新間氏が語ったアントンとミッコと愛と恋

何度かブログで取り上げさせてもらった、

火曜深夜、ラジオ日本の人気トーク番組『真夜中のハーリー&レイス』。

この秋の改変期より無念の30分縮小となってしまったのですが、

パーソナリティを務める清野茂樹アナはポジティブにこう語りました。

「30分になるのもプロレスの番組っぽくていい」。

さすがです!! これぞプロレス心です。

9月27日、その1時間枠最後のゲストは超大物、

“過激な仕掛人”新間寿でした。
新間氏と清野アナ

当然、昭和新日の数々のエピソードが中心だった訳ですが、

やはり新間氏だけが知る昭和新日秘話が興味深かったですね。
猪木引退特番での猪木アリ検証17

 真夜中のハーリー&レイス より
9/27vs新間寿(元新日本プロレス営業本部長)※Podcastです

新間
「猪木さんていうのは、非常にあの6メーター40の(リングの)中ではもの凄い心の広い人なんですよ。リングん中の事に関してはアントニオ猪木程凄い人はいないと思う。(略)あの人の凄さっていうのは、相手が6とか7のものを9、10に見せるだけの試合をしてくれるんですよ」

「猪木-ストロング小林戦というのは私が新日本プロレスの中で観たベストバウトですよ、あの試合というのは。(略)凄い試合だった。もう最後の最後まで手に汗を出てるの知らない様に、全身こわばる様な感覚で観てましたからね」


新間氏の話っぷりを聞いていると、

また猪木vs小林を見返したくなってきちゃいましたよ。
猪木も大流血

でも今回、焦点を当てるのはアントニオ猪木倍賞美津子さん

“世界最強夫婦”のエピソードです。

まず昭和新日本最大の大勝負、

モハメド・アリとの格闘技世界一決定戦ですが、

この当時、実に新間氏41歳でした。

新間
「“四十にして惑わず”って言うけどね、だから惑わずアリ-猪木戦に焦点合わせた訳ですよ」

「猪木さんは売名といったらおかしいけど、あの人は自分を売るのに凄い長けてますからね。猪木寛至という悪才が動いてですね、突拍子のないアイデアを出す猪木寛至なんですよ。だから猪木寛至のアイデアで以って新間寿動くという。新間寿と猪木寛至のアイデアによってアントニオ猪木が動くっていう事で。そういう事でやってきましたから。あ、これは面白い、つって」


二人三脚で作り上げた数々の仕掛けは、

まず常識を度外視した猪木の閃きに、

新間氏が動き出すところからスタートしてきました。

“世紀のスーパーファイト”も、

アリが口にしたリップサービスをきっかけに、

新間氏は“挑戦”ではなく“応戦”をぶち上げるのです。
猪木引退特番での猪木アリ検証5

新間
「通訳の杉田っていうのに『お前“応戦状”を書け』と。『挑戦状じゃないぞ』と、向こうが『誰でも挑戦して来い』って言うから、『じゃあ、あなたの言う闘いを私たちは“応じます”』と、そういう形で書いてよ、お前持ってって記者会見場で『私はニュージャパンの杉田です。アントニオ猪木はあんたと闘う』って言えるか? って言ったら『言えます』って。よーし! じゃあ行って来い! って、猪木さんのサインもらって、それ持って行って」

「東スポはやっぱり“猪木挑戦!”なんてでっかく出してくれましたけど。東スポの応援がなければ、今の新日本プロレスはなかった。テレビ朝日の放映がなければ、今の新日本プロレスもなかった」


常識で考えれば一笑に付されて黙殺されるべき事柄を、

決して“なかった事”にはせず拾い上げてくれた東京スポーツ紙。

新間氏は東スポとテレ朝という2大メディアが、

今日も存在する新日プロの大恩人だと言わんばかりです。

そこから決死の思いで漕ぎ着けたニューヨークの記者会見、

猪木と新間氏は通訳のケン田島という心強いパートナーを帯同します。

慣れない雰囲気にやや動揺の見える猪木を援護射撃するかの様に、

田島氏は饒舌なアリに“口撃”を仕掛けていったのです。
猪木引退特番での猪木アリ検証11

新間
「ニューヨークのプラザホテルで記者会見やった時に、アリがワーワーワーワー騒ぎ始めて。それで(猪木に対し)『ペリカン』だとか。ま、ケン(田島)さんの通訳が良くて、“静かなること林の如し”とかね、“風林火山”をやってね。それで『ケンさん頼むよ!』って、ケンさん『任しとけっ』ちゅって。(略)それでアリが何だかんだ言って、『何も感じませんか?』なんて司会者に聞かれたら、『日本には柳に風と吹き流して』それから『柳に枝折れなし』とかね。まぁ、そんな事をケンさん言ってくれたりとかね。だから非常にあの場が盛り上がったんだよね」


猪木引退特番での猪木アリ検証12

やや反撃に成功した感のある猪木陣営に、

アリはさらなる動揺を与えられてしまいます。

新間
「そしたらアリがフッと見たら、『あれは誰だ?』という事になったの。そしたら倍賞さんだった。(アリに対して)『ミセス猪木だ』って言ったら…『えーっ!? 冗談だろ!?』って(笑)。『なんでペリカンにあんなに綺麗な人がいるんだ…』って」

「やっぱり雰囲気変えちゃうだけの存在感ってのが倍賞さんにはあるんだよね」


美津子夫人もこの会見、

猪木の一世一代の晴れ姿に同行していた訳ですね。



闘いを終えてアリ側と出来たパイプを巧みに駆使して、

新間氏は猪木を世界に売り出していく訳ですが、

その最大の成果は誰が何と言おうとも、

『炎のファイター~猪木ボンバイエ~』の使用権利でしょう。
猪木引退特番での猪木アリ検証21

新間氏は招かれたアリの伝記映画『ザ・グレーテスト』試写会で、

挿入歌として流れたこの曲に惚れ、

すぐに思い切った直談判に出ます。

新間
「当時あのー、入場テーマをそれぞれみんなやってたから。いやぁこれ、猪木ブンバイエ…また三文字でイノキってのは言いやすいじゃないですか、馬場さんの(名前のコール)は言いにくいのよね。(略)馬場さんのより、猪木のいいテーマミュージック、俺は見っけた! って」

「ハーバード・モハメッドに『この曲をくれないか?』って言ったら、『意味がわからない』って、『どういう意味だ?』って。『いや、猪木のテーマミュージックにしてリングへ登場するときに流したい』っつったら、『おい、ちょっと待て』っつって呼んでくれたのが、ミュージックの監督とその作曲家だったの。で、『シンマにこの曲やれ』と、日本(で)の権利。『ああ、いいですよ』って。したら『キングレコードにこれ持たしてやるからシンマ、キングに行って話しろ』って。自分の名刺をね、サインしてくれて『ミスター・シンマをよろしく。話を聞いてやってくれ』ってハーバードの名刺くれて。3枚持ってキングレコード行って」


トントン拍子で獲得したこの曲は、

言わずと知れた猪木の代名詞、

プロレス入場テーマの代表格にまでなりました。

そこに乗っかって来る美津子夫人もさすがです!!

新間
「表(A面)アリ・ブンバイエを猪木ボンバイエに変えて。そしたらさすが倍賞さん、『その裏(B面)に私の歌を入れてくれ』って。(略)だから、倍賞さん夫唱婦随でね。彼女だってお金集めしてくれて。10年目ん時の新日本プロレス設立(10周年記念興行)の時にね、彼女こそ本当に表彰されるべき人を忘れていちゃいけないと思って、私が出来る事はあの時にリングへ上げて、花束の贈呈だけしか出来なかったけども、何か記念品を作って差し上げるべきだったと思ってるね。いい夫婦でしたよ! 本当にいい夫婦。アリ猪木戦の、これから話するかも知れないけど、その時だって重要な役割を果たしたのは倍賞美津子ですから」


旗揚げ当時の資金のない会社に、

自ら広告塔となって奔走した美津子夫人に、

新間氏も最大限の感謝を口にしています。
アントンとミッコ@NWF奪取

しかも美津子夫人はその後も、

日本を代表する大女優へと成長していく過程で、

時には猪木のマネージャーとして、

世界各地へ飛び回ります。
夫人らを伴って猪木会場入り

新間氏
「(よく一緒に)行きましたよ~! ヨーロッパも行ったり、もうNWA総会のアメリカへも来てくれたりで…ただパキスタンだけはね、僕は『奥さんパキスタンはちょっと…』。モスレムってのは、これはもう絶対女を限る場所には出さないんですよ。だから『奥さん物凄いいやな思いすると思うから、どうします?』ったら、『いや新間さん、自分の主人が命を懸けた試合するところに私だって行って力つけたい!!』って。(略)『連れてけー!!』って脅かされましたよ、私は」

「物凄い試合だったですよ、何でも来いの試合だった。でも最後は、そいでもあの気丈な倍賞さんが、試合終わった後、アントニオ猪木が手を挙げながらですね、『折ったぞー!!』つってリング中央からコーナーまで引き上げてきた。そしたらもう『うわーーーっ!!』って観客騒ぎ始めたの。『やばい!』つってすぐ、『奥さん! 控え室行って下さいっ!』って言って。そしたら兵士が2人付いて藤原かなんかですよ、付いて行ったんですよ。『ああ良かった!』と思ったら、私の手を掴んで『新間さん! アントンをお願いね!!』って。珍しくあの人私にものを頼んだんですよ。頼まれた事は一回だけ。…でも良い夫婦でしたよ」


あのカラチですよ!! あの試合(参照:アノキ・ペールワン~前編~同~後編~)に帯同していたんですよ!!
「折ったぞ!!」

凄いですよね。

他にも各海外遠征のオフショットで、

美津子夫人の姿は確認されています。

愛する夫が命を懸けた闘いに臨むなら、

どんな僻地にでも付いていく…、

“燃える闘魂”は美津子夫人にもあったという事です。

まさに“リアルいつも一緒に”!!

それを至近距離で見つめてきた新間氏は、

歴史の証人そのものですね。



先日のNHKBSの番組(参照:NHKBSプレミアム『アナザーストーリーズ運命の分岐点』で泣いた)でもマイクで言っておりましたが、

この番組でも新間氏が語ってくれた“愛と恋”論。

これもまた深いですよ。
新間氏の名セリフ「プロレスは愛、格闘技は恋」

新間
「僕は持論は“プロレスが愛”なんですよ、“格闘技は恋”。この意味っていうのは、“愛”というのは相手が好きになったら、相手に対して思いやり、相手に自分の全てを与えようっていう、そういう気持ちが愛じゃない。“恋”っていうのは、あの人に恋したらあの人の全てを奪いたい、全てを自分のものにしたいという感情が恋じゃないの? プロレスというのは相手に与えながら自分もお返しをもらうんですよ。恋という格闘技は相手の何もかも、こっちは振り捨てて相手の全てを奪い取るためにやるじゃないですか!」


要は記事の冒頭で書いた「相手が6とか7のものを9、10に見せる」、

まさにこの猪木プロレスの真髄こそが、

新間氏にとって最大の愛なんでしょうな。



他にも1時間枠後期のゲストは、

文化系プロレスファンにはたまらない人選でした。

9/13vs樋口毅宏(作家)※Podcastです

9/20vs九龍ジョー(編集者・ライター)※Podcastです

秋の夜長、お暇な時に是非聴いてみて下さい。

さらに先日の30分枠一発目、

大相撲ジャーナリストという肩書の方で、

全く期待せず聴いてみたのですが、

これが!! 驚愕のエピソードだったんですよ~!!

10/4vs荒井太郎(相撲ジャーナリスト)※Podcastです

特にこっちの延長戦の方。

10/4 延長戦!※Podcastです

あっという間の30分なんですけど、

ここはワールドプロレスリング同様、毎週延長戦を録って、

Podcastでは完全版として流してもらいたいです。

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tag : 新間寿 アントニオ猪木 モハメド・アリ 倍賞美津子

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平成最強のコラムニスト・ナンシー関は生前、勝新の女房を務めあげ、さんまを手玉にとった中村玉緒さんを絶賛していましたが、倍賞美津子さんは、その上をいく女傑というべきでしょう。

なにしろ旦那が猪木で、浮気相手がショーケンですよ!もう狂ってるとしかいいようがないですね(笑)。

新日本プロレス旗揚げから業界の深部に関わってきた倍賞さんのシューターぶりときたら、「泣き虫」を読んで離婚を考えた無垢な向井亜希さんと対極にあるのはもちろん、海千山千の藤波夫人や三沢夫人を圧倒し、ことによったらゴッドマザー・元子さんをも凌駕するかもしれません。

女優としての功績は誰もが認めるところですが、お若い頃に渥美清と共演した「女は度胸」と「男は愛嬌」での倍賞さんの可愛さといったら半端ないですよ!
とくに「女は度胸」では、いまどき基準で充分通用する美しさで、なんちゅーか、立派なギャルでして、いまみてもイイ女といえる往年の女優は、どうしても少ないものですが、彼女はその一人。

ただ最近は千恵子さんの成熟した美しさにも感服するようになって、寅さん映画で千恵子さん演じる妹さくらの、しょうがないわネとばかりに口元を緩ませながら目を落とす仕草が何とも色っぽくて参っちゃいます(笑)。なにしろ、千恵子さんのような若くして成熟した女性はすでに絶滅してますから。周囲の女どもときたら……すっかり野生化しててね……。
いまでは、すっかりお婆さんですが、気品の高さゆえでしょうか、雰囲気が皇后陛下に似てるなーと。

姉妹揃って大女優で、かつシュートな人生を邁進してきたお二人は、山本美憂どこじゃない、天下の猪木と五分以上に張り合える稀有な大レスラーですよー!

>し~まさん

ナンシー関は生前、勝新の女房を務めあげ、さんまを手玉にとった中村玉緒さんを絶賛…倍賞美津子さんは、その上をいく女傑<ジャンルは違ってくるようにも思いますが、破天荒な夫を支えていたという部分では似ていますね。

新日本プロレス旗揚げから業界の深部に関わってきた倍賞さんのシューターぶり<どこまでリング上の事を知っていたのかはわかりませんけど、猪木が表情の勉強をしたのって確か美津子夫人のアドバイスでしたっけかね?

お若い頃に渥美清と共演した「女は度胸」と「男は愛嬌」での倍賞さんの可愛さといったら半端ない<ご指摘の通り、今見ても通用する美しさですね。猪木の技術が今観ても全然納得いくものであるのと同じ感覚です。

最近は千恵子さんの成熟した美しさにも感服するようになって…いまでは、すっかりお婆さんですが、気品の高さゆえでしょうか、雰囲気が皇后陛下に似てるなーと<し~まさんのお見立てもなかなか鋭いものがありますね~。

姉妹揃って大女優で、かつシュートな人生を邁進してきたお二人<全盛期の輝きとは違った形で今なお活躍されていますね。
猪木ファンとしては嬉しい限りであります。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
44歳のプロレス話


待て待て待て待て!! 読め!! 俺の記事をこの野郎!! 待て貴様ぁ!!

どーですかぁーーーー!!

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