運命の不協和音 WoO.9~ミラクルパワー全面開放・後編~(1985)
北の聖地でたった一度実現した“運命の闘い”。
WoO.8からの続きです。
それまで有利に試合を進めていたアントニオ猪木でしたが、
ブルーザー・ブロディの逆水平チョップに大ダメージを負ってしまいました。

ブロディは放り捨てるかの様に、
ゴリラスラム2連発。

3発目を狙ったところで、
猪木がスモールパッケージホールドに切り返しますが、

カウントは2。
それでも起き上がれない猪木は、
一旦場外へエスケープを図ります。

そこからリングに戻ったところで、
この日の生中継は放送終了。
それでも視聴者からの問い合わせが殺到したために、
ワールドプロレスリングは翌週の冒頭で、
試合の続きを放映しました。
まず最初に目に飛び込んで来たのは、
WoO.8からの続きです。
それまで有利に試合を進めていたアントニオ猪木でしたが、
ブルーザー・ブロディの逆水平チョップに大ダメージを負ってしまいました。

ブロディは放り捨てるかの様に、
ゴリラスラム2連発。

3発目を狙ったところで、
猪木がスモールパッケージホールドに切り返しますが、

カウントは2。
それでも起き上がれない猪木は、
一旦場外へエスケープを図ります。

そこからリングに戻ったところで、
この日の生中継は放送終了。
それでも視聴者からの問い合わせが殺到したために、
ワールドプロレスリングは翌週の冒頭で、
試合の続きを放映しました。
まず最初に目に飛び込んで来たのは、
カウンターのICBM弾!!

カバーに行きますがカウントは2。

もう一度、猪木はリングを降りますが、すぐにカムバックして、
ロックアップからブロディ独自のヘッドロックへ。

猪木は身体を左右に揺さぶりロックを緩めてから、

クルッと回り込んでショルダー・アームブリーカー!!

しかしながら今回も身長差が祟って効果なし。
アンドレ、ホーガンという、
2メートル級の相手に仕掛ける事がある腕折りも、
ブロディ相手だと効果が発揮出来ません。
事もなげに猪木を場外へ放り投げると、

そのまま追っていき、
逆水平から鉄柱攻撃、

さらに場外でのボディスラム。

さっさとリングへ戻るブロディ、
猪木も一足遅れてエプロンに。

するとブロディはロープに走って、
猪木が上体を起こした瞬間に頭部へのメガトンキック。

この頭部への波状攻撃に、
苦しい猪木はもう一度場外へ。

ここで試合時間15分経過です。
猪木は再びエプロンまで上がると、
待っていたのは胸板へのブロディのハンマーパンチ2連発、

館内には猪木コールが鳴り響きます。
足元がおぼつかない状態で、
やっとリングに戻った猪木に待っていたのは、
ブロディのドリルアホール・パイルドライバーでしたが、
この日は落とす前に2度、3度ジャンプのフェイントを掛けてから、

一気に垂直落下!!

これまた強烈な頭部への攻撃に、
猪木は悶絶して動けません。

さらに抱え上げるとアバランシュホールド。

ブロディがカバーに行きますが、
猪木の左足がサードロープに掛かって九死に一生を得ます。

古舘アナ
「ギリギリのところで猪木の足がロープに伸びました。首の皮一枚つながった猪木!!」
しかし!! ここから恒例の展開が巡ってきます。
ブロディはロープに振ると、

例によってショルダースルー狙い、
当然、猪木は蹴り上げからの、

延髄斬り!!

古舘アナ
「延髄斬り!! ブロディの首を介錯したー!! 猪木土壇場に追い込まれてのミステリアススピリット、魔性の力ーー!!」
そして頭部を押さえて棒立ちのところに、
死角からドロップキックをヒット。

思わずブロディは場外転落です。

猪木は追っていって自らのバランスを崩しながら、
ストンピングからのナックルパート。

しかし食らいながら先にリングに戻るのはブロディの方。

ここで猪木は奇策に出ます。
トップロープ越しのブレーンバスターで、
ブロディをリング下に投げ落とそうと。

これ後年、実際に獣神ライガー(現・獣神サンダー・ライガー)が使った時、衝撃的でしたが、
最初に披露したのは猪木だったんですよね。
結局、持ち上げたのはブロディ、

ならば猪木は着地してバックを奪うと、

バックドロップ!!

古舘アナ
「パワーの全面開放ブロディを、アントニオ猪木がバックドロップで仕留めていった! ブロディも苦しそうだ! “動くダビデ像”ブロディの表情が苦渋に満ち満ちてきた。肖像画の様だ。古き歴史の肖像画の様だ!」
さらに猪木はここをチャンスと見て、
不充分ながらも卍固めに行きます!!

足のフックは完璧ですが、
ブロディの右腕を捕らえ切れません。
通常ならこの時点で極まっているのですが、
相手がブロディとなれば、
これでも不充分となってしまう訳です。
解説の桜井康雄さんは言います。
桜井氏
「ブロデーがね、大き過ぎるんですよ」
案の定、ブロディは自由の利く右半身で勢いをつけて、
後方に体を浴びせての脱出。

そのままカバーに行きますが、カウントは2つ。

ブロディはすぐさま猪木をロープに振ると、
出ましたドロップキック!!

そしてカバーの体勢に入りますが、
ここも猪木の足がサードロープに伸びて、
再びロープに救われた形です。
ブロディは展開を変える為に場外戦へ。
猪木をボディスラムの体勢で持ち上げると、
そのまま腰を鉄柱に強打。

これもきついですねぇ。
ブロディは一足先にリングに戻ると、
猪木に対してトップロープ越しのブレーンバスター狙い、

このタイミングで猪木が投げました!!

躊躇せずに瞬発力で一気に投げましたね。
これは両者共にダメージ大。

しかし明らかに蓄積量の少ないブロディが、
先にリングへ戻ろうとした瞬間に、
猪木は倒れたまま右足を掴みます。
ガッチリと離しません!!

ここでカウント20…3度目の両者リングアウト、ドローです。

やや余力を残して座り込んだブロディに対し、
猪木は場外に横たわったまま動けません。

まるで第一回IWGP“舌出し失神事件”の様な姿です。
何とか若手の肩を借りて起き上がったところ、
ブロディは猪木をリングに引きずり上げ、
セットしておいたパイプ椅子の上でパイルドライバー!!

これがダメ押しとばかり強烈に決まり、
ブロディはそのまま意気揚々と、
会場内を練り歩いて控室へ。

リングに残された猪木は目も虚ろ、

その姿はさしずめ“闘魂の抜け殻”か。
後方で星野勘太郎が心配そうです。
春、夏、秋と駆け抜けた“運命の闘争”は、
この5戦目にして初めてブロディが主導権を握りました。
夏の両国大会後に発したコメントが、
奇しくも予言となった訳です。
ただし猪木としてみれば、
鉄人テーズの指導を仰いだにも関わらず、
何一つスタイルが変わらず試合をしてきたブロディに対し、
一種の失望にも似た感情が生まれつつありました。

アントニオ猪木の証明―伝説への挑戦 より
両者に複雑な感情をはらんだまま『バーニング・スピリット・イン・オータム』は進みます。
そして、この長編も遂にWoO.10を迎えます。

カバーに行きますがカウントは2。

もう一度、猪木はリングを降りますが、すぐにカムバックして、
ロックアップからブロディ独自のヘッドロックへ。

猪木は身体を左右に揺さぶりロックを緩めてから、

クルッと回り込んでショルダー・アームブリーカー!!

しかしながら今回も身長差が祟って効果なし。
アンドレ、ホーガンという、
2メートル級の相手に仕掛ける事がある腕折りも、
ブロディ相手だと効果が発揮出来ません。
事もなげに猪木を場外へ放り投げると、

そのまま追っていき、
逆水平から鉄柱攻撃、

さらに場外でのボディスラム。

さっさとリングへ戻るブロディ、
猪木も一足遅れてエプロンに。

するとブロディはロープに走って、
猪木が上体を起こした瞬間に頭部へのメガトンキック。

この頭部への波状攻撃に、
苦しい猪木はもう一度場外へ。

ここで試合時間15分経過です。
猪木は再びエプロンまで上がると、
待っていたのは胸板へのブロディのハンマーパンチ2連発、

館内には猪木コールが鳴り響きます。
足元がおぼつかない状態で、
やっとリングに戻った猪木に待っていたのは、
ブロディのドリルアホール・パイルドライバーでしたが、
この日は落とす前に2度、3度ジャンプのフェイントを掛けてから、

一気に垂直落下!!

これまた強烈な頭部への攻撃に、
猪木は悶絶して動けません。

さらに抱え上げるとアバランシュホールド。

ブロディがカバーに行きますが、
猪木の左足がサードロープに掛かって九死に一生を得ます。

古舘アナ
「ギリギリのところで猪木の足がロープに伸びました。首の皮一枚つながった猪木!!」
しかし!! ここから恒例の展開が巡ってきます。
ブロディはロープに振ると、

例によってショルダースルー狙い、
当然、猪木は蹴り上げからの、

延髄斬り!!

古舘アナ
「延髄斬り!! ブロディの首を介錯したー!! 猪木土壇場に追い込まれてのミステリアススピリット、魔性の力ーー!!」
そして頭部を押さえて棒立ちのところに、
死角からドロップキックをヒット。

思わずブロディは場外転落です。

猪木は追っていって自らのバランスを崩しながら、
ストンピングからのナックルパート。

しかし食らいながら先にリングに戻るのはブロディの方。

ここで猪木は奇策に出ます。
トップロープ越しのブレーンバスターで、
ブロディをリング下に投げ落とそうと。

これ後年、実際に獣神ライガー(現・獣神サンダー・ライガー)が使った時、衝撃的でしたが、
最初に披露したのは猪木だったんですよね。
結局、持ち上げたのはブロディ、

ならば猪木は着地してバックを奪うと、

バックドロップ!!

古舘アナ
「パワーの全面開放ブロディを、アントニオ猪木がバックドロップで仕留めていった! ブロディも苦しそうだ! “動くダビデ像”ブロディの表情が苦渋に満ち満ちてきた。肖像画の様だ。古き歴史の肖像画の様だ!」
さらに猪木はここをチャンスと見て、
不充分ながらも卍固めに行きます!!

足のフックは完璧ですが、
ブロディの右腕を捕らえ切れません。
通常ならこの時点で極まっているのですが、
相手がブロディとなれば、
これでも不充分となってしまう訳です。
解説の桜井康雄さんは言います。
桜井氏
「ブロデーがね、大き過ぎるんですよ」
案の定、ブロディは自由の利く右半身で勢いをつけて、
後方に体を浴びせての脱出。

そのままカバーに行きますが、カウントは2つ。

ブロディはすぐさま猪木をロープに振ると、
出ましたドロップキック!!

そしてカバーの体勢に入りますが、
ここも猪木の足がサードロープに伸びて、
再びロープに救われた形です。
ブロディは展開を変える為に場外戦へ。
猪木をボディスラムの体勢で持ち上げると、
そのまま腰を鉄柱に強打。

これもきついですねぇ。
ブロディは一足先にリングに戻ると、
猪木に対してトップロープ越しのブレーンバスター狙い、

このタイミングで猪木が投げました!!

躊躇せずに瞬発力で一気に投げましたね。
これは両者共にダメージ大。

しかし明らかに蓄積量の少ないブロディが、
先にリングへ戻ろうとした瞬間に、
猪木は倒れたまま右足を掴みます。
ガッチリと離しません!!

ここでカウント20…3度目の両者リングアウト、ドローです。

やや余力を残して座り込んだブロディに対し、
猪木は場外に横たわったまま動けません。

まるで第一回IWGP“舌出し失神事件”の様な姿です。
何とか若手の肩を借りて起き上がったところ、
ブロディは猪木をリングに引きずり上げ、
セットしておいたパイプ椅子の上でパイルドライバー!!

これがダメ押しとばかり強烈に決まり、
ブロディはそのまま意気揚々と、
会場内を練り歩いて控室へ。

リングに残された猪木は目も虚ろ、

その姿はさしずめ“闘魂の抜け殻”か。
後方で星野勘太郎が心配そうです。
春、夏、秋と駆け抜けた“運命の闘争”は、
この5戦目にして初めてブロディが主導権を握りました。
夏の両国大会後に発したコメントが、
奇しくも予言となった訳です。
ただし猪木としてみれば、
鉄人テーズの指導を仰いだにも関わらず、
何一つスタイルが変わらず試合をしてきたブロディに対し、
一種の失望にも似た感情が生まれつつありました。

アントニオ猪木の証明―伝説への挑戦 より
猪木
「こんな『でくのぼう』はいない! っていうのが正直な感想でしたね。相手をどうこうするっていうよりも、自分の決められたパターンしか演じないブロディの型っていうのができあがってて、誰が何と言っても、それを崩そうとも、相手に絶対に合わせようともしないんだから、いい試合をしようにもどうにもならないっていうかね…」
両者に複雑な感情をはらんだまま『バーニング・スピリット・イン・オータム』は進みます。
そして、この長編も遂にWoO.10を迎えます。
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comment
No title
この試合の猪木の体調はあまり良くなかった様に見えます。
約1ヶ月前の藤波戦と比べても、技にキレがなく、全体的な動きも良くない様に見えました。
しかし、卍に入った時の鬼神の表情にはゾクゾクさせられた思い出があり、個人的にはこの試合の最大の見せ場だったのでは?と思います。
ブロディの右腕を極めたくても決められないもどかしさを、猪木の指先に込められた力に強く感じました。
約1ヶ月前の藤波戦と比べても、技にキレがなく、全体的な動きも良くない様に見えました。
しかし、卍に入った時の鬼神の表情にはゾクゾクさせられた思い出があり、個人的にはこの試合の最大の見せ場だったのでは?と思います。
ブロディの右腕を極めたくても決められないもどかしさを、猪木の指先に込められた力に強く感じました。
技に歴史あり
こんばんは。
先に出したのは、場外へのブレーンバスターはライガーではなく猪木で、パイプ椅子へのパイルドライバーは私のキムケンではなくブロディだったんですね。
この記事で初めて知りました。勉強になりました。
先に出したのは、場外へのブレーンバスターはライガーではなく猪木で、パイプ椅子へのパイルドライバーは私のキムケンではなくブロディだったんですね。
この記事で初めて知りました。勉強になりました。
>YGFさん
この試合の猪木の体調はあまり良くなかった<どうでしょうね? 7月の大阪城もそうでしたが、一発で流れを変えられる部分はありましたね。
藤波戦と比べても、技にキレがなく、全体的な動きも良くない<前年に維新軍、UWF勢が抜けて、この年の猪木は大勝負続きでしたから、疲れが出てた頃かも知れません。
卍に入った時の鬼神の表情にはゾクゾクさせられた<この試合のハイライトシーンというのは異議なしです。
ブロディの右腕を極めたくても決められないもどかしさを、猪木の指先に込められた力に強く感じました<並のレスラーならこの時点で極まってるんですよね。
やっぱりブロディは特別だったと言わざるを得ないですね。
藤波戦と比べても、技にキレがなく、全体的な動きも良くない<前年に維新軍、UWF勢が抜けて、この年の猪木は大勝負続きでしたから、疲れが出てた頃かも知れません。
卍に入った時の鬼神の表情にはゾクゾクさせられた<この試合のハイライトシーンというのは異議なしです。
ブロディの右腕を極めたくても決められないもどかしさを、猪木の指先に込められた力に強く感じました<並のレスラーならこの時点で極まってるんですよね。
やっぱりブロディは特別だったと言わざるを得ないですね。
>aliveさん
こんばんわ。
この記事で初めて知りました。勉強になりました<こちらこそ恐縮です!!
でも雪崩式ブレーンバスターを実戦で初公開したはキムケンで、さらに返されたのもキムケンが初ですから…キムケンも偉大です。
この記事で初めて知りました。勉強になりました<こちらこそ恐縮です!!
でも雪崩式ブレーンバスターを実戦で初公開したはキムケンで、さらに返されたのもキムケンが初ですから…キムケンも偉大です。