試合どの試合でしたっけ?

>rascalさん

こんばんわ。

5対5対抗戦は特別感があって異様に盛り上がりますね<一時ユニット間の優劣をつける試合形式として当たり前になりつつありましたが、新日正規軍vs維新軍がそのルーツだったと思います。特にこの勝ち抜き戦と綱引きマッチは両軍の抗争のハイライトですよね。

ファンのアンテナにしっかり引っかかっていましたから…高田の躍進には他の選手に対するのとは違う声援を送っていました<私自身リアルタイムで、出世頭という存在を見たのは高田が最初だったと思います。練習してるのが全身から見てとれたレスラーでした。

若い高田の「行っちゃえ!」の姿勢がいい<ストンピングやドロップキックの打ち方、フルスイングの張り手…全て良いですよね。
前田氏はよく「高田以降の若手は…」と苦言していますが、身体の作り方では遜色なかったと思います。
誰より指導者の小鉄さんはミサイルキックとか評価していましたしね。

>亀熊さん

こちらこそ、お疲れ様です!! そして、ありがとうございました。

高田の、若手当時からの非凡さが改めてよく分かります…剥き出しの闘志には、ファンは否応なしに感情移入します<ゴッチさんが名付けた「ガッティマン」の称号通り、ガッツが全身に漲ったヤングライオンでした。

週末に部屋飲みしながら…色々と思いを馳せるのが最近の至福のひととき<いえいえいえいえ! そこまで言って頂くとお恥ずかしいのですが、やはり我々金曜8時チルドレンとしましては、こういった角度からのプロレスの観方が最もしっくり来る訳であります。
亀熊さんの様な方と巡り合う事が出来た幸せを常々噛みしめていますよ。

これはもうタイミング、実にいいタイミングですねぇ。

>し~まさん

キャメルクラッチがリアルで通用……する!といいきるところ<言い切るも何も、プロレス技は全部通用しますよっ!! ツーですよ、スリーですよっ!!

「高校鉄拳伝タフ」<し~まさんはそちらのジャンルもお詳しいんですね。
漫画で言ったら東三四郎はブレーンバスターで高校時代に柔道の試合で連勝していましたし、実話では少年時代の佐山聡は中学時代、柔道で人間風車を連発していたそうです。

リアルにキャメルクラッチを極めるためには、そこにいたるまでのプロセスで圧倒できないと<あとはですね…ここで書くつもりはなかったんですけど、船木の方に一瞬の隙があったんですよ、あの場面においては。
ミサイルキックの使用を注意されたリングで、まさか先輩からラクダ固めされるとは思ってもいなかったでしょう。しかもあれ程に絞り上げられたら…とこの辺で。

昭和の会場って、お客さん同士の距離がないというか、ほぼくっついちゃってますよね。まさに立錐の余地がない感じ<今思えば札幌中島の二階席なんてその言葉通りでしたよ。おデブちゃんなんか座ってるだけでセクハラになりかねない位の。
全国の体育館が観覧席を重視して以降では想像もつかない空間だと思います。

>みーさん

みーさんも、お疲れ様です。

懐かしいといってもリアルタイムで観ていませんが<リアルタイムで観ていなくとも懐かしさを感じる…それもまたプロレスファンならではなんですよ(笑)。
自分が生まれる前の試合を観ているときに「ああ懐かしいな」ってのを思う事ってあります。

高田選手は気が強いとか気性が荒いとかの印象がありません<実は非常に喧嘩っ早いというか…まあ半分酒癖もあるんですけど、若手時代の高田は結構無茶苦茶やってるんですよ。

この後、新日本プロレスを辞めた…UWFへ?<そうです。退団はこのあと間もなくしてですね。
その前にこの勝ち抜き戦直前までUWF旗揚げシリーズにフル参戦していたんです。

この(谷津選手と)の試合を観てこれからの高田選手、新日本プロレスへの期待度数が上がった方には新日本プロレスを辞めて残念?<私は高田がずっと新日に残っていたら間違いなく猪木の後継者だったと思っています。
闘魂三銃士も船木も脇役で終わっていたと思います。

レガさんが高田選手のファンになったきっかけの試合<高田がオンリーワンになった試合は確実にバービック戦でありますが、その前にUインターの設立記者会見での言葉が私を高田ファンに変えた部分がありますよ。
それ以前はむしろ、前田氏と船木の方が好きだったんですから。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
UFC (1)
最新トラックバック
検索フォーム
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
月別アーカイブ
リンク
来場者数
QRコード
QRコード