勝ち負けが全てではない、強さが全てだ。(2015)

今さらですけど、

日本のプロレス界は久々の盛況を迎えています。

会場を埋めているファンのほとんどは、

近年プロレスを知り、好きになった方々の様です。

そこには当然、プ女子と呼ばれる女性ファンも含まれています。

そんな中で先月、14周年を迎えたZERO1は、

敢えてオールドファンが喜ぶプロレスリングを提供してくれました。

2015年3.1 後楽園ホール

鈴木秀樹vs船木誠勝

鈴木秀樹vs船木誠勝

“完全決着”と銘打たれた一回限りのシングルマッチ、

船木誠勝鈴木秀樹は入場テーマ曲なしで同時にリングインしました。
テーマ曲なしの同時リングイン

開始早々、互いに指先で距離を測りながら、

二人は手繰り寄せ合います。
探り合いから、

地味な地味な立ち上がりですが、

身体バランスであったり、全身の引く力であったり、

緩急や仕掛けのタイミングであったり、

様々な駆け引きが絶え間なく行き来しています。

一瞬の隙を突いて早くも鈴木ががぶりから、

師匠ビル・ロビンソン直伝の人間風車の体勢に入ります!!
がぶって早くもダブルアームか?

一旦ロープブレイク後、

今度は船木がバックを奪いに行きます。
バックを奪い返す船木、

するとすかさず鈴木はリストを取って、

ダブルリストロックの切り返しからグラウンドへ。
ダブルリストロックで返す鈴木、

かつては当たり前の様に見られた攻防。

2015年の現在においては何だか新鮮でさえあります。

いや、普段もこの“展開”だけなら見る機会あるのかも知れません。

ただし、この試合の場合は“展開”じゃなく“攻防”になってるんですよ。

「それ観る側の問題でしょ」と言われるのがオチかも知れませんが、

これ私自身の直感だからしゃあないでしょう。

ここで自然に有利なポジションに持っていく船木はさすがです。
船木はバックに回り、

鈴木を動かしながら肩固めに取っていきます。
マウントから肩固めを挟んで、

今でもスパーリングに時間を割いている証明でしょう。

鈴木が脱出を図れば今度は、

マウントから腕十字に移行。
腕十字へ、

鈴木はしっかりとクラッチを結んだまま、

後方への倒立回転で切り返すと、
鈴木は後転で脱出

上のポジションを取りますが、

むしろここは船木の土俵。

日本人総合格闘家のパイオニアとして、

“ガードポジション”なんて言葉を誰も知らなかった時期から、

それを実践してきた船木は、

下から両手首を取って鈴木を完封します。
船木の下のポジションでの安定感

ここも細かい駆け引きの中で、

右手がフリーになった瞬間に鈴木は、

躊躇なくナックルを船木の顔めがけて落とします。
鈴木の躊躇ないナックルを、

これを見切ってかわす船木の動体視力!!
船木は冷静にかわして、

しかも重い鈴木のウェイトを下半身でコントロールしながら、

そのまま今度は下からの肩固め。
下からの肩固め、

鈴木が逃げていくと、

それを待っていたかの様に再び腕十字の体勢へ。
さらに腕十字、

ここからじっくり息を整えながら、

ロープとの距離を目視しながら、

船木はクラッチが緩むのを待ちます。

業を煮やした鈴木はもう一度後方回転へ、
もう一度後転での脱出を図るが、

これは船木が体重移動で阻止、

さらに右手で防御壁を作ります。
船木は右手で阻止して、

諸々の逃げ道を封じておいて、

鈴木のクラッチが緩んだ瞬間に、

一気に極めていきます!!
一気に極めていく、

瞬時に鈴木もエスケープ!!
鈴木必死のエスケープ

ロープエスケープ…この緊張感が堪りません。

ブレイクすると中腰の状態に、

船木の左ミドルが飛んできます。
すぐに船木の左ミドルが飛んでくる、

2発目はキャッチして、
2発目は受け止めて、

フルスイングの張り手。
顔面を張っていく、

これをディフェンスした船木は、

すぐさま掌底での返しから、
船木は速射の掌底連打から、

カウンターの右ハイキック!!
ハイキック! 凄い音!!

膝から落ちた鈴木に、

船木はフルスイングの蹴り上げ!!
倒れたところに強烈な蹴り上げ

さらに引きずり起こして、

必殺のハイブリッド・ブラスターに行きますが、
さらにハイブリッド・ブラスターに行くが、

逆に抱え上げたのは鈴木、
持ち上げたのは鈴木の方、

ボックを彷彿とさせるツームストン・パイルドライバー炸裂です。
強烈なツームストン・パイル

すかさずスリーパーに取ると、
すかさずスリーパー、

船木はすぐさまのたうち回る様にエスケープ。
船木必死にエスケープ

鈴木はリング中央に持っていって、

強烈なニーリフト2発。
鈴木のニーリフトも強烈

船木も痛烈な右の掌底フックから、
船木はフルスイングの掌底、

ツースリーと続けますが、

これは鈴木がダッキングして、
2発目、3発目は鈴木がダッキングして、

そのまま懐に入ってのエクスプロイダー。
エクスプロイダーから、

さらにバックを奪うと、
バックを奪うと、

バックエルボーから船木の脇固め。
脇固めで返す船木、

これもわざと逃がしておいて、

即座に入った三度目の腕十字は、

鈴木が足を延ばしてロープエスケープ。
さらに腕ひしぎ逆十字で鈴木エスケープ

ここから船木は止まりません。

コーナーに詰まった鈴木の胸板に、

ミドルキックの乱れ打ちから、
再び強烈な蹴りから、

膝蹴り、ミドルキック、
立てば膝蹴り、

掌底、インロー、
ショートレンジの掌底連打

そしてハイキック!!…は空を切り、
右ハイキックは空を斬るが、

すかさずフルネルソンに入る鈴木ですが、

船木はバックエルボー、
バックを取った鈴木にバックエルボー、

これをかわした鈴木がエルボースマッシュから、
鈴木はエルボースマッシュから、

これも師匠譲りのワンハンド・バックブリーカー。
ロビンソン直伝のワンハンド・バックブリーカーを挟んで、

したたかに腰を打った船木に、

鈴木は間髪入れず人間風車!!
出たダブルアーム・スープレックス!!

大きな弧を描いて叩き付けられた船木を、

鈴木はガッチリとエビに固めてカウント3奪取!!
船木からピンフォール奪取!!

終わってみれば、「え? まさか!!」と「船木強い! それ以上に鈴木強かった!!」という、

極めてシンプルなプロレスリングの試合でした。

一個一個の攻防が、

装飾を排除したプロのレスリングだったんですよ。

まだ、こういうプロレスリングが現存していたんですね。

これ、いわゆる名勝負のカテゴリではないのかも知れません。

最近のバリバリのファンからすれば、

「純粋なオールドスクールのプロレス」に見えるかも知れません。

そういう“スタイル”に感じ取られるんだと思います。

でも、これたかだか7分強の試合時間の中で、

勝負が行われていたんですよね。

その象徴がこの一枚の画像でしょう。
勝者と敗者の明暗クッキリ

昨今の遺恨試合的な類の結末は、

敗者を讃え、握手してノーサイド…というのが定番になりつつあります。

しかし懐かしくもある、この勝者と敗者のコントラスト。

そこには“敗者の美学”という名のなぐさめはありません。

 Dropkickチャンネル より

鈴木
「ボクは負けた奴が悪くて、勝った奴が正しいとは思いませんけど。でも、弱い奴は正しくないと思ってるんですよ。人それぞれ強さの基準は違いますし、勝った負けたは運だと思ってるんですけど。努力していない奴はリングに上がっちゃいけないと思ってるんです」


その上で鈴木はハッキリと「船木は強い」と言い切りました。

鈴木はこの後、WRESTLE-1に乗り込んで、

KAIを破りW-1王座を強奪しました。

このまま武藤敬司に辿り着くのも時間の問題でしょう。

鈴木の卓越したキャッチ技術とシンプルなプロレスリング論は、

果たしてどこまで突き進んでいくのでしょうか。

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tag : 鈴木秀樹 船木誠勝 WRESTLE-1

comment

Secret

No title

こんばんは!この試合観られたんですね。羨ましいです。鈴木秀樹はスネークピットの秘蔵っ子じゃないですけど、かなり前から期待されてたようです。自分は週プロでリポートと静止画しか見てないですが、インパクトありますよね。正直、船木にも勝ってしまう実力を持っているとは思いませんでした。KAIにも、差を見せ付ける位の完勝ですよね。武藤戦見てみたいですね!そして、鈴木が希望する中邑戦も!中邑戦が実現すると地上派放送もあると思うので、自分も動画を見れると(笑)。今年は鈴木の飛躍が楽しみです。

今回の題名にアニメ・タイガーマスク二世のオープニングでのセリフ

「力が正義ではない、正義が力だ」

を思い出してしまいました。

展開でなく攻防・・・心に響きます。

入場テーマなし、派手な技もなし。時間も短い。それの何が・・・と思うファンはたくさんいるでしょう。しかし大事なのは入場や目立つ技や試合時間の長さばかりではないと・・・思います。

レスラーとの記念写真は確かに写真は残るでしょう。思い出も残るでしょう。でもレスラーには何よりもファンの心に残さなきゃならないものがあるんではないですかね?

この試合には、その答えがあると・・・思います(^^)

はじめまして。

開設した時期くらいから【腕ひしぎ逆ブログ】定期的に拝読させて頂いております。「試合」それ自体を批評するスタイルのプロレスブログは珍しく、興味深い論点を毎回提示して下さりありがとうございます。
やはり鈴木秀樹×船木に触れられましたね。いつ取り上げられるかと思っていました。
新日本一強時代(基本的に新日ファンですが)、こういうスタイルのプロレスの価値が上がることを期待しています。

鈴木選手の望む中邑戦(神の子時代や猪木発言時代の中邑を取り上げていた紫レガさんの記事が大好きでした。クネクネ以降は必然的に距離を取られているように思われます)観たいですよね。

>H.Tさん

こんばんわ。

スネークピットの秘蔵っ子じゃないですけど、かなり前から期待されてたようです<ポイントポイントでは気になっていた選手ですが、船木戦でハマりましたね。

KAIにも、差を見せ付ける位の完勝ですよね。武藤戦見てみたいですね!<こんなにあっさりと鈴木みたいな後ろ盾のない選手が獲るっていうのも凄いですけど、とにかく強さに説得力がありますからね。
武藤はいろんな意味で簡単にはいかないと思いますけど。

中邑戦が実現すると地上派放送もあると思うので、自分も動画を見れる<中邑戦は観たいんですよね。
新日に乗り込むのも時間の問題だと思ってるんですけど、実際には中邑戦以外見たいカードも無いんですよね。

>流星仮面二世さん

アニメ・タイガーマスク二世のオープニングでのセリフ「力が正義ではない、正義が力だ」<おお!! さすがですね。
♪暗い闇斬り裂いて~明るい朝日が射す様に~。

入場テーマなし、派手な技もなし。時間も短い。それの何が・・・と思うファンはたくさんいるでしょう<いつもとちょっと違うね、くらいの感じ方のファンも多勢いらっしゃったと思います。ハッキリ言って、腕十字の攻防なんか『つまんね』みたいに見てたかもしれません。
でもプロレスリングの試合としてみれば、最高でした。

レスラーには何よりもファンの心に残さなきゃならないものがある…この試合には、その答えがあると<この試合から感じたのは何よりも強さですね。勝者と敗者、両者とも強さがハッキリ見える試合でした。
プロレスはそれだけじゃあないんですけど、それがないプロレスラーがたくさんいますからね、今。

>ナイトウさん

初めまして。
コメントありがとうございます。

開設した時期くらいから…定期的に拝読<それは嬉しいです!! 光栄です。

いつ取り上げられるかと思っていました<偶然3月は安生の件でサムライ契約していたんで、何かの縁でしたね。

新日本一強時代…こういうスタイルのプロレスの価値が上がることを期待<本当に満足度の高いプロレスを提供していますからね。
それはもちろん素晴らしい事なんですけど、そこに“裏切り”という真実があるプロレスも好きなんですよね。
私みたいな中島体育センターに足を運んでたファンは尚更、そこが懐かしいですから。
ですから鈴木が新日に行って、この船木戦みたいな試合が加わったら、もう新日の独走は止められないでしょうね。

神の子時代や猪木発言時代の中邑を取り上げていた記事が大好きでした<ここの旗揚げ当初は中邑が主役でしたからね。
当時、対戦を懇願してた石井慧ももう引退ですか…時間が経つのは本当に早いです。

おぉ!

すみません。
紫レガさんのブログまとめて読んでます。

最近たまたまネットで鈴木秀樹選手の名前を見て何故か気になりYouTubeで探してみようと思っていたら、紫レガさんが記事にされているのでビックリしました。
(今日は2回目(先程コメントしたスカパーの件もそうですが)のビックリです。

やはりこの試合は観てみようと思います。

>みーさん

ブログまとめて読んでます<ありがとうございます!!

鈴木秀樹選手の名前を見て何故か気になりYouTubeで探してみようと<結構、動画転がっていますか? でもこの船木戦はないんじゃなかったかな?

つくづく便利な時代ですよね…昔は新日全日以外は数か月ビデオ出るのを待ってから観てたんですからね。

お返事ありがとうございます。

船木選手との試合見つけかれませんでした。
( ̄◇ ̄;)

昔は3ヶ月待ってレンタルですか⁈
うわーー待てないーー(笑)

本当に良い時代で良かった♪

>みーさん

船木選手との試合見つけかれませんでした<あ、やっぱり見つからないですか。
ZERO1の試合って確かDVD出るとTSUTAYAに並ぶはずですので、それを待つのも一つの手ですね。

本当に良い時代で良かった♪<ですよね~。

ずっとプロレス好きでいて下さいね。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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