Yoji Anjo Is Alive 外伝5~安生が語るUWFサブミッション史【下半身編】~

外伝4からの続き、

これ即ちシリーズ・ファイナルの記事であります。

80年代のUWFを起点として、

現在のMMAまでの歴史を考えると、

明らかに淘汰されつつあるのが、

足関節技を巡る攻防ではないでしょうか。
安生がアキレス腱固め、

安生洋二が語った『Uの技術の歴史』、

最後はUが誇る高等技術である、

足関節技の変遷で締め括りましょう。



旧UWFでの“神様”カール・ゴッチさんとの出会いから始まった、

安生の関節技を究める旅ですが、

足に関しては旧来のトーホールドが入り口だった様です。
「また明日」

Gスピリッツ35表紙
 Gスピリッツ Vol.35 より

安生
(ゴッチさんは)足は、そんなに得意じゃなかったと思うんですよね。足関節だと、自分の肘を支点にするトーホールド的なヤツとか…それぐらいかな? 膝十字固めやアキレス腱固めをやるというイメージは、そんなにないですよ。ヒールホールド? それもイメージないですね」

「自分が教わった時は、そう
(=トーホールド中心)ですね。四つん這いの相手のふくらはぎに、自分の膝を乗っけてのトーホールドとか」


元々、プロレスリングにおける足関節技の礎は、

トーホールドからだったんですね。

そこから紆余曲折を経た末、

89年、新生Uに革新的技を持ち込んだ男が、

革新的打撃技の掌底同様、

船木誠勝でした。
船木vs安生4

新日との業務提携時代、数多く対戦した船木(参照:Yoji Anjo Is Alive vol.24~若獅子の群れの中で~)が、

欧州武者修行から持ち帰った技、

それがアンクルホールドです。

安生
(未知の技術を感じたのは)新生UWFに船木さんが入ってからですね。足首固め(アンクルホールド)とかを遠征先のヨーロッパで…。そう、ミレ・ツルノ(笑)」

「手であそこまで足首を捻るというのはなかったですね」


ミレ・ツルノから盗み取ったアンクルホールド、

この技がUWF系のリングで育まれ、
安生のアンクルホールド

のちにカート・アングルから世界中のプロレス団体で、

フィニッシュムーブに用いられ、

MMAでも数少なくなった足関節技の一つとして、

今でも双方のジャンルにおいて、

生き残っているのは驚異的な事だと思います。
杉浦の切り札アンクル・ホールド

これ、船木の功績は半端じゃないですよ。

技自体もそうですが、

スパーにおける“抑え込み絶対論”から脱却するキッカケにもなっています。

安生
(それまでは)自分から下になることはなかったですよ…それも船木さんぐらいが最初なのかな? 下から足首を取ってアンクルホールドに行くとか」


これさえも、もしかしたら、

Uの次世代が柔術と交わる際に、

先入観なく技術を取り入れる事が出来た、

最初の一歩だったのかも知れません。

しかし安生はどちらかと言えば、

その前の世代だった様です。

Gスピリッツ36表紙
 Gスピリッツ Vol.36 より

安生
「練習の時はどっちかというと、そういう体勢になったら抑え込みばっかりです。足は取りに行かないですね(笑)。前回も言いましたけど、スパーではとにかく上を取ることを重視していたんで。逆に言えば、僕はあまり膝が良くないんで、足関はなるべく避けるようにして(笑)」


もっぱらアンクルを認知させたのは、

船木と、その弟分とも言える鈴木みのるでした。
鈴木の若手時代

安生
(船木の技は)やっぱりアンクル、足関とか」

「鈴木も足関とかじゃないですか」


この二人の1990年4.15 博多スターレーンが、

のちのパンクラスへの礎、『実験的試合』と呼ばれますが、

安生は一言で結論付けています。

安生
「ああ、『スパーリング』ですね。船木vs鈴木も『スパーリング』じゃないですか。
(略)別に『スパーリング』として見ていたから。試合内容がどうこうという部分は、あまり記憶に残らないですよね」


聞き手の和良コウイチさんも補足を加えていましたが、

この試合を“シュート”や“セメント”と呼ばず、

「スパーリング」と言い切るのが安生らしいですね。

宮戸優光流の定義で言えば、

『コンテスト』かも知れないです。



その宮戸らと理想に燃えた団体、

Uインターになってからは、

前回書いたレジェンドたちとの出会いがあった訳ですが、
レジェンド達も祝福

足関節についてはゴッチさんと同じく、

トーホールド主体だった模様ですね。

安生
「足関に関しては、そうでしたね。まあ、足関の極めに関しては
(自分らの技術の方が優れていた)。ただ、腕とかの取り方は凄いなと思いました」


結局、足関節という部分だけを見れば、

80年代のUWFから急激に、

日本で進化してきた技術なのかも知れませんね。

アンクルを輸入した船木ははっきり言い切っています。

 日刊H.T Season 2 より
アンクルホールドを日本に持ち込んだ船木誠勝

船木
「もともと自分が日本を出発する前、新日本プロレスにあった足関は、アキレス腱固めとヒザ十字固めとヒールホールドだけだったんです…(略)それが第1次UWFで佐山さんがサンボの技術を持ち込んで、そこで藤原さんもヒザ十字とアキレス腱固めを習得したんですよ。だから、その時点でまだ3つですね。で、自分がヨーロッパ行ってアンクル見つけたという感じですか。それを第2次UWFで使っていくうちに、ほかの選手も使うようになったんですね」
(kamipro No.132 より)


船木は旧UWFからという認識ですが、

アキレスはジュニア王者時代の藤波辰巳も、

痛め技として多用していたんですよね。
アキレスの極めあい

ヒールは70年代、イワン・ゴメスからですね。

膝十字は?…これこそ佐山サトルからだと思っていますが、

オールドファンの中にはサンボをいち早く取り入れたのは、

国際プロレスという認識もある様です。

でも試合でクローズアップされたのは旧Uからかと…。

そこに船木が持ち帰ったアンクルが加わり、

のち修斗、パンクラスなどへ枝分かれし、

足関節技は浸透していきました。

その後も各種足関は見られて来ましたが、

生き残った感があるのはアンクルなんですよね。
桜庭のアンクルに田村激痛

ただゴッチさんは生前、

この船木とシャムロックのアンクルの攻防に、

苦言を呈していた記憶があります。

この辺りにレジェンドたちとUWF戦士たちの、

技に対するジェネレーションギャップが垣間見えますね。
船木直伝のアンクルホールド



さて久々の技トーーク

例によって尻切れトンボ気味に終わってしまいますが(笑)、

最後に表のリングで苦杯を舐め続けながら、

長きにわたって“道場最強神話”が囁かれて来た安生が、
今度は安生がダブルリストロック

自らの実力について語った部分がありますので、

それで締めましょうか。

和良さんは桜庭和志の言葉を引用する形で、

道場で一番強かった安生が、なぜ試合では勝てなかったのか? を、

やんわり振りましたが、

安生
「いやあ、それと試合はまた違いますから。“じゃあ、
(強くて)その先どうするの?”という話ですからね」


…強いだけじゃ何にもならない。

格闘技において矛盾する事この上ない言葉ですが、

UWFの本分が観客の前で技術を披露する事であった以上、

それが真理なのかも知れません。

私個人の考え方を書かせて頂くなら、

シュート、セメントの強さというのも、

あくまでプロレスにおける一部分の強さであって、

実際にはカリスマ性や残虐性、あるいは財力による強さも、

それぞれ同じ重さを持っていると思っています。

しかしどのプロレス団体よりも強さを重視したU系、

その中で名だたる選手全員が「強い」と認めた安生の技術、

そこにUWFの全てが集約されていた事は確かだと思います。
安生の左ハイ

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tag : 安生洋二 旧UWF 新生UWF UWFインターナショナル

comment

Secret

No title

山本喧一選手が酔って警察官に頭突きして逮捕されちゃいましたね・・・
RlZlNに参戦したいとアピールしてたのに

フジテレビで放送されてるFUJIYAMA FIGHT CLUBがYouTubeに番組登録されましたね
水道橋博士さん・ケンドーコバヤシさんが高田延彦さんに桜庭選手についての話を振ってましたよ
高田さんも笑いにして返してるので、以前の様なアンタッチャブル(ネットの噂?)な関係ではないのかな?

>はなさん

山本喧一選手が酔って警察官に頭突きして逮捕<びっくりしました。ええ。
実際にお話すると温厚な方なんですけどね。

FUJIYAMA FIGHT CLUBがYouTubeに番組登録<こっちじゃ放送されていませんので、大変助かります。

はなさん情報ありがとうございます!!

No title

アンクルはミレツルノからだったのですか^_^;?

ミレツルノと言えば、ピートロバーツと並ぶ全日ジュニア初期の代表的な選手でしたね(本当か?)

WWEにアンクルを持ち込んだのはケンシャムでしたので、それも船木の功績かもしれませんね。

いや、それは違いますね。

こんばんは。

ツルノは新日本と旧Uで全日本には来てませんね。

余談ですがロバーツは私のキムケンのJr.タイトルに挑戦しています。見た訳じゃないけど。

あれ、サミットもう始まってる?

No title

あれ?間違えた。
ミレツルノは全日来てませんね。国際で阿修羅とやったり、新日本にきてたんですね。

なんで全日だと思ったのだろう?やはり、ピートロバーツとかぶったんだろうな…。

>BKっち

ミレツルノと言えば、ピートロバーツと並ぶ全日ジュニア初期の代表的な選手<うん? 全日ジュニア初期と言ったら、チャボと大仁田を思い出したのですが…。

WWEにアンクルを持ち込んだのはケンシャム<あ! そうですね。
ケンシャムがWWEに持ち込んだのは、この技とMMAファイターというキャラですね。
確かに起点は船木なんだろうなぁ…。

No title

なんで全日本と思ったのか…やはりピートロバーツと被ったのと、マリオミラノと被ったのと、国際での阿修羅戦を全日本と間違えたんでしょうなぁ〜。

>aliveさん

こんばんわ。

ツルノは新日本と旧Uで全日本には来てません<訂正ありがとうございます。

ロバーツは私のキムケンのJr.タイトルに挑戦しています<またaliveさんのキムケン話、楽しみにしています。
デュオ・ランバダ!!

当日はどうぞ宜しくお願い致します。

>BKっち

つくづくBKっちはアメプロなんだなぁ…と思いました。
ヨーロッパじゃないんだなぁ~って。

私も人の事言えないんですけど(笑)。

No title

ここにもやっとコメントを・・・

安生のインタビュー、おもしろかったですね。
私は密かに
「ゴッチってかなり力あるだろ?」
と思ってましたがやっぱり・・・
いわゆるテクニシャン系の体格ではない気がしたんですよね。
もちろん、いわゆるパワー系の技術よりは遥かに高いでしょうが。

U系の技術が廃れることに関しては何も感慨はないという言い方をしていましたが、後年にMMAで再び脚光を浴びる技も当然出てくると思われます。
特に、「相手が知らない技」というのは得てして掛かりやすくなるわけで。
大きなダメージを与えたかどうかは別として、モンゴリアンチョップなんかも当たってしまってるわけですからね。

>ナリさん

私は密かに「ゴッチってかなり力あるだろ?」と思ってましたがやっぱり<ゴッチさん自身はボディウェイト・トレーニングにこだわって来ましたが、その手法で器具以上の筋力を身に着けたんでしょうね。

U系の技術が廃れることに関しては何も感慨はないという言い方をしていましたが、後年にMMAで再び脚光を浴びる技も当然出てくると思われます<結局のところ、セオリーが出来上がれば、切り崩す方法はセオリー破りしかないんですから、そこでプロレス技術というのが見直されるかも知れません。
キーロックからパウンドとか面白いと思うんですけどね。
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Author:紫レガ 
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