獅子と狼のレスリング勝負~後編~(1978)

『プレ日本選手権』優勝決定戦、前編からの続きです。

ヒロ・マツダの左肘に攻撃の照準を絞ったアントニオ猪木

“腕折り殺法”ショルダー・アームブリーカーが数発決まると、
猪木の表情!!

マツダは必死のロープエスケープ。

一旦離れてから猪木はさらに、

マツダの左肩までも破壊にかかります。
さらに左肩を極めに行くと、

これに対してマツダは、

一瞬身を沈めると抱え上げてサイドバスターによる脱出。
マツダ起死回生のサイドバスター

猪木はローラン・ボック戦(参照:欧州“殺し”紀行~vier~同~finale~)で痛めた腰を痛打しました。

そこにマツダはスピニング・トーホールドから、
スピニング・トーホールドから、

猪木を場外へ蹴落としていきます。
猪木を場外へ蹴落とすと、

深追いしないのもマツダ流の戦術でしょうね。

再び群がる狼軍団にすぐさま割って入る新日軍、
群がる狼軍団に新日側も猪木を護衛

一瞬の予断も許されません。


少しだけ間を置いてからリングインした猪木、

手繰り合いの静寂から、

一気に“単刀直入”延髄斬り!!
リングに戻り際、手繰り合いから猪木の延髄!!

大きく吹っ飛んだマツダを押さえ込みますが、

ここはニアロープ。
カバーに行くもニアロープ

お互いに立ち上がると、

猪木の蹴りに対してマツダは張り手、

足を取りに来た猪木にマツダは、

得意のサイドスープレックスを見舞いますが、
マツダのサイドスープレックスはロックが甘いか?

痛めた左腕のロックが緩く不完全。

カウント2でキックアウトした猪木に、

今度はマツダの足4の字固め。
マツダの足4の字

強烈に極まりますが、

猪木は無理せずロープエスケープ。

一転して今度は立ち技によるコブラツイスト、
マツダのコブラツイストも強烈

猪木自身も得意技なだけに心身共にダメージあります。

この画像で注視して頂きたいのは“猪木の左手”、

自らの左足首を掴む事で、

マツダの絞り込みを極力抑えているんです。

こういった細かいテクニック…たまりませんねっ!!

マツダは間を置かずレバーブロックから、
レバーブロックから、

するするっと絡みついて、

これまたお得意のバナナスプレッド!!
得意のバナナスプレッド!!

マツダ理詰めのストレッチ技連発に、

猪木は一気に形勢不利となります。

何とかロープに逃れると今度は、

マツダのオープンナックル…いわゆる“ジュードーチョップ”連打です!!
マツダのジュードーチョップ連打!!

たまらず場外エスケープした猪木に駆け寄ると、

2日前に出来た額の傷口を心配そうに覗き込む藤波辰巳
傷口を心配するドラゴン

リングに戻った猪木に、

マツダは容赦なくジュードーチョップの追撃、
リングに戻った猪木に追撃、

打つべし! 打つべし!!

これには崩れ落ちた猪木、

再び場外エスケープ。
崩れ落ちた猪木は再び場外転落

回り込んでエプロンに上がった猪木へ、

もう一度マツダのジュードーチョップが炸裂しますが、
上がり際またもジュードーチョップ、

これは猪木の術中のうちか?

掴まえてトップロープ越しのフライングメイヤーから、
トップロープ越しのフライングメイヤーで場外へ投げ、

力一杯、鉄柱に叩き付けると、

マツダは左肩から強打!!
鉄柱へマツダの左肩を強打

そして再びリング上の攻防です。

猪木はナックルパートをお見舞いしてから、
ナックルパートを見舞ってから、

ブレーンバスターで叩き付ける必勝パターン。
ブレーンバスターで叩き付ける必勝パターン

これをカウント2で返したマツダは、

最後のチャンスを狙ってロープワークに持ち込むと、

交差した猪木とコブラツイスト合戦。
ロープワークからのコブラ合戦を、

しかし制したのは猪木の方でした。

ガッチリ極まったコブラに何とかロープへ辿り着くも、

猪木は容易にロックを解きません。
猪木が制するもマツダ必死のロープエスケープ

と、このタイミングでマサ斎藤が介入してきました!!
ここでマサが介入!

マツダの左手を引き込む形で、

両者共に場外へ転落。

しかしこれがヤブヘビとなってしまいます。

坂口征二らの援護射撃で狼軍団は散らされ、

その間に猪木はマツダに猛攻。
しかし逆に猪木が猛攻

リングへ戻ると猪木はマツダをロープに振り、
マツダをロープに振って、

リバウンドで返ったところにカウンターの卍固め!!

腕のフックが不十分ではありますが、

完全に首が極まっていますね。
カウンターの卍固め!!

一斉に狼軍団が乱入してきますが、

新日側もそれを見越して先回りで阻止。
一斉に乱入する狼軍団を新日軍総出で阻止、

マツダの口からギブアップが発せられ、

猪木快勝で『プレ日本選手権』を制しました!!
そしてマツダはギブアップ

アメリカ武者修業で苦楽を共にし、

ゴッチ道場では兄弟子にあたるマツダとの、

最初にして最後の一騎打ちを制した猪木。
猪木がプレ日本選手権を制す!!

闘いを振り返ったコメントが残されています。

アントニオ猪木の証明表紙
 アントニオ猪木の証明―伝説への挑戦 より

猪木
「初めての対戦だったんだけど、非常に技が切れるしうまかったね。だけど、俺にはマツダさんの動きが大体読めてた。同じゴッチから指導を受けたということもあるけど、マツダさんはすでにひとつの型を持っていましたから。逆にそれが俺としてはやりやすかったんですよ。絶対に意外性はないわけですから安心というかね。それに、もともとの体力的な面も含めて、柔軟性とかの天性の素質で差があったということと、彼は年齢的にも下り坂でしたから、勢いもかなり違っていたと思います」


この最悪のコンディションで作り上げた名勝負においても、

実力者マツダの技量を見切っていたというのが、

当時の猪木のポテンシャルであります。
プレ日本選手権優勝インタビュー

さらに驚く事なかれ、

『欧州世界選手権シリーズ』、『プレ日本選手権』と、

1978年末に日欧で連戦を重ねた猪木は、

その締め括りとばかりニューヨークへ飛び、

12.18 MSG定期戦でテキサス・レッドを相手に、

WWWF認定マーシャルアーツ・ヘビー級王座初防衛戦を敢行。

実に“1976年”以上の超人的スケジュールを消化した訳です。



さて、もうすぐ迫った10.10 両国国技館大会において、

新日のオカダ・カズチカとノアの丸藤正道のIWGP戦が行われます。
2016.10.10オカダvs丸藤

一昔前なら“日本2大メジャー団体の頂上決戦”として、

かなりの話題になったであろう顔合わせですが、

今のファンにとって、そういう構図はそれ程重要ではないみたいですね。

7.18の同一カードを観戦した際(参照:今年も行って来ましたG1開幕戦)、

私が「オカダ!! ノアには負けんなよー!!」って当たり前に声援飛ばしたら、

周囲のファンに振り向かれて、

一人は「きびしいね~」とか言って失笑していたんです。

あー、今のファンって対抗戦とかどうでもいいんだなぁ…と痛感しました。

それでいいのか!? 新日本!!

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tag : アントニオ猪木 ヒロ・マツダ プレ日本選手権

comment

Secret

No title

先日はお返事ありがとうございました。

私、ヒロ・マツダ選手の試合は初めてかな〜(´・_・`)

ゴッチ道場では兄弟子にあたる、、
とありますが、お互いに知り尽くしている部分もあったのかな…。

それにしても猪木選手は誰が相手でも名勝負してくれますね!

リングインした時から”ヤってやる”みたいな気持ちの部分を表現してる、ゴングはまだ鳴っていなくてもリングイン直後から試合をみせているような感じがします。
(意味分かりますか?上手く表現できない(>_<))

No title

むかし藤波が信頼関係がなければプロレスはできないと吐露したことがありますが、裏を返せば、実際のリング上には不信感が充満していたってことでしょ。
何をされるか知れない緊迫が闘いを生んできたプロレスの来し方は、純度の高い試合を求める今どきのファンにとっては不純に映るのかもしれませんね。


そのうちね、M1グランプリみたいに有名無名の若手選手が15分くらいの尺で「試合」を披露して、ベテランレスラーの審査員から点数をつけられるコンテスト企画が出てくると思いますよ(笑)。
短時間ながら、纏まった構成で良くスイングしてたねー!とか、キミたちさー、ブック的に全然練れてないよー!とか言われて畏まるレスラーの図。


プロレス頭と巧さだけを優先していけば、結局は生半可な寸劇に終わってしまうのがプロレスで、Uスタイル、ルチャ、どんなスタイルであれ、相手にお株を奪われたくはない、仕掛けられたところで上等でぃ!と応じられるくらいの気概を持たないと試合とは呼べないなと、昨今の巧すぎる「試合」をみながら思う今日この頃。

同じ日本人、共にゴッチ門下のふたりが、つばぜり合う光景は、K-1心中のweb新さんじゃないですが、プロレスと格闘技が裏表のジャンルであることを知らしめてくれています。
そこから思いきって、プロレスもまた本質的な意味で格闘技なんだよ!と言いたいなぁ、小声で(笑)。

にしてもマツダさん、なぜ裸足?と心配するわたし(笑)。
むかしは裸足でリングに上がるレスラーは珍しくなかったけれど、やっぱ危険ですよ。
いや、それ以上に不思議な風体だなー。
同じ裸足でもMMA選手とは違うし、マツダさんのオカッパぽい髪型(極真で似たようなオッサンがいたような)も相俟って、いわく言い難い雰囲気がありますね。
少なくとも、裸足で場外に翔んだら大怪我間違いなしです(笑)。

素晴らしい語り口

こんにちは。国際プロレスは崩壊する前から、新日本プロレスと交わっていたんですね。この辺りのことは知識のエアポケットだったので、興味深く拝読しました。

最近は、試合そのものを見るよりも、紫レガさんの記事を読んだ方がプロレスが面白いです。小説を読むときの「行間を読む」で、本当に素晴らしい。

このリテラシーが多くのプロレスと格闘技のファンに共有されるよう啓蒙するのが貴ブログの使命なら、選ばれし者の恍惚と不安、二つ貴殿にあり。頑張ってください。応援しています。

>みーちゃん

いつも本当にありがとうございます。

お互いに知り尽くしている部分<猪木が海外武者修行に出た際、タッグを組んでチャンピオンにまでなった二人ですので、知り尽くしてる部分もあったと思います。
しかし対戦するのは初めてだったんですね。

リングインした時から”ヤってやる”みたいな気持ちの部分を表現してる<そこですね。そこが私らが猪木に観せられる部分なんですよ。
まず目ですね。それと観客の事なんか頭にない、相手を倒す事にのみ集中して…みたいに見えつつも観客を頭に描いてる部分でしょうかね。
とにかく不世出のレスラーですよ。

>し~まさん

信頼関係がなければプロレスはできない…裏を返せば、実際のリング上には不信感が充満していた<明確にルール化されていた訳ではないので、信じるも裏切るも当人同士の暗黙の了解なんですよね。プロレス以外にも言えるとは思いますが、プロレス程それで成り立つジャンルも他にないでしょう。

有名無名の若手選手が15分くらいの尺で「試合」を披露して、ベテランレスラーの審査員から点数をつけられるコンテスト企画<それに近いものはハッスルで行われていた記憶があります。でもあのときは観客のジャッジシステムでしたし。最後は試合したレスラー自身がそのルールを否定して終わりました。

プロレス頭と巧さだけを優先していけば、結局は生半可な寸劇に終わってしまうのがプロレス…仕掛けられたところで上等でぃ!と応じられるくらいの気概を持たないと試合とは呼べない<仕掛け方も様々であったしかるべしだと思います。
例えば記事中の猪木の試合を観ていて、今の選手の様な動きは出来ないと思います。もしも…どちらかがタイムスリップして試合が行われれば、今の選手が猪木に出来ない動きでどんどん翻弄していくのもまた仕掛けだと思ったりします。

マツダさん、なぜ裸足?…オカッパぽい髪型<髪型は当時流行っていたんでしょうかね?
裸足は“一匹狼”と言うイメージに当てはまってた気がします。のちに愛弟子の西村修も大一番では裸足になっていましたね。

後から理解できた、試合の素晴らしさ

いつも拝読しています。ありがとうございます。
ロビンソン戦以来の投稿です。

この試合、生観戦しました。
当時は実力日本一は誰が、がファン注目の1つで、
国際の日本リーグ争覇戦とプレ日本選手権のどち
らにもいまいち感があってノリきれなかったものでし
た。

さらに狼軍団が、今見れば実力ある選手ばかりで
すが、繰り返し集団で乱入・暴行をするのにちょっと
辟易してまして、ロートル臭の漂う(失礼!)マツダの
決勝進出にも気持ちが入ってなかったんですね。
なので試合にものめり込めなかったんですけど、数年
前にビデオを見返して、うーんと唸りました。
それはまさに今回の細かい見どころ解説のとおり、両
者のプロレスリングの攻防が素晴らしいものだったか
らです。

試合分析のシリーズ、今後も期待しております!

No title

この試合は私が高校生もしくは中学校の頃、まだワールドプロレスリングがギリギリ60分枠だった頃に見ました。
当時、ワープロでエンディングテーマに乗せて昭和の名勝負がダイジェスト放送されてたときがあったんですよ。
そこで見ました。

まだまだ駆け出しで、プロレスをまだ100%「信じていた」私のそれを加速させるには十分過ぎるファイトだったと記憶しています。
演武に見えないグラウンドの攻防をはじめとする流れるような展開。
97、98年あたりだとまだかすかに生きていた感覚です。

まだフルで見たことがなかったのでレガさん解説付きで読めたのはありがたいです。
ちょっくらフル動画探してきますね!

>rascalさん

こんばんわ。

知識のエアポケットだったので、興味深く拝読<ありがとうございます。ここら辺りは私もリアルタイムではないのでアレなんですが、調べていくと非常に興味深い話が目白押しでして…また時間を置いて掘り下げてみたいと思っています。

小説を読むときの「行間を読む」で…選ばれし者の恍惚と不安、二つ貴殿にあり<文法もへったくれもない私なんぞが、幅広く様々な文献を熟読なされてるrascalさんにそう言う風に書いて頂くと照れくさいというか申し訳ない思いですが(汗)、いつも真摯に読み続けて下さるrascalさんには心より感謝申し上げます。
自分なりのレベルで頑張りますので、長い目で見てやって下さい(礼)。

>ケンケンさん

宮戸世代のケンケンさん、こちらこそいつもありがとうございます。
また当時の貴重なお話、嬉しい限りです。

日本リーグ争覇戦とプレ日本選手権のどちらにもいまいち感があってノリきれなかった<やっぱりその要因には馬場さんのしらけた態度も関係していたのでしょうかね?

狼軍団が、今見れば実力ある選手ばかりですが、繰り返し集団で乱入・暴行をするのにちょっと辟易<これも当時のゴッチイズム溢れる新日においては非難の対象だったんでしょうか? 今のリングにおいてはタイトルマッチでも何でも当たり前の様に乱入介入が横行しているんですよね…。

数年前にビデオを見返して、うーんと唸りました…両者のプロレスリングの攻防が素晴らしいものだったから<何の変哲もない地方のタッグマッチでさえも見返せばお宝シーンが満載だったりしますので、昭和プロレス探訪はやめられないです。

またケンケンさんの様な偉大なる先達が読み飛ばさず最後まで見て下さる様な記事を書ける様頑張ります。

>駒シバさん

高校生もしくは中学校の頃、まだワールドプロレスリングがギリギリ60分枠だった頃<あぁ…私なんかは、もはやいつから30分になったのかさえ忘れてしまいましたよ。

エンディングテーマに乗せて昭和の名勝負がダイジェスト放送されてた<やっていたかも知れませんね。リン魂もそういうエンディングだった様な記憶があります。

プロレスをまだ100%「信じていた」私のそれを加速させるには十分過ぎるファイト…演武に見えないグラウンドの攻防をはじめとする流れるような展開<そうなんです。
記事にも記しましたが“取りにいってる”んですよ、お互い。“極め”にいったら一瞬で終わってしまう訳ですから、お互いにわかる周波数を発し合って取り合ってるんですよねぇ…。

ちょっくらフル動画探してきます<これってNJPWワールドにはないんですか?

あ、この場を借りて駒シバさんへ。
先日テレ朝2で放送されたワープロ柴田特集で、私の記憶の中の新日時代の柴田って中邑戦、藤田戦までだったんですよ。
それがビッグマウスラウドとしてイッテンヨンに殴り込んだ棚橋戦、初めて見たんです。
いやぁ~柴田って歴史あるなぁ…と思いましたね。それとやっぱり柴田こそ新日ですね、間違いない。

個人的にはゴールデンで特番やってた最後の方…小川とか上がっていた時代に乱闘になって、揉めてるところにドロップキックで突っ込んで行く赤いジャージ(=破壊王デザイン)の勝頼が好きだったなぁ…。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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